最初はただ、意趣返し――それと目的のため。それだけだった。  
 
 
 
 久しぶりに部活が休みだった日の夕刻だった。なぎさは自分の部屋に入ってドアを閉めたその時にふと気付いた。  
「…あれ、カバン置いてきちゃった」  
 今の彼女の手にはおやつ――彼女の大好きなチョコレート・ケーキと紅茶――が乗ったトレイがある。  
帰宅前から楽しみにしていたそれを部屋に持ち込んだ所為で・鞄を台所に忘れてきたことに気付いたのだ。  
「いっけない、メップルが怒るな…まったくあいつってば、ちょっと忘れるとすぐ怒るもんね」  
 最後に様子を確かめた際には確かまだ眠りこけてはいたが、いつ起き出して我侭を言い出すかわからない。  
 自室には西日が差し込んでいる。一日良く晴れていた日で、夕焼けは綺麗な茜色だった。珍しく早く帰宅したが、  
家には誰も居なかった。仕事の父はもちろん、母も買い物にでも行ったのか不在。弟はどこぞで友達と  
遊んででもいるのだろう。  
 メップルの面倒を見てやったら、その後でたまには一人で好きなものを食べながらゆっくりするのも悪くない。  
なぎさはドアから真っ直ぐデスクに向かい、その上にトレイを置いた。そして入り口を振り返り――  
 
 
 
 こちらを見たまま呆然としている少女――キュアブラックの顔を腕を組みながら見据えたまま、ピーサードは  
初めて気が付いた。彼女らの正体を知っていながら、こうして自宅まで襲った事は今まで一度も無かったのだ。  
 キュアブラック。本名美墨なぎさ。ベローネ女学院女子部二年桜組。ラクロス部のエース。茶髪のショートボブに  
若者言葉の、いかにも今風の女子中学生然としたこの少女を、ピーサードはたとえ彼女がプリキュアで  
なかったとしても、快く思っていなかった。いつも同級生とかしましく軽口をきいては笑っている。この少女に  
比べればもう一人のプリキュアの方がいくらかましだった。  
 少女の見開かれた目がゆっくりと険しくなっていく。ピーサードは冷然と見返した。  
「…なによ、あんた…何しに来たの?言っとくけど、メップルは今ここにはいないからね」  
 ピーサードを含むドツクゾーンの者たちは、光の園の住人らが隠している筈のプリズムストーンを奪うのが目的だった。  
彼女らがプリキュアに変身するためには彼らの存在が不可欠のはずだ。  
 
「どうかな?キュアブラック。下手な嘘をつけばためにならんぞ」  
「うるっさい!ホントのことだし、もし一緒に居たってあんたなんかに絶対メップルは渡さない!わかったら帰って!」  
 少女の声は緊張感で棘立っていた。プリキュアは二人でなければ変身できない。戦えない状態では神経を尖らせるのも  
無理は無かった。そうでなくとも自室に入り込まれている事が、少女には受け入れたくない事実だろう。  
 しかし理由はわかっていても、ピーサードはその金切り声にひどく苛立った。これまで散々自分の邪魔をしてきた  
プリキュアの片割れに対し、今は使命よりも、純粋に復讐心が勝った。  
 ピーサードは踵を鳴らして歩み寄った。逃げ場所をなくしたなぎさが、なす術もなく数歩下がった。デスクの横の壁に  
背を付けて止まる。二人は間近で睨みあった。  
 ややつり眼だが、造作は悪くない。むしろ整っているほうだ。そうでもなくてはやっていられない。  
 力を行使し、彼は以前学院へ侵入する際に使った教育実習生の姿へと変わった。いつもの服装と髪型は、今回は少々  
邪魔になりそうだったからだった。  
 目を見開く少女を一瞥する。  
「……何よ!?」  
 沈黙に耐えられなかったのか、少女は鋭く誰何してくる――明らかに怯えた声だった。  
 それを聞き、ピーサードは初めて、ゆっくりと冷笑を浮かべた。  
「そのメップルとやらは何処だ?言え。プリズムストーンの在り処を知っているのならばそちらでも構わん」  
「誰が!」   
 つかみ掛かってくる少女の腕をかわし、逆に捕える。強張った少女の左腕をぐいと引いて、もう一方の手でその顎を  
鷲掴みにした。  
「!?」  
 何が起こったのかわからない様子の少女の顎を引き寄せ、口付ける。  
 乾いた音が響いた。頬を張られたのだとわかった瞬間、左頬にじわりと痛みが拡がった。特に驚くことも無く、  
ピーサードは彼を殴った右手首も捉えた。逃れようとする両腕を完全に拘束し、少女を睥睨する。  
 なぎさは激昂していた。唇を震わせ、かちかちと歯を鳴らしている。その状態が数秒も続き、そして突然、  
見開かれた瞳から大粒の涙を零した。  
「――」  
 堪えられなくなったのか、次々と涙を溢れさせ、顔を歪める。  
 
「……最低……!あんた、最低だわ……!」  
 震える声を聞いても、ピーサードには全くこたえなかった。ただ、少女の反応に不快感を覚えた。  
 彼女は明らかに激怒していた。嫌がって泣くだけなら、ピーサードはその反応に満足しただろう。だが彼女の怒りは  
それらを殆ど吹き飛ばしているようだった。涙さえ、嫌悪ではなく怒りによるものに見えた。  
 掴まえた両腕を引きずるようにして歩かせる。少女は必死に踏みとどまろうとするが男の力に敵わず、歩を進めた。  
そのまま隣のベッドに放り出す。ベッドの上に勢い良く倒れ、彼女は息を詰めるような、小さな悲鳴を上げた。  
 すぐさま起き上がろうとする少女に何かが飛び掛かった。室内にあった適当な組紐を、ピーサードが自分の力で  
操ったものだった。少女の手首にくるくると巻き付く。  
「あ…!?」  
 状況が把握できずに目を丸くするなぎさを置いてきぼりにして、紐は少女を拘束した。両手首を一緒くたに絡め、  
無理やり頭上に上げさせる。残った紐の端はベッドの縁に絡みついた。仰向けに倒れた彼女のつま先から  
スリッパが脱げ落ちる。  
 自由を失った少女が呆然と天井を見上げる。ピーサードがベッドの上に片膝をついた。スプリングがきしんで  
ベッドとなぎさの身体を揺らした。無造作に脱ぎ捨てた上着を床に落とし、覆いかぶさるような体勢になる。  
 なぎさが喉を引きつらせるようにして「嫌」と声を上げた。  
「何これ……マジ?ちょっと……やめてよ、ねえ!」  
 少女はパニックに陥りかけていた。その反応は明らかに、これから起こることを予期しているものだった。  
「子供でもこれからどうなるかくらいは解るようだな。プリズムストーンは何処だ」  
「――誰が…あんたなんかに、っ」  
「ならば」   
 眼を細める。  
「どうなってもいいようだな」  
「ふざけないでよ!そんな、そんな理屈が通ると思ってんの!?」  
 自分の言葉に反応してだろう、少女は奇跡的に冷静さを取り戻したようだった。小さな、しかし噛み付くような怒声。  
まただ、とピーサードは思った。この怒りが自分を苛立たせる。  
「あんたは卑怯よ!学校の時も、美術館の時も……あんた、あんな戦い方で恥ずかしくないの!?」  
 ピーサードは剣呑に眉をひそめた。戦い方についてこの未熟な少女から指摘されるようなことは何一つとして無いと  
彼は信じていた。  
 
 ともあれ今の会話でわかったことがあった。家人がいないのは把握している。しかし彼女は決して大声を出そうとしない。  
少女と共に居る光の園の住人は声の届く場所にいる。声を上げれば助けを求められる場所にいるのだろう。  
 おそらくはこの家中だ。この少女が頑なに答えないのは純粋にそれを守るためか、恥じらいのためか、あるいは単に――  
 そうとわかれば大して好みでもないこの少女にかかずらっているのは時間の無駄の筈だった。このままの状態で  
猿轡でもさせて放り出しさっさと屋内を物色する方が、逃げられる危険があるにせよ、この頑固な子供の口を割らせるより  
遥かに早い。  
「……」  
 だが、今『彼が』欲しいのはそれではない。彼はゆっくりと確信した。  
 少女の怒りを怯えだけに変えてやりたい。自身の感じている不快をその原因である少女に押し付けるのに抵抗は無いし、  
罪悪感も無い。女に――特に知識は会っても経験の無い少女に――恐怖と心の傷を植えつけてやるにはどうするのが  
一番いいか、彼は知っていた。  
 どす黒い闇の力が自分の全身から溢れ出るのを感じた。その力を制御してあやつる。  
 静かな衣擦れの音。なぎさがはっとして自分の胸元を見る。制服のタイがひとりでに解けて抜け去った。続けて  
ワイシャツのボタンが、上から順にぷつぷつと外れていく。  
「――」  
 それに対する少女の焦燥は凄まじかった。真っ青な唇を引き結び、無理にでも外そうと試みたのか腕を思い切り引く。  
だがきつく結ばれた紐は解けなかった。紐のきしむ音。少女が手首の痛みに顔をしかめた。  
 その間にもボタンは外れ続ける。鎖骨が覗くシャツの襟を掴むと少女は激しく反応し、逃げようと身じろいだ。  
彼女が何か言おうと口を開いた瞬間、ホックの外れたブラジャーを引きずり上げる。押さえ込まれたかすかな悲鳴が  
辛うじて聞き取れた。  
 触れた肌は案外白かった。普段激しい運動をしていても、筋肉の付きにくい部分はやわらかいものだ。暴れる身体を  
肩を掴んで押さえつけ、まだ未成熟の控えめな乳房に爪を立てる。  
「つっ」  
 なぎさが眉をひそめ、歯を食いしばる。それを見ながら指を滑らせ、頂点にある小さな突起を摘んだ。捻り上げる。  
押さえつけていた肩が強張った。身を捩ろうとするのを更に押さえつけ愛撫を続ける。  
「……ッ、……」  
 ぴくぴくと震えながら必死に声を抑える少女の反応はいかにも初々しい。背けた顔は羞恥からだろう、朱に染まっていた。  
焼けているのは腕と脚だけで、普段隠れている部分の肌は白い。筋肉が付いている割にすらりとした腕と肩。やや  
スレンダーだが、こうして見ると悪くは無い。何より触れた際の反応がいい。  
 
 しかしそんな事はおくびにも出さず、わざとピーサードは嘲笑してみせた。  
「ろくな身体ではないな。これでは男を楽しませることもできんだろう」  
「――」   
 目を瞬かせ、一瞬だけ――少女ははっきりと傷付いた表情を見せた。その表情はピーサードの嗜虐心を満足させるのに  
十分だった。  
 ただ陵辱するだけならこのまま無理に最後まで奪ってしまえばいいだろう。しかしそれではこんな表情は見られないだろうし、  
何よりこれまでの戦いから、痛みだけではプリキュアであるこの少女を完全には屈服させられないという確信があった。  
 乳首を舌で無遠慮にねぶる。ピーサードの長い髪がなぎさの襟元を覆い尽くした。少女の四肢がぴんと強張る。  
「あ、う…!や、あ」  
 僅かに声が漏れ聞こえる。  
「もう、やめ、て、やめ」  
 一箇所だけを執拗に責め続けるとようやく、か細い声で懇願が聞こえた。無視してさらにもう片方も指の腹で転がす。  
少女の喘ぎが涙声になってきた頃ようやく手を止めると、なぎさはいっぱいいっぱいといった様子で大きくあえいだ。  
頬は涙に濡れ、眉が歪められたままの表情が屈辱を物語っている。視線に晒されるのを嫌がるかのように身をくねらせるが、  
桜色に染まった肌はかえって男を煽るだけの行為になっていた。  
「プリズムストーンを渡せ」  
 言い放つ。ただし、もし本当に渡したとしても、このまま解放するつもりは、彼には既に無くなっていた。  
 なぎさはしばらく答えず、必死に息を整えていた。しぴれを切らせて再開しようとすると、ようやく小さな唇が開く。  
発したのは質問とは関係の無い一言だった。  
「…何でこんなことするの」  
「俺が聞いているのは質問の答えだけだ」  
「……」  
 少女の瞳がこちらを見た。泣き腫らした眼に薄く閉じた瞼が被さり物憂げな表情を作っている。夕焼けの強い  
日差しで睫の影が落ちた黒い瞳は底が見えなかった。目尻にはまだ涙が光っている。  
「あんた、おかしいよ…前だって今だって…誰かを傷つけて、他人のもの盗って、それで何になるの…?  
マジ、わかんない……」  
「――」  
 すうっと背筋が冷えるのと同時に感じたのは怒り。ここまでの苛立ちの延長上にある怒りだった。  
 ここまできて何故、この少女は折れないのか。ピーサードにとって、力は絶対だった。誰かを傷つけるのも、  
誰かのものを奪うのも力次第だ。力を持つ者が正しく、力を持たない者は奪われるだけの存在。弱者は強者に  
従うのが当然だった。しかしこの少女はそれを認めない。プリキュアにもなれないただのつまらない少女の  
ままで、しかし決して口を割らない。  
 気が付くと、ピーサードは少女のシャツの襟元を掴み上げていた。縛られている手首の限界の距離まで  
無理に引き寄せられたなぎさが息を詰める。息がかかるほど近くで二人は睨みあった。  
「言え」   
「……嫌だ」  
 答えと共に視界の隅で何かが動いた。戦士としての本能から、ほとんど反射的に身体が動いた。  
何かが耳元すれすれに風を切る。ピーサードは目の端でそれを捉え、左腕を返して絡めとった。  
 こちらの肩を蹴り飛ばそうとした行儀の悪い右足を掴むと、激しい抵抗が返ってきた。捕まっている脚を  
引き抜こうとするが、少女の力では大の男の腕力に敵わない。  
「自分から脚を開くとは随分な恥知らずだな」  
「……!」  
 少女は自分の今の格好に気付き、絶句したようだった。制服のスカートは上げたまま固定された脚のせいで  
めくれ上がり、ボトムとしての意味を成していない。スカートの下から薄いピンクのショーツが控えめに  
顔を覗かせていた。  
 脚を閉じようとするのを阻止し、掴んだ右脚をそのまま彼女の身体に密着させるようにして折り曲げ、  
動きを封じた。  
「いい格好だ」  
「やめ…」  
「もっと抵抗してみろ。そのほうがこちらとしても面白い。もっとも」  
 ショーツのクロッチをずらし指を滑り込ませる。細いからだが跳ね上がるように痙攣した。  
「これ以上抵抗できればの話だがな」  
 花弁の中心。僅かだが、ぬるりとした感触が指先にまとわり付く。入り口をなぞるように指を動かすと  
そのたびに少女がいやいやとかぶりを振った。  
「やっ、さわんないで、さわんないでよっ…っ、あ!」   
 嫌悪に震える声。いかにも刺激に慣れていない様子の反応だ。当たり前だろうが、加減してやるつもりも無い。  
また泣き出しそうなその顔を見つめる。  
 キュアブラック――いや。美墨なぎさを屈服させる。肉体も、それに精神も。いつの間にかそれだけになっていた。  
 ふと指を止める。   
 
「声を上げろ」  
「……」  
「叫べ」  
「……ぁ……?」  
 続くと思った責めがやんだことに、なぎさが一瞬呆けたように固まる。その瞬間、愛液をまぶした指を上に滑らせた。  
「っあ!?」  
 指の腹を押し込むようにして花芯の位置を探り当てると、なぎさが腰を浮かせて反応した。包皮を?き、  
日本の指で挟みこむようにして直接しごく。閉じようとする脚の間に自分の身体を入れ、閉じられないようにした。  
「っ!――っ、あっあ」  
 刺激に耐え切れず腰を引こうとする動きを押さえつける。腰が動かせなくなった少女は背筋を仰け反らせて悶えた。  
「ぃあ、あっ、あっあっあ」  
 喘ぎ声を上ずらせ、瞳に霞が掛かったような表情で泣く。それでも無意識に耐えようとしているのか、その声は  
上げさせようとしている大声には程遠い。ピーサードは自身の苛立ちをそのまま、動けない少女にぶつけた。  
花芯を的確に押し潰し、ぐりぐりと捏ね回す。少女の身体が一際大きく痙攣した。  
「あ――――ぁんんんッ!」  
 思惑通りに、なぎさは涙を流して絶頂を迎えた。おそらく、少女が他人から与えられた始めての絶頂だろう。  
脱力した細い身体がベッドに沈む。彼女はぎりぎりのところで声を押し殺していたが、ピーサードは構わなかった。  
どうせこの先まで行けば、処女が声を上げないなど不可能だろうからだ。  
 達した直後でろくに動けない脚から愛液に濡れたショーツを強引に引き抜く。反応が遅れたなぎさを嘲笑うように、  
長く節くれ立った指が侵入した。  
 なぎさが大きく身を震わせる。反応が良い。入り口は緩み、十分に濡れた少女の膣内は円滑になっていた。指への  
圧迫感は強かったが、痛みはそれほど感じていないらしい。真っ先に羞恥の色を表に出したなぎさをピーサードが笑う。  
「感じてるようじゃないか。何ならもう一度してやろうか」  
「違うっ…」  
 ぎゅっと目を閉じ、かぶりを振る少女の中に入れている指を増やす。二本の指は膣内の上部を指の腹で引っ掻きながら  
愛液を掻き出し始めた。  
「あ、あ!」   
「違わんな。いいんだろう」  
「ちがう、きついの、だからっ、やめ……あっああぁあ」  
 
 指を差し入れながら、手の腹を使って先ほど弄っていた花芯も同時に責める。同時になぎさの様子が変化した。  
声色が高くなる。みるみる余裕を失い、哀れな少女は必死に喉を振るわせた。  
「駄目っ、それはだめぇっ」  
「――せいぜいいい声で鳴け」  
 動きを強め、特に手の腹を念入りに動かす。達したばかりの器官は特に弱いはずだ。現に手の腹を動かすたび  
内壁が締まり指を圧迫する。内壁の上部がややふくらんでいる――それを探し当て、指で擦る。少女の開かされた両脚が  
針金を通したかのようにぴんと張り詰めた。  
「あ、ぐっ――っ」  
 涙声の悲鳴。最後の抵抗か、なぎさははだけたシャツの襟を噛み締めた。泣き声がくぐもった声に変わる。  
ピーサードはそれを妙に冷めた心境で見つめた。  
 声がくぐもっていても、喉から発せられる声は伝わってくる。声にならない悲鳴をBGMに、彼はそのまま  
少女を絶頂まで追い立てた。二度目の絶頂になぎさは声もなく仰け反る。よほど深く達したのか、絶頂後の痙攣は  
しばらく終わらなかった。指を抜くと晒された陰唇からこぽりと愛液が溢れ、シーツまで垂れて染みを作った。  
「あ……」  
 しばらくして痙攣が静まり、なぎさが呻いた。ようやく自分の痴態に気付いたのか、ぎゅっと目を瞑り顔を背ける。  
枕に顔の半分を埋め、頑なにこちらを見ようとしなくなった。それでも隠し切れない荒い吐息が唇を割って出ている。  
大人しくしているのならそれはそれで構わない――すでに硬く勃ち上がった剛直を取り出す。  
 先ほどまで弄ばれていた場所に?き出しの怒張を押し付けられ、少女はびくりと震えた。やっと状況を理解し、  
蒼白になる。  
「なんでっ…なんでこんなことすんのっ」  
 なぎさは狂ったように「なんで」と繰り返した。両脚を押さえ込んでいなければ、それこそ滅茶苦茶に  
暴れ出していたかもしれない。  
「何でこんな、酷いことできるのっ――かえしてっ、あんたこそ返してよ、メップルとミップルのプリズムストーン――  
雪城さんの普通の生活――それに、あたしのっ」  
 なぎさはぽろぽろと涙を零した。何度流したかわからない涙は頬を伝って胸元に落ち、あるいはシャツの襟に  
吸い込まれていく。  
「あたしの、ファーストキス……」  
 最後に、少女は泣きながらそう言った。  
 ピーサードは目を丸くした。ここまで来て、あまりにも理解のできない台詞だった。  
 
 

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