かおる「悪いな遠くまで歩かせてしまって」
みやこ「そんなことないですわ」
今日はかおるがサッカーのスパイクを買いにスポーツ用品店に来ていた。
本来なら一人で来る予定だったが、何処でかぎつけたのかももこが、
ももこ「かおる明日買い物にいくんでしょ!?だったら私達もついていく!」
なぜついてくるのかわからないが断る理由もないので承諾をした。
が、今日ももこはいない。
昨日お菓子を食べていたら強烈な腹痛に襲われとても行ける状態ではないそうだ。
なんだその理由は。と思いみやこと二人で買い物にきたわけだ。
みやこ「ももこさん大丈夫でしょうか?」
かおる「あぁ気にすることねぇーよ。どうせ明日には菓子でも食ってるよ」
みやこ「でも〜」
かおる「あっみやこは行きたいとこないのか?」
みやこの言葉を遮る様に言った。
みやこ「えっいいんですか〜?じゃあ…」
みやこが服を買いたいとのことでみやこ行き着けの店に着いた。
どう見ても‘女の子’向けの店である。
正直入るのにも気が引けるが自分も買い物に付き合ってもらった以上入らないわけにはいかない。
自動ドアが開くと言いたくないが可愛いと言う言葉がよく似合う店だ。
みやこパタパタと先に行って商品の服に隠れ見えなくなってしまった。
当然見てもどうしようもないが只立ってるのもなんなので一応見て周り事にした。
みやこの事もたまに確認しながら。
しかし、この店の商品も雰囲気も周りの客も‘女の子らしさ’がプンプンする。
そんなこと当たり前だが、自分だけ浮いてるのもわかる。
別に腹を立ててるわけじゃないが楽しくない。一刻も早く出たい気持でいっぱいだった。
みやこ「かおるさ〜ん」
ハッと気付くとみやこが服を持って立っていた。
かおる「もういいのか?じゃあ出ようぜ」
急かせる様に言った。
みやこ「実は〜かおるさんにこのスカートが似合うんじゃないかなと思って持ってきたんですよ〜」
かおる「ゲッそんなの持ってくるなよ」
スカートは履かないと知ってるくせにわざわざ持ってくるみやこがよく分からなかった。
みやこ「まぁまぁとりあえず試着してみませんか?絶対似合いますよ〜」
この店の店員じゃないかと思わせるくらい言い寄って来た。
かおる「い、いいって言ってるだろ!」
軽く突き放したつもりだったのに、想像以上にヒョロイみやこの体が軽く飛んでしまい倒れてしまった。
かおる「あっ!みやこ大丈夫か!?」
急いでみやこに駆け寄る。
みやこ「だ大丈夫ですわ」
イタタといった感じで苦笑いの表情で言った。
かおる「ご、ごめんそんなつもりはなかったんだ」
みやこ「私こそすみませんですわ。嫌がってるかおるさんを無理矢理…」
お互い沈黙し気まずい空気が流れる。
みやこ「ここで大丈夫ですわ〜」
かおる「そそうか…?」
かおるはみやこを家の近くまで送っていた。
かおる「…じゃあな」
みやこ「さようならですわ〜」
かおるの声は明らかに低く元気なかったが、みやこはいつもの声だった。
翌日
みやこ・かおる「あっ」
みやこ「あっあの…」
かおる「これみやこにやるよ」
かおるから受けとった紙袋を開けると
みやこ「あっこれ私が欲しかったブーツですわ〜でもどうして?」
かおる「昨日そのブーツ何回も見てたしひょっとしたらと思ってな。それと昨日は…」
みやこ「ごめんなさい。私かおるさんと二人っきりで買い物が出来るのが嬉しくて浮かれ過ぎてしまいましたわ」
かおる「えっ?」
みやこの言葉を聞き取れずおもわず聞き返したが、
ももこ「おっはよー!昨日はごめんねーでももう大丈夫よ!リーダーたるものこのくらいじゃあへこたれないわ。あっかおるがみやこに渡したのって何?お菓子?ずる〜い!私にも頂戴よー」
久しぶりに登場したももこはこれでもかと言わんばかりのマシンガントークでかおるとみやこを圧倒する。
かおる「ち違げぇよ!」
その場を離れ教室に向かい、走る
ももこ「あっちょっと〜!私にも頂戴よー!ねぇってば」
遠ざかる二人を見てみやこはかおるにもらったブーツをギュッと抱き締めた。
ももこさんが当日これなかったこと。ももこさんの事も心配だったが、それ以上にかおるさんと二人で買い物すること、歩くこと、話すこと全てが嬉しかった。
お店についてきてもらえて嬉しかった。
でもかおるさんはつまらなさそうで、どことなく悲しい顔もしてた気がした。
スカート履かないってわかってたけど、いつものかおるさんでいてほしかったから。
でも…
ブーツを強く抱いた。
新品の匂いがする。
気のせいかな?一瞬かおるさんの匂いもした。