緑の時間【ブッチサイド】
オイラはたまに、一人になりたい時がある。別にブリックやブーマーが
嫌いなわけじゃないけど・・・そりが合わないというのかもしれない。
そんな時はこの大きな木の下で昼寝をする。今日もそのつもり・・・・・・だったんだが・・・・・
「なんでコイツが・・・・?」
いつもオイラが寝そべってるところに来てみる・・・どうやら先客が居たみてーだ。
正直驚いた、あの三人組の中でも一番似合わないような気がしたからだ。
「バター・・・カップ・・・」
嘘だろ?まさかあいつが・・・・・周りを見回してみる、だが他に人影はなかった。
「珍しいな・・・・一人か・・・」
ていうかマジで寝てんのか?かがんで確かめてみる・・・・・。
「スー・・・スー・・・」
前髪で分かりにくいが確かに眠っていた。しかも、気持ち良さそうに・・・ますますムカつく。
ハナクソでも顔にぶつけてやろうか?よし!そうしよう!オイラはそう決めると、早速鼻の穴に指を入れる。
ふざけやがって・・・・
「スー・・・スー・・・」
よくもオイラの昼寝スポットを取りやがったな・・・
「スー・・・スー・・・」
気持ち良さそうな顔しやがって・・・
「スー・・・スー・・・」
気持ち・・・・良さそうに・・・・
「スー・・・スー・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・
「スー・・・スー・・・」
オイラはいつの間にか指を引き抜いていた・・・。
そういえば、オイラはコイツの寝顔なんて始めて見る。まぁ他に誰を見たことある?って聞かれたら
ブリックとブーマーくらいだが。こいつはガールズの中でもいつも
怒ってるイメージしかない。だから今この状態が珍しいのかもしれない・・・。
オイラは・・・・・もっと見ていたい気がした・・・・・
何故かはよく分からない・・・・でも・・・もっと近く・・・・・近く・・・
・・・・・・・・・・ドクン・・・・・・・・ドクン・・・・・・ドクン・・・・
「・・・・・うなたま・・・・」
!!!!!!!ドクン!!!!!!!!
胸が一気に跳ね上がった気がした、オイラは驚いた勢いでそのまま後ろに倒れる。
はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・息が荒いのにオイラはようやく気づいた。
何だ!?今何て言った?!ていうかオイラ今何しようとした!?
ドクン・・・ドクン・・胸も苦しい、オイラは何をそんなに?
「スー・・・スー・・・」
オイラの気も知らずにアイツはまだ眠っているさっきのは寝言だったみたいだ。
・・・・・もいい、辞めだ、コイツの事はほっとこう、余計に眠れなくなる。
そう考え直してオイラは仕方なく奴の寝ている所から数m離れたところに
座って眼を閉じた。まだドキドキする胸を感じながら・・・。
「・・・・・眠れるか?」
緑の時間【バターカップサイド】
「・・・・ん・・・」
気がつくとオレは大きな木の下にいた、どうやら眠っていたらしい。
「あー・・・やべ・・・ちょっと休憩のつもりだったのに・・・」
んーー・・・と両手を上に上げて背伸びをする。何故かオレは今日、散歩したい気分だった、
最近モンスター達も悪さをしないせいか体が少し鈍っちまったから
軽いウォーキングのつもりで、そしたら立派な木の生えたこの丘にたどり着いて下に座って
「すげーでけーな・・・」なんて見上げてたら寝ちまったみたいだ。
「そろそろ研究所に戻らねーと・・・」
オレは立ち上がって土の付いた尻を叩きながらそこから離れ始めた。
「・・・ん?何だ・・・?」
オレは木の下に誰か居るのに気がついた。「へー・・・さっきまで誰も居なかったのに」
頭は黒髪にポニーテール、そして緑の服・・・
「?!」一瞬見間違いかと思った、何時もアイツ等は三人一緒だと思ってたから。ちゃんと確かめるために、奴の前まで近づいてみる。
「何でコイツが?・・・」
間違いない、アイツだった。
「・・・・・ブッチ」
まさかこんな所で会うなんて、ちょっと周りを見回してみる。やっぱりここに居るのはオレ達だけらしい。
「一人なんて珍しいな・・・・」いや待てよ、本当に寝てんのか?少し近づいて顔を見てみる。
「グー・・・グー・・・」
前髪が長いから分かり難かったけど、確かに眠っていた・・・しかも気持ち良さそうに。
「まぁ・・・昼寝してるだけっぽいしな・・・」悪いことしてる訳じゃねーし、コイツの睡眠を邪魔する理由もない。
そう考えてオレはそこから離れようとした。
「・・・・バタ・・・カップ・・・」
!!!!ビクッ!!!!
突然ブッチの口から言葉が発せられた、しかもオレの事を!?
「な!?」やべっ起きちまったか?!「・・・グー・・・グー・・・」
何だ寝言かよ、ていうかオレの夢見てんのか?どんな夢だよ?!
「・・・・・すきだ」
!!!!!!!!!!!!!!
「へ!?ちょ!!え!!?」
「・・・・・・・・隙だらけだ・・・」
・・・・・・・・・・・・何言っとんじゃこいつはあぁぁぁぁっ!!!
オレ達と戦ってる夢でも見てんのか!?まぎらわしい事言いやがって!叩き起こしてやろうか?!
オレは反射的に拳を握る。
「グー・・・・・グー・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何故かそんな気はすぐ消えた。
そういえばコイツって髪や肌は結構綺麗なんだな。ももこよりサラサラっぽいし、みやこより色白なんじゃねーか?
なんとなくオレはそいつの髪に隠れてない方の頬に触れてみた
『フニ・・・』結構温かいんだな・・・こんな白いからもっと冷たいような気がしてたから少し驚いた。
なんでだろう・・・もっと触れていたい・・・そんな気分に・・『ピコーン!ピコーン!」
!!!!突然ベルトのコンパクトが鳴った。
「わぁっ!?」オレは急いでそこから離れてコンパクトを開いてみる、ケンからだ。
「大変です!町でモジョが暴れています!」「なんだって!」どうやら敵のおでましらしい
「分かったすぐいく!」そう言うとコンパクトを戻し、さっきまで居た木を見てみた。あいつはまだ寝てるようだった何故かホッとした。
触れていた手を見てギュッと握り締める「・・・・・・・じゃあな」
そう言うとオレは足から光を放ち空高く舞い上がった。
完