──さて、次はどんな手をつかってFUKOを集めようか。
思索にふけりながら、サウラーはいつも三人が集まる部屋へと入る。
イースがソファに座り分厚い本を読んでいる。彼が貸した本だ。
彼女はサウラーを一瞥するとまた本へと目を落とした。
「ウエスター君はまたご出勤かい?」
「そうよ。またたいしてFUKOを集められないんじゃないの?困ったものよね。」
サウラーはイースの気だるそうに喋る横顔を見る。ふと、首筋にあるものを見つけた。
「なるほど。作戦失敗した彼にやつあたりされたら君もつらいだろう」
「…どういう意味よ?」
イースは本から目を上げてサウラーを睨みつける。彼は肩をすくませてみせた。
「別に…たまには僕もお相手願いたい、と思ってね。」
彼女は少々意外そうな顔を見せた。パタンと本を閉じる。
「ふん、珍しいわね…で?どっちの部屋で?」
「ここで」
「はぁ!?」
驚いた声を上げるイースの片腕をサウラーは掴み、引っ張りあげた。バサリと本がソファへ落ちる。
「ん…んっ!」
そのままイースの唇を塞ぐ。彼女の柔らかい唇から苦しそうな声が漏れる。
サウラーはそっと舌を差し入れてみた。イースの舌先に触れ、絡めとる。
いきなりのことに硬直していた彼女の舌は、徐々に軟化していき、彼の舌の動きと共に蠢いた。
イースの体から少しづつ力が抜けていく。ガクリと膝が落ちた瞬間、サウラーの腕が彼女を支えた。
「…っ……なによ…急に…」
イースはサウラーを再び睨みつけようとする。しかし、その緋い瞳はすでに潤み、先程のような迫力はでない。
「今日はちょっと趣向を変えてみようと思ってね」
「…?」
「こちらへきてごらん」
「……!」
部屋の真ん中に置いてある大きなダイニングテーブル。サウラーはそこにイースを誘導し、端に手をつかせた。
素早くイースの衣装の胸のダイヤの下にあるホックをはずし、手を滑り込ませる。
「…っ!ちょっと!ふざけないでよ!なんでこんなとこで…っ」
サウラーは構わずイースの胸を揉みしだく。手のひらに、ぷつり、と硬くなった突起があたる。
「やめなさいよ…っ…ウエスターが…戻ってきたら……っ」
「戻ってきたら?困ることがあるかい?彼にも同じようなことをさせているのに」
イースの銀色の髪からのぞく横顔が、かあっと赤くなったのがみてとれた。
「まあいいじゃないか。これも任務の一環だと思えばいい。そうだろう?」
「…あんたって、本当、最低ね」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
サウラーはイースの衣装の背の部分を引っ張った。前のホックが開いているので、するりと簡単に脱げる。
彼女の蒼白い背中に舌を這わせてみる。
「……ふ…うっ…」
背中がピクン、と震える。彼は手袋を外し、少女の上半身を指先で撫ではじめた。
首筋から胸のまわり、胸から肉のついていない腹、腹からそのまま背中へ。
背中を舌で責めながら、指を滑らかに移動させる。
彼女の体が熱を帯びてきたところで、両の乳首をきゅっと摘んだ。
「!…くうっ……!」
「どうしたんだい?随分と感じやすくなってるじゃないか。彼に見られたところでも想像した?」
「…う…るさい…っ!」
イースの罵声をものともせず、サウラーの手は彼女の下半身へとのびていった。
ホットパンツと、中に履いていた赤いレースのショーツを脱がしにかかる。
下まで擦りおろしたところで、胸と腹をテーブルに押し付ける。秘唇を右手で触れてみた。
「なぜこんなに濡れているんだい?」
イースは答えない。ただ、呼吸を荒くさせているのみである。声を押し殺しているのがわかる。
「まったく…素直じゃないね。もっと楽しめばいいのに。」
サウラーはその場で片膝をついた。目の前に、蜜のあふれはじめた秘唇がうつる。女の匂いが鼻につく。
舌と指を器用に使い、秘唇と淫らな突起を責めはじめた。
「んっ…あああ!」
一番敏感な部分を舌先でちろちろと舐められて、イースは思わず声を上げた。サウラーは心の中でほくそ笑む。
(そういえば、はじめてコレをしたときは大変だったな…)
性行為イコール生殖活動が基本のラビリンスでは、オーラルセックスの習慣がない。
イースもおそらく通常の行為に関しての学習はしていたと思うが、コレの知識はなかったであろう。
(ちょっと!なにするのよ!やめ…ろっ!!)
こちらの世界で知識を得、イースにためしてみたところ。
激しく抵抗する彼女に、思いっきり胸倉を蹴られたのである。
その後も懲りずに続けていたら、やっと大人しくなってはきたが。
(生意気な女は苦手だよ、まったく。)
サウラーは心の中で毒づいた。
日常のみならず、ベッドの上でさえイースは頑なな態度をとり続ける。
相手にするなら、もっと素直で従順な女のほうがいい。
ウエスターがなぜ彼女に執心しているのか、いまいち理解できない。ラビリンス内には他にも相手する女がいるのに。
(それに…)
彼はふとあることを思い出す。
あれは、プリキュアどもに四人目がいるとかいう話のときだった。
四人目を潰す、という目的で、幹部三人はそれぞれ館を出た。
イースには四人目の目星はついていたらしい。東せつなの姿に化け、一人の女の後をつける。
興味を持ったサウラーは、自身も南瞬の姿に化け、せつなに気配を悟られないように尾行した。
女が公園の中のドーナツ屋で休憩している。せつなは足を止め、森のかげから女の様子を窺っている。
そこに変身前のプリキュアどもがやってきた。女と共にわいわいと騒ぎ出す。
そのときのせつなの表情を、瞬は確かに見た。
いままで我々には決して見せることのなかった、あの表情──
(この女は要注意だ──)
サウラーはそのときからイースを警戒しはじめる。
プリキュアどもを油断させるため、といいながらクローバーのペンダントを肌身離さずつけている彼女。
彼がオウムのナケワメーケを繰り出したその日から、時折ぼんやりと上の空に、かといえば突然攻撃的な態度をとる彼女。
──いつか、この女は重大なトラブルを引き起こすに違いない。
「あ…あ、も…う…っ…いいかげんに…してよ…っ」
頭上から甘い溜息とともに女の声がする。入れて欲しい、という合図だろう。
(そろそろかな…)
サウラーは拳で口をぬぐいながら立ち上がり、自身の黒いパンツからペニスを取り出す。
彼の体型に似て細長いそれは、イースの痴態を見ることによって、すでに臨戦態勢に入っていた。
唾液と愛液でぐっしょりと濡れそぼっている彼女の秘唇に、そっとあてがう。
そのまま、グッ、と奥まで押し込んだ。
「は…ああああっ!」
突然奥まで貫かれた衝撃で、イースは大きな嬌声をあげた。
テーブルに胸をつけ、こちらからは背中しか見えないので、彼女の表情を窺い知ることはできない。
おそらく、歯を食いしばってこれ以上の嬌声が漏れるのを耐えているのだろう。
──まあいい。今後この女がなにかトラブルを引き起こしたとしても、自分には関係ない。
僕は僕で、黙々とFUKOを集め続ければいいさ。メビウス様の命令どおりにね。
「チームなんて虫酸がはしる」そう言ったのは、まぎれもないこの女なのだから。
サウラーは彼女の体を思う存分味わうことに集中しはじめた。
(それにしても…)
彼はイースの体の変化に少し驚く。
イースの初めての相手をしたのはサウラーであった。小柄な彼女に、いきなり体格差のあるウエスターの相手をさせるのは
不安要素が残る、というラビリンス側の配慮があったのであろう。
確かに最初のうちは彼女の動きもぎこちなかった。痛みを訴えるような表情を浮かべることもあった。
気丈ゆえに、それを口にすることは決してなかったが。
その後、彼女は頻繁にウエスターの部屋へと通うようになり、サウラーがイースと性交をする機会はあまりなかった。
(しばらくしていないうちにこんなにも変わるとはね…)
まだ幼く完全に開ききっていなかった彼女の膣は、今では柔らかくヌルヌルと絡みつき、男のモノを極上の快楽へといざなう。
(なるほど…ウエスターが夢中になるのも分かる)
イースの腰に手をあて、背後から突き上げながら、サウラーは冷静に考えていた。
「ん…あ…あっ、あっ、あっ、あ……」
いつもとは違う場所で、慣れない体位で犯されている状況に、彼女は興奮を隠せないようだ。
長いペニスが膣内を行き来するリズムに合わせ、耐え切れずにあえぎ声を出す。
ふいに、サウラーは彼女の中から自分のモノをズルリと取り出した。
「…!?」
快楽を急に中断されたイースは、振り返りサウラーを恨めしげに睨んだ。
(本当に、強情な女だな。もっとして欲しいならそう言えばいいのに)
サウラーは思ったが、あくまで優しく彼女に話しかける。
「まだイッてはいけないよ…」
「…な…?」
「上をむいてごらん」
そう言うと、イースの体に手を添え、くるりと回転させる。
そして、彼女をテーブルに仰向けに寝かせ、両膝を抱えて思いきり開いた。濡れた陰部が露になる。
羞恥に眉をしかめる少女。顔を隠そうとする両腕をサウラーは掴み、強引にテーブルに押し付けた。
「うう…っ」
「そんなふうにしたら君の綺麗な顔が見えなくなるだろう?」
サウラーは再び彼女の中に侵入する。ひくひくとした肉壁が彼の陰茎を包み込んだ。
「随分と開発されたようだね…ウエスター君に。以前とは大違いだ」
「…は…?なにを……言って……ああっ」
「何も言わなくてもわかるさ」
彼は彼女の上半身に目を遣る。行為をはじめる前に彼女の首筋に見えたもの。
それは赤紫色の痣であった。強いくちづけの痕。
うっすらと汗をかきはじめた彼女の胸元をこすれば、ファンデーションの下に隠された痣がいくつも姿をあらわす。
「かなり乱暴な扱いを受けているようだね」
サウラーはイースの耳元で囁いた。
「だが君は、その乱暴な愛撫を悦んでいる。どうしようもなく感じてしまっている。違うかい?」
「…!なっ…!…ちが……っ…黙れっ!!」
大声をあげて否定するイース。だがサウラーの言葉に秘壷は敏感に反応してしまう。
ぎゅうぎゅうと締めつける感覚が、彼の陰茎にダイレクトに伝わる。
「ここだけは素直だね…っ…僕も、気持ちいいよ…」
「…ちがう……ちがう……っ」
否定しつづける彼女の声は、すでに涙声と変わっていた。
首筋の痣に歯を立てながら、サウラーはチラと部屋のドアのほうへと目を向けた。だがすぐに目を戻す。
グチュグチュと音を立てて二人の性器がこすれ合う。隙間から愛液が漏れ、床へ滴り落ちた。
蜜を指ですくい取り、突起を塗り擦ってみる。
「く……っ…あああ…!」
「うっ…君は…本当に…すごいね…」
全てを絞り取られそうな膣の感触に、サウラーはうめき声をあげた。
「はあっ…あ…あ…っ、い……っ、くっ…!」
「…イケそうかい…?僕も、そろそろ…限界なようだ」
「あああああっ!!」
イースの腰がビクビクと跳ねた。テーブルクロスをぐしゃぐしゃに掴み、必死で快感に耐えている。
「うっ…イクよ…いいかい…?」
波打つ秘肉に吸い取られたサウラーの陰茎から、ドクドクと精が放出された。
テーブルに手をつき、荒い息を整えながら、サウラーは快楽の余韻に浸る。
それから少し萎れてきたペニスを引き抜く。白い粘液が再び床にこぼれた。
同じく胸を上下させながら呼吸をするイースの潤んだ瞳に、怒りの色が満ちてきた。
「…もういいでしょ。いい加減に離れてよ」
イースはサウラーの胸元を両手でぐい、と押しやった。
「…今度こんな真似したらただじゃおかないから」
「それはそれは。今後は気をつけるよ。」
「…ふん」
サウラーの舐めきった態度に、イースは苛立ちの表情を見せながらよろよろと立ち上がった。
ふらつきながら部屋の隅にあったガウンを羽織り、黒の衣装を持ってドアを開けたとき、彼女は立ちすくんだ。
「……っ!!なに立ち聞きしてるのよっ!!この筋肉馬鹿!!!」
バシン、と叩く音が廊下に鳴り響き、続いてガツガツと怒りのこもったピンヒールの音が遠ざかってゆく。
「なんで俺が殴られにゃならんのだ…」
サウラーが廊下に出ると、ウエスターが不貞腐れた顔で腕組みをしながら立っていた。
左頬にはたったいま付けられた平手打ちの痕が赤く残っている。
「やあおかえり、ウエスター君。悪いが彼女をちょっとお借りしたよ」
「…別に。あいつの任務は俺たち二人の相手をすることだ。何を遠慮することがある?」
ウエスターは相変わらず不機嫌な顔のままだ。
まるで子供のようだな、とサウラーは苦笑する。お気に入りのおもちゃを取り上げられたときのような態度。
先程のイースの体についていた無数の痣も、彼が彼女の所有権を必死に訴えている印に他ならない。
「あまり一人の女に執着しすぎると痛い目をみるよ?ほかにも相手する女はいるだろう」
「…なんのことだ」
「まあ忠告までに」
サウラーはウエスターの肩をポンと叩くと、静かに笑いながらその場を去っていった。