金髪の小柄な少女は目の前の男に気圧されて後ずさっていった。周囲は闇。ぼんやりと有機的な網目状の柱が目に映る。
「お前たちの都合などどうでもいい…。変身するんだ!変身しろ!」
鎧姿の大男の強請に、彼女は思わず目を閉じる。怯えと、助けてくれるもののいない孤独が表情を曇らす。
「ひかり〜!」
いや、いた。小さいけど少女をこの状態で助けてくれる存在が。
その化粧コンパクトに封入されたような形の生き物が少女の名を呼んで変身を促している。
ひかりはそれを手に取った。扇ぐように右手をかざす。
「ルミナス、シャイニングストリーム!!」
少女が叫ぶと、胸のあたりを中心に光が生まれる。その輝きは見る間に強く大きくなって彼女を飲み込んだ。
「はあ、はあ、はあ…」
そのころラクロスのユニフォームに身を包んだ栗色の髪の少女…美墨なぎさ…と、白衣をまとった少女…雪城ほのか…は、校庭を走っていた。そのすぐ後ろを土煙が、そして頭を三つ持った巨大な竜が追いかけてくる。
その竜は「ザケンナー」と呼ばれるものだった。闇の力を受けた妖気が実体化した、彼女たちの「敵」。
ひかりという彼女たちにとって大切な少女は、今しがたそのザケンナーに飲み込まれたところだった。彼女たちの目の前で。
ひかりを助けなくちゃ!
砂煙の届かないところまで走ると、なぎさは立ち止まった。ほのかと目を合わせて、互いにうなずき合う。
「デュアルオーロラウエーブ!」
なぎさとほのかは互いの手を握り合うと、そう叫んだ。
「どうしたシャイニールミナス!お前の力を見せてみろ!」
巨漢は叫んだ。その目の前にはピンク色のドレスに身を包んだシャイニールミナス…変身後のひかり…が仰向けに倒れている。
ルミナスのダメージは見た目にも明らかだった。最初こそ変身後の驚異的な身体能力で巨漢のエネルギー塊による攻撃を避け続けてはいたが、ザケンナーの中という限られた空間の中では逃げ続けられようはずも無い。腕や腰に痛手を受けて立てないままで巨漢を睨んでいた。
「シャイニールミナス…クイーンの命といっても、不完全なままではこの程度でしかないのか…」
声に怒りと失望を含ませながら、大男はルミナスに近づいていった。その太い右腕が彼女の胸倉の衣装を無造作に掴む。
「や…いや…」
少女の顔に怯えの色が混ざった。
「…ふん!」
男が息を鳴らす。すると周囲の有機的な柱がうごめき始めた。そしてそこから細いロープ状のものが伸びてきて蛇のように彼女の手足を絡め取る。
「い、いやああああ〜!」
ルミナスは悲鳴を上げていた。とてつもなく嫌な予感が背筋を抜ける。
「見せてみろ」
言うが早いか、男はその怪力でルミナスの上半身のドレスを引きちぎった。まだ膨らみかけのなだらかな白い双丘が惜しげもなく顕わになる。
「いやっ!いやっ!いやあああっ!」
ルミナスは身をよじった。両手両足がザケンナーによって固定されてるため、どのように逃げようとしても虚しく腰をひねるだけになってしまうのだが…。
「ふむ…。やはり見た目は虹の園の人間どもと変わらぬようだな…」
彼はその手のひらを幼い膨らみに伸ばす。
「ひっ!」
ひかりは一瞬声を失った。大きくがさがさした手が撫でるように彼女の胸の上を滑っていく。知らず彼女の首の裏を怖気が登っていった。
「だあああああ〜っ!」
美墨なぎさの変身したキュアブラックは、気合を上げると正面の竜の首の一つに向かって駆けていった。そうして今にもジャンプしようかとばかりに身を沈める。
「だめ!ブラック!」
そんな彼女を制したのはあろうことか雪城ほのか…キュアホワイトだった。
思わずたたらを踏むブラック。そのバランスの崩れた身体に竜の首が襲い掛かる!
「ブラック!」
駆けつけたホワイトがブラックを抱えるようにして飛びついた。コンマ数秒前までブラックのいた空間を、竜のあぎとが残念そうに通り過ぎる。
「ホワイト!どうして!?」
ブラックは疑問をぶつけた。
「あのザケンナーの中にはひかりさんが閉じ込められてるわ。無闇に攻撃すると、ひかりさんまで傷つくかもしれない」
努めて冷静に、ホワイトは答えた。
「そんな…どうすれば…?」
気弱にもブラックの語尾がかすれる。
「とにかく、ザケンナーの攻撃を避けながら様子を見ないと。きっとどこかに中に入るための入り口があるはず」
ブラックはとにかくそのホワイトの言葉に同意するしかなかった。
「ほう、先のほうが固くなってきたな…。どうやら生理的にもまったく人間と同じらしい」
まだ平らな乳房と小さな桜色の乳首を指で弄びながら、大男は笑った。もちろんルミナスはその男の行為に対して性感を覚えているわけではない。むしろおぞましく気色悪いと感じている。身体の微細な変化は男が言うとおり単なる生理的な反射だ。
「どうして…どうしてこんなことをするの…?」
いまにもこぼれそうな涙を気力で押し戻して、ルミナスは男を睨んだ。
「ふん!どうして…だと?」
大男は鼻を鳴らすと、まるで飽きたかのように少女の乳首を転がしていた指を離した。そして少女のヘソのラインに指先を滑らせると、破れたスカートの上部に潜り込ませる。
「ひっ!」
ルミナスにはもはや抵抗するだけの体力は残されてはいなかったが、それでもわずかに腰を跳ね上げることで彼女はその意志を示した。
「もちろん、私はお前に興味があるからだ。クイーンの命よ」
男の指が少女の秘部を覆い隠してる布を探り当てた。遠慮という言葉も知らばこそ、男の手は無造作に下着の中に侵入してくる。
「やっ…いやあっ…」 ルミナスの瞳に蓄えられていた涙が、とうとう堰を切った。それは頬を濡らしながら耳の脇を抜けて金色の髪の中に染み込んでいく。
誰にも触れられた事の無い場所を男のガサガサした手が蹂躙していく。
悔しかった。悔しくて、恐ろしくて、悲しくて、情けなかった。
男は手のひら全体をルミナスの秘所にあてがうように添えた。ほんのりと産毛が生えたばかりの丘はその奥の恥骨の固さをダイレクトに手のひらに伝えてくる。それでもすぐ下のクレバスの両側は餅のように十分柔らかく、軽くさするだけで内側の朱色の襞を覗かせる。
「ふむ…」
大男は数度クレバスの周囲を指でなぞった。うっすらと割れ目の内側が湿り気を帯びてくる。
「やだ…やめて…」
少女の哀願は男の耳には届かなかった。彼は人差し指と中指に少女の分泌液を塗って湿らせると、クレバスの上方をそっと広げていった。
「ひゃんっ!」
ルミナスは息を詰まらせた。「くすぐったい」を10個ほど集めて「痛い」の手前まで限りなく近づけたような未知の感覚が肉芽から駆け上がってきたのだ。
「うっ…うっ…」
止めどなく涙がこぼれる。
男は執拗なまでに陰核を責め続けた。包皮を弄び、頂点に軽く触れ、指先が乾く度に秘裂から湿り気を補充する。
不幸なことにルミナスはクリトリスの刺激には慣れてはなかった。それゆえに耐えることもコントロールすることもできず、彼女はただ断続的に襲いかかる快感…それは同時に不快感でもあったが…に意識を麻痺させるしかなかった。
「さて…そろそろ試させてもらう」
男はそう宣言すると、ルミナスの小さな下着に指を掛けた。あっ、と思う間もなくそれは引きちぎられる。
「ひいっっ!」
少女の下半身が露わになった。透き通るような白い恥丘にはうっすらと産毛が生え、わずかに口を開いたクレバスからはこっそりと小陰唇がのぞき、そこから沁み出た分泌液は外陰部までをもテラテラと濡らしている。
「い…いやあああっ!いやあああっ!」
ルミナスは信じられないモノを見た。見て、叫んで、必死で顔を背けた。
男の股間から生々しい剛直が生えていたのだ。 それは客観的には「男性器」だった。しかし少女にとっては「絶望」以外の何物でもなかった。 「いやっ!やめて!やめてええっ!」
ルミナスは必死で逃れようとした。しかし、彼女の腰は大男の両手でがっしりと掴まれ、1mmたりとも動こうとしなかった。
「ひいっ!」
怒張の先端が少女の入り口に触れる。亀頭が濡れた陰唇を弄ぶかのように踊る。
「い、いやっ!やめて!やめて!やめてぇ〜っ!」
その願いは当然のように裏切られることとなった。男の怒張は少女のなかにゆっくりと沈められていく。
「やめ…ひいっ!いっ!痛い!痛い!痛い!〜っ!」
物理的に引き裂かれる、他とは比しようもない痛みと共に、少女は絶望の杭に貫かれた。あまりの苦痛に歪んだ顔を、彼女はひたすら左右に振るしかなかった。
黒と白の影が校庭を高速で駆けていった。左右に散開しては集合し、また離脱する。その後ろを数拍遅れて竜の首が追う。
「だめ!やっぱり口しか入る場所がないみたい!」
ホワイトが叫んだ。高速で動き回る竜、その口から侵入するのは非常に難しく思えた。
「でも…やるっきゃないよね!」
ブラックはホワイトに目配せをする。二人はうなずき合うと、竜に向かって駆けだしていった。
「ぐえっ!がっ!…ごっ、ごほっ!」
美少女の小さく紅い唇から、蛙のような呻きが漏れた。痛みを訴える悲鳴はもはや無かったが、決して破瓜の激痛が消えたわけではない。脳内物質が膣口内の傷を痺れさせてもなおその痛みは断続的に少女を責め続けた。
「けほっ!けほっ!」
男の肉棒がルミナスの内蔵を圧迫する度、逆流した涙が喉に詰まって彼女はむせかえる。
男は、ただ無感動に注送を繰り返していた。男の身体はあまりにも大きく、それに比するまでもなく少女はあまりにも小さく、その交わう様はそれゆえに背徳的で淫猥であった。
「はあっ、はあっ、はあっ」
男の息遣いが速度を増し、腰の振りが荒々しくなっていく。少女はただ濁流に飲まれる小舟と化していく。
「く…っ!そろそろ出るぞ…!」
男の動きがいっそう激しくなった。ルミナスはその言葉を頭の片隅のまだ少し正気の残っている部分で聞いた。
「い…いやあ…」
それでも彼女が上げることができたのは、消え入るような抵抗の声だけ。そして大男はその声を当然の如く無視することにした。
「ふっ…。クイーンの命が闇に汚されたときどうなるか、興味深いな…。うっ!ん…」
小さな呻きと共に、男はグロテスクな男性自身を少女の最深部へと突き込んだ。2度、3度と繰り返される度に、子宮の奥へと白濁した欲望が流し込まれる。
「ひっ…!」
破瓜の血と分泌液で満たされ、ペニスで隙間無く密着していた膣の中をそのネバネバした液体が浸食していった。気持ち悪かった。気持ち悪くて…おぞましかった。
「うあああああっ!あっ!あっ!」
校庭の脇の林の中で叫ぶ声は、深い新緑に吸い込まれていった。
なぎさは、もたれ掛かって泣き叫ぶひかりをただそっと抱きしめていた。
闇の世界から来た敵は、撃退した。ひかりを救出し、校庭にも日常を取り戻した。
しかし…遅かった。遅すぎたのだ。
なぎさには、ひかりに掛ける言葉がない。慰めも、謝罪も、言葉にしてしまうと痛みを知らない他人の「戯れ言」になってしまう。
だからなぎさは…ただ抱きしめて、涙を頬につたわさせていた。
ほのかは、少し離れてそんな二人を見ていた。彼女もまた、何も言わない。
「あうあっっ!うっ!うっ!…」
泣き声とも嘔吐ともつかない叫びがひかりの喉の奥を突く。
実際、ひかりは吐きたかった。吐いて、すべて吐いて、できうるなら胃も腸も子宮もすべて吐き出して、忌まわしい事実と一緒に捨ててしまいたかった。
悔しかった。惨めだった。不安だった。世界の全てが足下から崩れ去った。…たった一つの、目の前の温もりを除いて。
だから、ひかりはただなぎさの胸の中で泣き続けた。
「ひかりさん…とにかく、うちに来て。お風呂沸かしておくから…」
夕日が地平に沈みかけた頃、ほのかがひかりに切り出した。ひかりは泣きすぎてぼうっと麻痺した意識をほのかに向けた。
「う、うん!そうだね」
なぎさは同意すると、ほのかにひかりの身体を預けた。ほのかはひかりの肩を抱いて、支えるように歩きだす。
「ひかりさん…。一つだけ、聞いて欲しいことがあるの」
ほのかは小さな、本当に小さな声でひかりに耳打ちした。思わず顔を上げるひかり。
「………あなたは、もうなぎさに愛される資格は無いの。忘れないで」 そこに見たのは、ほのかの笑み。残酷なほどに歪んだ、悪魔の如き笑み。
ほのかさん…まさか…
ひかりの視界が色を失っていく。そして、闇に落ちていった…