彼女の部屋のソファに腰を下ろして、何気なくローテーブルを見たら、何か変な物が乗っかっていた。  
「……美希。なに、これ」  
「ブラジャー」  
 傍らの少女に尋ねる。  
彼女は、ソファではなくラグマットに直接座り込んでいたから、顔が良く見えなくて、素っ気無い響きに感じた。  
 
その下着は、随分と馬鹿でかい。だから彼女に尋ねたのだけど、不発。  
もう少し詳しく尋ね直した。  
「うん、サイズ合ってないよ?」  
「あたし用じゃないからいいの」  
 確かにタグが付きっ放しで、未使用であることは分かった。  
また別の疑問が湧く。同時に、嫌な予感もしたけれど。  
 
「じゃあ誰のって言うわけ」  
「そんなの決まってるでしょ。瞬、はい」  
 少女は微笑みながら、僕にそれを手渡した。  
彼女相手に叩き落すこともできず、一先ず受け取る。  
 
「男がこんなの付けてどうするんだよ」  
「でも巷では流行ってるらしいわよ」  
 随分とアンビリーバブルな言葉に、世間知らずを自覚しつつも呆れてしまう。  
 
「うわぁ……君らの世界ってやっぱりすごいね。色々な意味で」  
「そんな目で見ないでよね。あたしだって困ってるんだから。  
ビンゴで貰ったのはいいけど、あたしには大きすぎるし」  
 ようやく妥当な出所が発覚し、手の中に未だ収まっているそれを摘んで振った。  
無駄に丁寧なレースがまた、見てはいけないような気がして決まりが悪い。  
できる限り自然に、テーブルに押しやった。  
 
「捨てればいいじゃないか」  
「付き合いとか柵があるのよ。面倒だけど」  
「下らない……けどま、仕方ないね」  
 相変わらず年齢不相応な反応の彼女。  
最近になってその手のトラブルを抱えることが増えたせいか、何となく共感できてしまった。  
だから、さっさと落とし所を着けた。  
 
「そういうこと」  
 そんな心境の変化を見越しているのか、美希はくすりと微笑んで頷いた。  
 
 何だか、面白くない。彼女に手綱を取られたままなのは。  
ソファから腰を上げると、そっと彼女に近寄った。  
「随分手の込んだ作りなのは認めるけど」  
「んにゃぁ!?」  
「やっぱりこのボリュームがあってこその下着だと思うんだよねー」  
 柔らかいふたつの感触を、すっぽり手のひらに収める。  
鼻先を掠める香水の甘い匂いが芳しい。  
 
「ひぁあ、ちょ、やめ……ぁぅっ」  
「やめてって……ここ、こんなにしてる人がそれ言う?」  
 ブラウスのボタンを外し、下着の間に手を滑り込ませる。  
そして、先端を指の腹で擦る。  
既に立っているそこに、強い衝撃が加わって彼女はまた悲鳴を上げた。  
「んんぁっ。あぃ……い」  
「最近ご無沙汰だったし。お互いに溜まってるみたいだね」  
   
 照れ屋で可愛い美希は、やっぱり素直に頷いてくれない。  
「ふ……さ、誘うんならもうちょっとスマートにしなさいよぅっ」  
「僕ついこの間まで童貞だったんで。無理無理」  
「む、むかつくわその顔」  
 彼女にしか見せない、弛んだ顔を彼女に寄せる。  
美希は慌てて周囲を見回して、それからようやく目を閉じた。  
 
 柔らかい唇に端から舌を這わせる。  
薄く開いた口に侵入すると、彼女もおずおずと舌を差し出した。  
「ふう……ふあ、あん……」  
 吐息混じりに漏れる声を聞きながら、後頭部を押さえる。  
くちゅん、と唾液の混じる音がした。  
「ん……はぁ」  
 唇を離すと、どこか陶酔した様な顔の美希が居た。  
 
 さあて、今日はどうしようか。  
取り合えずまたソファに座って考える。  
ふと、目に入ったのは先程毟り取って剥きだしになった彼女の肌。  
「ちょっ、何」  
 ぎょっとした声は気にせず、僕はチャックを下ろした。  
「舐めて」  
「……馬鹿?」  
 
 白けた顔で、でも視線がどこに向いてるか、気付いてる?  
「いや、こういうのもアリらしいからさ」  
「どこで情報収集してるのよ、馬鹿」  
「“そう言いながらも、美希の瞳には喜悦の色が浮かんでいた。”」  
 作った声色が、我ながらわざとらしい。  
「変なナレーション付けないでよね!」  
 
「間違ってる?」  
「聞こえないですー」  
「まあ、口が嫌ならこっちでもいいけど」  
 腕を引っ張る。で、曝け出された部位が前に押し出される形。  
「は?……ひやぁっ!」  
「うん、いい柔らかさ」  
「や、な、何、……ぅあぁぅ……」  
 
 谷間に押し込んだ一物で、胸を弄る。  
「あっ、あつ……っ」  
「むちむちだー」  
「な、もぅっ、やぁ……」  
「舐めてくれないの?」  
 強請るように首を傾げた。  
彼女は困った顔で、それでもこちらが黙ったままでいると身体をゆっくりと傾けて。  
その細い指先で、陰茎をそろりと掬い上げた。  
 
「んぷ……はむっ」  
赤い唇が、肉棒を控えめに食む。  
「もっと奥まで飲み込んでくれないと」  
「は、んんんっ……むッ」  
 頭を引き寄せる。美希は喉に引っ掛かったのか、少し苦しそうにもがいている。  
 
「っ、れろ……は、ふ」  
 やがて舌を使うのを思い出したのか、せっせと這わせてくる。  
献身的、と言えなくもないけど。  
「へったくそ……あ痛」  
 憮然と歯を立てている、彼女のおでこを撫でる。  
 
「下手なのは分かりきってるんだから、気にしない気にしない」  
「っ、は、しろって言ったのそっちでしょ!?」  
 唇を離して、反論してくる美希。  
恥ずかしくて死にそうなのに無理して頑張って、それでこう言われたら怒らない方が可笑しいか。  
「フェラが下手な美希たんも好きだよー」  
「だから、美希たんはやめてってば……っ」  
 彼女はやはり甘い。口はともかく、目は既に怒りは霧散していた。  
 
「変態。もう、黙っててよッ」  
 会話は終わり、とまた美希は僕に口付けた。  
「は、ん……」  
 何度もキスをして、それから舌を出し唾液を万遍なく撒き散らしてから口へ運んだ。  
 
「ちゅ……っちゅ、ん」  
「う、ん。その調子……」  
「はぐ、ふう……んむっ」  
 丁寧にしゃぶってくれる。彼女らしい。  
「ぅう……む」  
 次第に、漏れる声に変化が現れていく。内心、ガッツポーズ。  
表には決して出せないな、これ。  
 
「いーい顔になったねぇ」  
 頬をなぞると、困惑した目と視線が合った。  
「は……、君さぁ、さっきから足……どうしたのかな」  
 或いは、気付いていなかったのかもしれない。  
どちらにせよ、僕が言ったことで意識せざるを得ない。  
内股を擦り合わせて、ごそごそと身を捩じらせている理由なんて分かりきっているから。  
無言で首を振る美希に、酷な提案をする。  
これだから僕は歪んでる、って言われるわけだねぇ。  
 
「じゃあ、君は手使っていいよ」  
「は、何……んんぅっ」  
 今度は反論させない。後頭部を引き寄せ、口を塞いだ。  
 
「我慢したくないんだろう?ほら、ひとりでやってる時みたいに」  
「や、……っむっぅうう……!」  
 やっと意味を理解したらしい美希は、先程より激しく首を振る。  
そんな必死な顔をしたら、こっちの思う壺なのに。  
 
「太股にまで垂れてきてるよ?」  
 短いスカートから覗く白い肌は、しっとりと汗ばんでいた。  
 流石に手は届かないから、足を伸ばしてみる。  
「ぅう……んっ」  
「ね、汗だけじゃないよね」  
「ふう……は、う……」  
 涙目で見上げる彼女の頭を優しく撫でて、でも足は引く。  
 
「ほら。僕が何時も君にしてること、してみるだけだし」  
 じわじわと切り崩す。  
どうすればいいか、答えはひとつしかないんだと誘導してやる。  
彼女はとても素直で優秀だから、すぐにそこへ辿りついてくれた。  
 
「……ぅ、う」  
 美希の手がスカートの中へ消える。  
始めは拙かったが、徐々に耐え切れなくなったのか、動きは激しくなっていく。  
「っ、ん……っふぅ……ッ」  
 自分の身体を支えるのが手一杯で、咥えっぱなしの口からは涎が何本も筋を作って垂れていた。  
「こっちのおててがお留守だよ。君もこういう時は自分本位になるんだね」  
 身勝手な言葉に、純真な彼女の瞳が不安げに揺れる。  
正直、しゃぶられてるだけでも結構クるものはあるけど、勿論教えない。  
 
「いいよ?君がいやらしいのはちゃんと知ってるから」  
「んん!ぅむう、んっ」  
「ぴちゃぴちゃ音がするね」  
「〜〜っ、ふうう……っ」  
 
 恥らう少女の身体が跳ねる。  
スカートがずり上がり、下着が丸見えだった。  
「お漏らししたみたいだ」  
 
「んん……!ぅあ、っふ……」  
 下着一枚で遮られている分、焦れったいようだが、脱ぐのは恥ずかしいらしい。  
今更そこで恥じ入ることもないと思うのだが。女心は複雑だ。  
 
「っは、んむ……ちゅ、っぷ……くぁっ」  
 何とか体勢を持ち直したらしい。舌が動く。  
同時に慰めの手も動いて、全身を震わせている。  
大して上手くない舌使いだったが、彼女の自慰アリーナ観戦オプションは中々強力だった。  
 
「っひ、ぁあ……」  
 いい加減限界。口に放ってやろうと思ったけれど、最後の一瞬で方向転換を決めた。  
「う、ぁッ!ひ、ぃ……ッ、あぁぁあ……」  
 引き抜いた陰茎から迸った欲望が、端正な顔にたっぷりと塗される。  
何時もはさらさらと風に棚引く髪も、体液塗れで重く垂れ下がっていた。  
 
「さ、これからどうして欲しいのかな」  
「っ、あ……ぁ?」  
「言葉と態度で示してもらわないと分からないなぁ」  
「ぅう……瞬……ぅ」  
「おねだりの仕方、前に教えただろう?」  
「く……ふぅう……」  
 
 震えながら、美希は閉じた下肢をゆっくり開いていく。  
女性器を見せ付ける様なポーズは、彼女の羞恥心とこっちの薄汚い欲望に火を点けるには充分。  
濡れたそこは、急かすようにひくついていた。  
「お、ねが……は、早く……」  
「早く?何?」  
「ぅうう……っ」  
 ついに涙腺決壊。思ったよりは長かったな、と内心呟きつつ、頬を伝う透明な雫を拭う。  
 
「ん」  
 片手で抱き寄せて、そのまま圧し掛かった。  
「っひ、あ、ぁあ……うっ」  
 充分濡れてるおかげで、難なく挿入はできた。  
掻き回すと、ぐちゅりと粘ついた音が響く。  
「ああ、っ、う、んん」  
 繋がったまま、美希の腰を抱き上げ、元の位置まで戻る。  
 
「そう言えば、ッさ」  
「んぁ、あ、何……っ?」  
 僕の膝に乗り上げる形になっているせいか、視線が近い。  
「ショック受けるかなぁ、和希君。君の事、理想の女性って言ってたよ?」  
 
 腰に力を入れながら、彼女の耳に口を寄せて、聞き逃させないようにした。  
「こんな……ッ、昼間から男の上で腰振ってるの、見たら」  
「だ、って、っあ……ぁっ」  
 言い訳できないように、彼女の内を抉った。  
美希は喘ぎながら、それでもいやいやをする赤ん坊みたいに泣いていた。  
 
「やだぁ……言わないでぇ……見ないで……ひ、や……ぁ」  
 誰かに今の彼女を見せようなんて、欠片も思っちゃいない、でも。  
「うわ、ぐいぐい締め付けて来るね。そんなに興奮したんだ?」  
「ちが……や、違うの……ぉ、ああ、っくぅう……」  
 いい反応が返ってきたら、突きたくなるのは仕方ないと思うんだ。  
 
「お望みなら、今度は外でしてあげようか」  
「やだ、ひ、んん……っ、はふぁ……っ」  
「でも、考えるだけで。こんなになっちゃうんだよね」  
 結合部を見て、薄く笑う。  
とろとろと零れた蜜は、ソファに染みをいくつも作っていた。  
 
「う、あ……」  
「そんなに、気持ちいいかい」  
「……う、ん」  
 少し沈黙を置いて、美希が頷いた。  
「はぁ……あ、気持ち、いいの……瞬、のが当って……びくびくして、っくふ、あっ」  
 言葉を返す代わりに一際激しく突き上げると、彼女の乳房がプルンと揺れて自己主張をしていた。  
 
「うぁあんっ」  
 先程ぶちまけた残滓もごちゃ混ぜに手のひらで揉みしだく。  
柔らかい胸を少々手荒に握り潰した。  
 
「ぁ、ああ、いい、いいの、すごく気持ちいいのぉ……。あん、だめぇ……あたし、ひっ」  
「やっと素直になったね。いい子だ」  
 頭を撫でると、彼女も表情を和らげた。  
「瞬っ、しゅん……あっ、中、がぁ……ふぁあ……っ」  
 美希が切なげに身体をくねらせ、何かに耐えるように歯を食い縛る。  
「もう、イキそう?」  
「う……あ。いっちゃう、瞬ので、あたし、イッちゃうのっ」  
 殆ど悲鳴に近い声色だったけれど、それでももう一手欲しい。  
 
「でも、いいのかな?中に出しても」  
「いいから、も……いかせてぇ……あなたが、欲しいの……」  
 
 これ以上は、もうこっちももたない。  
彼女の望むままに、膣内に白濁を注ぎ込む。  
「ぁ……あ、ひ……ゃあぁ、くうぁあああ……ッ」  
 
 一頻り声を上げた後、力が抜けて、倒れた彼女を抱きしめる。  
少女の身体からは、もう香水の匂いはしない。  
 
 
 
 
 
 
 
オチ  
「でも、これって僕にも大きいと思うんだけど」  
「え、そう?じゃあ、どうしようかしら」  
「せつなにあげてもいい?」  
「それはいいけど、なんでせつ……あ」  
「彼女ならきっと喜ぶと思うよ!」  
「あー、うん、まぁ……ううん、私は知らないから!」  
 明るい蜜柑色を見ないように、美希は目を逸らした。  
 

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