ごとり。鈍い音を立てながらタンスの引き出しを開ける。  
中に入っているものを、宝物を扱うような丁寧な手つきで取り出した。  
 
(か、わ、い、い……)  
 
花咲さん、来海さんと一緒に縫った向日葵色のチュニックを、ふわっ、と広げ、胸の前に当ててみる。  
(うふふ、ニヤニヤが止まらない……いいよね、誰にも見られてないし)  
鏡の前に立ったぼくは、すっかり相好がくずれて、みっともない顔になってしまっている。  
(ちょっとだけ着てみようかな……?今日はこのあと用事も無いし)  
白い制服をするりと脱ぐと、ぼくは作ったばかりのキュートな洋服に袖を通した。  
 
(ああ……この明るい黄色、このデザイン、すごく可愛らしくて好きだなあ……  
 でも、この髪型だとちょっと似合わないかな……?)  
短い髪に人差し指をくるくると絡め、小首をかしげてみる。  
(腰まであるロングヘアーのツインテールなんか憧れちゃうなあ……  
 ううん、今のぼくには無理だ。だって武道の邪魔になるもの)  
そのとき鏡の中に映った、悲しげな表情の自分自身に、ぼくの心は揺れ動いた。  
 
──そこにいたのは、まぎれもない「女の子」だったから。  
 
パフスリーブと、フリルのついた裾、それぞれからすらりと伸びる手足。  
きらきら輝く大きな瞳と、薄くひらいたピンク色のくちびる。  
 
今まで「男の子」として精一杯生きてきたぼくが、このようにみずからをかえりみる、  
なんてことは初めての経験だった。  
 
指が、自然とつやつやとしたくちびるに触れる。  
(将来、男の子と恋愛するようになったら、キ、キスとかしちゃうのかな……?)  
つ、と指を横になぞった瞬間、おとずれた感覚に、ぼくはぞくりと身を震わせた。  
(あ……なんだろう……この感じ……?)  
『もうひとりのぼく』の瞳が、けだるそうに半分閉じている。初めて見る表情……  
 
くちびるを撫でていた指が、顎と首筋を伝って胸元にたどりついた。  
黄色い布の上から、ぎこちない手つきで我が身をまさぐる。  
(ふふ……ぼくも一応女の子なんだよね……本当にささやかなふくらみだけど)  
指先が、ある部分に触れたとき、び、と全身に電気が走った。  
 
「……んっ……」  
 
思わず声が漏れてしまい、あわててもう片方の手で口を押さえる。  
 
(そういえば……)  
 
中学に上がったとき、お母様に「そろそろ着けなくてはね」  
と、スポーツブラを手渡されたことを思い出した。  
武道の稽古の際にはさらしを巻くように、とも指示されたんだった。  
実際、まだそんなものが必要なほど大きな胸ではないのだけれど、  
お母様に念を押されたので、今もこのチュニックの下に一応装着してはいる。  
……それに、最近、これを着けていないとなんだか具合が悪くなってきたのだ。  
 
──洋服の布が直接触れるたびに、わずかな痛みと、さっきのような奇妙な感覚をおぼえるから──  
 
(なんでこんな気持ちになるのかな……?)  
確かめたい。  
急に思い立ち、ぼくは片手をチュニックの裾の下にすっと忍ばせた。  
そのまま手を上へと移動させ、ふくらみを守る厚手の布の下にすべり込ませる。  
 
(ん……っ、……はっ……あ……)  
 
こりこりと硬くまだ未熟な果実を人差し指で弄ぶたびに、  
びん、びん、びん、と電流が頭の中を直撃する。  
ぼくは背中を軽く丸め、必死に声が出ないように息をこらした。  
(知らなかった……こんなふうになるなんて……)  
吐息が熱くなってきているのを自覚しながら、恐る恐る、果実の中心に爪を立ててみた。  
 
(あ……!!!)  
 
ぎり、と強くくちびるを噛みしめる。  
(だめ、もう、立っていられない……)  
腰から下の力が抜けていき、ぼくはよろよろと畳に膝をつく。  
 
お腹の下の部分が、熱をおびてきているのを感じる。  
(あれ……なに、これ、おしっこ、じゃ、ないよね……?)  
両足の付け根から、どろっとした液体が分泌し、綿のショーツを濡らしはじめているのに気づき、  
驚いて下着の上から手で押さえつけてしまった。  
 
(や、やだ……!どうなってるの、ぼくのからだ……!?)  
 
ぬるぬるっ、とクロッチの部分が左右に擦れたとたん、  
乳首をいじっていたときとは別の衝撃がぼくを襲い、両膝がガクガクと揺れる。  
 
(んあっ、あ、すごく……へんな……気分……っ)  
 
鏡の中のぼくの頬が、紅色に染まり、今まで見たこともないようないやらしい顔つきになっている。  
にゅる、にゅる、にゅる。揃えた指が、自分の意思と相反するように勝手に動いていく。  
 
(い……やあ……、止まらないよう……はずかしい……!!)  
 
ショーツと、あたたかい肉襞のあいだに中指を挿し入れ、  
この切なげな感触をもっと味わおうとした────そのとき。  
 
 
がた。  
「……!!!」  
 
 
背後から聴こえた音に呼応するように、ぼくの肩がびくりと激しく上下する。  
そろそろと振り返ると、そこには──ぼくの、この世で一番大事な存在が、呆然と立ち尽くしていた。  
 
「あ……いつき……この間……読みたいって、言ってた本……貸そうと思って……」  
 
本を持つ手がかすかに震えている。  
 
 
 
「お に い さ ま…………」  
 
 
 
 
 
 

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