本国から派遣されてきた最高幹部だというその人の姿を見て驚いたのは、  
その急な登場のせいだけじゃなかった。  
彼女の巻き起こした風が頬を撫でたその感触が、僕の記憶を引きずりだしたから。  
数年前のあの日、彼女の白い手が僕に触れた、あのときの恍惚を。  
 
 
 
館の奥にあるモニター室で、プリキュアたちとの過去の戦闘データをチェックしながら  
分析を交えた説明を彼女に行っていたとき、背後に立つ彼女の纏っていた独特の香りに  
意識しなくても鼓動が速くなっていくのを止められなかった。  
あの頃から、僕はどれほど大人になれたというのだろう。  
密室に2人きりだと言うだけで、こんなにも気持ちをざわつかせて。  
 
けれど欲情していることを彼女に悟られないほどには成長できていたのだと思う。  
白い指先でモニターを示す彼女の質問に、僕ができ得る限りの回答を済ませたあと、  
椅子に座っていた僕の肩に乗せられた彼女の手が離れるのを惜しんだ僕が  
そっと掌を重ねたことに、彼女はひどく驚いたようだった。  
 
自分の行動に自分でも驚いていたが、彼女が僕を咎めるかも知れないという焦りが  
何故か僕を更に大胆にさせた。半ば自棄になっていたのかも知れない。  
「…今夜……、お部屋に伺ってもよろしいでしょうか…?」  
 
何を、言っているんだろう、僕は。  
引き寄せた彼女の指先が、僕の手の中でぴくりと震える。  
「……残念だけど、私はその任務を負ってはいないわ」  
彼女が告げるその声はとても静かで、動揺の欠片もなくて、僕は急に恥ずかしくなった。  
カーッと頬が熱くなって、馬鹿なことをした後悔が胸に満ちてくる。  
謝罪しなければ、と口を開きかけたが、言葉にできずに溜息が洩れた。  
 
不意に彼女の香りが近く寄って、耳のすぐ側で吐息を感じた。  
「…まだ、誘い方は下手ね」  
あぁ、これが骨を抜かれる、というやつか。  
どうして、このひとは僕の性欲をこんなにも刺激するんだろう。  
ほんとうに、いまだに。  
 
僕は咄嗟に振り返り、少しだけ首を伸ばして目の前の彼女の唇にくちづけた。  
首に触れて、髪を掴んで、深く舌を差し入れたい衝動に駆られたけれど、  
彼女の手を強く握って耐えた、触れるだけのキス。  
 
「……行為が上手になったかどうか、確かめてはくれませんか」  
精一杯の背伸びはきっと、気取られてしまっただろう。  
彼女はその綺麗な淡いアメジストの瞳を細めて、小さく笑った。  
「しようがない子ね……いいわよ」  
 
ラビリンスの国家幹部には、次代の国民をつくる生殖行為として、  
またあらゆる世界のほぼ全ての生き物が持つ本能的な欲望を解消する術としての  
性交という重要な行為に関して、未経験の幹部候補生を指導するという特殊な任務がある。  
僕ももう少し…あと2・3年も経てば、その役目を任じられることがあるだろう。  
年齢的に言えば、ウエスターには既にその経験がある筈だ。  
この任務を幹部の役得と捉えるか、ただの苦行と捉えるか……それは本人次第では  
あるが、幹部に選ばれたからには必ず与えられる重要な任務のひとつだ。  
 
僕がまだ紅顔の美少年だった頃、幹部候補生として学府で学んでいた頃。  
忘れられる筈もない、僕に性交を指導した幹部が彼女――ノーザ、だった。  
彼女はいまよりも少しだけ声が高くて、少しだけ初々しくて、そしてやっぱり美しかった。  
いまでも健在のプロポーションは当時から完璧に保たれていて、特に胸のサイズに関しては  
候補生たちの間でも密かに話題になるくらい、羨望と憧憬の的だった。  
第2次性徴の発現を迎えたばかりの僕ももちろん例外ではなく、あの切れ長の瞳に  
見つめられたらどんなことも見通されてしまいそうな気がして、ゾクゾクした。  
 
だから僕の指導役が彼女だとわかったとき――それは初めて指導室に呼ばれた夜の  
ベッドの上でだった――、僕の興奮は僕の想像以上に僕を狂わせた。  
彼女の手の中に、口の中に、そして膣の中に……何度も射精した僕が  
彼女の姿を目にするだけで、彼女の声を聴くだけで、彼女の香りに気づくだけで  
勃起するようになってしまったのは、ただの思春期の熱病のようなものだったのだろうか。  
いまでも……こんなにも後遺症が残るほどに?  
 
 
「22時ちょうどに……ちゃんとシャワーを浴びてからいらっしゃい」  
あの頃と同じ、彼女の指示に従ってシャワーを浴びながら、僕は一度だけ手淫をした。  
彼女の前で、あの頃と同じ速さで果ててしまいたくなかったし、何より…待ち切れなかったから。  
射精してしまってから、なんだかひどく情けなくなった。  
僕はやっぱりあの頃と何ひとつ変わっていないのかも知れない。  
 
22時きっかりに僕の部屋に現れた彼女のワームホールをくぐると、  
そこはもう彼女のベッドルームだった。  
部屋中を取り巻く不思議な蔓のなかで、噎せ返りそうな彼女の香り……ムスクに似た  
甘くとろりとした、それでいて軽やかな香りが僕の鼻腔から本能を直撃する。  
彼女が育てているのだろう様々な植物の天蓋が降りたベッドのうえで、その長い脚を  
見せつけるように投げ出して座っていた彼女に言葉をかける余裕もなく、唇に吸いついた。  
 
舌を絡め合う、というよりも、ただただ求めるように、吸った。  
唇を吸い、舌を吸い、唾液を吸う。  
彼女は僕の性急さにすこし戸惑ったようだったけれど、抑えようとはしなかった。  
シーツの上で上半身を支えるために置かれた白い手を握り、スカートの深いスリットを  
捲り上げるようにして内側に手を差し入れ、覗いた太股を撫でまわす。  
十代の少女のような瑞々しさはないが、掌にしっとりと馴染む柔らかさに僕は夢中になる。  
 
細い首筋に顔を埋め、子犬のように舌を出して舐めながら、彼女の吐息の温度が  
少しずつ上昇していくのを感じる。小さな耳の裏に吸いつくと、  
「…ぁっ…」  
普段の落ち着いた様子とはかけ離れた、可愛らしい甘い声があがった。  
 
彼女の反応に勢いづいた僕がスカートの中の指先を下着のなかへ進ませようとすると、  
僕の焦燥を宥めようとしてか、股間に彼女の手が触れた。そこは先刻済ませておいたはずの  
前処理など何の意味もなかったかのように、既に硬く勃ち上がっていた。  
「落ち着きなさい…ね?」  
彼女の掌に包まれた陰茎に、びりびりと震えるような陶酔がはしる。  
ゆっくりとした彼女の指の動きに眉根を寄せた僕は、余程もの欲しそうな顔をしていたのだろう。  
唇に啄ばむようなキスを受けて、それでも抑え切れずに彼女の身体を押し倒した。  
 
「無理、です…」  
横たわっても立派に形を保ったままの胸元に顔を押し付ける。  
この膨らみが、この温もりが、僕に与えてくれた恍惚を。  
「困った子ねぇ…」  
彼女の衣装を肩から引き剥がすようにずり下げると、大きな乳房が弾けて零れ出た。  
「あ…!」  
これを目の前にして、焦らそうなんて余裕を持てる男がいるんだろうか?  
彼女の珍しく焦った声を聞いて、僕は迷わずピンク色の乳首に舌を這わせた。  
「…っ、ん…」  
頼りなかったそれはすぐに硬さを増して勃ちあがり、彼女が感じていることを教えてくれる。  
れろれろ、という擬音がまさに相応しい、舌全体で弾くように舐めまわし、  
乳輪ごと口の中に含んで吸いつきながら、先端を舌先で突く。  
ちゅぱちゅぱと子供っぽい音を立てるのを彼女は嫌がってみせるけれど、  
本当は好きなんだってことを僕は覚えていたから、わざとそうした。  
「ァ…ん…、ゃ…ぁ」  
ベッドの上でだけ、とても幼く聴こえるこの声が、僕の陰茎をますます硬くさせる。  
 
巨乳は乳首の感度が悪い、なんて嘘だ。  
だってこんなにも……彼女はここを、濡らしている。  
彼女の下着のなかで、僕の指がくちゅり、といやらしい水音をたてた。  
 
「ノーザ…さん…、こんな…に」  
ぬるぬるに溶けた彼女の膣は僕の指を難なく引き込んで、やわやわと蠢いてみせる。  
2、3度抜き差ししただけで、じゅぷっと奥から液体が溢れだす。  
乳首を軽く噛んでやると、入り口付近の圧力がきゅうっと高くなる。  
「んッ……、ぁ…」  
少し噛み締めたような声で、けれど僕には充分に魅惑的だった。  
 
一旦指を引き抜いて、僕は上半身の衣装を脱ぎ、髪をひとつにゆるく縛った。  
これは僕の頭と身体がヒートアップしすぎない為の予防措置だ。  
晒した肌にひんやりとした夜気が心地よく、適度に僕の頭を冷ましてくれる。  
僕を見上げた彼女がうっとりと呟くように言った。  
「…身体は随分、男になったのね…」  
 
「ご期待どおりに、酔わせて差し上げますよ…」  
彼女の下着をするすると引き下ろし、華奢な膝を持ち上げて大きく開いた。  
「…ぁっ、サウラーくん、ダメ…!」  
何が駄目だというのだろう? 僕に口淫を教えたのは、彼女だというのに。  
ポーズだけの制止が僕を止められるわけもなく、僕は彼女の脚の間に顔を埋めた。  
 
彼女に指導を受けた候補生は、もちろん僕だけじゃない。  
けれど彼女の身体に触れることができた、同期のなかで最もラッキーだった数人の  
少年たちのうち、僕にだけ――僕にだけ、その白く美しい指を唇にあてて……  
その方法を、彼女は教えてくれた。  
 
『女性のここはね…、とても敏感で、繊細なの』  
 
白い腿の間で、いまだくすみのないミルキィな桃紅色を保ち、濡れて光る妖しい花から  
一層強く香り立つ彼女のムスクの匂いに、理性が飛びそうになるのを必死で堪える。  
舌先でスリットをなぞると、ぴちゃ、と音が立つほど、彼女のそこは潤っていた。  
硬くすぼめて伸ばした舌先を、ゆっくりと中心に差し入れると、彼女の内腿が微かに震えた。  
「はぁ…ん、あぁ…」  
 
『指よりも…舌のほうが、女性には優しいわ』  
 
ちゅくちゅくっ、ぴちゃ、じゅるっ、じゅぷ、ぴちゃっ……  
自分の舌が立てる淫猥な水音を聞きながら、乱れていく彼女の呼吸に耳を澄ます。  
子犬がミルクを舐めるようなあどけない音よりも、零れそうな蜜を啜りあげる  
はしたない音のほうが、彼女の興奮を高めていくようだった。  
僕はその音をたっぷりと彼女に聴かせてやってから、上の方にちょこんと顔をのぞかせる  
小さな粒に吸いついた。  
「ひゃぁ…ん…!」  
 
『クリトリスは女性のペニスなのよ』  
 
そう僕に教えてくれたとき、彼女がその白い指で自ら開いてみせてくれた陰唇を  
いまは僕の指でひらき、ぷっくりと膨らんだそれを舌で押し潰すように舐め上げる。  
びくびくと腰を跳ねさせる彼女の白い手が僕の額に伸びてきて、前髪をかきあげるように掴んだ。  
「サ…ウラー…くん、ダメ…、だめぇ…」  
 
『下から上に…優しく、根気良く、撫でるように…舐めて…』  
 
うわ言を口走るような彼女の声が、僕の気をよくさせる。  
「ここがお好きだと……、僕に、教えてくれましたよね」  
こんな強気な口が利けるのも、いまのうちだけかも知れない。  
けれどもっと…もっと、乱れさせてみたい。  
「…意地悪、ね……あぁん…!」  
 
『私も…すぐに、イっちゃうから…』  
 
僕は再び彼女のなかに指を沈み込ませた。そのまま素早い抜き差しを繰り返しながら、  
唇で優しく挟みこんだクリトリスを舌先で擦りあげる。  
「ふぁん、あぁん、あぁ…っ!」  
ものの10秒もしないうちに、彼女のふくらはぎに強い緊張が走って、彼女は果ててしまった。  
 
『そうしたら、なかにとっても欲しくなるの…』  
 
クリトリスでの絶頂は、忍耐の限界を壊してしまうらしい。  
「サウラーくん…、お願い、もう……」  
涙の溜まった上目遣いで求められて、僕の忍耐も長くはもたなかった。  
彼女の衣装も脱がせず、僕の下衣も脱がないまま、剥き出した性器だけで繋がる。  
 
『君のおっきくなったペニスを挿れて、いっぱい、いっぱい、突いてね…』  
 
「あぁ――……!」  
震えながらぬぷぬぷと僕を呑み込んでいく彼女のなかは酷く熱くて、  
「…ぁ…っ」  
僕も恥ずかしい声を漏らしてしまった。  
 
『ときどきキスしたり、胸を撫でたりも忘れないで…』  
 
衝動を抑えられずに腰を振ろうとした僕を押しとどめて、彼女がくちづけをねだる。  
舌を絡め、唾液を交わす深いくちづけが、ほんの少しだけ僕の自制心を呼び戻した。  
「私に…させて」  
薄い唇の隙間から愛らしい八重歯を覗かせて妖艶に微笑んだ彼女に  
僕が抗う術があったなら、どうか教えてほしい。  
 
入れ替わりに横たわった僕のうえで気怠そうに腰を揺らす彼女のなかは  
まるで意志を持った生き物のように妖しく蠢いて、僕の陰茎を愛撫する。  
快感を堪えるように目を閉じた彼女のそこだけ曝け出された豊満な乳房が  
ぷるんぷるんと揺れる様はとても淫らで、美しかった。  
 
僕は両手を伸ばしてその果実を思う存分に揉みしだき、尖った先端を摘んで捏ねた。  
「あっ…ぁん、ぁんっ…あん…」  
彼女の蕩けた膣に包みこまれ、狭まる襞に扱きあげられた僕の陰茎はもう爆発寸前で、  
もどかしい動きに焦れた僕は彼女の腰を掴んで滅茶苦茶に突き上げた。  
 
「あぁん、サウラーくん、大きい…っ、凄い、イイの…!」  
打ちつける僕の腰を膝で挟みこみ、赤い花びらのような長い爪で白い乳房に  
自ら指の跡をつける彼女の淫乱な姿が、僕の意識を追い詰める。  
「…は…ぁ、っ…ノーザさんっ、僕、は、もう」  
「だめぇ…、まだよ、まだ…、もう、ちょっと、なのぉ…!」  
彼女も確実に上り詰めようとしている、膣がきゅうきゅうと締まって僕の精液を欲しがっている。  
「〜〜っ、く…ぅ」  
絶頂寸前の脳の血管がぶち切れそうになるくらい、唇を噛んでこらえた。  
 
「ぃや…ぁ、サウラーくん、クるの、クるの…おっきいのクるぅ…!」  
彼女の背中がゆらりと反り返る、思考は完全に飛んで腰だけがもう意志とは無関係に動いた。  
「…あっ、あ――…っ、イくっ、イくぅ……んあぁ――…!!」  
「…ぁ…、出る…っ……!」  
びくびくと痙攣しながら達した彼女のなかに強く吸いこまれて、僕も思いきり精を放った。  
耐えに耐えた末の射精はなかなか終わらなくて、腰の裏側が何度も震えた。  
 
 
くたりと脱力して僕の胸の上に倒れ込んできた彼女の頭を抱き寄せる。  
ごく淡いブルーの髪を指先で梳くようにして撫でていると、彼女の肩が小さく震えて  
くつくつと笑う声が聞こえた。  
「フフッ…、確かに上手になったわ……でもまだまだ、ね…サウラーくん」  
彼女の紅く長い爪が、適度に薄くついた僕の大胸筋をなぞっていく。  
勝手に上に乗っておいてそれはズルいんじゃないだろうか、と不満に思ったのは事実だが、  
今日のところは彼女に華を持たせてもいいかな、という気になった。  
 
下剋上の機会はこれから先、まだまだたくさんありそうだと思えたから。  
 
 
 
 
 
                                              END  
 
 

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