「あ、あなたは……」  
 青年は、その柔和な表情を崩さぬままにキュアブロッサムに歩み寄り、そっと抱き寄せた。  
「え、えっ……あのっ」  
 彼は真っ赤な顔の少女の髪を掬い、そのまま頬に手を当てた。  
「あ……んっ」  
 ブロッサムの驚きの声は、唇ごと封じられた。  
 
 ファーストキスは、レモンの味と漫画かなにかで読んだ気がする。  
けれど、これはもっともっと甘く、胸がどきどきする初めての味。  
 
「ぁんっ……んむはっ……ぅ」  
 熱い何かが口の中をぬめぬめと絡め取っていく。  
それが彼の舌だなんて、純粋無垢な少女には分からない。  
理解できない感覚に、翻弄され動くことさえままならない。  
唇が離れても、少女はぼんやりと青年の腕にもたれていた。  
 
「やっ、だ、駄目、駄目ですっ……!」  
 ひやりとした感覚に、漸く彼女は覚醒する。  
青年の手が、キュアブロッサムの花のドレスを一枚ずつ散らして、つぼみを晒していく。  
彼女が剥き出しの身体を隠そうとしても、柔らかに絡み取られてしまう。  
 
「はぅう、み、見ないでくださいぃ……」  
 ずっと変わらない優しげな微笑。  
それを見ていると、つぼみは何故かこちらが悪いのではと罪悪感を覚えた。  
動きが鈍る。こうして、花園は開かれてしまう。  
 
「……」  
「え……ひゃっ、やめて、やめてぇ……く、ください……っ」  
 彼が触れたのは、つぼみの胸に実る小さなつぼみ。  
大きな手のひらですっぽりと覆い、その膨らみをくにゅりと優しく潰す。  
「ひっ……やだ、なんでこんな」  
 逃れようとしても、か細い身体は少しも動いてくれない。  
 
「んっ、やぁ……あ、だめ、いやぁ……」  
 円を描くように中心に向かって揉みしだく。羞恥につぼみは戦慄いた。  
「ひ、あっ……ッ、?だ、めぇ……」  
 だが、指先の感触に少しずつ、新しい感覚が乗っていく。  
「や、ンっ、ひあぅ……っ、ひゃぁあっ!」  
 甘さの混じった声が漏れ始めた頃。  
先端に実った桜色の果実を親指で扱かれ、少女は強い快感に声を抑えきれない。  
 
「ぅ?あ。やだ、やめて、そんなとこ駄目ですっ……」  
 身体への優しい感触に酔っていたつぼみだったが、いよいよその最奥に手が伸びた瞬間、我に返った。  
けれど、もう遅い。彼は薄い茂りを辿ると、少女の芽に口付けた。  
 
「ひゃぅうっ」  
 
 芽吹きを促すように、指が擦られる。  
じゅん、と痺れて蜜が滴り落ちていく。  
開花を待ち望むように。  
 
「んぁっ、あ、やぁあ……!」  
 少女の甘やかな声が、花園に木霊した。  
 
「お、起きるですぅうう……、み、耳がつまって動けませぇええんん」  
「大丈夫ですか、コフレぇ」  
「うきゅっ?な、なんだか生温かくなってきたですよ!?」  
「え……ま、まさか!」  
「まさかです!?」  
 
「「キュアフラワーにおねしょの報告です〜!!」」  
 
 その日の夕食はお赤飯でした。  
 

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