世間様とは少し暦がずれているが、ベローネ学院は今日が一学期の終業式。三年桜組  
では、まいっちんぐよし美先生が成績表を渡している所である。  
「美墨さん」  
「・・・はーい」  
名前を呼ばれたなぎさは、とぼとぼとよし美のもとへ向かった。いつもの元気が無いのは、  
成績が芳しくないという予想がついているからである。  
 
「部活もいいけど、勉強の方も・・・もうちょっと、頑張ってね」  
よし美の頬がひきつっている。それほど、成績はまずいのだろうか。なぎさは恐る恐る成績  
表を見た。はたしてその結果は──  
「ぐわ〜ん!さ、下がってる!ありえない!」  
体育を除くすべての教科が、1か2。なぎさの成績表は、イチ、ニ、イチ、ニと、まるで運動会  
の掛け声のような有り様だった。予想はしていたが、いくらなんでもこれはひどい。なぎさは  
うなだれた。  
 
「お母さんに怒られちゃうよ」  
これを見たら、理恵ママはきっと頭から角を出すだろう。なぎさは今から怒られた時のため  
のシミュレーションを始める事にした。言い訳をたくさん考えて、理恵ママの怒りを和らげる  
作戦である。もちろんそんな事を策すよりも、日頃から真面目に勉強をするべきなのは言う  
までも無いが、それはさておく。  
 
午後二時を過ぎた頃、よし美はある割烹旅館の中にいた。毎年、ベローネ学院の教職員  
たちは、終業式の日に慰労会を催しており、よし美はその会場に来ているのだ。  
 
「あ、あなた。よし美です。今日はちょっと帰りが遅くなりそうだから、お夕飯は適当に済ま  
せてね」  
慰労会は酒肴をまじえた物になるので、いつも帰宅は遅くなる。よし美はあらかじめ、夫に  
電話をしてそれを伝えていた。まだ新婚さんなので、お互いの所在が気になるのだ。  
「竹ノ内先生、そろそろお席へ」  
「はい」  
教頭の米槻が酒宴の席へ招くと、よし美は憂い顔を見せた。あまり気乗りがしない。彼女  
は暗にそう言っているようだった。  
 
 
慰労会は旅館の大広間を借り切って行われる。教職員は皆、浴衣に着替えてくつろいで  
いた。  
「今年も一学期を無事に終えました。乾杯」  
まずは、校長の音頭で乾杯。よし美も浴衣の袖を押さえ、品良くビールのグラスを持ち上  
げた。そして、皆がグラスを一気に干す。  
「うまい」  
「うふふ。お昼からビールなんて頂いて、なんだか悪いわね」  
一息ついた後、酒宴はわっと賑わった。誰もが目の前にある酒肴を口にし、相好を崩し始  
める。  
 
「ふう・・・」  
大して酒が強いわけでもないよし美は、一杯のビールですぐに頬を染めた。とろんと伏し  
目がちになり、肩の力を抜いて足を崩すと、いい気分になる。  
 
「やあ、竹ノ内先生、色っぽいですな」  
「まあ、ご冗談を」  
「いや、結婚をなされて、よりいっそう美しくなられた。本当ですよ」  
同じ学年を担当する中年教師が、そんな戯言を言った。もともと和風美人のよし美は、少し  
まぶたが下がると素晴らしく色っぽくなる。それに加え、今は人の妻という身でもある。僅か  
に開いた浴衣のあわせからのぞく白い肌が、中年教師にはなんとも悩ましくて仕方がない  
のであろう。自分も満更じゃない。よし美がそう思っていると・・・  
 
「竹ノ内先生、ちょっとよろしいですか」  
「あ、教頭先生・・・」  
いつの間にか背後に米槻がいた。彼は慰労会の幹事という立場にあってか、あまり飲んで  
いないようだった。神経質な性格が、こんな所にも出ている。  
「何かご用ですか?」  
「・・・地域のお偉いさんや、わが校に多大な寄付をして頂いている、財界の方々が別の間に  
控えておられます。竹ノ内先生、ご挨拶に行って頂けませんか」  
米槻はそっと耳打ちをした後、よし美の傍を離れた。行って頂けませんか、と尋ねておいて、  
その実、有無を言わさぬ態度である。要するに、他の間で行われている酒宴に、ホステスと  
して顔を出せ、と言っているのだ。  
 
「教頭先生」  
「なんです?」  
米槻が二、三歩足を進めた所で、よし美が追い縋る。紅潮した顔に、困惑の色が浮かん  
でいた。  
 
「・・・あたしは、もう人妻です。ご挨拶は他の先生じゃ、駄目なんですか?」  
この言葉を聴いた米槻は、メガネのつるをいじりながら、にべも無く言った。  
「あちら様のご要望なんです。竹ノ内先生、ひとつよしなに」  
ぐっと声を詰まらせるよし美。自分はホステスじゃない。よっぽどそう言ってやりたかった。  
しかし──  
「・・・分かりました」  
「感謝します。場所はいつもの奥座敷ですから・・・」  
言い争うだけ無駄だ。よし美はそう思った。そして盛り上がる宴会場をそっと抜け出し、指  
定された部屋へと向かう。  
 
(これも、ベローネ学院の女教師に課されたさだめ・・・かな)  
廊下ですれ違う女中たちが、よし美を気の毒そうに見た。どうやら奥座敷では、相当な乱痴  
気騒ぎが行われているらしい。そこへ向かう若い女が、どんな目に遭うのだろう。女中たち  
は、きっとそんな事を考えているに違いない。よし美は少し、自嘲気味になった。  
 
「竹ノ内よし美です。失礼します」  
奥座敷に着いたよし美は、まず部屋の前で三つ指をついた。それから、頭は下げたまま  
で、そっと障子を開ける。  
「おお、良く来たな、よし美くん。さあ、入りたまえ」  
この声には聞き覚えがあった。確か、地元の代議士で何かとベローネ学院に便宜を図っ  
てくれる腹黒雅夫だ。もう六十を過ぎているのに、女を囲っているという噂の絶えぬ下衆  
である。そんな男が、才媛と名高い女教師を、無遠慮に手招きしている。薄汚い。よし美は  
心の中で腹黒を罵りながら、座敷に上がった。  
 
「お邪魔いたします・・・あッ!」  
すーっと頭の血が下がっていくような感覚がよし美を襲った。何故ならば腹黒以下、複数  
の男たちが皆、一糸まとわぬ姿で居たからだ。しかもその傍らには、コンパニオンのような  
女が座っている。これも真っ裸だ。更に、全員が一目見て分かるような、泥酔状態。これに  
驚かぬ者は、そうは居ないだろう。  
「久しぶりに見るな。元気だったか?」  
「ええ、おかげさまで」  
よし美はまず、上座に居る腹黒の前へ直った。見たくも無い老醜ぶりだったが、よし美はつ  
とめてにこやかに振舞うのであった。  
 
「結婚したそうだな」  
「いい女になったじゃないか。初々しさは消えたけどな」  
大きなテーブルに中年ないし、老年の男が五人もいる。皆、孫のような女を傍らに置き、一  
端の男前を気取っているつもりなのか、よし美を見る目がふてぶてしい。  
 
「よし、お前ら、下がっていいぞ」  
腹黒がコンパニオンに金を渡し、帰れと命じた。するとコンパニオンは脱いだ服を着て、  
さっさと座敷から出て行った。そして残されたのは、全裸の男たちと浴衣姿のよし美の  
みとなる。  
「まずは一献」  
「いただきます」  
腹黒が差し出すお銚子を受け取り、よし美は一気に杯を干した。無駄に高い日本酒は、  
人妻でありながら、ホステスまがいの事をやらねばならない女教師の心を焼いた。  
 
「おいしゅうございました。さあ、ご返杯」  
「うむ。その前に」  
腹黒がよし美の肩を抱いた。そして、有無を言わさずに唇を奪う。  
「おお、先生。お気の早い事で」  
「まだまだお若いですな」  
同席している男たちが、口々にはやしたてる。その間にもよし美は、畳の上に押し倒され  
かねない勢いで、腹黒に圧し掛かられていた。  
 
「ああん・・・」  
畳の青い匂いを嗅ぎながら、よし美は喘ぐ。腹黒の手が、浴衣の前合わせから中へ忍び  
込み、生の乳房を揉んでいたのだ。  
「大きくなったような気がするが、亭主には可愛がられておるのか」  
「まずまずですわ・・・あんッ!」  
乳首が力任せに捻り上げられた。腹黒の嫉妬心を煽ったか──よし美は、目を閉じて、  
この場のなりゆきに身を任せる事にした。  
 
ぼんやりと行灯が室内を照らしていた。ここは奥座敷の横にある寝間である。部屋の  
真ん中には一組の布団が敷いてあって、よし美はその上に大の字となって寝転がされ  
ていた。  
 
「んッ・・・んッ・・・んんッ!」  
両手足を男たちに押さえつけられ、よし美は犯されていた。犯しているのは、腹黒であ  
る。野太い男根が胎内に出入りするたび、よし美はたっぷりと脂の乗った体を揺すって  
は、低いため息を漏らした。  
「人妻とは思えんほど、きれいなアソコだ。旦那は淡白なのか」  
「惜しいですな。これほどの体なのに」  
めくれあがった女肉を見て、男たちは色めき立つ。眉目秀麗を絵に描いたような女教師が  
醜い腹黒に犯されている。それだけでも興奮するのに、よし美の女は童女のように美しい  
のだ。それが無残に嬲られる様は、ここにいる男たちの獣欲の火に、油を注いでくれる。  
 
「ああ──ッ!腹黒先生・・・も、もう・・・」  
きりきりと歯噛みをするよし美。男を知る人妻ゆえに、たとえ相手が腹黒のような老醜でも  
体の方が感じてしまう。その上、他の男たちによって、よし美の乳房や乳首、そしてクリトリ  
スに至るまで、急所という急所は責められていた。  
「いくんじゃな。さあ、いけ、よし美!わしの子種もくれてやる」  
「ああッ!イッ、イクッ!いやあ───ッ・・・」  
押さえつけられて犯されるという事が、よし美の被虐心を焚きつける。男根を奥深くまで突  
き込まれた瞬間、よし美は達した。そして次の刹那、腹黒は薄汚い男汁を膣内で放ったの  
であった。  
 
「次は私の番だ。よし美くん」  
「ああ・・・また犯されるのね」  
腹黒が精を放つと、同席していた男たちがお流れを頂戴する形となった。よし美は布団に  
這わされ、薄めの唇と女穴、そしてアヌスでも男たちを咥え込んだ。  
 
「この姿、旦那が見たらどう思うのかな」  
「ビデオにでも撮って、よし美くんの家へ送りつけてやりましょうか」  
「そうだな。亭主と別れたら、わしらの性奴隷になればいい。そうしましょうか」  
男たちは容赦なくよし美の心まで犯した。夫ある身でこのような事をしている女教師を、更  
に貶めてやりたい。誰もが、そんな顔をしている。  
 
「そ・・・それだけは、許してください」  
アヌスを男根で貫かれながら、よし美は哀願した。男運が無かった自分が、やっとつかんだ  
幸せ。それを手放したくはなかった。  
「だったら、せいぜい腰を振るんだ、よし美。そして、私は皆様の肉便器だと誓え」  
「ああッ!わ、私は皆様の・・・肉・・便器です。誓います!」  
頭を垂れて誓いを立てたよし美のアヌスに、男汁が放たれた。その温みを感じると、よし美は  
絶望と僅かな期待を得る。犯し抜かれたい──声には出さなかったが、そう思った。  
 
 
75 名前:フリチラ 投稿日:2005/07/11(月) 19:22:40 ID:GSTAjPZJ 
更に時は流れ、ベローネ学院の慰労会は終わりに近づいていた。会場はすでに酒肴も  
下げられ、校長が締めの言葉を述べた所である。  
「さあ、帰りましょうか。バスを待たせてあります」  
米槻が先頭を切って旅館を出ると、一人の教師がよし美の姿が無いことに気づいて、声  
を上げた。  
 
「教頭、竹ノ内先生がいませんけど」  
「ああ、竹ノ内先生ならタクシーでお帰りになりましたよ。なんでも用があるとかで」  
「そうだったんですか」  
皆、頭に酒が残っているので、思考能力が働かない。だから、よし美がここに居ない事に  
何の疑念も持たなかった。そして、よし美はというと・・・  
 
「一番!竹ノ内よし美、歌います!曲は、ふたりはプリキュア、セックス・ハード・バージョ  
ンで!」  
あの奥座敷では、いまだに酒宴が続いていた。今、よし美はテーブルの上に乗って、スト  
リッパーよろしく腰をくねらせ、踊っている所である。  
「セックス・ハード!」  
どこから持ってきたのか、カラオケのマイクを持って歌い始めるよし美。その周りを、腹黒  
を始め老醜どもが集まっていた。  
 
♪ ひと晩ヤッて またひと晩 ぶっかけあり得ない(セックス・ハード)  
  制服着てるとムラムラ ふたりは百合ダチ(セックス・ハード)  
 
  お互いパンツを取り替えるたび すごく エロく なるね(セッ・・クス・ハード・YEAH!)  
    
  ユア・ペニス・マイ・ペニス イッてるんだから オッパイなんて メじゃない  
  笑うサドに 服着ざるでしょ 根スケベだって 吹っ飛ぶ  
 
  命の穴 咲かせて思い切り もっとヤリヤリ! (以下、割愛)  
 
 
「いいぞ、よし美くん!」  
「ブラボー!ハラショー!」  
男たちは拍手喝采でよし美を称えた。もう、訳が分からない。まるでマンガのノリである。  
「ありがとうございます!」  
称賛にVサインで応えるよし美。こちらも何か吹っ切れたようだった。ここまで来たら怖いも  
ん無し。何でもやれる。この人妻女教師は、そう思ったという。  
そして時を同じくして、タコカフェでは・・・  
 
「なぎさ、あんた九時半からやってるマイメロディって知ってる?」  
タコツボ姉さんこと、藤田アカネがたこ焼き片手にそんな事を聞いていた。  
 
「ええ、他局だけど見てますよ。可愛くて面白いし」  
「あそこのお父さんさあ・・・あんたのお父さんとかぶってんのよね。チンコの事じゃなくて  
キャラ的に。あっちも寒い駄洒落を連発する、悲しき中年オヤジなのよ」  
岳パパ危うし。他局から刺客が放たれているぞ。  
 
「でも、うちのお父さんの方が、一日の長がありますから・・・あっちは男が少ないし、近親  
モノはほとんど百合に限定されるし、ショタっ気もないから大丈夫ですよ」  
なぎさはたこ焼きを三個も一度に食べながら言う。バランスならこっちの方が上。そう思っ  
ていた。しかし、ほのかは不安そうな顔で、アカネの側に回った。  
 
「でも、安穏とはしてられないかも。ゾイドのこともあるしテコ入れを図りたいわね」  
来月にはお祭りがある。落とすやつ、喚くやつ、泣くやつ、真っ白な本を出すやつ、ホーム  
ページでゴメンナサイと謝るやつ・・・ほのかとなぎさにの頭には、そんな修羅場が浮かぶ。  
「夏だねえ・・・」  
アカネがトレーを手にワゴンへ戻った。それと入れ替わるように、ひかりが座に加わる。  
「今年は、あたしもおかしな目に遭うんでしょうね」  
「まあ、ひかりは間違いなく受けよ。あたしが保証する。ね、ほのか」  
「鉄板よ。そうじゃなかったら、世間様が納得しないわ」  
そう言って、三人は固く手を取り合った。負けられない戦いが待っている。ちなみにこの時、  
なぎさはルミナスのバトンは、布団ばさみにそっくりだなんて考えていた。  
 
おしまい  
 

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