ああ、これは夢だ。そんな陳腐な考えに、我ながら噴出す。
「隼人、腕組んでいい?」
こんなこと、恥ずかしがりのせつなは言わないのだから。
「どうしたの、隼人。変な顔」
「いや、別に」
「気になる言い方ねぇ」
彼の腕に甘ったるく抱きついてくる感触は、まるで覚えがないけれど、しっくり来ていると錯覚しそうで。
彼はもう、彼女しか見ていない。前を見ることもせずに、彼女だけを見つめていた。
「きゃあっ」
「え?お、おい、大丈夫かっ?」
唐突に、湖があった。気づいた時には少女はそこに真っ逆さま。
彼も水飛沫を浴びていたが、そこは足首くらいしか浸からない浅瀬だった。
けれど、彼のすぐ傍にいたはずの彼女は、髪の毛一本残さず水に飲まれてしまっていた。
ぶくぶく。泡の弾ける音に、彼が駆け寄る。
「なぁ、返事しろよ!って、え?」
「やあ、湖の精霊だよ〜」
現れたのは、長髪の青年だった。
「……何、してんだサウラー」
見覚えのありすぎる姿。彼も思わず冷めた声が出てしまう。
「湖の精霊って言ってるだろう。君、脳味噌スポンジか何かで出来ているのかい。
多少なりとも細胞が存在するなら、こんな下らない発言は控えて欲しいものだね」
「え、いやでも」
極自然に誹謗中傷が出てくる辺り、やはりと確信を持つ隼人。
「あんまり五月蝿いと先輩精霊のノーザさんにチェンジするが」
「の、……ノーチェンジで!」
けれども我が身が可愛いのは人の性。
「現金な奴だ。やれやれ、馬鹿の考えほど無駄なものはないな。」
「お前、やっぱサウラーだろ」
「僕は湖の精霊だよ。何度も同じこと聞くなよ、馬鹿なの。死ねば。さあレッツくたばれ」
「えええ、そこまで言うことかよ!」
ゴーサインを出す青年に、隼人がオーバーリアクションに叫ぶ。
そんな彼を五月蝿そうに見て、精霊(仮)は呟く。
「まあ、それは置いといて」
「置くの!?」
精霊の視線が、湖に移る。
「さ、君が落としたのはどの子だい」
「え?」
ざばりと水面が揺れて、意識をなくした黒衣の少女が浮かぶ。
「イース!?な、何でここに?」
「この子かな?君が落としたのは」
逡巡して言葉の出ない隼人。
「い、いや、俺は」
「じゃあ、こっち?」
「あ……」
次に水面から浮かび上がったのは、先程まで隣を歩いていた少女だった。
「さあ。選びたまえ、ウエスター君」
ふたりの少女が、青年の目前に並ばされる。
同じ顔立ちだが、違う。けれど、同じく愛しい少女達。
「どうしたのかな?君の一番を選べばいいだけだろう」
一番なんて、そんなもの。
「選ぶもクソもねぇ。こいつは、全部。俺の、俺だけのもんだ」
せつなとイース、等しく見つめて青年が告げた。
迷いのない、真っ直ぐな眼差しだった。
「欲張りなことで。まあ正直な所が数少ない……唯一かな?取り柄だからね」
そう言って、精霊は微笑んだ。
「さあ、正直者にはご褒美だよ」
さて、かくして湖の精霊は去り、残ったのは青年と。
「あら、久しぶりね脳筋馬鹿」
銀髪の毒舌少女。
「隼人……、私、どうしたの?」
不安げに瞳を瞬かせるあどけない少女。
「ふふっ。楽しい時間になりそう」
そして何時の間にか現れた、楽しげに桃色のロングヘアを波打たせる少女。
美少女三人に取り囲まれて、することなんてひとつだ。
「いいい、イースっ?な、やめ」
「あんた相変わらず馬鹿ね。やめるわけがないでしょう」
最初に動いたのはイースだった。
小柄な少女に似合わぬ力強さで、青年のシャツやズボンを引き剥がす。
彼は他の二人に助けを求めようとしたが。
「ああ、顔はもう少し上げてくれる?この角度だといい感じに喉仏が入るのよね」
「あの、キュアパッションさん何してるんですか」
「記念撮影よ。自動追尾できて、手を離してても平気だから安心して」
大きなカメラを設置し、満足気にパッションは頷いていた。
一方、せつなは。顔を赤くして、手で目を覆っていた。指が開いていたので意味はなかったが。
「ウエスターのクセに、にやけた面晒してんじゃないわよ。虫唾が走るわ」
どん、とイースが青年を突き飛ばす。腰を強かに打ちつけ、隼人が呻いた。
そんな彼をせせら笑う少女は、ショートパンツを手早く脱ぎ捨てた。
「ホラ、犬は犬らしく餌にがっつきなさい?見っとも無くね」
そのまま、青年の顔面に腰を下ろした。
「んぉお!?」
「ぐちゃぐちゃ五月蝿いッ」
イースは先程パンツと一緒に脱げていた靴を拾い上げ、ヒールで青年の頬辺りをぐりぐりと抉った。
「ちゃんと舐めないと……分かってるでしょうね」
「んん……」
些か不本意ではあったが、隼人が男で、目前にあるのは彼女の花びらである以上、逆らう選択肢なんてあり得ない。
真っ暗だが、匂いははっきり分かった。舌を伸ばすと、ねっとりした肉の味が広がる。
「んはっ、そう……、そこ、愚図なんだから……」
そんな彼らを追うのは、せつなとパッションのふたり。
「じゃあ私達は下から行きましょうか」
「え、えと」
「彼の、大きいから。ふたりでも充分相手できると思う」
「ぁ……うん」
納得したように頷くせつな。そんな彼女の手を取り、パッションは優しくエスコートする。
「あなたは舌と手を使えば良いわ。私はこことか、あとここも弄ってやりたいから」
「そこ、も?」
「すきなのよ、知ってるでしょ」
パッションの魔手がどこへ伸びるのか、目を塞がれた隼人には分からない。
ただ、下半身への刺激だけが伝わってくるだけ。
「ぅ、ん……」
ちゅぱ、ちゅぱ。何かを舐る音。何か?白々しい、見なくったって分かりきっているくせに!
「んぁ……あっ」
「もうこんなになって、我慢しなくていいのに」
パッションが手を伸ばすと、せつなの舌がそれを追う。
「む……ぺろ」
「そうそう、ほら、後ろの方も……舌で持ち上げて」
「は、こ、こう?」
「そうそう。それで、強弱を付けて吸い上げるの。単調じゃつまらないでしょ?」
パッションのアドバイスと、ふたり掛かりの攻勢に青年の勝ち目はなかった。
「う……っく……!」
隼人が呻く。下半身から、力が抜けた。
「んっぐ、んんん……っ」
放出されたそれは、少女の小さな口には余りに多すぎた。
ぼたぼたとせつなの唇を汚しながら、首筋を伝い落ちていく。
「美味しい?」
「え?……んんっ」
放心していたせつなが、声のするほうに振り返る。
口元にべったりとこびり付いた精液に、パッションが舌を這わせた。
「ぅ、んんむ……っ」
彼女は口の周りを全て拭い取ると、今度は口内へ攻め込む。
「っうう……っく、ぁ……」
舌を掬い上げ、絡み付いた粘っこい液体を互いの唾液で混ぜ合って、共有する。
「っは。……んむ、やっぱり。濃くて……はあ、美味しい……ふふ」
「う、ぅん……はやとの、すき」
「ふふっ。あなたの飲んだだけで、私、こんなになっちゃった」
パッションの手が隼人の手を掴み、自らの秘唇に宛がった。
ぐちゅり、と滑った音と、温かい液体の感触が彼にもはっきりと伝わる。
「んぁ……あっ、んい……指、ごつごつしてるから、ぁ、中に、当って……気持ち、いい」
甘ったるい声は、男の本能に火を灯すには充分過ぎた。
「あ……また、おっきくなってる……」
せつなのもの欲しげな視線は、イースの眼力で阻まれる。
顔面騎乗だけでは足りなくなったらしい。
何しろ、組み敷かれた彼は奉仕できる状態ではなかったから。
放置プレイはイースの趣味ではなかった。
元より気の長い性質ではない上に、意地っ張りな少女は内股を隠してせつなに命じる。
「……変わりなさいよ」
「うう。分かった」
せつなが青年から身体を起こすと、同じく指を外したパッションが彼女を導く。
「あなたはこっちですればいいのよ」
「んっぐぅ!?」
背後の違和感に、青年が悲鳴を上げた。
「パッション。サンドイッチにしよ?」
「ふたりが先でいいわ。私、好物は後に取っとく派だから。アシストは任せて」
「じゃ、イースが下」
「下ね……気に入らないけど、まあいいわ」
こうして東会議は青年の介入もなく円満に終了した。
「はい、だっこー」
突然の浮遊感に、間抜けな悲鳴が隼人から飛び出す。
「うわぁ!」
腰をがっちりとホールドしているのは、勿論幸せを青年以外に振りまく伝説の戦士。
「行くわよ、いいわね?」
寝転がったイースに、青年の男根を撃ち込む。
「ええ……、……っぅ、んっ」
びっしょりと湿った彼女の身体に、軽く添えただけでそれは容易く飲み込まれた。
「うぁ、あ、イースっ」
思わず青年の口から漏れたのは、紛れもなく悦びを含んでいた。
イースが薄く嗤う。
「ん、……ふん、盛ったサルね」
反論する暇は彼には与えられない。
「それじゃ、上は貰うね」
「が、ぐう!?せ、つなぁっ」
背中に圧し掛かってくる少女の軽い身体。それはいい、それは。
問題は、彼女の装備品。そしてそれによる物理的攻撃にあった。
「な、っが、それ」
「気にしないでいいのよ。まああれ、キュアスティックみたいなものだから」
微笑を浮かべるキュアパッション。
キュアスティックのようなものは、青年の菊門にぶっすりと突き立てられていた。
今はせつなが身に纏っている。
「お。お前、キュアスティック持ってない……ッああ!」
走る衝撃に、彼の下に居るイースもまたもがく。
「暴れないでよ……ぉッ、くあ……っ」
「隼人って、お尻も……大きいね。ずぶずぶ入っちゃう」
ふふふ、とどこか攻撃的にせつなが笑う。
「すぐ気持ちよくなるから。だって、私もそうだったし」
優しく、諭すような言い方。
けれども、彼女は言外に「仕返ししてやる」と示していた。そりゃもうハンターの眼差しで。
「……サウラーの馬鹿やろう……ぅう」
彼女達に文句を言えない青年は、鬱憤を同僚にこっそり投げつけた。
まあ、彼が彼女に仕返しされる切欠になったのそもそもの発端は、彼の青年の言葉だった。
それで興味を持って、実践したというわけで。まあ、実践の時点で責任の大多数は自身にあるのだが。
今は八つ当たりでもしなければやってられない、という切実な感情が身勝手を許していた。
そんな彼の煩悶なんて露知らず、後門の狼ことせつなは、名前通りに切なげに瞳を潤ませていた。
「可愛い顔……私も、興奮してきちゃった、ぁあっ」
何時の間にか伸ばされた手が、少女の身体を弄っている。思わず、声が乱れてしまう。
「本当ね。乳首立ってる」
犯人は当然、幸せのプリキュア。細い指先で、せつなのいきり立った乳首を扱く。
その度に、少女が甘い声を漏らす。
「ぁん、だめぇ……」
「う、ぐ……」
少女と青年の声が、重なる。前門の虎が、苦しげに笑った。
「はあ、は、ウエスター……いい、ご身分ね……ふはぁっ」
太く雄々しい肉棒が揺れて、イースも啼く。
「早く出してあげて?あなたの、熱くて好きなのよ。皆、ね」
耳朶を齧りながら、桃色の髪がくすぐっていく。
また彼の手を、自分の奥に触れさせていた。
指に触れる熱が射精感を更に煽る。
「順番、……ん、詰まってるんだから」
パッションの甘い声は、青年にとっては恐怖の一言。
けれど、彼の下できゅうきゅうと締め付けてくるイースは、立ち止まることなんて許してくれない。
「ぁあ、んっ……ひ――んんんっ……!!」
イースのくぐもった悲鳴。吐き出した精は、彼女の小さな身体へ勢いよく叩きつけられた。
「う、あぁ……」
同時に、パッションも軽く達したらしい。彼の指先を掠めていた愛液が、既に肘まで垂れてきていた。
「は、ふ……くぅう、んっ」
熱が内へ送り込まれる。その度に少女が身体を震わせた。
彼も少しずつ衝動が落ち着いてきていた。
「隼人……今度は私が気持ちよくあげる番」
けれど、背後に控えた彼女達と手にした凶器はそれをあっさりと亡き者にしてしまう。
「これで、せいいっぱい頑張るから」
「夜はまだまだ、これからよ」
「はぁ……ぁ、逃がさない」
愛らしい少女達が笑った。
ああ、なんて夢だろう。そう隼人が物思いに耽っていられるのは、あと僅か。