特にどちらからという訳ではない。  
気が付くと2人は手を繋ぐ事が当たり前になっていたし、自然に口づけを交わし、身体を重ね合ったのも往日の事………  
 
 
『パシャッ』  
 
雪城家、ほのかの部屋がフラッシュする度に、ほの暗い部屋に少女の白い肌が浮かび上がる。  
年の瀬に表替えしたその部屋は、い草の鮮やぐ香りが漂う。  
『パシャッ』  
デジカメを構える日焼けあとの残る少女は全裸にパンツ一枚の姿で被写体の少女に何度もフラッシュを浴びせる。  
「じゃあ、今度はそこに座って」  
言われるままベッドに腰を下ろす。豪奢ではないが堅実なこしらえのそれは、僅も音を立てる事無く少女の体重を受け止める。  
やはりショーツのみを身に付けた少女は雪の様な白い肌に薄い桜色の恥じらいを浮かべ、細く折れそうな腰を捻りカメラのレンズから僅かでもその身を隠そうとする。  
『パシャッ』  
「ねえ、ほのか?それも脱いじゃおうよ…」  
ほのかは答える代わりに、唯一残された布を両手でガードしてかぶりを振る。  
「何で?ほのかとっても綺麗だよ」  
「だって……」  
今にも泣き出しそうにほのかは口ごもる。  
「だって?」  
拝みに拝み倒し、データも総て消去する約束で始まった撮影会だが、もう15分以上「最後の砦」を落とせずにいた。  
恐らく理由は「恥ずかしい」そんな所だろう、そう推察するなぎさだったが、内股をモジモジとすり合わせる姿と潤みきった黒目がちな瞳を見るに、理由は其だけでもなさそうだと思い  
「だって?」  
もう一度ほのかに問い詰める。  
「だって…恥ずかしいよ……」  
消え入りそうなほのかの声。なぎさは7分の好奇心に3分の罪悪感を加えた声で  
「それだけじゃ無いでしょ?」  
そう言うとベッドに腰かけるほのかとの距離を詰め、至近距離でその瞳を覗き込むと布地越しにほのかの秘処を中指でなぞりあげる。  
『クチュ』  
「やんっ!」  
自らの秘処が奏でる淫猥な音をかき消す様にほのかが悲鳴を上げる。  
「触っても無いのに、こんなに濡らしちゃってるのを私に知られたく無いからでしょ?」  
なぎさの中指にやや力が加わりショーツにほのかの割れ目を浮かび上がらせる。同時に薄い水色のショーツがじんわりと染みを作り出す。  
 
「やァ……ち、違うのっ、そ、それは……」  
両手で自が顔を覆い否定の言葉を口にする  
 
「ほのかのう・そ・つ・き」  
耳元で囁きながらショーツに浮かび上がった肉の割れ目に沿って激しく擦り上げると  
『クチュ、チュパッ』  
あっさりとほのかの割れ目は卑猥な音を室内に響かせる。  
「写真撮られて……感じちゃったんだ?」  
「そ、そんな…ああン、こと…ない、んンッ」  
なぎさの悪戯な手を止め様とするほのかの両手を逆に封じる為、ほのかをベッドに押し倒し、いわゆるシックスナインの体勢をとり  
ショーツのクロッチ部分をずらして直接ほのかのピンク色の秘裂を観察する。  
「ほらっ、ほのか、スッゴイ濡れてるじゃん」  
「やぁ……」  
「でも知らなかった。ほのかが見られて感じるタイプの女の子だったなんてさ?ちょっと意外」  
そう言う間にもなぎさの手は益々ほのかを責め立てる。  
『クチュ、チュプッ、ヂュプ』  
「ああン、ああ、ああっ、ふあぁん、やっアァ…な…なぎさあっ、ちょっと…まっ、あああン」  
 
(…ちょっ、ほのか?あり得ないくらい感じてるじゃん…)  
いつもほのかに感じさせられ、イカされ……常にリードを許してきたなぎさは初めてほのかをリードする立場に、明らかな愉悦を感じ始める。  
「フフッ、イヤらしい音。もしかしてほのかって色んな人に見られて、濡らしちゃう事も有るんじゃなぁい?」  
少し調子に乗りすぎたかも、となぎさ自身思う言葉。  
「ああァッ、違う…もん…わ、私、ああっ!」  
「違う?どこが?」  
『ヂュプッ、チュパッ』  
「こんなに濡らして……こんなに感じてるのに?」  
折り曲げて鉤状にした中指をほのかのちいさな膣穴に潜り込ませ、お臍の数センチ下を内側からコリコリと掻く。  
「ああ、ぁあン、そ、それはぁ、なぎさに…見られてるっ…からぁ…ああっ」  
 
その言葉に、ズキンッ!となぎさの心臓が跳ねる!  
思えばなぎさはほのかから直接「好き」だと言われた事が無かった。  
勿論それはほのかが言葉にしないだけで、自分がほのかに愛されている、ということは普段のほのかの行動や態度で十分に判る。  
しかし心のどこかでなぎさはほのかの「言葉」を欲していた。いや、餓えていたと言っても良い。  
 
――もっとほのかに言って欲しい!私がほのかにとって最も特別な存在だと、言葉にして言って欲しい!!――  
 
なぎさは更に言葉を求め、先程からその存在を主張し続けるほのかのクリトリスをいつもより強めにしごく。  
「やああああッ!ああっ!んッ、〜〜ッ!」  
ほのかは上半身を捻り、きつくシーツを握りしめ自らの陰核が発する激憾に抗う。  
「あれえ?凄い感じてるじゃんほのか?これじゃ私とじゃなくてもココを濡らしちゃうんじゃないのぉ?」  
そう言うと指の動きを緩める。  
「ハァッハァ…そ、そんな事…無い…んッ、私が、こんなに…感じるのは…はぁン、なぎさ……だけだもん…」  
快感に眉根を寄せ、必死で訴えるほのかの目には涙さえ浮かんでいる。  
対してなぎさの顔はニヤケっぱなしである。  
 
――幸せ過ぎるうっ!!――  
シックスナインの体勢でなければなぎさの目論見はあっさりとほのかに看破されていただろう。  
 
勢いに任せて、なぎさは中指に加えて人差し指もツプッ、と膣内に潜り込ませると指をV字に開いて手首を捻りほのかの体内を掻き回す。  
「ひゃあああッ!ダ、ダメェッ!!そんなのっ、はああンッ!あン、ああンッ!激し過ぎるううっっ!」  
痛みを感じる半歩手前の快感にほのかは、ピン!と爪先を伸ばし激しく腰をくねらせる。  
慎ましい胸の先端の桜色はこれ以上ない程にはしたなくしこり、その存在を主張する。  
 
更になぎさはほのかの細腰を空いた手で抱え腰を浮かせると  
『ブヂュッ、チュバッ』  
わざと卑猥な音をたてクリトリスを舐め殺す!  
 
「ああっ、あっああっンッ、ン、あン、あン、ああんッ!」  
ほのかの知性の象徴の様な額にはペッタリと黒髪を貼り付かせ、左右に振り乱す度玉の汗が飛び散る。  
なぎさは回転する手首を前後の動きに変え、中指はより深く、人差し指はクイッと曲げほのかの敏感なスポットを探る。と、  
ザラッ…  
となぎさの指に他とは違う感触が伝わる。同時にほのかの腰がビクンッ!と跳ねる。  
「ウフフ、ほのか?ここが感じるんだね?」  
手を休め、ほのかに問いかけるがハァハァと息も絶え絶えと云った様相でほのかは大きく胸を上下させるのみ。  
なぎさは僅に微笑むと  
「じゃ、いくよっほのかっ!」  
「ま、待って!少し休ませ…ぁぁああああっっ!!!」  
先程見つけたスポットに指の腹を当て、激しく前後に擦りあげる。  
 
クチュクチュと、清廉博識な平素の姿からは想像もつかぬ淫らなグチュ音を部屋中に響かせ  
「や、いやァ、ああっ、あン、あン、ああンッ、駄目ェェッ!もう、イッちゃうからあッ!ダメぇっ!」  
鈴を転がす様な声は艶を帯び、白く細い喉を震わせる。  
ほのかは目の前のなぎさの足に、きつくしがみつき快感の濁流に呑み込まれまいと抵抗を続ける。  
「いいよっ!イっちゃいなよ!ほのかっ!」  
「ああっ!イヤ!イヤあっ!なぎさとぉっ、ああンっ、一緒に…一人はイヤああっ」  
駄々っ子の様に大きくかぶりを振り子宮の奥から沸き上がる快感に抗う。  
しかし最早自分が一人イかされてしまう事は、ほのかの身体が最も理解している。それでも、  
「イヤあっ、一緒が…一緒がいいのおおっ!」  
言わずにはいれなかった。  
 
(…ダメェ…もう……イっちゃう………)  
 
その時、チュポッ、と音を立てなぎさの指が引き抜かれる。  
 
えっ?……  
 
瞬間ほのかの思考が白く染まる。  
なぎさは素早く体を入れ替えるとほのかの唇を奪い激しく舌を絡め、その身をきつく抱(いだ)く。  
 
(ほのかっ!ほのかあっ!)  
(…なぎさぁ…なぎさぁぁ……)  
 
極限までろ過された澄みきった言葉が二人の心を満たす。  
 
ツウ、とほのかの目尻に溜まった涙がその重さに耐えかねたと同時に  
『ヅプッ!!』  
とどめとばかりにほのかの膣穴に二本の指を突き入れ、親指でクリトリスを押しこねる!  
「やああああああああああぁぁぁぁっっ!!!」  
白い喉をさらし背中を限界迄のけ反らせながらかつてない程の絶頂を迎える。  
秘処からはピユッ、と愛液を吹き出し、高い頂から降りて来れなくなる様な恐怖を感じながら何度も潮を吹くほのかの秘処。  
最期に視界に入ったのはヒクヒクと痙攣する自分の胯間からほとばしる快楽の奔流  
 
(ああ……オシッコ、洩らしちゃった………なぎさに…嫌われちゃう……)  
 
かつてない程の長い絶頂と愛液の量に、そんな勘違いを胸にほのかの視界は白く染まっていった………  
 
 
さきに目を覚ましたのはほのかだった。ふと見ると頭の下にはなぎさの腕枕。  
「あ…ゴメンね、重かったでしょ……」  
小さく呟くと、そおっと身体を起こし、だらしなく口を開けたその寝顔に微笑みを落とす。  
二人とも裸であったが毛布一枚あればそれほど寒くはない季節である。  
しかしほのかはお尻の下にそれとは違う冷たい感触を感じ、軽くパニック状態に陥る。  
(そ、そうだ!私、オシ、オシッ……イヤァァァ!)  
 
それは先程のほのかの愛液なのだが、まだそれと知るほどの経験を持たないほのかはなぎさにこの事を知られたくない一心でベッドから降りるとシーツの隅を握りしめ、  
「えいっっ!!」  
全力でシーツを引っ張る!  
当然シーツの上で寝ていたものはたまったものではない  
ドスンという音とともにベッドから転げ落ちる。  
 
「い…」  
「あ…」  
「いったーーーぁぁい!!」  
したたかにお尻を打ったなぎさは相当に驚いた様子で慌てふためく。  
「何?地震?地震?」  
「あ、あの……」  
目の前には全裸でシーツを握りしめオロオロとするほのかの姿  
・  
・  
・  
「…ほ〜の〜か〜…説明して貰いましょうか〜」  
怒りのオーラを纏い、お尻をさすりながらユラリとなぎさが立ち上がる。  
ほのかもまさか説明する訳にもいかず  
「ごめんなさいっっ!!」  
シーツを丸めて抱えると部屋を飛び出す。  
「待てえっ!ほのかああっ!」  
深夜の全裸の鬼ごっこ。  
 
季節は春。忠太郎のあくび……いつもは静かな雪城のお屋敷は、  
「待ちなさああい!ほのかあ!!」  
「ごめんなさぁい!なぎさああっ!」  
……月も呆れてその身を雲に隠すほど賑やかだった。  
 
END  
 
 
 

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