新たなる春を迎え、三年さくら組では新学期のご挨拶としゃれ込んでいた。クラスメイト
はお馴染みの面々、そして担任はもちろんあのお方──
「みんな、まいっちんぐよし美先生どえーッス!シクヨロ!」
新婚ホヤホヤという生臭さにあってか、やたらとテンションの高いよし美。八十年代後半
のノリで、平成生まれの生徒たちをなぎ倒す勢いである。しかし、生徒たちだって黙って
はいない。
「先生、新婚生活の方はどうなんですかあ?」
しゅたっと手を上げ、椅子を蹴ったのは志穂である。別名キノコヘッド。同人界では莉奈
と共に、なぎさの受けを務める百合ダチ(女性における同性の友人)である。
「それがねえ・・・」
ふうっとため息をつき、沈んだ顔を見せるよし美。その姿を見て、生徒たちが息を飲む。
もしかして、悪い事聞いちゃったかなあ・・・なんて志穂も思っていると、
「ヤリヤリで−す!ウフフフ!」
教卓を蹴り、Vサインを両手で掲げるよし美。頬をちょいと染め、いかにも嬉しげな振る
舞いが小面憎い。
「新婚なんだから、毎晩ヤッてるに決まってるでしょ!昨夜だって、あたしが結った縄で
SMプレイに浸ったんだから!ダーリンったらもう、縄が好きで好きで・・・」
そう言って、よし美はブラウスのボタンを外した。ブラジャーは着けておらず、白い肌に
は艶かしい縄の跡が残っている。その上、胸元の隆起の先端には何やら輝く物が──
「ああッ!先生、乳首にピアスが!」
志穂が思わず叫んだ。ブラウスを肩まで脱いだよし美が露呈した乳肉には、SM雑誌で
見るようないやらしい装飾が煌いている。それがいかにも大人の装いで、ようやくアソコが
濡れるようになったばかりの娘ッ子たちには、あまりにも刺激が強すぎた。当然、生徒たち
は皆、一様に顔を赤らめる。
「これが、エンゲージリングの代わりなの、うふふ」
細身の体には不釣合いな豊満な乳房──よし美はそれをたっぷりと揺らしながら、生徒
たちに言った。そして、この後はホームルーム終了の鐘が鳴るまで、女教師は己の夫婦
の営みについて、詳細を述べるのであった。
「さあ、新キャプテン、抱負を述べて」
今度は放課後である。今期からラクロス部のキャプテンとなったなぎさに、莉奈が
今年の抱負を求めていた。しかし、
「絹ごしで!エヘへ・・・」
なぎさは父親ゆずりのアレで、一発かましてしまった。もちろん、部員たちは呆れ顔。
それは豆腐でんがなというツッコミも、誰一人発しない。
「あれ?もしかして、もめんだったかな?それとも高野・・・」
料理をしている訳ではない。なぎさはまだ、駄洒落を引きずっていた。
「あのねえ・・・」
莉奈がたまりかねて前へ出た。なぎさの良き友人であり、頼り甲斐のある仲間の彼
女も、この時ばかりはさすがに怒り心頭気味。ウケなかった駄洒落はすぐに捨て、
切り替えをしなければならないという芸人の鉄則を破ったなぎさが、どことなく許せな
いでいるようだった。
「みんな、新キャプテンを押さえ込め!」
「はーい!」
莉奈の呼びかけに応じ、部員たちがなぎさに襲い掛かった。いったん変身さえすれば、
無敵の強さを誇るなぎさも、ここでは無力な少女にしか過ぎない。それ以上に、キャプ
テンの威厳がまるで無いのが気になるところだが、それはおいておく。
「あ、ありえない!」
手を取られ、足を取られて彼女はお約束のように叫んだ。ちなみに今年から、ラクロス
部はスパッツが禁止になったので、暴れるなぎさのアンダースコートがいい感じにチラ
ついている。
「みんな、なぎさをひっくり返して」
莉奈の指示によって、哀れにもなぎさはまんぐり返しの姿となった。繰り返すが、今年
からラクロス部はアンスコが義務化されたので、この場が全体的に非常に良い眺めと
なっている。想像してもらいたい。恋も知らぬ新品の女子中学生様たちが、生アンスコ
で暴れまわる姿を──大概の男であれば、大枚はたいても見たい景色ではなかろうか。
「アンダースコートを脱がすのよ」
「やめて、莉奈!」
するりとなぎさの細い足を、アンダースコートが滑り落ちていく。姿勢はまんぐり返しの
ままなので、当然、乙女の恥ずかしい部分は天を衝くような形となった。
「ああ!ありえない・・・ザー・・・くすん、ジャッジメントタイム・・・」
涙ながらに呟くなぎさ。ヒップからアンスコを剥かれ、生の性器を外気へ触れさせること
となっても、同局の番組の宣伝をするあたりが健気である。というか、局思い。
「誰かなぎさのラケットを」
莉奈が手を伸ばすと、部員がそこへなぎさの愛用ラケットを捧げた。もう二年近く青春を
共にしている、ラクロスへの思いが詰まった文字通りの相棒である。
「ま、まさか・・・」
莉奈の目に狂気の焔が宿っている──なぎさはそれを感じ、この後に起こる出来事に
恐怖した。
「志穂、なぎさのアソコを指で広げて」
「ほいきた」
莉奈と志穂がいい連携を見せて、なぎさの女陰がくつろげられた。まだ汚れを知らぬ赤
身──それが、志穂の指で女肉が見て取れるほど、掻き分けられている。
「い、いや!」
ふたなりプリキュアに変身しない以上、なぎさはただの女の子である。更に、莉奈の手
には、ラケットという男根まがいが握られている。そうなれば、ただでは済みそうにない。
「やっちゃいなよ、莉奈」
志穂が煽った。それにつられてか、他の部員全員も頷いている。
「力抜かないと、裂けるかもよ」
莉奈がなぎさの女穴へラケットのグリップをつき立てた。そして、ゆっくりと体重をかけて
いく──
「うああ・・・ああ!さッ、裂けちゃう!」
メリメリと生木を裂くような音が、なぎさの腰骨に響いた。それと同時に、
(藤P先輩)
かすんでいく意識の中に、一瞬だけ微笑む藤村省吾の姿が、映ったという。
ガツンと場面転換をして、こちらは科学室。ここでは今、ほのかが新たな門出を祝い、
科学部の部員たちに媚薬の大盤振る舞いをしている所だった。
「コレ、効くのよ」
ビーカーに入れられた液体を指差して、ほのかは微笑んだ。すでに妖しげな液体は
その大半が気化し、教室内を包み込んでいる。
「ゆきひろひぇんぱ〜い・・・わらひ、なんらかモヤモヤひてきまひた〜・・・」
「あたしも・・・アソコがジンジンする・・・」
媚薬に免疫が無い下級生たちが、真っ先にその恩恵を受けた。というか、犠牲になっ
たと言う方が正しいだろうか。下級生たちは皆、下着を激しく濡らし、しきりに股間を引
っ掻くような仕草を見せている。もうたまらない──誰もがそんな有り様だった。
「モヤモヤしたら、素っ裸になって男子学部の方へ行ってみなさい。きっと、そのモヤ
モヤを何とかしてくれるわよ」
「はぁ〜い・・・エヘへェ・・・」
ほのかにそう言われて、部員たちは次々と着ている物を脱ぎ、男子学部の方へと歩い
て行った。あちらにはやりたい盛りの性獣たちが山ほどおり、そこへ子羊のような少女
たちが素肌を晒して入っていけば──世にもおぞましい輪姦劇が待っているはず。し
かし、ほのかはどこか余裕気で、
「可愛がってもらうのよ。狙い目はスケベ部・・・じゃなくて、バスケ部よ。大きなオチンチ
ンを持った人が多いわ」
と、部員たちを見送るのであった・・・
それからしばらく後、ほのかとなぎさは連れ立って下校していた。もう、日は暮れなずみ
街は穏やかに夜に包まれかけている。
「エライ目にあっちゃってさあ」
少しがに股気味に歩くなぎさ。まだ、異物が膣内を塞いでるような感覚が残っている。
「あたし、キャプテンっていう柄じゃないんだよなあ・・・」
「ううん。きっと大丈夫よ、なぎさなら」
好きよ好きよキャプテン──ほのかは祖母から聞いたギャグを披露しようとしたが、やめ
た。さすがに元ネタが分からないからだ。
「あっ・・・」
帰り道を半分ほど過ぎたときである。なぎさが、対面の歩道にいる少女に何かを感じ
取ったのは──
「あれは・・・?」
ほのかもそれに同調する。そして、走りゆく車の影に垣間見えるその少女を確かめた
ふたりは、
「アレ、ちびうさじゃないの?」
「あ、あたしもそう思った。ちょっと成長したちびうさ・・・セーラームッフ〜ンに出てた・・」
と、ミもフタも無い・・・否、根も葉もない事を言った。
「あっ、消えた・・・」
車が何台か行き交った後、その少女の姿は消えていた。なんかこう、いかにも前フリ
っぽい感じで。
「使いまわし?」
と、なぎさ。それにほのかが、
「リサイクルって言いましょうよ」
と、言葉を繋ぐ。映画版とのからみもあるし──ほのかはにこやかに言う。
「なにせ、マックスファクターだからね」
「それじゃ化粧品よ。ふふっ、なぎさったら・・・」
どちらかが言い出したわけでもないのに、ふたりは走り出した。良く分からないが、とに
かく新番組おめでとうって雰囲気で──
「これからもよろしくね、ほのか」
「こちらこそ、なぎさ」
手に手を取り合い駆けて行くふたなりプリキュア。そして、販促のために頑張るぞと、
夕日に向かって叫ぶのであった。
おしまい