中学二年生にもなれば、性に興味を持ち始めるもの。なぎさとほのか、それぞれに差は
あるが、可憐な蕾だった二人の好奇心は、少しずつ大輪の花を咲かせようとしていた。
(んッ・・・藤ピーせんぱぁい・・)
家族が寝静まった午前零時。なぎさは、ベッドの上で自らを慰めていた。
(気持ちいいです・・ああ、あたしは・・・先輩のことが・・)
目を閉じ、波打つシーツに身を任せ、なぎさは喘いでいる。パジャマのズボンを膝まで下
ろし、下着の上から陰部に触れる。このスタイルが、彼女の好みだった。脳内では、初恋
の相手、藤村省吾の姿を描き、心を焦がす。
(先輩のを・・・舐めてあげます・・・)
どこかで仕入れた、異性の性器を口にする行為──なぎさは、妄想の中で淫らな自分を
演じ、藤村省吾の股間へ縋りつく。そこには当然、硬直した肉棒が待っている。
(おいしい・・・)
すっぽりと異性を唇で咥え込み、芳醇な旨みを味わうなぎさ。未だ処女ゆえ、愛しい省吾の
性器が美味だと考えているのだ。これを、滑稽と笑うのは容易い。だが、恋を知った少女の
妄想はあどけなく、どこか微笑ましくもある。
『気持ちいいよ、なぎさ』
肉棒に口唇愛撫を受けている省吾が、自分の名を呼ぶ──これも、現実世界では成し得
ていない、彼女の創作である。愛しい異性に、なぎさと呼びつけにされたい。そんな思いが、
自慰中の妄想に込められている。
(いきそうになったら、出しちゃってください・・・あたし、飲んであげます)
なぎさの気持ちが昂ぶっていた。指が、いつもよりきつく割れ目を擦っている。
(指を入れてみたいけど・・・怖いな)
いくら、パンティ越しとはいえ、そこへ指をしのばせる事を、なぎさは決断が出来ない。
そこへ一番に入るのは、藤村省吾の指、もしくは肉棒だと彼女は考えている。
(いつもみたいに・・・そっと、触るだけにしよう)
パンティのサイド部分を指で引っ掛け、太もものあたりまで下ろす。そうして、なぎさは膝を
立て、静かに両足を開いていった。
「くんッ!」
指先が割れ目に触れたとき、思わず声が出る。誰にも犯されていない秘所は鋭敏で、たと
え、自身の指でさえも、侵入を拒もうとしているかのようだった。それは、ぴったりと閉じた女
唇の姿にも表れている。
(入れちゃダメ・・・絶対にダメなんだから・・・)
割れ目を指が上下している。指の腹の部分を使って、ソフトに──そして、刺激が欲しい時
は爪で軽く擦って──なぎさは、自制しながらも、敏感で純白な丘の亀裂を丁寧になぞり、
初々しい快楽に身を委ねていった。
時を同じくして、雪城邸。こちらでは、夜陰に乗じたほのかの危険な遊びが行われていた。
「忠太郎。こっちにおいで」
「ワン」
襖を音もなく開け、ほのかは飼い犬を自室へ招く。同居している祖母はすでに就寝し、よ
ほどの事がなければ、起きてこない。今、雪城家の空間は、ほのかが支配していると考えて
良い。
「よし、よし。いい子、いい子」
「クゥ〜ン・・・」
忠太郎に頬擦りするほのかは、素っ裸であった。もう、十一月も半ばに入り、夜風も冷たい。
それなのに、彼女は一糸まとわぬ姿で、寝具の上へ愛犬をいざない、じゃれあっているのだ。
その上──
「うふふ・・・もう、大きくなってるのね、忠太郎のココ・・・」
なんと言うことか、ほのかは犬の肉棒を手の内へ収めていた。血走った畜生のそれは、忌ま
わしいほど大ぶりで、先端からは絶え間なく、だらだらとよだれを垂らしてもいる。
「ちょっと、待ってね」
愛犬にそう言って、柔らかな布団の上から逃げたほのかは、勉強机へと向かう。そして、
引出しから、犬の尻尾を模した、オモチャを取り出した。
「これがないと、雰囲気出ないもんね」
彼女が手にしたものは、オモチャとはいえ、見たままに犬の尻尾そのものである。ただ違う
のは、尻尾の根の部分にボール状のホルダーがある事。これを使って、尻尾はバッグや
カギなどを彩るのだろうか、そういった工夫がなされている。
「よっ、と・・・」
ほのかは四つんばいになり、尻尾を自分のヒップへ当てていく。そして、ボールの部分を
肛門に押し込むと、ふッと艶やかな表情を見せた。
「これで、あなたと同じよ。忠太郎」
ぷりんとヒップを揺すり、ほのかは微笑んだ。彼女が言う通り、ほのかは今、人間と犬の
中間のような存在になっている。いや、どちらかと言えば、犬寄りであろうか。忠太郎と同じ
く裸。更に、オモチャとはいえ、尻尾もある。何よりもほのか自身が、それを認めている。
「クゥ〜ン・・・」
「焦らないで。今、行くわ」
忠太郎が乞うような声を出すと、ほのかは四つんばいのまま、歩き始めた。膝をつき、手を
足にして、ゆるゆると愛犬の傍らへと迫る。
「クンクン・・・」
「やだあ!お尻の匂いなんか嗅いで!」
ほのかが近づくと、忠太郎は彼女の背後に回った。そして、鼻を鳴らして桃尻の香りを堪能
する。しかし、習性とはいえ、このあさましい畜生の行動を、ほのかは笑って許していた。否、
許すどころか、むしろその瞬間を楽しんでいるようにも見える。こうして、淫靡な空気が室内
を満たし、おぞましいクライマックスが近づこうとしていた。
「ふう・・・また、やっちゃった」
自慰を終えたなぎさは、その後にいつも、罪悪感に襲われる。こんな事をして──と、いさ
さか自嘲気味に自分を責めるのが、常だった。
「先輩に悪いかな・・・」
藤村省吾に抱かれる淫夢を思う、自分が恥ずかしい──なぎさはそう考えずにはいられ
ない。無垢ゆえに想い、そして悩む。この、思春期の突き上げてくるような衝動を、彼女が
理解するのは、ずっと先のこと。今はまだ、自慰をする度に悔やむ、純情な乙女なのだ。
一見、ボーイッシュで活発ななぎさではあったが、恋に関しては非常に奥手なのである。
「先輩・・・おやすみなさい・・・」
自慰後の気持ちよい疲労が、なぎさを眠りに誘う。本心を言えば、別に抱かれなくとも、藤村
省吾と共に時間を過ごせれば、それだけで楽しい──そう思っているなぎさは、夢の中でも
彼に会いたいと願い、枕を抱くのであった。
「ひぎいッ!」
同じ頃、ほのかの女穴には、忠太郎の肉棒がめり込んでいた。見るもおぞましい畜生の
赤らんだ性器が、である。肉棒はぐいぐいと奥まで嵌まり込み、ちょっとやそっとじゃ、抜け
そうにない。そして、忠太郎が身を揺するたびに、ほのかは声を詰まらせて、哭いた。
「くくッ・・・す、すごい・・こぶが・・ああ・・抜けない・・」
膣内に、愛犬の子種が注がれている──ほのかはその状況に狂喜した。忠太郎の肉棒
からは、断続的に射精が行われている。その上、肉棒の根元にあるこぶを膨らませ、ほの
かの膣口にがっちりと食い込ませてあった。まるっきり、犬の交尾──今の二匹の状態は、
まさにそんな感じである。
「ハッ、ハッ・・・」
息を荒げているのは、何もほのかだけではない。忠太郎もまた、メスを犯す快楽に酔って
いた。ご主人様であるほのかを突き倒し、後ろから問答無用に貫く──忠太郎は、そうして
オスの本能のみを猛らせていた。
「クウゥ〜ン・・・」
ほのかが従順な事に安心したのか、忠太郎は肉棒の抽送をやめ、体をくるりと入れ替えた。
ちょうど、ほのかと忠太郎が、互いの尻をくっつけるような形となる。
「ああ、引きずられちゃう・・・」
忠太郎が、部屋の襖へと歩き始めた。ほのかを己の伴侶と認め、寝屋に導くためである。
ほのかはこの瞬間、人から獣へ転落した自分にあてられ、絶望に似た絶頂を味わう。犬の
褥へ連れ込まれる自分という存在が、どうにも卑しく淫らに感じるのである。
「ま、待って、忠太郎・・・あそこが・・・」
女穴の中で膨らんだこぶが、離れる事を許してくれない。目いっぱい膨れた肉棒の根元は、
相変わらずほのかの膣口で引っかかり、とても抜けそうになかった。この痛痒感も、ほのか
にとっては、醍醐味となる。
「ああ・・・ひ、引きずられるうッ・・・」
忠太郎は器用に襖を開け、縁側へと出た。もちろん、ほのかは一緒についていかざるを得
ない。彼の肉棒の支配下に置かれた今、抗う事は許されなかったのだ。
「や・・・いや・・・あそこが飛び出しそう・・・」
ずるずると庭まで引きずられるほのかは、異常な快楽の中で天を仰ぐ。中秋の夜空は意外
と明るく、都心にありながら星も美しく見えた。その下で、自分は愛犬に犯されていると考え
ると、またもやたまらない気持ちになってしまう。
「少し意地悪してあげよう」
庭の土にまみれたとき、ほのかは僅かな抗いを試みた。大地に爪を立て、踏ん張ったので
ある。すると──
「グルル・・・」
忠太郎は低く唸りながら、再びほのかの背に乗った。
「うぐぐッ!」
なるべく声を潜め、ほのかはねじ込まれる肉棒の感触に浸った。自宅の敷地内とはいえ、
野外で犬と交わる女──その背徳感が、ほのかの被虐心をいたぶってくれる。
「さ、最高・・・ああッ!」
幾度目かの絶頂は、忠太郎に肩を甘噛みされた時にやってきた。そして、ほのかは快楽
の波に自我を攫われぬよう、懸命に耐える。その間にも、忠太郎の肉棒からは、止め処なく
粘液が放たれ続けていた・・・・・
翌朝は、秋晴れの涼やかな日であった。ベローネ学院への道筋には、ふたなりプリキュア
や、彼女たちの級友の姿もある。誰もが穏やかな表情で、若々しさに溢れていた。
「ほのかは、好きな人いないの?」
「別に」
「それじゃ駄目だよ。あたしたち、花の女子中学生なんだから、恋しなきゃ」
なぎさがほのかへ向かって、恋についての心構えを説いている。自らは藤村省吾への恋心
を秘しながら、親友を慮っているのだ。
「そうね、うふふ」
なぎさの心遣いが嬉しい。ほのかは、この親友の性格が好きである。少々、お調子者ではあ
るが、男の子のような気安さと、女の子の心を持つなぎさが、心底、愛しいと思う。
「その点、あたしなんかもう、男の子をとっかえひっかえ・・・」
鼻の穴を膨らませ、自信たっぷりになぎさが語りだした。もちろん、彼女の創作である。そん
な、男を手玉に取れる性格であれば、藤村省吾に恋焦がれたままになっている訳がない。
しかし、ほのかは反論はしなかった。
「あっ、藤村君だ」
語るなぎさの背後を指差しながら、ほのかが呟いた。その瞬間、なぎさの動きが止まり、
体は固まってしまう。憧れの藤村が背後に──?なぎさが、恐る恐る、首を後ろへ向け
ると・・・誰も居ない。
「なーんちゃって、ね」
そう言って、ぺろりと舌を出し、ウインクをするほのか。なぎさの背後に藤村はいなかった。
いよいよ饒舌になったなぎさへ、ほのかが冷や水を浴びせたのである。
「ひどい、ほのか!」
「うふふ。そんな純情で、男の子を引っかけることが出来るのかしら?」
ふたなりプリキュアの両名は、互いにもつれ合うように駆け出した。ほのかが逃げ、なぎさ
が追う。どちらも穏やかな笑顔で、匂い立つような香りを撒き散らしながら──
「こら、待て!ほのか」
「いやよ、待たないわ」
きゃあきゃあとはしゃぎながら、ふたなりプリキュアはベローネ学院へ向かっていく。その間、
二人は不思議なくらい笑い続け、睦み合った。今はまだ蕾だが、いずれ大輪の花咲く乙女
たちは、こうして美しい青春を紡ぎ、少しずつ大人になっていくのであった・・・
おしまい