私、花咲つぼみ。中学2年生です。  
鎌倉から希望ヶ花市に引っ越してきました。  
性格は恥ずかしがり屋で引っ込み思案。  
転校を機会に、この性格を直そうと思ってたんですけど…  
世の中そんなに甘くありませんでした……。  
 
「お前か、転校してきた奴って。」  
「新入りはなあ、俺達に挨拶しなくちゃいけねえ決まりなんだよ!」  
「おら、金出せや、金!」  
放課後、私は早速、校舎裏で三人組の不良さんに絡まれてしまいました。  
わかってるんです。私が悪いんです。  
私がオドオドしてるから、目をつけられちゃうんです。  
 
「あ、あのぉ…今日はお金持ってなくて…」  
「ああん!?声が小さくて聞こえねえぞ!」  
「ひっ!…ご、ごめんなさい……。」  
これも私が悪いんです。大きな声で『お金持ってません!』って  
言えばいいのに、小さな声だから怒らせるんです。  
 
「嘘つくと、痛い目見るぞ、コラ!」  
「信用できねえな、身体検査するぞ!」  
「し、身体検査って……。」  
「服脱げよ、パンツまで全部だ!」  
「そ、そんな……。」  
「早くしろおっ!!」  
「は、はい……。」  
 
私は服を脱ぎ始めました。不良さんたちはニヤニヤしながら、眺めています。  
どうしてこうなっちゃうんでしょう。昔からそうでした。  
私が言い返せないものだから、みんな面白がって、色々させるんです。  
裸にされてプールで泳がされたり、犬の鎖をつけて散歩させられたり、  
ノーパンで逆上がりをやらされたり、あそこの毛を剃られたり……。  
そんな酷い事されても抵抗できない自分が嫌で、転校したら絶対に  
性格を変えようと思ってたのに…そう簡単に性格は変わりません……。  
 
「よーし、全部脱いだか。持ち物調べさせてもらうぜ。」  
「けっ、こいつ本当に1円も持ってねえよ。」  
不良さんたちは私が脱いだ制服や、下着を調べ始めました。  
あっ、やだ、パンツの匂いを嗅いだりしないでください……。  
「おい、体を隠すな、気をつけしてろ!」  
「は、はいぃ……。」  
 
真っ赤になって直立不動になる私の体を、不良さんたちはまさぐり始めました。  
「細っそいなあ。おっぱいも小っちぇえし。」  
「でもそれなりに柔らけえなあ。ほれ、モミモミ。」  
「おー、ここも綺麗なピンク色だ。間違いなく処女だな。」  
ひあっ……そ、そんなところに指入れないで……。  
でも逆らったらもっと酷いことされるんです。我慢しなきゃ、我慢…。  
 
「金持ってねえんじゃしょうがねえなあ。」  
「はい…だからもう…。」  
「体で払ってもらうしかねえな。ほれ、しゃぶりな。」  
不良さんの一人が、ズボンのチャックをおろして、おちんちんを出しました。  
「ひっ!そんな…。」  
「嫌なのか、おい!!」  
「わ、わかりました……。」  
私は観念して、おちんちんを口に咥えました。  
 
これが初めてじゃありません。前の学校でも、男の人は大抵最後には  
おちんちんを舐めろって言ってくるんです。  
イカせれば、そこで満足してくれるんですから。それで終わるなら…。  
「んっ、むう……ふぅ……んん……。」  
「おいおい、上手じゃねえか、気に入ったぜ!」  
不良さんは笑いながら、携帯で私の写真を取りまくります。  
お願い、早くイって…。  
 
「おお、そろそろイクぜ、んっ!」  
不良さんが私の頭をがっちり押さえると同時に、私の口の中に  
生温かく苦い液体が吐き出されました。  
「んっ!んんっ!」  
「口を放すなよ、全部飲み干せ!」  
私は言われるがままに、精液を飲み干しました。  
何回飲んでも、慣れる味ではありません。  
「ぐっ、げほっ!げほ、ごほっ!」  
私は激しくむせましたが、心の中ではようやく終わったと安心していました。  
が……。  
 
「こいつなかなかいけるぜ、一発出しただけじゃおさまらねえなあ。」  
「俺、下の口も味わってみてえよ。」  
「ばっか、こいつ貴重な処女だぞ。一番乗りはジャンケンだろ。」  
「そ、そんな……もう、許してください……。」  
「お前はもう俺たち専用肉便器決定な。逆らったらこの写真ばらまくぞ。」  
不良さんはさっき撮った、裸の私がおちんちんを咥えている写真を見せつけます。  
「い、いや…やめてください……本当に、許して……。」  
「だーめ!よし、ジャンケンするぞ!」  
どうして私ばかりこんな目に遭うんでしょう。私が何をしたっていうんですか。  
気が弱い私が悪いんでしょうか。そんな自分が嫌で…変えたかったのに…。  
駄目だ……私、やっぱり変われない……。  
 
 
その時でした。  
「あーっ、いたいた!おーい、つぼみー!!」  
え、この声は……えりかさん? ファッション部入部の誘いを断って逃げてきたのに、  
まだ私を捜していたんでしょうか? とにかく地獄に仏です。誰か助けを呼んで……  
 
って、なんでえりかさんまで裸なんですかーっ!?  
 
「もー、捜したよー、つぼみ。ファッション部で着替え中に逃げ出すなんてさー、  
ひどいじゃない。おかげでうっかり私も裸のままで出てきちゃったよー。  
まいったなー、あはははは!ささ、風邪ひくよ、早く戻ろ!」  
えりかさんは一気にまくし立てながら、私の脱いだ服を拾い、  
私の手を引っ張って、この場を去ろうとしました。  
でも不良さんがそんなの許すわけがありません。  
 
「おい、なんだ、この露出狂女。てめえも写真撮られてえのか?」  
「あらら、撮影会の最中とは、とんだ御無礼を! でも私の方が先約なのでー。」  
「ざけんなよ!お前から先に犯ってほしいようだな。」  
「あらー、そんな口聞いていいんですかぁ? 私を怒らせるとぉー…。」  
「怒らせるとなんだって、ああん!?」  
あわわ、えりかさん、そんなに不良さんたちを刺激しては…。  
でもえりかさんは、大きく息を吸うと、  
 
「きゃーーーーーーーーーーっ!!! チカーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!」  
 
全校に響くような大声で叫びました。す、凄い声!!  
 
「ば、バカ!なんて声出しやがる!」  
不良さんたちが動揺した隙を、えりかさんは見逃しませんでした。  
「つぼみ、今のうちだよっ!」  
えりかさんは私の手を引いて、一気に走り出しました。  
「くそっ、見つかるぞ、逃げろ!」  
不良さんたちも一目散に逃げていきます。  
私とえりかさんは、走って走って、物陰に逃げ込みました。  
えりかさんの服はここに隠してあったようです。  
私も服を着て、ようやく一息つきました。  
 
「あ、あの、助けてくれて、有難うございました。」  
「いいっていいって、あいつら有名なワルだからねー。  
 友達を助けるのは当然だって。」  
「とも……だち……?」  
「そーだよ。席がお隣で、一緒にお昼食べた仲なら、もう友達じゃん。」  
そういうものでしょうか? 引っ込み思案な私には、想像もつかない発想です。  
「で、でも、えりかさん…。」  
「なーに?」  
「助けていただいたのは有難いのですが…どうしてえりかさんまで  
 裸になる必要があったんですか?」  
 
「あはは、あれね。つぼみが裸でいじめられてるのに、助けに入る私が  
 服を着てたら、上から目線みたいで不公平じゃん。」  
「はあ……?」  
「ま、裸の付き合いってゆーか、『赤信号 みんなで脱げば 怖くない』ってゆーか…。」  
「はあ……??」   
「……勢いだよ、勢い! 特に理由なんかないでーす!」  
「ぷっ……うふふ、変なの…。」  
「あははは、そうだよねー、ちょっとサービスし過ぎちゃったかなー、あはははは!」  
「うふ、あはははは!」  
私とえりかさんは、顔を見合わせて大笑いしていました。  
確かにマイペースで、強引で、ちょっと私の苦手なタイプだったえりかさん。  
でも、恥かしい格好をしてまで私のことを助けに来てくれました。  
この子は私に無いものを一杯持ってる。  
この子と一緒なら、私、変われる気がします。いえ、きっと変われるに違いありません……。  
 
 
日がすっかり落ちかけている。三人組の不良は、息を切らせて体育用具倉庫の陰に逃げ込んだ。  
「全くあのガキャ、邪魔した上にデケぇ声出しやがって。」  
「まあいい、あいつは明日たっぷりヒィヒィ言わせてやるさ。」  
「いい肉便器ちゃんも手に入ったしな。」  
夕陽がちょうど地平線に沈んだ。それを合図にしたかのように、  
彼らの数メートル先に、一人の女生徒が現れた。  
見間違いだろうか。姿を見せたというより、突如、空中から出現したような……。  
 
この娘も転校生らしい。明堂学園の制服ではない、黒いセーラー服を着ている。  
怪我でもしているのか、左目に眼帯をつけていた。  
夕暮れの風が吹き、女生徒のミニスカートを翻す。  
中学生にはおよそ不似合いなガーターベルトが顔を見せた。しかも黒の下着はTバックだ。  
「おっ、ナイスショット!」  
不良の一人が、すかさずそれを写真に収め、女生徒に近づいた。  
「おいおい、転校したばかりかもしれねえが、これは校則違反だろうよ。」  
携帯の画面に写った、自分のTバックの写真を見せられても、女生徒は全く表情を変えない。  
一瞥しただけで、まるで他人事のように立ち去ろうとする。  
「こら、待てよ!」  
不良は携帯をかざしながら、女生徒を追いかけようとした。  
「うるさい……。」  
女生徒は低い声で呟くと、眼帯をはずしながら振り向く。  
閉じていた右目をかっと見開く。金色の瞳が現れ、妖しい光を放った。  
 
「な、なんだてめえ……うわっ!?」  
不良は恐怖の声を上げた、女生徒がにらみつけた携帯が、砂になって崩れ落ちたのだ。  
それだけではない。携帯を持っていた手から腕、腕から体へと、どんどん砂になってゆく。  
「ひいいっ!た、助け…!」  
悲鳴は途中で途絶えた。彼の体は全て砂に変わり、地面にこぼれ落ちて四散した。  
「うわああっ!」「ば、化物!!」  
残る二人は、踵を返して逃げようとした。しかし金色の瞳が輝くと、同じように砂と化す。  
また一陣の風が吹いた。三人組など元々この世にいなかったかのように、  
地面に残った砂のかたまりを吹き散らしてゆく。  
 
女生徒は相変わらず表情一つ変えない。その彼女の左肩から、片翼だけの翼が現れる。  
翼を大きく羽ばたかせると、彼女は宙に舞った。  
夕闇に飛ぶ漆黒のセーラー服は、さながら巨大なコウモリのようであった。  
校舎の屋上に着地した女生徒は、あたりを見回す。  
「見つけた……。」  
その視線の先には、仲良く手をつなぎながら下校するつぼみとえりかの姿があった。  
夕闇に染まっていく屋上で、女生徒は低く、そして強く呟く。  
「見つけたぞ、プリキュアを継ぐ者たち。このダークプリキュアが必ず……。」  
 
(END)  
 

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