「シビンって何ですか?」
バブルスはそう言って、大きな瞳を俺様に向けた。
まったく今時の中学生は尿瓶も知らないのか。側にあったガラス製の瓶を
あごで指すと、バブルスはそれを手にとって、
「どうするんですか?」
……手にとったはいいがやり方がわからないらしい。俺様はあふれる尿意を
なんとか抑えつけながら、その中に小便をさせてくれればいいと教えた。
「じゃあ、どうぞ」
おい。おい。そうやって無造作に差し出されて俺様がそこに入れられるわけ
ないだろうが。どんな水芸だよ。いいか、俺様のズボンとパンツを脱がして、
チンチンをつかんで中に導くんだ。頼むから早くしてくれ。
「私、そんなこと……」
頬を染めてモジモジしてる場合じゃないんだって。俺様が切迫した表情で
にらみつけるとバブルスはやっと覚悟を決めたのか、おずおずと手をのばして
パンツを下ろしはじめた。
「きゃっ、恥ずかしいですわ」
しかしこいつったら1センチずり下げるたびに半笑いでその手を止めやがる。
おいなんだか楽しんでないか? 俺様の窮状をもてあそんでないか? じきに
この窮状は惨状へと変わるんだぞ、わかっているのか?
そんなこんなで俺様は、自身の膀胱限界の懐深さに驚きつつ、ついに放出口を
バブルスの眼前にさらすことができたのであった。
「できたのであった、って、見えませんけど……」
ああ、毛に隠れているんだ。サルだからな。悪いが陰毛をかきわけてつまみ
あげてやってくれないか。そう言うとバブルスは、風呂場の排水溝の中のゴミを
取る時の動きで俺様の大事なところに指を進ませてきた。たどたどしい指の運びが
なんともこそばゆい。
「小さくってわかりません……」
なかなか人の傷つくことを平気で言う小娘である。――ならばこれでどうだ!
「あっ、大きくなってきました。これですか?」
どうだい、見やすくなったろう? とお金に火をつける成金のような笑顔を
みせる俺様。ほんとは単に少女の指にいじられて感じてしまったのは秘密だ。
「じゃあ、これでいいですね。いっぱい出してください」
そう言ってニッコリ笑うバブルス。なんだか別のものが出てしまいそうだ。
しかしこれでなんとか事なきを得た。勃起していたので若干出にくくなったが、
それでもたらふく溜まっていた俺様の黄金水はストック全放出フラグ。瓶から
あふれんばかりの勢いである。
「わあ、すごいですね〜」
あのー、その様子をじいっと見るのやめてもらえませんか。
なんだか自分の新たな性癖を発見してしまいそうだモジョ……。
「シビンって何よ?」
ブロッサムはそう言って、大きな瞳を俺様に向けた。
まったく今時の中学生は尿瓶も知らないのか。側にあったガラス製の瓶を
あごで指すと、ブロッサムはそれを手にとって、
「どうすんの?」
……手にとったはいいがやり方がわからないらしい。俺様はあふれる尿意を
なんとか抑えつけながら、その中に小便をさせてくれればいいと教えた。
「それって、あんたのおちんちんを触るってこと?」
その通りだ。理解が早くて助かる。さ、早くしろ、と俺様が腰を浮かすと、
ブロッサムは返ってきたテストが3点だった時の顔になって、
「うえぇ〜、イヤよそんなの」
と言い放った。イヤもカカシもねえんだ、それがナースの仕事なんだバカ。
お前はそんなコスプレまでして一日ナースしてるんだろ? ナースだってんなら
ナースの仕事をしやがれこのトンチキがッ!
「ちょっと、私にそんな口のきき方していいわけ? 限界なんでしょ?」
あ、すいません。どうかお願いいたします。
「どうしようかなぁ〜ふふふ」
冷や汗の俺様を見下ろしながらブロッサムがニヤニヤ笑う。悔しいがここは
下手に出るしかない。だって限界なんだもの。
「そうだ、足でしてあげる」
手で触るのが汚いから足で? どういう理屈だ。バカ?
「なによ。文句ある?」
いえいえございませんですともハイ。俺様がひきつった笑顔をみせると、
ブロッサムはシューズを脱いで足の指をワキワキと鳴らせた。俺様に負けず
劣らず臭そうな足だと思ったがそれは言わない。
「行くわよ〜」
ベッドの後ろのほうに、俺様に対面するかたちで座って、ブロッサムが器用に
足の指でパンツを下ろしてゆく。バブルスよりよっぽどスムーズだ。
「よいしょ、よいしょ」
というか……その体勢、思いきりパンツが見えてるんですけども。いや確か
レオタードだったか。何であれ、ナース服の短いスカートの中の赤い生地、
そしてそれとは対照的に白く輝く健康的な内もも。もう釘づけです。
「なによあんた、勃起してんの?」
だっ誰がお前なんかに興奮するものか! という叫びも、激しく自己主張する
愚息を目の前にしてはむなしく響くのみである。もうどうにでもして。
「まったく、サルなんだから……」
なんだか嬉しそうに言いながら、さらに足を使って肉棒を瓶に導こうとする
ブロッサム。だけどやっぱりうまくいかなくて、はさんだり持ち上げたり、
こすったり踏んづけたりされてしまう。おい、オモチャじゃないんだ。色々と
限界なんだ。それ以上は……!
「よし、これでいいわね。うえぇ〜なによこのヌルヌルは〜」
カウパーにまみれた足をガシガシ拭くブロッサム。
瓶の中に勢いよく放尿しながら、俺様は泣いた。
「シビンって大洋の助っ人か?」
バターカップはそう言って、大きな瞳を俺様に向けた。
今時の中学生がシピンを知っているのか。まあそれはいいとして、側にあった
ガラス製の瓶をあごで指すと、バターカップはそれを手にとって、
「ああ、これか。しっこしたいのか?」
……どうやらこいつだけはよく分かっているようだ。
「まあ、弟の世話とかしてたからな。いいか、脱がすぞ」
あっちょっと待って、そんなにあっさりいかれるとこっちが意識しちゃう。
「男だろっ、ウダウダ言うな!」
あぁ、俺様にもこんな男前な姉さんが欲しかった。言われるがままにパンツを
下ろされチンチンを導かれる。ナナコよりもスムーズな仕事ぶりに感心し、俺様は
勢いよく放尿しながら大きく息をついた。
しかし、このままで終わるにはあまりにも行数が足りない。何かいい手はないものか。
「うへえ、臭いなぁ。なに食ってんだ」
考えているとバターカップが、尿瓶の口に鼻先を近づけて眉をひそめた。
ああ自分のひり出した尿のにおいを目の前で確認されて罵倒されることの恥辱よ。
姉さん、これはプレイの一環ですか。
「においを嗅げば健康状態とかわかるだろ。うちではいつもこうだぞ」
それはそれは一家そろってすばらしい健康志向で。
「しかし、これは……くせになるな……」
つぶやきながらくんくんと嗅ぎまくるバターカップ。
「この強烈な獣のにおい……」
なにやらハアハアと息を荒げはじめたではないか。
そうか、こいつはにおいフェチだったのか。どうぞどうぞどんどん嗅いでください。
なんなら大きいのも出しましょうか。
「ふぁ? 何?」
俺様の言葉も耳に届かないほど恍惚としている。さすが俺様フェロモンだ。これは
バターカップの意外な弱点発見しちゃったな。これからは小便をひっかけよう。
姉さん、よかったら飲んでもらってもいいんだよ。
「え〜? いや〜それはさすがに、なぁ?」
いやいや赤面するなよ。なんだそのまんざらでもない顔は。それはさすがにやめて
くれ、こっちが引くから。早くトイレに流してきなさい。
「うん、わかった……」
名残惜しそうにくんくんしながら、バターカップが病室を出ようとしたところで
こちらを振り向いた。
「また……したくなったら、すぐ言えよ」
俺様がガールズに勝利した瞬間であった。モジョ。
(おわり)