「おっはよー!」
「おー……朝から元気いーなお前は」
「そーゆーかおるは元気ないわねー。私が元気注入したげるっ」
「おわっ! 待て待てっ」
「なによ、今更ナーニ恥ずかしがってんのよ。誰も見てないって」
「いや、そーじゃなくてな……」
「んー? だから何よぉ、素直に言わないともう口聞かないわよ」
「ちょ、それは……!」
「嫌でしょ? だったらさっさと白状なさい」
「お前、ほんとずりーよなぁ……。はぁ……だから、その……カレーをな……」
「カレー?」
「昨日、夕飯がカレーだったんだよ。で、その残りだってんで、朝っぱらから、さ」
「はぁ……?」
「食ったあとちゃんと歯磨きしたんだけどよ、まだ口ン中に残ってるかもって思って……」
「ふぅん……それがどうしたの?」
「いや、だ、だから! お前、甘いもん好きじゃねーか!」
「……………」
「だから…………」
「プッ!!」
「へ?」
「あははははははッ!! そっそんな事気にして……くっ…ぷふふふふ!!」
「な、なんだよー! そんなに笑うことねーだろぉ」
「だっ、だってぇ〜! くふふふ! も〜、かおるったら!」
「ちょ、いきなり抱きつくなって!」
「誰も見てないからいーでしょ〜? それに私、甘い物好きだけど別に辛い物が苦手ってこと無いからね」
「え? そーなのか? なんだよ、気ぃ使って損したぜ……」
「……ねえ、私ってそんなに甘い物好きに見える?」
「見えるも何も、甘い物以外受け付けないって勢いを感じるぞ?」
「失礼しちゃうわね〜! 私だって普通にご飯もカレーも食べるわよっ! それに……甘い物より、もっと好きな物もあるんだからね」
「マ、マジで!? そんなもんあんのか!?」
「そ、そこまで驚かれるような事? ちょっとショックかも……」
「っと、ごめんごめん。で、何だよ、その甘い物より好きなのって」
「……………」
「…………?」
「ヒント。今私のすぐ傍にあるものです」
「な、なんだよいきなり? んー、すぐ傍ねえ……弁当の中身かなぁ」
「ぶー。違いますー」
「じゃあオヤツでも持ってきてんのか?」
「ぶっぶー! それは甘い物でしょー。確かに持ってきてるけど」
「んんー……近所になんか店でもあんのか?」
「ぶぶぶー! もっともーっとずっと近くー!!」
「んむ〜〜? ごめん、もう一個ヒント!」
「ホントにわかんないのぉ? じゃあ起死回生の一発逆転スペシャル特別ヒント!」
「はいはい」
「それは私が毎朝おいし〜く味わってるものです」
「…ふむ」
「でも今日はまだそれを頂いてません」
「…ふむ?」
「カレーのせいで頂けませんでした」
「カレー? ……って、まさかその、もしかして……」
「うふふ、わかった? 私が甘いものより好きなもの。世界で一番────」
「お前んちの朝もカレーだったのか?」
「ガクッ ……な、なんでそーなんの……」
「いや、そのせいで大好きな母ちゃんの朝飯が食えなかった、とか……」
「ぶ…………」
「ぶ?」
「ぶっぶー!! ぶー! ぶー! ぶぶぶー!! ハズレ! 大ハズレ!! バッッッッカじゃないのぉ!!?」
「なっ!?」
「もー、知らない! かおるのバカ!」
「な、なんだよぉ!? ワケわかんねえ!」
「うっさい、バカ! バカ! バーカ!!」
「声がでかいって! ってか何度も言うな!!」
「エロバカ!」
「エロは関係ねーだろ!!」