それゆけハイパー・フロッサム(FROG-SOM)!  
 
 カエル王子。  
 そう聞いた瞬間、ももこ脳内のハイパー妄想回路が激しくスパークをはじめた。  
「今はケロケーロって鳴いてるけど、本当は美しい王子様だったんだ……」  
 勝手な結論を出しひとり陶酔するももこ。さすがこういう事となると頭の回転が違う。  
 恋する乙女のキラキラ瞳で、カエルモンスターの手を握った。  
「カエル王子様、私のキッスであなたを元の姿に戻してみせますわ!」  
「ケロ?」  
 こうなるともう誰にも止められないからして、みやこもかおるもケンもピーチも  
いち早くため息まじりの傍観モードである。  
「私の前でそんな事はさせませんっ」  
 しかし博士だけは本気である。いつだって本気と書いてガチである。  
 暴走寸前のももこを背後からガチッとホールド。少女と密着できて一挙両得だ。  
「ちょっ、ちょっとぉ何とかしてよ、バブルス! バターカップ!」  
 ふたりがももこの声に応えて、この父親づらしたエロ博士をひっぺがしにかかる。  
 実をいうとふたりにも、ももことカエルの種を越えたキスシーンというものを  
ちょっと見てみたい気持ちがある。鼻息荒い博士の両脇に立ち、  
「そーれ、こちょこちょこちょ」  
 と、勢いよくくすぐると、どうやら博士は脇が性感帯だったようで、大笑いしながら  
激しく身をよじってももこの体を放り投げた。  
「うわーっ」  
 ももこはカエルめがけてダイブする形になり、そのまま唇と唇がぶつかってしまった。  
なんというピンポイントか、つまりこれがももこのファースト・キスである。  
「ふみゅっ!?」  
 カエルの唇は見た目以上にヌルヌルしていて、すぐにすべって離れてしまったが、  
キスをした事実に変わりはない。  
 今この瞬間、今日という日はももこにとって一生の記念日になったのだ。  
「わ、わ、私、やっちゃった……! 王子様と……! きゃーっきゃーっ」  
 頬を赤らめて幸せそうにニマニマするももこ。しかし周囲はドン引きである。  
 なにしろ目の前にいる王子様はどう見ても両生類なのだから。  
「さあ王子様、元の姿に戻って! そして私をお城に連れてって!」  
 ミュージカルばりの大仰な声をあげてももこがカエルに迫った。  
「ケロっ……!」  
 カエルの動向に皆が息をのみ、室内は一転、沈黙に包まれた。  
 
 ……が、カエルの身に何の変化も起こらない。  
「な……なんで?」  
「やっぱり、ただの思い込みだったようですね」  
 ケンが無慈悲に言い放つと、みやことかおるもウンウンとうなずく。  
「そんな……」  
「……ことはないケロ」  
 涙目のももこに突然、カエルが声をかけた。  
「今みたいなちょっとだけのキスでは、元には戻れないんだケロ」  
「えっ」  
「だからもっとキスするケロ」  
「そうだったの!」  
 すぐにぱっと明るい表情に戻るももこ。  
 しかし、当然これはカエルのでたらめである。  
 どうやらももこの唇で、カエルのオス魂というか本能的なものを刺激してしまった  
ようなのだ。いくら春とはいえ、人間のメスに欲情するとはこのカエル、変態である。  
 そしてその変態ガエルを王子様とあがめるももこ、彼女はいったいどのような言葉を  
もってすれば形容できるだろうか。いやできない。とりあえず彼女にとって大事なのは  
これからの行為よりも、そのさらに先の輝ける未来。お姫様なのである。  
「じゃあ……ど、どうぞ」  
 か細い声で言ってももこは目を閉じた。  
 カエルがゲロゲロつぶやきながら、ピンクの舌をヌルリと出してももこに近寄った。  
「や……やめろーっ」  
 いっぽう博士は必死に叫ぶ。しかし、かおるに抑えられていてどうにも動けない。  
「あのう、止めなくていいんですか」  
「正気の沙汰じゃないワン」  
 ケンとピーチがかおるに声をかけると、困った顔でみやこの方を見た。  
「どうする?」  
「今いいところなんだから、止めちゃだめです」  
 みやこにしてはハッキリと自己主張したので、  
「……だって。まぁ、いいんじゃねーの。ももこがしたがってるんだし」  
 と、心配げなふたりをなだめた。  
 かおるもそうだが、みやこは特にこういうのを面白がるところがあるらしい。  
「あっ、はじまりました」  
 と、ほんのり上気した顔で、面白そうにみやこがつぶやいた。  
 
 ももこはぎゅっと目を閉じて、とびきりの美少年王子を思い描いていた。  
 その姿は彼女が好きな先輩によく似ていた。  
 王子は優しく微笑みながらももこの腰に手をまわした。レオタードごしのその手は  
ちょっと濡れてブヨブヨしていて、汗っかきなんだ、新陳代謝が良いのねとももこは思った。  
 その手に抱き寄せられて、彼の顔が近づいた。すごく美形なのに泥と水のにおいがする。  
田んぼのにおいだ、やっぱり田舎暮らしって素敵よねとももこは思った。  
 そしてついにその時が。唇が、にゅるんとした肉質感で覆われた。  
(うわぁ、キスだ、キスだ、王子様とのキスだ。みやこ、かおる、ゴメン! お先!  
 ああなんて肉厚なの。唇の厚い人は情も篤いのよね……)  
 ……しかしそれはもちろん王子様の唇などではなく、カエルの舌である。  
 カエルはそのゴロリと太い舌を出してももこの唇を丹念に味見し、そのまま口の中へ  
入れようとした。まるでそれ自体が生き物であるかのように、謎の分泌液を垂らしながら  
ピクピク動く舌が、ももこの薄い唇を無遠慮にこじあけてゆく。  
「ひゃふ……」  
 いきなりのベロチューに驚き、さらに高鳴るももこの胸。  
 侵入してきた舌とそのヨダレはドブのようなにおいで、それが鼻に抜けて思わず  
咳こみそうになりながら、これが男の子のにおいなのねとももこは思った。口内の粘膜や  
舌を舐めまわすぐちゅ、ぐちゅという音が頭にひびいて何も考えられなくなってくる。  
王子のと自分のがまじったヨダレが唇の端からこぼれて顎をつたい、落ちてゆくのを感じる。  
 彼の荒々しさが心地よく、すべてをゆだねてしまいたくなる。  
 その思いに応えるように、彼の右手がももこの腰をぐっと抱きしめた。  
 やがて左手がのびてきて、ももこの小さな胸のふくらみを愛撫しはじめた。  
 すると右手がのびてきて、スカートをかき分け股間をぞわぞわしはじめた。  
 さらに左手がのびてきて、背中を……  
(って、手が多すぎ!?)  
 驚いて目を開いたももこは、先輩とは似ても似つかぬカエルが、体中から触手を出す  
何か別のモンスターへと進化し自分を犯さんとしている現実を知るのだった。  
「はっ、はぶへへ……」  
 赤なのか青なのかよくわからない色の触手がヌブヌブと鈍く光って、自分の四肢を  
拘束しながら愛撫している。思わず悲鳴をあげたももこだが、口にはカエルの舌が  
挿入済みのため言葉にならず、なんとか顔を動かしてみやこやかおる達のほうを見るのが  
精一杯だった。  
(たっ、たすけて……)  
「ブロッサムー、ファイトーですわー」  
 ももこの思いを知ってか知らずか。みやこは笑顔で親友の初体験を応援していた。  
 かおるはというと、みやこの隣でケンの目隠しをしている。  
「子供は見ちゃだめだ」  
「だめだワン!」  
 そのケンとピーチの横で、博士はすでに泡吹いて倒れていた。  
 
(が……ガマンするのよ、ももこ。王子様に戻ったらこっちのもんなんだから……)  
 ふたたび涙目になりながらなんとか気を持ち直すももこ。健気である。  
(でも、どこまでいったら戻るんだろう……)  
「さぁどうしたケロ。最後までやるケロ」  
 ああやっぱり最後まで。あわれももこは見ず知らずのカエルに女の子の一番大切なものを  
奪われてしまうのだ。なんという世界一不幸な美少女……  
 と、また軽い自己陶酔というか現実逃避をおこなうももこに、突然カエルがカエル跳びで  
跳びかかってきた。あわててそれをかわそうとするも、触手のせいで身動きがとれない。  
「ぎゃっ」  
 背中にどしんと乗っかられて突っ伏す形になった。  
 ももこはいよいよ青ざめた……こいつは後ろから犯す気なのだ。  
 この体勢は理科の教科書か何かで見た、カエルの交尾のそれである。  
「髪の毛がジャマだケロ」  
 あふれんばかりのももこの髪を触手で器用に縛りあげ、そのままついでに引っぱりあげて  
上半身を起こす。カエルの交尾体勢すなわちバックである。  
(ああ、いよいよ……いよいよなのね。さよならマイバージン……  
「ぐえっ!?」  
 感傷にひたる間もなく、ももこは思わずうめき声をあげた。  
 挿入された痛みではない。腹を圧迫された苦しさからだ。  
 背後から抱きついたカエルは、なぜかももこの下腹部に手と触手をのばし、力をこめて  
グイグイと押しはじめたのである。  
「ぐえっ……な、なにやってんの?」  
「どうしたケロ、早くするケロ」  
「いやあの、おなか押さないでよ……ぐえっ」  
「あ、それがカエルの交尾です」  
 かおるに目隠しされてても状況を理解したケンが言った。  
「抱接といって、そうやってメスに産卵させるんです。そしてすかさず放精して受精です」  
「ぐえっ、じゃあ、なに? 私に卵を産ませようとしてんの?」  
「体外受精ですから。まず産まないと」  
「そうだケロ、早く産むケロ」  
「産めないわよーっ!」  
 悲痛に叫ぶももこをよそに、爆笑するかおる達。  
「おーいブロッサムー、産んでやれよー」  
「やればできるワン!」  
「無茶いうなー! ぐえっ」  
「……あのうカエルさん、人間は卵を体から出さずに受精するんですよ」  
 たまらずみやこが助け船を出したが、これがいけなかった。  
「なるほど、そうだったケロか。じゃあこっちから卵のとこまで行けばいいケロ」  
 
「人間の卵はどこにあるケロ?」  
 そう言うとカエルはドック・オクばりに触手をうごめかせ、ももこの体内に眠る卵を  
さがしはじめたのである。  
「まずは口あたりからいってみるケロ」  
 さっきまで舌が入っててベトベトになっている唇にふたたび触手が分け入る。  
「うぶっ、うええ」  
 触手はところどころにシワがあり、ヌルヌルした肉棒といった感じで、口いっぱいに  
押し込まれると反射でどうしてもうめき声が出る。腹押しの時とはまた違った声だ。  
「ここかケロ?」  
「ごふっ、……っ」  
 喉の奥の奥、声帯近くまで挿入されて、声のかわりに涙が出てきた。  
 胃カメラってこんな感じかしら? とももこは思ったが胃カメラはそんなに太くない。  
なにしろ触手は250ミリリットル缶ほどのゴンぶとサイズなのだから。  
「もう、面倒だからかたっぱしから放精していくケロ」  
「え!?」  
 言うが早いか、触手はその最深部で精液を噴き出した。ゴバボブッという、人間が  
出せるとは思えない音を出してももこは咳こみ、口から鼻から白濁液を垂れ流した。  
「あが、はがががが」  
 何の言葉を発しているのか自分でもわからないがとにかく声を出さずにはいられない。  
「あ、これで鼻も済んだケロ。次は耳かな」  
「や、やべで、やめてぇ。こんなの出されたら外耳炎中耳炎内耳炎ぜんぶなっちゃうぅ」  
「じゃあ言うケロ、卵はどこにあるんだケロ」  
「えっと……」  
 ももこはもじもじしながらスカートのところを指さした。  
「なんだ、そこでいいのかケロ」  
 ものすごい勢いで触手たちがスカートの下にもぐってきた。パンツごしにグリグリと  
先端を押しつけてくる。今にも破ってしまいそうな元気の良さだ。  
 ここでパンツを破られることは処女膜を破られることとイコールであり、それすなわち  
王子様の子を孕むこととイコール。つまりはいよいよ覚悟を決める時である。  
「ああ、さよならマイバージン……そしてこんにちは、プリンセスももこ」  
「んなわけねーだろっ!!」  
 いいかげんにしろ、とばかりにかおるがつっこんだ。  
「おいカエル、そっちじゃねえ! うしろの方だっ!」  
 
「へ? なに言ってんのかおる」  
 かおるの言葉にあっけにとられるももこ。その隙をカエルは逃さなかった。  
「こっちかケロオっ!」  
 若干食い込みの激しいパンツの脇から触手がすべりこみ、ももこのうしろの方……  
つまり尻穴に思いきりブッ刺さった。  
 かおるのとっさの機転で、ももこの処女だけは守ろうとしたのである。  
「いっぎ!?」  
 普段よく食べるももこでも、さすがにこのサイズのものが尻穴を通ったことはない。  
いくら触手に適度な軟性があり、多量の粘液にまみれているとはいえ、その衝撃は  
並大抵のことではなくまったく未知との遭遇であった。  
 さらにそいつはじっとしてなんかいない。ピストンするのだ。入るだけでとうに  
ギュウギュウの限界を越えてギュムルギュムルといった感じなのにそこからピストン。  
 まるで腸壁が削り取られ肛門自体が出たり入ったりしてるような衝撃なのだ。  
「はひ、はひぃっ。だっだめ、うら、裏返っちゃうっ」  
 息をするのがやっとのももこはもはや目もうつろ、しかしそれでも、これが彼女の  
本質だろうか、苦痛にゆがんでいるはずのももこの口元は笑っているように見えた。  
「よし今だっ、放精ーっ!」  
 かおるの合図で、カエルのありったけの精液がももこの腸内へと爆注された。  
 それ延々数分にわたって行われ、ももこは倒れこんだままそれを受けつづけた。  
 頭の中では、えも言われぬ痛みと快感とともに、お姫様となって王子様と幸せに暮らす  
自分の姿がハッピーエンドとして駆けめぐっていたが……現実は、モンスターに尻を犯され  
その痴態をバッチリ親友たちに見せて恍惚としているド変態レジェンドである。  
 そんな自称リーダーの傍らでホクホクと満足そうに笑うカエル。  
「いやー良い受精だった。これで元に戻れるケロ」  
 そう言うとカエルモンスターは光に包まれ、元の姿……普通のカエルになった。  
「まぁ……そうだろうな」  
 ため息をつくかおるに、みやこが笑顔で言った。  
「カエルの子はカエル、ですね」  
「わけわからん。ていうか……楽しんでただろ」  
「そんなことないですよ」  
「ま、一回痛いめ見たほうがいいんだよ、ももこは。これでもう懲りただろ」  
「そう……思います?」  
 みやこはみっともなく横たわるももこに目をやった。口から鼻から尻からだらしなく  
精液をあふれさせながら、ももこは夢の中で笑顔だった。  
「あははは……待ってえ……あたひのおうじさま〜……」  
「……思わない」  
 それを見たかおるが答えると、みやこがふふふと笑った。  
 
(おわり)  
 

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