近頃、ほのかがふとした時に、ぼうっとしてしまう事が多くなった・・・  
と、なぎさは考えていた。  
(やっぱり、キリヤくんの事が気になってるんだな)  
教室の喧騒から逃げるようにして、窓から空を眺めるほのかの後姿  
を、なぎさは心配そうに見遣っている。そこで・・・  
「キリヤくんの事、考えてるの?それがホタテの、それがホタテの・・・」  
と鼻歌をまじえつつ、思い悩んでいるような親友の背後へ、なぎさは  
立った。今より十数年も前に、安岡某が歌っていたホタテのロックン  
ロール(うろ覚え)を口ずさんでいるのは、  
『それはキリヤくんじゃなくって、リキヤさんでしょう?ふふッ、なぎさ  
ったら・・・』  
という、ほのかのリアクションを期待しての事である。しかし──  
 
「ふう・・・」  
ほのかはなぎさが近寄ってきた事も悟れず、ただため息をつくだけ。  
出だしのギャグが滑ったなぎさは、ネタの古さをちょっと恥じた。  
すると・・・  
 
「ン・・・ホタテを舐めるなよォッ!ゴー、ゴー!」  
と、小気味良くリズムを刻みながら、教壇の方から近づいてくる人物  
がいた。それは、彼女たちの担任教諭、よし美先生その人である。  
「美墨さん、ずいぶん古い歌知ってるのね。懐かしいな」  
よし美はそう言って、ツイストからジルバという感じで足をわななかせ、  
腰を振っていた。その姿を見てなぎさは、この人結構年いってるんじゃ  
ないか・・・などと思う。そして、同人界におけるよし美萌えが少ないの  
は、致し方ないとも思った──  
 
ところ変わって、某公園。ここでは、ワゴンで路上販売を決め込む  
タコツボねえさんこと、藤田アカネが千枚通しを手にして、タコと奮戦  
中。日々、美味なたこ焼きを作り、人々の舌を蕩かせようと研鑽を欠  
かさないアカネは、持ち前の威勢の良さを武器に、ベローネ学院に  
通う女生徒たちを惑わせている・・・らしいよ。  
「いらっしゃい、いらっしゃい。美味しいたこ焼き、いかがですかあ?」  
数え切れないほどのタコをなで斬りにし、それを小麦粉でくるめて売り  
さばくアカネは、いつだって絶好調。多少、男勝りな感は否めないが、  
良きバイブレーター・・・ではなく、バイプレイヤーとして微妙な輝きを  
放っていた。  
 
「ひと舟下さいな」  
ワゴンの死角から、一人の女性がアカネに声をかける。すると、  
「へい!毎度・・・あッ・・」  
勢い良く注文を受けたアカネの語尾が濁った。そして、目に怯えのよう  
な不安を覗かせる。  
 
「そんな顔をしないで。かつての担任が、教え子に会いに来ただけじゃ  
ないの」  
女性はそう言って、アカネの前へ立った。見れば、その女性はなぎさ  
やほのかも良く知る、よし美先生である。しかし、先ほどホタテロックを  
歌っていた時とは違い、どこか艶やかな佇まいだった。  
 
「先生・・」  
「なあに?アカネ」  
アカネの怯えが本格的になっている。その姿は、ワゴン越しに向かい  
合ったかつての教師と教え子──という間柄にしては、少々空気が重  
い。むしろ師弟というか、よし美が主であり、アカネが従というような雰囲  
気を持っている。  
 
「あ、あたし・・・もう、そういうことは・・・やめたんです」  
カタカタと震えながらアカネが言った。すると、よし美はうっすらと笑いを  
頬に携えて、  
「あなた・・・ううん、奴隷の意思なんて、関係ないの・・・いい?今夜も来る  
のよ。夜のベローネ学院に」  
売り物のたこ焼きをひとつ啄ばみ、ワゴンに背を向けそのまま歩いていく。  
「ああ・・・」  
よし美を見送った後、アカネは頭を抱えて蹲った。夜のベローネ学院という  
いかにも妖しげな含みを残しつつ、場面は更に移動。  
 
「夏子、ベタ塗って」  
「んもう、京子ったら、人使い荒すぎ!」  
放課後の教室では、ニセプリキュアの二人がケント紙を前にして、何やら  
怪しげな漫画を執筆中。二人は今、いつぞやのコスプレに気を良くして、同  
人界という泥沼へ足を沈めていた。  
「ニセピッコロと、さなえゴクウのバトルって、ディープ過ぎない?」  
京子が夏のお祭り用の原稿を見つめ、眉をしかめている。もう、日々が残さ  
れていないようで、最後の追い込みへ躍起になっており、殺気立っていた。  
 
「弱小サークルが目立つには、コアなファンを惹きつけるしかないのよ!  
黙って、トーンを貼って」  
夏子が目を血走らせ、叫んだ。弱小サークルゆえ、真っ向勝負を避けた  
彼女に勝ち目などあろうはずも無く、お祭り当日の撃沈は目に見えている  
が、とりあえずは話を進めていく。しかし、このカップリングでは、二日目で  
も無理だと思う。  
 
「疲れた・・・」  
京子が目をしょぼしょぼとさせ、夏子を恨めしそうに見た。共同執筆をする  
同人たちにありがちな、仲たがいの予兆である。  
「休んでる暇はないわよ、京子」  
やたらとテンションの高い夏子が、京子をたきつけた。共同執筆の際は、  
どちらかが気張って、どちらかがうんざりという場合が多く見られるのだが、  
今まさにふたりはその状態にある。  
「ねえ〜・・・お祭りの日はさあ・・・ブースにかじりつくよりも、レイヤーとして  
ちやほやされたいなあ・・・今からでもいいから、意趣変えしない?」  
執筆にいまいちなノリの京子が、そんな提案をした。彼女は元々、コスプレ  
が好きなだけで、漫画にはあまり興味がなさそう。それに対し、夏子はやる  
気まんまんだ。  
 
「ダメよ!明日の同人界を変えるのは、あたしたちなのよ!生ぬるい考えを  
持っちゃダメ!」  
目をぎらつかせ、のたまう夏子。コンビ作家が袂をわかつのは、おおよそこ  
んな時である。が、それはさておいて、前フリはここまで。場面は著しく代わ  
り、校長室へと移動。何か忙しくて申し訳ないが、ご勘弁のほどを。  
 
「教頭先生・・・校長先生は何時ごろお見えになるんです?」  
校長室でパンティ一枚という姿になったよし美が、米槻を前にして  
言った。すると、普段は口うるさく風紀を正す教頭は、  
「会合で遅くなるという事です。まあ、いいでしょう。私たちだけで、  
始めるとしましょう」  
そう言って、よし美の乳房をそっと掴み込んだ。  
 
「んふッ・・・教頭先生・・メインはあたしじゃありませんわ」  
「それは分かっています。私は、よし美先生が嬲られる姿を見て怯え  
るアカネくんを見るのが好きなんですよ」  
米槻がよし美の小ぶりな乳房を手のひらに収めた。そして、醜い欲望  
をたゆませる男の視線の先には、怯え竦むアカネの姿が──  
 
「うッ・・・うッ・・・ぐすッ・・」  
普段は気丈なアカネが泣いている。見ると彼女は、全裸姿という有り様  
で、胸元には乳房を囲むように縄を打たれていた。更に注目すべきは、  
女性であれば持っているはずのない、忌まわしい男の怒張が股間から  
突き出ていて、それが天を突くように反り返っている事である。  
「ペニスがある女の子というのは、珍しい」  
米槻がアカネの股間を凝視し、嘆息する。縄で後ろ手を取られている  
ために、アカネの下半身は無防備だった。  
「み、見ないでください」  
涙声でアカネが許しを乞う。米槻から指摘された股間の怒張を隠したく  
ても隠せない──そんなむず痒さを見せながら。  
 
「まあ・・・見れば見るほど、ほれぼれとするおチンポだこと・・・こん  
なものをつけて、ベローネ学院の女子部へ通ったとは・・・ね」  
隆起するアカネの男根を手に取ったよし美が、うっとりと目を細めて  
いる。男根は女教師の手に収められるとびくりと弾み、硬度を増し  
てしまう。  
 
「あううッ!」  
敏感なカリ首の部分をくりくりとやられてはたまらない、と身悶える  
アカネ。その様を見て、よし美はいよいよと調子に乗っていく。  
 
「あたしがふたなりだって気づかなければ、あなたはまともな学生生  
活を送れなかったはずよ・・・分かってる?アカネ」  
「ああ・・・分かってます・・・だから、あたしは三年間も先生のおもちゃ  
になったじゃありませんか・・もう、許して」  
よし美の左手が男根を苛み、右手が女陰をまさぐっていた。なんと、  
アカネは陰陽を併せ持つふたなり少女だったのである。  
 
「アカネくん。よし美先生とは、どのような関係だったのかね?」  
米槻も乗り遅れまいと、二人の会話の中へ割り込んできた。手では  
よし美の乳房を弄び、股間をあさましく張り詰めさせながらだ。  
「ああ・・・あたし・・・着替えのとき、よし美先生にアソコを見られて・・・  
先生は、それをネタにして・・・関係を強要されたんです・・」  
くっと涙をこらえるように言うアカネ。すると、よし美は男根を優しく愛撫  
しつつ、  
「でも、そのおかげで、あたしに庇って貰えたじゃないの。ギブ・アンド・  
テイクだわ」  
と言い訳がましく言葉を繋ぎ、涙ぐむアカネの唇を奪った。  
 
その頃、夏子と京子のニセプリキュアたちは、暗くなった教室の中  
で、背を丸めて原稿にかじりついていた。  
「もう、帰ろうよ」  
「ダメ。今やめると、テンションが下がっちゃう」  
帰宅を促す京子に対し、夏子はまだやる気を見せている。校内は  
すでに人気も絶え、すっかりと薄暗くなっているのだが、二人の頑張  
りはまだまだ続くようだ。だがこの直後、頑張りが皮肉な結果となるの  
を、二人の同人ルーキーたちは知らない・・・  
 
一方、校長室では、突き転がしたアカネの上へまたがり、自ら怒張を  
陰部へ咥え込むよし美の姿があった。  
「はあうッ!す、すごく、イイッ!」  
お中元で頂くような高級ハムのようなアカネの男根──長さは二十五  
センチほどで、直径は七センチもあろうか。その剛物を、よし美は易々  
と女穴へおさめている。  
 
「先生・・・ちぎれちゃうッ!もっと、優しく・・・」  
目に涙を溜め、哀願するアカネ。ふたなりという特殊な性をもったがため  
に、かつて教えを賜った女教師を狂わせている己の業が恨めしかった。  
「アカネさん・・・ああ、オマンコが蕩けそうよ・・・もっと、激しくやって!」  
そう言って悶え狂うよし美を真後ろから見ると、桃尻がばっくりと割れ、恥  
肉が完全に露呈している。そして、花弁を掻き分けるように、野太い逸物  
が女穴を目いっぱいに開かせていた。  
 
「素晴らしい師弟愛とでも言いましょうか」  
ふたなり少女と女教師がつがっている所へ、米槻が股間の前を摩り  
ながら歩み寄る。その上、ズボンのジッパーを下ろしたかと思うと、  
「私も交ぜていただきましょう」  
そう言うや否や、ぼろりと赤黒い、見るからに使い込まれた中年男の  
怒張を、女たちの前へと放り出したのであった。  
 
「助けて!夏子!」  
「京子、逃げて!早く!」  
みたび場面は変わって、こちらは同人ルーキーたちがいた教室。  
ここでは何故か、京子、夏子の両名が複数の少年たちから襲われ  
かけていた。  
 
「制服か、下着を盗みに女子部へ来たんだが、こりゃめっけもんだ」  
「こんな時間じゃ、先生たちもいないだろうからな」  
「やっちまおうぜ」  
どうやら少年たちは男子部の悪がきどもらしく、口々にふしだらな事  
を言い、逃げ惑う京子と夏子へ詰め寄っていく。その数、五人ほど。  
 
「イヤーッ!は、離して!」  
まず、京子が捕らえられた。薄暗い教室の中に少女の声が響くと、  
少年たちは色めきたつ。  
「脱がせ、早く」  
「慌てるな。とりあえず、お宝を拝もうぜ」  
びりり・・・と、絹を裂く音が室内の空気を硬直させた。どうやら、京子  
の下着が毟り取られたらしい。  
 
「京子!」  
逃げ惑っていた夏子が、友人の窮地に気が付き、思わず足を止める。  
だが、次の瞬間、彼女自身も京子と同じく、囚われの身となってしまう。  
「捕まえたぜ!この女」  
「きゃあッ!何をするの、やめてッ!」  
「暴れるな!くそッ・・・」  
比較的抗いが少なかった京子に対し、夏子は襲い掛かってくる少年たち  
をおおいに拒んだ。そのため、夏子は京子よりも荒々しく扱われる事となる。  
 
「こいつッ!」  
暴れる夏子の頬を、少年の手がかかった。ぴしん──と、平手打ちを食ら  
わされたのである。  
「あうッ!」  
頬を打たれた衝撃は、夏子の抵抗を奪った。というよりは、彼女自身、他人  
から暴力を受けた経験などが、無かったのである。  
 
「お願い!もう、抵抗しないから、暴力はやめて!」  
夏子が懇願すると、少年たちは目に獣欲を走らせながら、  
「だったら、脱げ」  
「そうだ、言う事を聞かないと、また殴るぜ」  
と、一人の少女を囲んだ。  
 
「わ、分かったわ・・・だから、殴らないで・・」  
少年たちの脅迫に屈した夏子は、制服に手をかけつつ京子の姿を追った。  
 
「やだあ・・・やだッ・・・ああ・・・」  
京子は教室のど真ん中で、三人の少年たちから悪戯を受けていた。  
パンティを毟り取られ、無理矢理広げさせられた股間へ、異性の指が  
強引に穿たれている。  
「オマンコって、柔らかいんだな・・・」  
少年の一人が、京子の膣内の感触を指で愉しみながら言った。まだ  
無垢で、堅肉である筈の処女宮も、異性のごつごつとした指にあって  
は、極上の柔肉と感ずるのかも知れない。  
 
(京子・・・ああ、何てことかしら・・・)  
がたがたと震える指で制服を脱ぐ夏子は、友人の哀れな陵辱シーンを  
見ておののいていた。勿論、次は自分の番だという確信を持って──  
 
 
ずばーんと所変わって、美墨家の浴室では今、なぎさが弟、亮太と共に  
入浴中。弟思いの姉が、風呂に入れてやるという、生臭さのかけらもない  
のほほんとした光景である・・・筈なのだが。  
「いてて!姉ちゃん、チンポコ触るなってば!」  
「バカ!こんなにカスつけて!臭くて仕方がないでしょ!」  
・・・と、なぎさは亮太のちび筆を手に取り、そこにこびりついた恥垢を落  
としてやっていた。いくら姉とはいえ、少々、常軌を逸した行為である。  
「ああ、チンカス臭い・・・ん、もう・・・亮太ってば・・・」  
弟の男根の包皮を剥きつつ、なぎさは頬を赤く染めているが、それは決し  
て湯煙にあてられたからではなさそう。どちらかといえば、弟の股間から  
匂う恥臭の香ばしさに赤面しているようだった。  
 
「はい、おしまい。亮太、湯に浸かりな」  
「うん」  
なぎさに促され、浴槽へ入る亮太。その後を、姉はしとやかに追う。  
 
「わあ!でっけえ、姉ちゃんのチンポコ」  
「見るんじゃない!」  
湯船をまたいだ時にぶらついたなぎさの陽根に、亮太が驚いた。ふ  
たなりプリキュアを自称する彼女ではあるが、やはり弟にそれを指摘  
されれば恥ずかしい。だから、股間を凝視する亮太の頭を、なぎさは  
湯桶でスコーンとはたいてやった。  
「いてえ!」  
「はいはい。あたしのオチンチンの事は放っておいて、肩までしっかり  
と湯に浸かりなさいね」  
そう言って、すまし顔を見せるなぎさ。弟を軽くいなした姉は、とぼけた  
ふりしてババンバーンとでも言いたげに勝ち誇っている。もっとも、亮太  
の方は呆れ混じりの不満顔。  
 
「姉ちゃん、はまぐり君の単行本持っていっただろう。返してよ」  
「ああ、そう言えば・・・いいじゃない、あたしの生はまぐりでも見とけって  
感じ。ホレ」  
腹立ち紛れに亮太が持っていかれたマンガ本の行方を尋ねると、なぎさ  
は待ってましたかの如く立ち上がり、陰部を露呈するというカウンターを  
返してきた。はまぐり君というネーミングもさる事ながら、それに対したなぎ  
さのリアクションも中々香ばしい。  
 
「・・・俺、もう出るよ」  
姉の陰部露出に呆れた亮太が、浴槽から出ようとすると、  
「待ちなさいって・・・ほら、今からあたしが一曲披露するから・・・」  
なぎさは弟の肩を掴み、声高らかに歌い始めた。そう、オチ代わりの  
エンディングである。  
 
だってヤッてらんないじゃん! パイパンよりおホモチックに!  
越中ラブラブモードじゃん! 身も心もブリーフにとけてみたいもん!  
 
横ハメとか 好きモンとか まじで夢中にハメる年頃なの   
今日もコキコキしたかったよ (パパヤ パヤ!)  
 
恥丘のため みんなとハメ それもいいけど  
忘れちゃいけないこと あるんじゃないの?  
 
胸をモミモミする トキメキ! 待ち望むティーンエイジャー ごく普通の  
それが劣情 決してなくしたくない  
 
だってヤッてらんないじゃん! いじられると ウルウルでしょ  
越中ラブラブモードじゃん! それが一番平和だ  
 
なのにどうして 今日もこうして 生ハメまくる くる くる!(YEAH!)  
 
「フルコーラスかよ!」  
歌い終わったなぎさのご満悦とはよそに、亮太は三村風ツッコミで  
その場を収めた。というか、収めざるを得なかったのである・・・  
 

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