海の見える、静かな港町。  
 
黒いロングヘアーに、白いワンピースを着た、上品そうな  
高校生と思える、色白な少女が手で汗を拭いながら歩いていた。  
 
「えっと・・・確かこの辺りだと思ったんだけど・・・・」  
その少女は、地図が書かれたメモ用紙を見ながら、辺りをキョロキョロと  
見回していた。  
ブーン!! キキィッ!  
「どうしたのぉ?」  
 
そこに、原付バイクに跨った同じ年齢位の少女が、  
その少女に声をかけてきた。  
その少女は、ヘルメットを被ってはいるものの、対称的に  
ショートカットで、黒のランニングシャツにジーンズを穿き  
真っ黒に日焼けしていた。  
 
「あ・・・あの・・・お婆ちゃまに言われて、お中元を届けに来て  
 お家を探してるんですけど・・・・・」  
「お婆ちゃま・・・? あはは・・・」  
日焼け少女は、あまりもの上品言葉に少々呆気に取られ気味だったが   
メモ用紙を見せようとしたその前に  
メモ用紙をぱっと手に取って、どれどれといった具合に見た。  
「ああ!ここね! 雪城さんちじゃないの!」  
「あの・・・知ってるんですか?」  
「知ってるも何も、この辺じゃ凄いお金持ちの家だからねぇ」  
「ふぅ・・・良かったぁ・・・あの、もし良ければ道を教えて貰えませんか?」  
「え? 教えるって・・・・後ろに乗りなよ!」  
日焼け少女は、白い歯を見せて笑うと、自分が座ってる後ろをパンパンと  
叩いて言った。  
 
「えぇ・・・・この後ろに乗るの?」  
「うん、そだよ!」  
「あ、で・・・でも・・・怖くないかしら・・・」  
「大丈夫!大丈夫!!」  
そう言うと、日焼け少女は色白の少女の手を掴むと  
グイっと引っ張って、後ろに半ば強引に乗せた。  
 
「あ、あの! やっぱり私・・!!」  
「はいはい!ご乗車ありがとうございまーす!!」  
そう言うと、有無を言わせずエンジンをかけて、走り出した。  
 
「きゃぁぁーー」  
色白の少女は、目を瞑って日焼け少女の体に腕を回して、しっかりしがみついた。  
「しっかり、つかまってなよ!!」  
ブーン!!  
二人は海沿いの沿道から、坂道を登って高台にバイクで上って行った。  
 
 
 

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