扉を閉ざした暗闇の中に熱狂と苦悩が満ちている。熟れ切った闇が纏わりつき、時間も空間も  
全てを捻じ曲げている。  
ベッドの海、乱れたシーツの波の上、二人の少女がお互いを求め蠢いている。  
一人の髪の長い少女が悩ましい声を上げ、愛しい相手の名前を呼ぶ。  
「こまち・・・」  
声を上げた少女の上にいた短く揃えた髪の少女が指の動きを止め、呟く。  
「なあに?かれん・・・」  
 
夏祭りの夜、祭りの終わりにこまちはかれんにお礼を言った。  
「今日は本当にありがとう。手伝って貰っただけじゃなく、かれんがいなかったらお店も出せなかったわ」  
「そんな事・・・。氷の代わりにフルーツを使うアイデアはみんなで思いついた事よ。私の手柄じゃないわ」  
「ううん」  
こまちはかれんの手を握った。  
「あ・・・」  
そんな事にもかれんは動揺する。  
「一番、かれんが私のお店の事を考えてくれてるの私には良く分かったの。その気持ちがとても嬉しいの」  
「わ、私はこまちの役にたちたかっただけ・・・。だって、だって、こまちは・・・」  
「私は・・・?」  
躊躇いの後、かれんはこまちに想いを告げた。  
「こまちは私の一番大切な人だから。私こまちがいたから今まで頑張れたの」  
「そんな・・・私なんか何にも出来ないわ。かれんは違う、お勉強でも何でも。学校のみんなも慕ってるわ」  
「やめて!」  
かれんは大きい声をだした。こまちは驚いた。  
「ご、ごめんなさい!・・・でも私はみんなが思ってるような人間じゃない。こまちは分ってるはずよ」  
「・・・うん」  
強気でリーダーシップを取るかれんの内面に酷く脆くて繊細なものがある事、こまちは知っていた。  
人には言わない、言えない悩みが彼女をいつも締め付けている、しかしそれが一層、かれんを気高い  
存在にしていた。  
「私はこまちと出会わなかったら、今も一人ぼっちだったと思う。こんな私といつも一緒にいてくれて  
こまちにいつも感謝してる。だから本当の私をこまちに見て欲しい。・・・もう嘘なんか付きたくないの」  
うつむくかれんをいたわる様にこまちは話しかける。  
「何かがかれんを苦しめてるの、私には分る。でもそれにかれんが触れられたくないのも知ってる・・・」  
びくっとかれんの体が一瞬動いた。  
「だから、私は思ったの。ただ一緒にいようって。かれんが何かを私に求めた時だけ力になって  
無理に何でも聞き出したりするのは、止めようって」  
張り詰めたまま二人は見つめ合う。遠くでまだ祭りに騒ぐ人達の声が聞こえる。  
「優しいね、こまち。ありがとう。でもどうしてあなたはそんなに私に良くしてくれるの?」  
「そんなの決まってるじゃない。大好きだからよ」  
「え・・」  
「かれん、あなたが大好きだから見守ってあげたいの」  
もちろん、こまちは友達としてかれんを大好きと言ったのだが、孤独なかれんにはそれは別の意味に響いた。  
「本当?」  
「え?」  
「わ、私が好きって・・・」  
「ええ、本当よ?」  
「こまち!」  
その瞬間、かれんはこまちを抱きしめた。こまちは突然の事に身動きも出来なかった。こまちを抱きしめる  
力を強めてかれんは言った。  
「私も、私もこまち、あなたが大好き!前からずっと想っていた。でも言えなかった。だって嫌われたくなかった  
から。もう嫌なの!一人ぼっちになるのは」  
「・・・・」  
ここで、こまちはかれんの間違いに気付いたがどうする事も出来なかった。かれんは体を離しこまちを見つめる。  
「こんな素敵な気持ち、初めて。だって自分が好きな人が私と同じ気持ちだったんですもの・・・。こまち」  
かれんはこまちの腕に手を添えて、ゆっくりと自分の顔をこまちに近づけていった。  
こまちはこの瞬間、全てを受け入れようと思った。こまち自身に自分を想うかれんの様な感情は、ない。  
しかしここでかれんを拒絶すれば、かれんの脆い心は粉ごなに砕けてしまうだろう。それは見たくなかった。  
ゆっくりと二人の唇は重なった。  
その日から二人は人知れず愛し合うようになった。少なくともかれんはそう思っていた。  
 
閉ざされた空間。ここはかれんの大きな館の秘密の部屋だ。ここはいつも夜だ。  
こまちと裸で触れ合ったまま、かれんは聞いた。  
「後悔して、いない?」  
はあはあと荒い息を上げ、かれんはこまちに聞いた。そのかすれた声は甘い闇の中で酷く官能的に響いた。  
「・・・後悔なんて、してないわ」少しの躊躇いの後、こまちは言った。  
「ごめんなさい、こまち。こんな女の子同士で。こまちは普通の子だったのに」  
かれんは涙目で訴える。二人の時かれんはいつもと違う弱い面をこまちにさらけ出す。  
「泣かないで、かれん。今何も考えない様にして上げる・・・」  
「ああっ!」  
こまちは指先でかれんの二つの乳首を軽く転がした。それは硬く突起してもっともっととせがんでいるようだった。  
「そ、そんなにしたらだめっ!あっあっ!」  
かれんは体を捩りシーツを掴んで悶えた。  
拒絶の声を上げたが上半身を反らし、さらに薄い胸を求める様に突き上げた。  
「敏感ね・・・かれんは。もっと良くしてあげる」  
「はああっ!!」  
左の胸は指で弄ったまま、かれんの右の乳首をこまちは口に含んだ。甘く噛み、舌先でなぞり、吸い上げる。  
「ふうう!あは、あ!あ!あ・・・」  
かれんの体は敏感で全てが性感帯の様だったが小さい胸の二つの乳首は特に感じる様だった。  
しばらく愛撫した後、こまちは口を離し、かれんの耳元にそっと顔を寄せた。甘く耳たぶを噛む。  
「あーっ!!」  
それだけでかれんは大きな悲鳴を上げた。そのままこまちは呟く。  
「感じやすいね。かれんは・・・」  
「い、言わないでこまち!あはぁ!!!」  
喋りながらもこまちは指先でかれんの横腹を微妙に撫ぜたり、下腹部に軽く爪を立てたり愛撫を止めない。  
「私にこんな事を教えたのはかれん、あなたよ」  
「そ、それは」  
 
初めて口づけした日から間を空けず、かれんはこまちに体を求めた。最初こまちは拒んだが、泣き出してしまった  
かれんを放って置けず関係を結ぶ様になった。  
「だってこまち、あなたが欲しかったの!が、我慢できなかったの。ごめんなさい。許して・・・!」  
ひくひくとかれんは子供の様に泣き出す。こまちはぺろっとその涙を一粒なめあげる。  
「泣かないの・・・。かれん、あなたを責めてる訳じゃないわ」  
「き、聞いて。こまち!」  
突然、かれんは話し出す。  
「私、こまちの事考えていつも一人でいやらしい事していたの!この部屋であ、あなたに抱かれる事を考えて  
自分の乳首をいじって感じて、じ、自分のいやらしい性器を弄んでたの!」  
「かれん・・・」  
突然の告白にこまちは戸惑う。  
「それも何回も何回もいっていたの・・・ま、毎日してたの!ああ!!」  
かれんは被虐体質であり、言葉で相手に責められるだけでなく自分が発するはしたない言葉にもかんじている様  
だった。叫び終えたかれんは、はあはあと荒く息をする。  
 
「こ、こまちごめんなさい!あなたを穢して・・・。でも仕方なかったの。我慢できなかったの!」  
「かれん・・・」  
「こまちには汚い私も知って欲しいの・・・!」  
少しも沈黙のあと、こまちは言った。  
「分ったわ。かれん大丈夫。私はあなたを許すわ」  
「ありがとう、こまちお願い!キスして・・・」  
「いいわ・・・」  
 
こまちが口を重ね、舌を入れると、かれんは貪欲に自分の舌を絡ませて来た。くちゅくちゅと卑猥な音が響く。  
「む、ふう・・・」  
こまちの舌がずるずると別の生き物の様にぬめり、かれんの前歯から奥歯の裏まで口内全てを舐めあげる。  
舌と舌が縺れ合い、時として二人は口でそれを吸い上げる。見たことのないペニスをしゃぶる様に。  
かれんがこまちの体に両手をまわし、こまちもかれんを抱きしめる。二人の汗と汗、体液が混ざり合う。  
シーツにきらめく雫の様に愛液がしたたる。  
「んー、ん。う・・・」  
こまちが自分の唾を送り込むとかれんはそれを愛しそうにちゅるちゅると一滴も逃すまいと吸い上げた。  
「ぷはあっ!!」  
しばらくして息が続かなくなったかれんは口を離す。  
「かれん・・・もっとわたしを感じて」「え?」  
こまちは口でぱくっとかれんの鼻を含み、その穴を交互に舐めた。  
「は、はあああ!んん!こ、こまちに食べられちゃうみたい!!」  
濃厚なこまちの匂いを直接かれんは取り入れ、脳内が痺れる程感じた。変態的な行為であったが、その背徳的な  
感覚がかれんの被虐的な部分を大いに刺激した。  
「はあ、あ」  
「さあ、かれん・・・。もういきましょうね」  
口を離し恍惚の表情のかれんにこまちは呟く。そのままかれんの下半身に両手を伸ばす。  
こまちはかれんの右耳に囁く姿勢で寄り添っている。右手の人差し指をかれんのクリトリスに、  
左手を回り込むようにかれんのその下の秘部に軽く潜り込ませる。  
「あうっ!」  
かれんが歓喜の表情を浮かべる。こまちはまずクリトリスを軽く捏ね上げる、しこった蕾の皮を剥く。  
「あ、あ。あー、ああー!」  
さらに潜り込む左手の人差し指はもうぐしょぐしょに濡れ、さらに奥から熱く透明な川が溢れ出した。  
「かれん、自分の指で自分の乳首を弄りなさい・・・」  
「は、は、はいっ!」  
かれんは素直に従い、両方の人差し指の先っぽで引っかくように、なぞるように小まめに愛撫を始めた。  
それは手馴れた動きだった。  
「気持ちいい・・・?」  
「う、うんっ!」  
こまちはかれんのさらに奥に指を勧め、微妙に回転させたり、軽く指を曲げさすり、掻き回し始めた。  
「あっ!あっ!あっ!あっ!」  
かれんが絶頂に高まっていくのがこまちには分った。かれんはさらに激しく自分のしこった乳首をいじる。  
こまちの右手の動きも左手も動きもさらに加速する。  
「もういきそうなの?」そう言ってこまちはキスすると思い切りかれんの舌を吸い上げた。  
「む、む、う!!」  
かれんはくぐもった悲鳴を上げた、こまちの指をきゅうっと締め上げた。こまちが口を離すとかれんは体を弓の様にしならせた。  
「あああーーーっっ!!」  
悲鳴が収まったあとのも、かれんの体はしばらく痙攣したままだった。  
 
行為のあと、かれんはこまちに胸を預け、泣いた。  
「どうして泣くの?かれん」「だって、あんなに恥しい事で感じて。私おかしいわ・・・」  
狂った行為の後でかれんは我に返るのだった。  
「大丈夫・・・ね?」優しくこまちは頭を撫ぜる。  
「こまち、お願い私を見捨てないで・・・」「そうね・・・」  
かれんはやっと安心して微笑んだ。  
 
この時こまちはただ闇を見ていた。醒めている自分を自覚していた。それは行為の最中から分っていた。  
こまちの頭に浅黒い肌で金髪のぶっきら棒なある男性の姿が浮かんでいる。それはある時からこまちの頭の大部分を  
占めるようになって行った。成り行きでこうなったかれんとの関係も最初はかれんを傷付けない為に始めただけで  
例えば「愛」と言うものはなかったのだ。言うならばそれは「同情」だった。  
しかしもう自分の心が偽れない事は分りきっていた。同情の為に自分を犠牲には出来ない。  
こまちは自分がかれんが思うより冷たい人間だと知っていた。  
 
(もう終わりね・・・)  
一息吸い込むとこまちはそっと話し出す。「ねえ、かれん。私ね・・・」  
安心しきったかれんが自分の言葉でどんな表情を浮かべるのか、こまちはその時そんな好奇心を抑えられずにいた。  
 

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