バツの悪そうな笑顔の自分が、目の前にいる。別に初めての事ではないが、だからといって慣れている
わけでもない。
「……とりあえず、またこのまま一日やり過ごすしかないわねー」
みやこが――いや、みやこは自分だ。だから自分の姿で苦笑いしているのはももこで、その隣りで凝固
しているももこの中身はかおる。となれば、今自分が収まっているのはかおるの身体。
「…ややこしいですわ~」
みやこは溜息を吐いたが、その声がかおるのものである事にドキッとする。今日一日、今度はかおるを
演じねばならないようだ。
それならば。
「あ、ももこさん。わたしの部屋から取って来て欲しいものがあるんですけど~」
「……かおるの格好でそういう話し方、すっごい不気味」
「うふふ~」
やらなければならない事がある。かおるの身体が、自分のものである内に。
父、兄、弟の技の猛襲を何とか避け、みやこはかおるの部屋に引き上げた。今は自分の部屋だと言える。
「…さて、こうしている時間はありませんわ…」
それぞれの家に帰る前に、ももこに頼んで持って来て貰った小物入れを開ける。その中に。
「良かった、やっぱりこの中にありましたわ~」
化粧品や香水等、ささやかな小物の中に埋もれて、お目当てのもの――デジタルカメラの丸みを帯びた
角が覗いていた。 本当はビデオで動画が撮れれば良かったのだが、残念ながら持ってない。
「でも…これで…」
震える手でカメラを取り出す。その手にかかる己の息が、吃驚するくらいに熱い。
服も下着も脱ぎ、一糸纏わぬ全裸になる。かおるの部屋の何処を探しても鏡が見あたらないので、仕方
なく、小物入れの中から小さな手鏡を取り出した。
「…かおるさん…ごめんなさい…」
罪悪感はある。あるのだが、それとは比べ物にならない程の大きな情動に突き動かされ、手鏡を大きく
開いた脚の間に差し入れる。
「…か、かおるさんの…!」
小さな手鏡に映し出された、その部分を凝視する。はっきりとは解からないが、どうも自分のものとは形が
僅かに異なるようだ。興奮のあまりブルブルと震える指先で、柔らかい肉の合わさり目をそっと押し開く。
「…はあぁッ…! かおるさんの、カワイイッ…!」
かおるを想っての自慰が習慣づいてしまった自分とは違い、おそらくは己の指で触れる事も滅多にないの
だろう。同年齢の自分のものと比べても明らかに未発達な柔肉が、それでも粘膜をぬらりと光らせている。
「……はぁ…眺めてばかりは…いられませんわ~…」
もしもかおるの家族に知られたら、という緊張感と、かおるの身体を最も近い距離で視姦する事の罪悪感
とが、極度の興奮を呼び起こす。喘息の発作を起こしたかのような窒息感すら感じながら、みやこはカメラの
メモリーを確かめた。大丈夫、容量は充分にある。
顔も。胸も。かおるが羞恥して已まない“さきっぽ”も。
今や大きく割り開かれた、秘めやかな場所も。尻の谷間に埋もれた、恥ずかしいところも。
かおるが日頃隠している、全てのものを。
やはり興奮し過ぎたのだろう。カメラの容量を使い切る頃には疲れ切っていた。それでも、予備のメモリが
あれば、と惜しく思う。後は――かおるの身体を思うがままに貪ってみたかったが、客観的には自慰であり、
万が一それが家族に知られでもしたら、それはあまりにもかおるに対して申し訳なさ過ぎる。自らの身体に
後ろ髪を引かれる思いに耐えながら、ベッドに潜り込んだ。
全身がかおるの匂いに包まれて、結局、夜明けまで眠れなかった。
「いや~、やっと自分の身体に戻ったぜ! しっかし何だよお前の妹! もう二度とゴメンだな」
「あたしもみやこの家はもういいわ。あんな静かな部屋に一人っきりって、何か怖いし」
無事に自分の身体に戻れた安堵からか、先程から頻りに不平を漏らすももことかおる。無邪気に騒ぐ二人
を眺めていると、ただただ後ろめたさだけが募る。それでも。
「…何だよ、みやこ。さっきからニヤニヤして。俺ンちで何かあったのか?」
「い、いえ~、何でもないですわ~」
これから家に帰って、撮った写真を観賞しよう。そこに何が写されているかを、それ以前に自分の身体の
隅々までも撮られてしまった事を、かおるは知らない。知る由もない。
みやこは一人、笑顔を深めた。その笑みの理由すら、かおるは知り得ないのだ。
その事実が、暗い快感となって、みやこの小さな身体をザワリと波立たせた。
終わり
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