スイートプリキュアの攻撃から、メフィストを思わず庇ってしまったキュアミューズ。
その結果、大量の音符がメフィストに奪われてしまう。
自らの取った行動に混乱し、メロディ達から逃げるようにその場を後にするミューズ。
加音町郊外、人通りのない路地裏に降り立つミューズ。
「ミューズ!」
少し遅れてドドリーも飛んでくる。
「………」
肩に降り立ったドドリーと視線を合わせる事無く、俯いたままのミューズ。
「え、えと…」
そんなミューズを励まそうとした刹那―
「ミューズ!」
何かの異変を察知したドドリーが叫んだ。
「っ!」
その声に弾かれるように顔を上げるミューズ。同時に物陰から4人の不良がゾロゾロと姿を現した。
「へへへッ…」
「こんな所でコスプレか?」
「良い体してんな、俺達と楽しい事しようか?」
品性の欠片もないような声を出しながら、ミューズの全身を舐めまわすように見る不良達。
「………」
「お前達、悪い事は言わないから、さっさとどこかへ良くドド。キュアミューズに手を出したら、ただじゃすまないドド」
沈黙を保ったままのミューズに代わり、不良達を威嚇するドドリー。
「お、おい。キュアミューズって…」
「も、もしかして、プリキュアかよ…」
ドドリーの言葉に一瞬怯む不良達だが―
「お前ら、びびってんじゃねえよ! プリキュアつっても女だろうが! 押し倒して、犯しちまえばいいんだよ!」
リーダー格の言葉に、落ち着きを取り戻し、それぞれナイフや鉄パイプで武装していく。
「………」
「仕方ないドド。少し痛い目にあってもらうドド」
ドドリーの言葉と共に構えるミューズ。不良達もそれぞれの獲物を手にジリジリと間合いを詰め始める。その時!
「ぅおらぁ!」
ミューズの背後から5人目が飛び出した。不意を突かれたミューズの後頭部へ―
ドガッ!
フルスイングで鉄パイプの一撃を叩き込んだ。パイプが曲がる程の強烈な一撃は、ミューズの目に幾つもの星を飛ばし、彼女に膝をつかせる。
そこへ別の不良が駆け寄り、ミューズの顔めがけて手にした催涙スプレーを放った。
顔一面に催涙ガスを浴びせられ、咳き込むミューズ。鼻や目の粘膜が猛烈に痛み、涙が止まらない。そして―
「チェックメイト」
そんな声と共に、無防備なミューズの胸へ小型の機械が押し当てられた。スタンガンだ。
ズバババババババババババッ!!
強烈な電流がミューズの全身を駆け巡り、声にならない悲鳴を上げさせる。
そして、リーダー格が再度鉄パイプを振り下ろし、とどめの一撃を与えると、その衝撃でミューズの顔が路地の地面に叩きつけられた。
「ミューズ!」
気絶したミューズへ向かおうとするドドリー。だが―
ドガッ!
非情にもリーダーは鉄パイプの一撃で空中のドドリーを叩き落した。地面に墜落し、動かなくなるドドリー。
「ヘヘッ、プリキュアも大した事ねえな」
「どうする? お持ち帰りか?」
「当然、プリキュア犯す機会なんて、これ逃したら2度とねえよ」
そんな事を話しながら、気絶したミューズを担ぎ、アジトに使っている近くの廃倉庫へ向かう不良達。
これから何をされるのか、気絶したままのミューズは何も知らずにいた。