ウエスターは薄暗い寝室を見渡した。  
ベッドメイクよし、ムーディーな間接照明よし、枕元にティッシュよし。  
「そして最後にイケメンよしっ、と…」  
仕上げに鏡に向かい前髪の毛束を整える。がっちりした体に金髪が映え、いかにも女好きのする風采だ。  
ウエスターに満足気な笑みが滲んだ。  
――どうだ、この精力的な肉体は!ウブな小娘など目が合えば妊娠してしまいそうではないか。  
頭の悪い我褒めに胸を反らす。  
そう、自分は経験多数のモテ男、相手は処女(推定)の女子中生。こちらの優勢は何があろうと揺るがないのだ。  
勝利を確信したウエスターがベッドに悠々と腰を降ろすと、ほどなくして部屋の戸が小さく叩かれた。  
「……あ、あの…遅くなってごめんなさい。大きなお屋敷だから迷っちゃって…」  
バスタオルの裾を押さえつつ、少女はおずおずと部屋に上がる。  
桃色に上気した膝頭をもじもじ擦り寄せ、所在なげに立つ様がひどく頼りない。――ああ、やっぱりこれはキスもまだの処女だ。ウエスターは確信して内心嘲笑った。  
「キュアパイ――じゃない、祈里ちゃんだっけ?とりあえずこっち来て楽にしなよ」  
微笑むウエスターに応じ、祈里はトテトテとベッドに歩み寄った。  
 
続く  
 

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