ある秋の週末、雪城家の台所は青臭い女子中学生の熱気と、微妙に芽生え  
てきたお色気で、むんむんと盛り上がっていた。そこには、ほのかとなぎさ。  
それに、莉奈がいて、志穂とゆりこもいる。まさに、君たちがいて、僕がいる。  
なんやそれ、ワキゲ剃れ・・・そんな感じであった。  
 
「肉じゃがで駄洒落をひとつ。ニック・ジャガー」  
なぎさが、じゃがいもの皮を剥きながら、軽くジャブを放つ。やはりこの娘、物事  
を力ずくで解決する性分のようだ。  
「なぎさ、手元を狂わせないでよ」  
なんとかに刃物。という言葉は胸にとどめて、ほのかは苦笑い。料理が不得手  
な親友を、慮っている。日ごろから、料理をしている自分と違い、なぎさの手つき  
は、どうも危なっかしく見えるのだ。もっとも、なぎさ自身は、  
「あたしは、料理は食べるだけ」  
と、嘯くだけであったのだが。  
 
「莉奈、パンティ脱げ!」  
「あはは!やめろって、なぎさァ・・・」  
食べるが専門と言い切るだけあって、料理に飽きたなぎさは、もうおふざけモード。  
莉奈たちと共に、野菜を使ったいけない遊びに耽り始めている。  
「覚悟しろ、莉奈。お尻にキュウリを入れてやる。もろきゅうだ」  
「いやーん」  
なぎさが覆い被さるようにして、莉奈の背後を取った。そして、彼女のパンティを  
引き毟った後、おもむろにアヌスへキュウリを挿入。みそがこってりと効いた、もろ  
きゅうの出来上がりである。  
 
雪城家に、夜が迫っていた。時計の針は宵を示す時刻を指し、外界は  
静寂が支配している。ほのかとなぎさは、ベッドの上で手を重ねて、横  
たわっていた。  
「莉奈たちも、泊まれば良かったのにね」  
「なぎさが、あんまり無茶するからでしょ。可愛そうに、みんなアソコとお  
尻抑えて帰っていったわよ」  
 
当初、宿泊するつもりだったズッコケ三人組は、野菜プレイの興に乗った  
なぎさのせいで、帰宅を余儀なくされていた。莉奈はアヌスにキュウリで、  
もろきゅう。志穂はアソコにナスを入れられて、即席の浅漬けを作らされ、  
生理中だったゆりこは、アソコに蕪を突っ込まれて、しば漬けを──  
その結果、ズッコケ三人組は口を揃えて、君とは漫才やっとれんわ!と  
言い放ち、雪城邸を後にしていた。とてもではないが、テンションの高い  
なぎさに、一晩付き合えるほどの気力がなかったのだ。  
 
「静かだね・・・」  
「ウン」  
なぎさが、ほのかの手を強く握る。二人は今、ふたなりプリキュァとなった  
いきさつを、思い返していた。  
「同じクラスだったけど、あんまりあたしたち、話した事なかったもんね」  
と、なぎさが言えば、  
「そうね。でも、気になってはいたんだよ」  
と、ほのかが返す。以前と違って、今の二人に遠慮はいらない。だから、  
話しにくい事もつい、口から出てしまう。  
 
「キリヤ君の事・・・思い出してるの?」  
なぎさが問い掛けると、ほのかは遠い目をして、一瞬だけ眉をしかめた。  
あの日、キリヤが闇へ溶けていったのは、それほど遠い思い出ではない。  
なのに、随分と昔の出来事のような気がするのが、ほのかには不思議で  
ならない。  
 
(キリヤ君か・・・)  
泣いて、泣いて、泣きはらした目を、誰にも見られたくなくて、一人で夜に  
蹲る日もあった。裂けそうで、張り裂けそうな心を受け止めて貰うために、忠  
太郎を褥にもいざなった時もある。それほど思いつめたのに、今の自分は何  
事も無かったように過ごしている──ほのかは、この矛盾するような気持ち  
に、納得がいかない。もっとも、いくら考えたところで、答えが出るわけでも  
ない事も、理解している。  
 
「ごめん!」  
身を起こし、なぎさは叫んだ。ほのかが、悲しみに引きずられている事に、  
気が付いたのだ。  
「いいの」  
心配顔のなぎさを、ほのかが優しく見遣った。問い掛けたなぎさに、悪気が  
ない事を、分かっている。  
「ずっと、一緒だから!あたしは・・・」  
胸に手を当て、誓いを立てるなぎさ。ずっと、一緒──その言葉には、親友  
を想う、力強く真摯な気持ちの裏づけがあった。  
 
「闇の力が、近づいている・・・」  
雪城邸の上空を、怪しい気配が覆っていた。それを、庭で寝ていた  
忠太郎は、いち早く察知して、吼えた。上記のセリフは、その意訳。  
「ほのかたちの身に、何かが起こってる」  
忠太郎は小屋から這い出て、ほのかの自室へと向かう。彼女たちに、  
危険が迫っている事を伝えるためにだ。すると──  
 
「あ〜ん・・・フジピー先輩が、木馬に乗ってあたしを迎えに来てくれた  
あ・・・にひひ・・・」  
「一度、こんな屋外で、露出プレイをしたかったんだ。ウフフ・・・」  
・・・忠太郎の目に、寝巻きを着崩し、身悶えるふたなりプリキュァの姿  
が飛び込んできた。どうやら、何者かが二人の夢をコントロールし、幻  
を見せている模様。  
 
「いかん!起きるんだ、ふたりとも」  
忠太郎は、ほのかとなぎさの体に覆い被さり、体を揺さぶって懸命に起  
こそうとする。しかし、両名とも眠りが深くて、目が覚めそうにない。  
「仕方がない。この手は使いたくなかったが・・・」  
ならばと、左手に嵌めてあった手袋を取る忠太郎。すると、なんという  
事か、そこには見るも禍々しい鬼の手が!  
「俺の生徒に手を出すやつは、許さん!」  
急に眉毛が太くなり、凛々しい顔立ちになる置鮎忠太郎。いや、地獄先生  
ちゅ〜べ〜・・・ス、スイマセン・・・・・  
 
「美墨さん、さあ、脱いで」  
「あは〜ん・・・先輩ったら、積極的ぃ・・・」  
白馬ではなく、木馬に乗った王子様こと、藤村省吾がなぎさを押し倒し  
ている。もちろん、これは夢の中でのお話。そこからちょっと離れた場所  
では、実験で使う白衣の前をはだけたほのかが、衆人環視の中で露出  
行為を愉しんでいた。  
 
「ハア、ハア・・・見られるって・・・たまらない」  
白衣の下は素っ裸。ほのかはその格好で、何十人という異性の前で  
肌を晒して、息遣いを荒くさせている。これも、夢の中にあっては、何の  
問題もない。ノー・プラモデルといっていいだろう。そして、その夢を見さ  
せている張本人はというと・・・  
 
「なんだかなあ」  
三島平八頭の新たなる闇の使者──も、さすがに呆れ顔だった。夢の  
中で戦いを挑めば、ふたなりプリキュアは変身が出来ないだろうと踏ん  
で、事に及んだはいいが、彼女たちはこの状況を楽しんじゃっていた。  
「あッ、ダメ・・・先輩」  
なぎさが、こってりと藤村省吾に可愛がられている。また、ほのかも、  
「みなさん・・・あ、あたしのオマOコ・・・もっと、近くで見てください・・・」  
・・・と、露出趣味を満足させている。そうなれば、平八頭は面白く無い。  
 
「帰ろうかな・・・」  
あのふるさとへ・・・と、決めるつもりだった平八頭。そこへ、鬼の手が  
急襲した。  
 
「俺の生徒は、俺が守る!」  
まさに一閃。地獄先生ちゅ〜べ〜こと、忠太郎は鬼の手で平八頭を  
薙いだ。哀れ、平八頭は吹っ飛び、そのまま夢の外へ弾き出される。  
「ギャー!ハヒフヘホー・・・」  
アッコにおまかせ!そんな感じで、闇の使者は消えていった。  
 
「う・・・ん」  
まず、眠りから覚めたのは、ほのかだった。彼女は、自分に圧し掛かる  
誰かの重みのせいで、なぎさよりも早く目覚めてしまったのである。その、  
誰かとは、ほのかもお馴染み、毛深いあのお方・・・  
「ちゅ、忠太郎!」  
「ワン」  
そう、忠太郎が、パンティを食いちぎり、ほのかに覆い被さっていたのだ。  
もちろん、毛袋からは忌まわしい男根を剥き出し、ほのかの胎内へ捻じ  
込みつつ。  
 
「やめて、なぎさが来てるのよ」  
「ワン(意訳・構う事はないさ。見せ付けてやろうよ)」  
ほのかが窘めても、どこ吹く風の忠太郎。男根の根元のこぶを膨らませ、  
ほのかの女穴をぎりぎりと苛んでいく。  
「ああ・・・お願い、いい子だから、やめて・・・」  
正常位で犯されるほのか。相手は、いくら気心が知れているとはいえ、  
畜生である。もし、こんな所をなぎさに見られたら・・・そう思うと、気が気で  
はない。  
 
(ウッ、ウッ、ウッ・・・早く終わって・・)  
ほのかは体位を変え、背後から貫かれる形を取っていた。声を押し殺し、  
なぎさが目覚める前に、忠太郎が満足してくれるのを、ただ待つ。  
「クウ〜ン、クウ〜ン・・・」  
飼主の心、犬知らず。忠太郎は、焦るほのかをよそに、相変わらず男根の  
こぶを膨らませ、ちびた射精を続けている。と、その時だった──  
 
「あ、ああッ?」  
という、なぎさの驚嘆する声が、ほのかの耳へ届いた。アット、ラスト。つい  
に、ほのかは知られてしまった。なぎさに、親友に、知られてはいけない、  
禁忌の交わりの事を──  
「ワン(意訳・よお、ようやくお目覚めかい?ボーイッシュなお嬢ちゃん)」  
忠太郎は前足を振って、イイ顔をしてみせた。地獄先生が時たま見せる、  
あの表情である。  
「ああ・・・なぎさ・・・あなたにだけは・・・知られたくなかった・・・」  
がくり、とこうべを垂れるほのか。これで、ふたなりプリキュアは終わりか。  
そんな思いが、脳裏を過ぎる。  
 
「じゅ、獣姦・・・?ほ、ほのかと・・・忠太郎が・・・そんな仲だったなんて・・・」  
さすがにこれには顔を青ざめたなぎさ。しかし、一瞬心がよろめきはしたが、  
すぐに思い直した表情を見せた。ほのかが、涙を流していたからである。  
 
「ずっと、一緒だって言ったでしょ?ほのか」  
「なぎさ・・・?」  
犯されているほのかの横へ、なぎさは同じように尻を並べ、寝巻きと  
パンティを膝まで下ろした。そして、手を固く握り合う──  
 
「忠太郎、おいで」  
なぎさが尻を揺すって、忠太郎を誘う。ここまでくれば、もう説明は無  
用の事であろう。その姿を見て忠太郎が、のっそりと動いた。ほのか  
の柔らかな肉体も良いが、なぎさの引き締まった体にも、食指をそそ  
られるしい。手っ取り早く言うと、女房と畳は・・・の、アレ。  
「なぎさ・・・」  
頬に幾筋もの涙の跡を光らせ、呟くほのか。まさか、親友も同じ道を  
辿ろうというのか──そんな、期待と不安が、心の中で嵐と化している。  
 
「アーッ・・・」  
忠太郎の腰が、なぎさの尻に乗った。ミシリ・・・と、部屋の梁が訳も無く  
軋む。ほのかは、親友の手を固く握り返した。  
「ありがとう、なぎさ。いつまでも、一緒だよ」  
「うん、ほのか・・・」  
かくして、ふたなりプリキュアの両名は、犬のお嫁さんとなる。しかし、互  
いの絆はいっそう深まり、絡み合うのであった。  
 
おしまい  
 

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