夕暮れの夕凪町。  
 
みゆき〔モノローグ(以下モノ)〕  
「この事件が幕を開けたのは、或る蒸し暑い日の夕方のことだった」  
 
 私服姿の舞が、白い帽子を被り海岸に佇んでいる。  
 余り冴えない表情。  
 そこへ30代後半ぐらいの、紳士服など着こんだ男性が近づいてくる。  
 一瞬の間を置いて、やや明るい表情を見せる舞。  
 舞ににこやかな微笑みを見せて何やら話す男。  
 
 と、傍の道をみのりと薫が歩きながら近づいてくる。  
 みのりの話に穏やかに相槌を打っていた薫が、ふと顔を海岸に向けてハッとした表情になる。  
 2,3秒凝視した後、みのりの手を引いて駆け出す薫。  
 
 薫「みのりちゃん、掛けっこよ」  
 みのり「あっ、薫お姉ちゃんいきなりずるい!みのり負けないんだから」  
 
 駆けていく2人。薫の若干眉をひそめた横顔。  
 
薫(モノ)  
「その時の私は、何か見てはいけないようなものを見て仕舞った意識に囚われて、  
 その後に起きる出来事など想像も出来なかった」  
 
 2人が走り去って行った後も、舞と男は話し込んでいる。  
 
舞「そう、咲って困った子なんです…悪かったのは私なのかもしれないけれど」  
男「そんなことはないよ、舞ちゃんは悪くなんかないさ」  
舞「ううん、私が悪かったって思ってはいるんです。  
  チョッピも…いえ私の別の友達もそう言っていて」  
当分寝ていてくれるように頼んだ妖精の名前を出しかけ、さりげなく訂正する舞。  
 
 その頃パンパカパン店の前で何やら片付けをしている満。  
猛スピードで走ってくる白いライトバンに接触しそうになり後ずさる。  
車が海岸方向に曲がっていくのを苦々しそうに観る。  
満「全く何て運転…海岸に急用でもあるのかしら」  
みのりと薫がやってきたので、車のことは忘れて二人に手を振る満。  
 
舞「でもこれで咲にもしっかり謝って仲直り出来そうです。  
  ありがとうございました、大友さん」  
男「そういって貰えると嬉しいよ、舞ちゃん。  
  でさ、その代わりと言っては何だけれど少し一緒に来てくれないかな」  
海岸に何時の間にか滑り込んできていたライトバンを男は指差す。  
舞「?どこへですか?それにもう6時ですし、家に連絡しないと…」  
男「なに横崎までだし、今夜中に車で送ってあげるから、さあ」  
腕をつかまれて引きずられ、危機感と警戒心を見せる舞。  
 
画面変わって、これも浮かない顔で自転車を引きずっている咲。  
海岸の車と、2人の人影特に少女のシルエットを見てあれっという顔をして、  
次の瞬間自転車で駆け出す。  
 
舞「大友さん?…いえ、あなたは一体…」  
男「おやおや、絵を描いてると背後の男にも気付かないような子なんでちょっと油断したかな。  
  賢いね舞ちゃん、私は大友なんて名前じゃないよ…さあちょっと来て貰おうか」  
舞「まさか…あなたはダークフォールか何かの」  
男「ダークフォール?そんなのはウチの業界じゃ知らないよ、子猫ちゃん」  
舞「きゃっ」  
バンの扉を開け舞を車に入れようとする男。と  
 
咲「舞!?」  
いきなり自転車で突っ込んでくる咲。  
舞「咲!きちゃだめ」  
 
自転車を乗り捨て、舞に触れる奴は問答無用とばかり大の男にとびかかる咲。  
互角の取っ組みあい。咲が男のスーツのボタンを千切ったりする。  
が、いきなり背後から銃器で殴られ崩れ落ちる咲。  
 
咲「痛っ!?」  
舞「咲!」  
ぐったりした咲にすがりつく舞。  
と、後ろから男に首を絞められてハンカチを嗅がされ、咲の上に倒れる舞。帽子が落ちる。  
 
苦笑気味に銃をしまいながら男2が男に鋭い顔を向ける。  
 
男2「ドラマじゃあるまいし、銃とクロロフォルム使わないとガキ1人連れてこれねえのか、え」  
男「いや社長、すんません」  
男2「二人一緒なのは都合がいい…早く載せるんだ、また誰か来ても困る。  
  ん?妙な携帯だな。通報できないよう後ろの箱に隠しとけ」  
 咲舞をライトバンの後部に乗せ、運転席と助手席に乗る男2と男。  
 
 30分後。帰りの遅い咲を探しに出た薫と満は、海岸に残された自転車と舞の帽子を発見する。  
満「これって…それにこのタイヤの跡…」  
薫「…満、舞の家に確認を取って。私は課長に連絡する」  
 
公衆電話で通話する薫の横顔。  
ひかり(声)「はい、タコカフェです。ご注文を」  
薫「ぶっちゃけありえない」  
あゆみ(声)「神奈川県警特殊捜査課です。美墨課長につなぎます」  
 
なぎさ(モノ)「事件の第1報がもたらされたのは18時35分だった」  
 
陽がほとんど沈んだ道を走っていく先刻の車。夕凪町を出て横浜行きの標識が見える。  
 
警視庁の一室。時計は19時12分を指している。無線機を取っていたゆりが交信を終え机に戻ろうとする。そこにいつき入室。いつきはなぜか警察の制帽もかぶっているが。  
ゆり「なぎさから報告よ。つぼみとえりかも現場に到着してほのか達と鑑識作業に入っていると。  
   現時点では誘拐の可能性が高いのに変わりなし。上に話した広域配備の方は?」  
いつき(首を左右に振ってから)  
「まだ満の言う白いライトバンを犯人の物と断定出来ないし、それにライトバンだけでも多いからね…。他のみんなも待機出来てるよ」  
 電話が鳴りゆりが取る。  
ゆり「はい特捜月影です。はい…はい、我々も県警特殊捜査課に協力しますので。では早速」  
 電話を切るゆり。  
ゆり「部長の許可は取ったから、全員非常招集よ。  
   まずは車種と薫の目撃した男の特定。尤も、残された時間はそう長くもないでしょうけれど」  
 
夜の横浜の風景。ランドマークのタワーを遠くの背景に先刻の車が走っていく。横崎の標識が見える。  
 
現場。残されたタイヤ痕とノートパソコンの資料を照合しているほのか・ひかり・つぼみ。  
つぼみ「これに間違いありません」  
ほのか「やはりライトバンね」振り向いて「なぎさ、車種が分かったわ」  
駆けつけてパソコンを覗き込むなぎさ。  
えりかが叫びながら駆け込んでくる。  
えりか「なぎさ、おっこちてたボタンから、咲と舞以外の指紋が出た出た」  
なぎさ「マジ?よおし徹底的に洗うわよ」  
 
横崎市内。或るマンションに到着した先刻の車。  
 
マンションの中。咲は手足を縛られて男1に、マンションの中の部屋に放り込まれる。  
さるぐつわをされた口から何かを発する咲  
咲「▼◆±■」(舞は、か)  
咲の腕時計の表示は19時45分。  
 
 
先程と同じ警視庁の一室。パソコン数台と記録ファイルの束が持ち込まれている。  
いつき・響・奏・エレン・アコ・みゆき・あかね・やよい・なお・れいかが揃っている。  
或る者は電話を掛け、或る者は資料を照合している。騒然としている様子。  
 
ゆりが入ってくる。作業はそのまま続いている。いつきが手元のファイルを読みつつゆりの表情を観て  
いつき「部長たちは何て」  
ゆり「明日までに進展しなければ今の特捜課同士の極秘捜査を打ち切って、県警捜査一課に指揮権を移すよう命令されたわ。  
   その後何か分かった?」  
いつきが手で招き数人が作業を止めて近づいてくる。  
いつき「薫の目撃した男性については、顔を正面から眺めた訳ではないので写真照合は無理ね。  
    容疑者が浮かんできた段階で薫に面通しをして貰う感じになりそう」  
響「えりかが見つけたボタンの指紋、あれの照合を進めてるだけれど…」  
アコ「警察庁の統一データベースでは該当者なしだったんだよ」  
れいか「そこでまだデータベースに入力されていない、過去のファイルに当たっています。  
    捜査一課が持ってる強行犯関係と四課の暴力団関係のファイルにも該当しなかったので、  
    二課と三課の知能犯関係のファイルを調べているところです。」  
ゆり 「そう、大変だけれど頑張って残りを済ませなさい。車の方は」  
いつき「満の言う白の車体にまず間違いないと思うので、特定した車種のまず白から当たってる。  
    レンタカーと業務用についてはチェック済み、個人所有の物も3分の2は無関係」  
奏「個人所有の残りのリストです。要チェック分をラブ達に当たって貰ってます」  
ゆり「なぎさとのぞみ達には?」  
あかね「ウチの担当してる盗難車関係を聞き込んでもろてます」  
時計はちょうど21時。  
 
マンションの1室。男1と男2が寝室のベッドに寝た舞の服を脱がしている。  
青っぽい服の中から、白いブラジャーとパンツが顔を見せる。  
思わず手を近づける男1を制し、男2は淡々と胸のブラジャーを取り外すと、用意した白のランジェリーを着せようとする。  
時折顔をしかめるが基本的に穏やかな表情の舞。  
 
夜の歓楽街を歩くサンクルミエールの夏服を着こんだ少女が4人、夏服の上に青い背広と帽子を羽織った少女が1人。  
 
りん(モノ)「盗難車の行方はまるで分からなかった。しかし私達はブンビーさんから或る密売ルートの有力な手掛かりを得た」  
 
或る店の前で足を止める5人。  
 
かれん「ここね、ブンビーさんの言っていた組長の店って」  
のぞみ「おお、大人のお店だね。よーし、中に入るのけってーい」  
うらら「こまちさん、その格好は?」  
こまち「一度着てみたかったフィリップ・マーロウの衣装。夜の聞き込みって感じでしょう?」  
りん(独り言風に)「ハードボイルド小説の読み過ぎだね…」  
かれんが暗がりに何やら合図を出してから、中に入っていく5人。  
 
バーの中。半ば呆れ半ば凄みのある表情で組長の手下の1人が5人と話している。  
りん「組長に会いたいの、出来ればすぐ」  
手下「あー組長?知らないな、誰だそれ。てかお前ら一体何者…」  
かれん「私たちは特殊捜査課の」  
言い終わらないうちにのぞみとうららがどんどんしゃべりだす  
のぞみ「はいはーい、私たちここで働きたいの。彼と旅行いくのにお金がと―っても欲しいの」  
うらら「どーんなことでもやりますから。男の人と一緒にお酒飲んだり、一緒に寝たり」  
のぞみ「そうそう、のぞみ、ベッドで何でもやっちゃう」  
手下「お、おう、随分陽気なもんだな…。じゃ、ちょっと待ってな」  
奥に消えていく手下。  
かれん「あの…うらら、今の台詞…」  
うらら「やだなあかれんさん、演技ですよ、演技」  
りん「のぞみ、あんたもねえ…」  
のぞみ「ねえりんちゃん、男の人とベッドで何をやっちゃうの」  
純真な笑顔が却って怖いうらら、のぞみの問いに顔を赤らめるりん・こまち・かれん。  
こまち「そういうことはコ、ココさんに聞いてみると良いんじゃないかしら」  
のぞみ「えーじゃあこまちさんはナッツとベッドで何してるの?」  
こまち「!?ナ、ナ…」  
もはや制御不能のこまちの肩を慌てて支えるかれん。のぞみの横でため息をつくりん。  
 
バーの奥の個室。数人の手下を従えソファーに座る組長。置時計の表示は21時20分。  
立ったままの5人の後ろで手下が扉を閉める。  
 
組長「白いライトバン?」  
かれん「そうよ」と言いつつ数枚の写真を見せるかれん。  
こまち「先月11日に横崎港で盗まれて、ナンバーだけは発見された盗難車が4台」  
りん「それを買い取って、ナンバー付け替えてまた別の人間に売り渡したのがあなた達って情報が在ってね。で、どうなの」  
組長「やれやれ、店で働きたいというから…。それが一体また…」  
うらら「そうでも言わないとお会いできないでしょう」  
りん「この店が未成年を就労させてる証拠もこっちは押さえてる」   
かれん「我々はある事件を追ってるし、それに関しては色々と権限も持っているのよ。  
    今回協力してくれて、今後同様の事件を起こさないと誓約してくれれば、盗難車転売自体とお店の不法就労の件は見逃しても良いわ」  
組長「同じのは神奈川だけで何十台もあるでしょう。なのになぜ我々だけ」  
こまち「勿論、業務用やレンタカーも含めて調べているわ。  
    でも盗難車6台の行方が分かっていなくて、内4台にあなたが関わっていると」  
組長「ハハ、大したことをおっしゃる娘さん達だ…おい、ヤスを呼べ」  
 
手下が扉を開けて外になにやら呼びかけ、屈強な男が部屋に入ってくる  
組長「仕方ない、ヤス娘さんたちをお前の力で帰らせて差し上げろ」  
ヤス「ハッ…」  
ヤスが扉を閉めようとしたその瞬間  
ヤス「グエッ…」  
駆け込んでくるなり肘打ちを決めるくるみ。一発でノックアウトされるヤス  
くるみ「あら、ごめん遊ばせ」  
手下たち「何を」「このガキが」「ふざけるな」などなど  
怒りの声を出しつつ手を上げる手下たち。  
銃声が2発。手下達が仰天したように観るとこまちとのぞみが既に銃を抜いている。  
かれん・りん・くるみが驚愕の表情を浮かべている(うららはのぞみに羨望の眼差し)。  
こまち「ふーん、現場で発射するとこれくらいの音なの」  
穏やかな表情でさらりと言うこまちに更に顔が引きつる手下たちとりん達。  
のぞみのアップ、相当に真面目な表情で  
のぞみ「今、友達が困っているの…私は彼女たちを助けたい…私、決めるときは決めるよ」  
 
警視庁の一室。指紋照合プログラムと古い指紋票とのつけあわせにみゆきが四苦八苦している。  
周りで同じ作業をしているアコは呆れ気味、エレンとれいかは若干困ったような顔をしながらもテキパキと処置を手伝う。  
みゆき「うえーん、また読み取りエラーだよ」  
アコ「もう、さっき教えたでしょうが」  
エレン「ほら、やり直せばいいんだから、まずそのカードを外して」  
れいか「みゆきさん、ここはこうしてこうやると良いんですよ」  
みゆき「おおっ、さすがれいかちゃん。これってウルトラハッピー!」  
ジャンプしたみゆきの手が扇風機を倒し、それが更に指紋票の入った袋と箱を次々に落とし、カードの山を作ってしまう。  
やよい(驚いてるんだか嬉しいんだか分からない様子で)「きゃー」  
あかね(ごく真っ当に突っ込む)「なにしてんねん」  
ゆり(最初少しだけ顔をしかめ、淡々と)「大丈夫よ、たかだか2000枚分がごっちゃになっただけよ、直ぐに直して頂戴」  
いつき(ゆりの様子とカードの山を見比べつつ)「たはは…」  
ゆり・いつき・エレンの3人が山の1番上のカードを取ろうと見たその瞬間  
ゆり・いつき・エレン「えっ」  
何かに気付いて直ぐに1枚のカードを読み取り機に掛ける3人。  
いつき「これってもしかして」  
ゆり「そんな偶然が…」  
エレン「でも今の指紋の形は見覚えが…」  
半信半疑の2人に対し、元猫として観察力に自信のあるエレンはかなり真剣。  
 
覗き込んだ全員「一致〜!」  
やよい「みゆきちゃん凄いよ」  
 
ゆり「すぐに此の男をラブ達に洗わせて」  
いつきが無線機に駆け寄って指令を出す。   
ゆり「それからアコ、エレンはここでいつきとこの男の情報探しよ。」  
頷くアコとエレン。すぐにパソコンに取りかかる。  
ゆり「それ以外の者はもうこれ以上ここ居てもしょうがないので、全員なぎさ達の応援に向かうこと。  
   みゆきとやよいは、ここでしばらく待機。カードの後始末をして頂戴。以上よ」  
えっと顔を見合わせるみゆきとやよいの裏で、慌ただしく準備をする響とあかね。  
     
 
 
 
マンションの一室。ランジェリーとパンツ姿にさせられた舞はうとうとと眠り続けている。  
男2「これは上玉だ。美人さんだねえ」  
男1「おいおい、眠らせといて良いのかい。こちとら深夜勤務はごめんだぜ」  
男2「そう言うなよ、特別手当をつけてやる」  
男1「え?」  
男2「こりゃ久しぶりに、本当に男を知らない女の子だよ。それを最初に食すんだ。悪くない手当だろ」  
男1「ふ、そういうことかい。ならまあ良いか」  
男1はビデオカメラから舞の姿を覗いている。  
舞の寝顔と一緒に写っている、ファインダーの時計表示は「22:07」  
 
数階建てのオフィスビルを覆面パトカー(特捜1号)の中から眺めているなぎさ・ほのか・ひかり・満・薫。  
ほのか「4台の内3台は密輸出しようとしてまだ倉庫の中だけれど、1台は或る会社に売り渡したと」  
薫「その会社というのがこの…」  
なぎさ「大泉企画」  
ひかり「でも、何をやっているか良く分からない会社だそうですね」  
満「つまり表に出せる商売じゃないってことかしらね」  
ひかり「それにしても、灯りが消えたままで動きませんねえ」  
満「令状とって踏み込まないの」  
ほのか「他にも決め手の証拠が無いと…」  
無線の合図音。無線機の隣の時計表示は22時14分。  
あゆみ(声)「特捜課から特捜1、どうぞ」  
ひかり「特捜1です、どうぞ」  
あゆみ(声)「警視庁特捜課から入電中、課長宛てです、どうぞ」  
助手席のひかりから無線機を受け取る後部座席のなぎさ。  
なぎさ「こちらなぎさ、あゆみ、読み上げどうぞ」  
あゆみ(声)「発警視庁特捜月影、宛て神奈川特捜美墨、指紋照合は18年前窃盗容疑で勾留釈放された男の指紋と一致、  
   現在ラブ達が男の自宅に急行中。住所は東京都大川区…」  
 
 
赤色灯をつけサイレンを鳴らして走る覆面パトカー。  
 
エレン(モノ)「しかしその男、朝霧八郎は不在で、行方も知れなかったのだった」  
やよい(モノ)「そこでラブちゃん達は、彼を知る人間が居るという街に向かったの」  
 
覆面パトカーが走っているのを見つめていた夏が、ぽつりとつぶやく。  
夏「実行不可能な指令を受け、頭脳と体力の限りを尽くしてこれを遂行する、女の子たちの秘密機関の活躍である…か」  
小々田「何か言ったかい、ナッツ」  
夏「いや何でもない。早く仕事を始めよう。まず看板、それと録音機と無線機の用意、衣装の準備だ」  
小々田「了解、ちゃっちゃか済まそう」  
夏「…」  
小々田「なんだよ、ナッツ」  
夏「…お前はのぞみにちゃんとした性教育もしていないのか…」  
小々田、顔を赤らめて沈黙。  
小々田「そ、そう言うナッツはこまちとベッドで何かしたのかい…」  
夏、顔を赤らめて沈黙。  
 
つぼみ(モノ)「この会話を知ったミルクが後で何をしたかについて、当局は一切関知しないのでそのつもりで…って、何ですか、このナレーション?」  
 
 
 
マンション、咲の監禁されている部屋。  
咲が何とかはい出ようと必死の努力をしているが、とても出れない。  
咲(モノ)「おかしい、男達は舞を連れて来てどうするつもりなのだろう。  
      身代金でも取るつもり何だろうか。確かに舞のお父さんは天文台の観測部長で、お母さんは私立大学の教授、お金は持っているかもしれないけど。  
      まさか私達が警察に密かに協力していることを知って…それはさすがにありえない。  
      そうだ、今頃は薫と満が気付いて、課長のなぎさや東京のゆりさん達に相談しているはず。  
      もう少しの我慢よ舞。そうすればここから出られるわ、舞。舞。  
      私の口からこぼしたくてもこぼれなかったのは舞への言葉だった」  
 
マンションの一室。目覚めた舞は自分がベッドの上に寝ていて、ランジェリーとパンツ姿にされていることに気付く。  
更に照明に照らされ、ビデオカメラがセットされているのを観て怪訝な表情を浮かべる。  
男1「良い寝顔だったよ、舞ちゃん」  
舞「…」顔を背ける舞。  
男2「良く眠ってたようだし、目が覚めたんなら早速撮影と行こうか。  
  今夜中には一段落させたいんでねえ」  
舞「さ、撮影って…」  
男2「おや、ビデオを知らないのかい。ウブだねえ、そういう娘の物は売れるんだよ。  
  でも舞ちゃん、君もしたこと無くても知ってるだろう、Hのことぐらい」  
舞「そんな…私そんなことしません。帰して下さい」  
男2「咲って娘がどうなっても良いのかい?」  
舞「!」  
予想通りの反応にほくそ笑む男1。  
舞「咲、咲をどうしようと…」  
男2「そ、君ならそれがどういう意味か分かるだろう。  
   さ、大人しくこちらの言う通りにしてくれよ」  
舞「咲を無事に家に帰してくれるなら…そ、それなら私…」  
男2「よしよし、じゃあ君は何にも考えずに、ただ大人しくしてくれれば良いから」  
男1「舞ちゃん、宜しくね」  
男1がベッドの上に来て舞を抱え起こす。  
男2「じゃあカメラを廻すよ」  
ビデオカメラの時計表示は「22:51」  
 
どこかの警察署の一室。電送されて来た男1の写真を薫に見せるなぎさ。  
薫の顔と夕方の舞と一緒にいた男の映像が交互に流れる。  
薫、力強く頷く。  
なぎさ、薫の肩を叩く。  
すぐに部屋を出ていく二人。  
 
歓楽街(5組が向かったのとは別)。  
男3は明らかに酒に酔った風で  
男3「ウィー、ケッ売れないカメラマンで悪かったなあ…おえ」  
少しふらついて、腕時計を観る。  
男3「ふん、まだてっぺんまで1時間と…10分。そもそも誰が1時間は60分なんて決めたんやら…」  
まだまだ彼の独り言は長いのだが、千葉繁か高木渉並みのアドリブに任すこと。  
 
そこへ青のワンピースドレスを着た美希、オレンジのドレスを着た祈里が通りがかる。  
 
美希「ねえ、おじさんもう1軒どう。私完璧にサービスするわよ」  
祈里「あなたにとって素敵な出会いがあるって、私信じてる」  
男3「おっ、フレッシュなねーちゃん達だな。いいねいいね、スタイリッシュだしキュートだよ。  
  でもおれはもうちょい影の在って大人っぽいのが良いんだ、ごめんよ」  
美希「もうおじさん酒癖が悪いってのは本当なのね。でもあっちにもう一人、おじさんにぴったりなのがいるわよ、ほら」  
男3「これこれおじさんをせかさないでくれよ」  
二人に腕を組んで「クラブフレッシュ」の前まで連れられる男3。  
視線の先には、店の中のピンクのドレスを着たせつなと、男物を着こなしバーテンダーのような格好のラブ。  
男3「けっ、あんなバーテン風情にあの姉ちゃんは10年早いわ!よし行くぞ、諸君」  
 
マンションの1室。ベッドに腰掛けながら向かい合っている舞と男1。  
 
男1「名前は?」  
舞「…」  
さすがに本名を言うのに躊躇していると男2がスケッチブックに指示を出す「飛鳥舞」  
舞「あ、飛鳥舞です」  
男1「歳は?」  
舞「ちゅ、中学2年生です」  
男1「ふーん、まだ中学生なんだ、舞ちゃん。部活は何かやってるの」  
舞「び、美術部で絵を…」  
男2がポツリとつぶやく  
男2「クク…脅しが効いたのか恭順で良いことだ」  
男1「はじめてキスをしたのは、何時?」  
舞「キスしたことなんて…ありません」  
男1「本当?付き合ったことのある男の子は?」  
舞「いません…」  
男1「告白されたことのある男の子は?」  
舞「4人…」  
男1「でも全部断ったんだ。舞ちゃんて、まさかレズ?」  
舞「そんな…」  
男1「好きな女の子は?」  
舞「…いません。」  
男1「女の子の体に興奮したりする?」  
舞「しません」  
男1「男の子の体には?」  
舞「えっ…分かりません」  
男1「男の裸って観たことある?  
舞「小さい頃、お風呂場でお父さんとお兄さんのを」  
男1「ふーん…お○○○○を観てどう思った」  
舞「特に、何も…」  
男1「男の体に興味を持った事って、本当に無いの?  
舞「ふ、古い美術の教本にヨーロッパ系の男の人の克明な写真とデッサンがあって、それに…」  
男1「立派なお××××だった?」  
舞「え、ははい、…ちょっと大きいなって」  
男1「それを観てオ○○―したりしたんだ」  
舞「そんな…私○○ニ○何てしません」  
 
男1「舞ちゃん初潮は何時だった」  
舞「…小学4年生です」  
男1「胸が膨らみだしたのは」  
舞「同じです」  
男1「初めてブラをしたのは」  
舞「小学6年生」  
男1「胸の大きさは?」  
舞「…全然大きく無い、と思います」  
男1「初めてオ○○―したのは」  
舞「だから…したことはありません」  
男1「自分の性器を観たことはある?」  
舞「去年、お風呂場で鏡で…」  
男1「どうでしたか」  
舞「何だか自分が少し汚くなっているような、そんな気がしました」  
男1「指でいじったりしたこと本当に無いの」  
舞「ありません」  
男1「○ラ○ラの色は」  
舞「…少し薄茶色の入った、ピンク色です」  
男1「初めて○毛が生えたのは何時ですか」  
舞「小学5年生…」  
男1「今はどのぐらい生えていますか」  
舞「性器の上の辺りから、へその下10センチぐらいまで…それと○ラ○ラの周りにも…」  
男1「濃いんですか」  
舞「多分そうだと思います…上から見ると凄く黒々としているように観えます」  
男1「○毛が濃くて恥ずかしいですか」  
舞「自分が何だか女の子じゃないみたいな…そんな感じがして…」  
男1「毛を剃ったことはありますか」  
舞「ちゅ、中学1年の時2・3度…。プールの授業の頃に」  
男1「なぜですか」  
舞「み、水着が小さめできつくて…股の辺りから少しはみ出ていたから」  
男1「水着を着ていてどういう気持ちでしたか」  
舞「サポーターの中の毛が浮き出てこないだろうかとか…ちょっと股に目が…」  
男1「舞ちゃん、男の子の水着は観てなかったの。先端が尖ってたかも」  
舞「そんな…」  
男1「男の人と性的な関係になったことは」  
舞「ありません」  
男1「男のお○○○○を体に入れたことはないんだね」  
舞「…はい…」  
男1「つまりあなたは処女ですね」  
舞「…はい」  
カメラ越しに舞の赤い顔のアップ。時刻表示は「23:17」。  
 
店に入る男3と美希、祈里。カウンターの中にラブ、外にせつな。せつなから少し離れて、正装のカオルちゃんがビールを飲んでいる。  
ラブと同じ格好のなおがこれも少し離れたところでグラスを磨いている。  
男3、せつなの前まで来て  
男3「ほー、いやなかなか…」手を出そうとするとそれをつかむラブ。  
ラブ「おじさん、少し聞きたいことがあるんだけれど」  
男3「何だ、この青二才は」  
ラブ「朝霧って人、知ってるよね」  
男3「朝霧八郎か?あああいつ、大泉ンとこの…」  
祈里「大泉のところの…」  
男3「×優だよ、×優兼スカウト。契約する迄は女の前では優男だがいやらしい奴だ、本当」  
美希「へ、へえ。今夜はその朝霧さんと一緒に飲まないの」  
男3「誰が朝霧や大泉みたいな××××伯爵と飲めるかい。俺は大泉企画の作品の写真を取っているだけだ。  
  この東山映一、三流として腐った人生を送っても、喰われた女の子の涙にゃホロリと来る。  
  さっさとあいつらともおさらばしたいんだが、いや飲む金にはなるんだよこれが。  
  でも奴等とは一緒に飲むもんか、仕事だけの付き合いよ」  
ラブ「大泉さんて、ひょっとして大泉企画の社長さん?」  
男3「そうそう、「大泉企画代表取締役社長大泉学」何て大層な名前の名刺を作って居やがるが、  
   何のことは無い女の子を騙すビデオ監督、いやそれも×V崩れの悪玉に過ぎねえ。  
   ×Vもビデ×とかの規制が厳しくなって、奴みたいな××××は児童福祉法違反が落ちよ。  
   それを逆恨みして暴力団の下っ端なんぞになって銃を見せつけるわ18未満の×優を使うわ、大衆芸術の世界の隅にも置けんわ」  
せつな「次の仕事は何時?」  
男3「明日よ明日、何でも今日女の子を連れ込んで今夜中に撮るんで明日の10時から写真撮影だとさ。  
  監督は大泉で主演朝霧よ。  
  天下の東山様に横崎のしけたマンションまで朝から呼びつけるなんて大した根性よ」  
ラブ「横崎の、何てマンション?」  
男3「ポルンハイツ…いやルルンハイツ?どっちだったかな…メゾンタルト、いやメゾンココナッツとかいうふざけた名前だった気もするぞ」  
そこまで聞いて次々と店の外に駆け出すラブ達。  
ラブ「おじさん、ありがとう」  
せつな「お酒は程ほどにね」  
祈里「悪いことに加担したら、ちゃんと反省して警察に知らせないと駄目よ」  
美希「録音、完璧に出来てるわね?横崎の妖精みたいな名前のマンション、すぐ急報して!」  
なおが録音機のスイッチを切り無線機を取り出しながら頷く。走り去っていく4人。  
なお「至急至急警視庁特捜4より警視庁・神奈川特捜どうぞ」  
いつき(声)「至急至急警視庁特捜ですどうぞ」  
あゆみ(声)「至急至急神奈川特捜ですどうぞ」  
なお「朝霧八郎に関する有力情報、横崎のマンション、例えばココナッツのように妖精の名称が入ったマンション、  
   そこで朝霧・大泉らによって監禁されている可能性大です至急急行捜索願います」  
 
男3「な、なんだあこいつら」  
あんぐりする男3に近づいてきてごく自然に酒を注ぐカオルちゃん。  
カオルちゃん「なーに、この世は全て夢の如しですよ、旦那。さ、1杯」  
男3「お、おめえ気が利くじゃねえか。よーし今夜は夢見るまで飲み明かすぞ」  
なお「じゃあカオルさん、後は宜しく」  
カオルちゃん「お、後片付けして経費はかれんちゃんに請求して酒飲んでれば良いんだから、お安いアルバイトさ。さ、急ぎなよなおちゃん」  
なお「はいっ」  
駆け出していくなお。  
カオルちゃん「プリキュア大作戦は成功…さて、舞のピンチはどうなるかね」  
ビールを飲むカオルちゃんの腕時計は23時11分。  
 
 
マンション寝室。ベッドに寝そべっている舞に男1が話しかけている。  
 
男1「緊張してる?」  
舞「…」  
男1「大丈夫、僕に任せてくれれば何の不安もないよ」  
男1「ほら、さあ」  
舌で頬を舐められ、ピクンピクンと反応してしまう舞。  
ランジェリー越しで胸を触られる。  
目をつい閉じたくなってしまう舞。  
 
男1「じゃあ、胸を見るね」  
ランジェリーを腹まで降ろされ、胸がはだけてしまう舞。  
舞「ああ…」  
胸にキスされ、小ぶりだが綺麗な乳首を触られる舞。  
男1「綺麗だよ、舞ちゃん。ここ触ると気持ちいいでしょ」  
乳首をつねられ、顔をしかめる舞。  
男1「ほら、こっちも濡れてきた」  
男1は白いパンツごしに、舞の股を撫でまわす。  
男1「力を抜いて、良く見せてごらん」  
こんな男に自分の大切な部分を触られていることに耐えきれずに、顔を背け目をきつく閉じる舞。  
されるがままになっている舞を観て、男2人の凌辱への願望は強まる一方で欲望をさらけだした顔に。  
男1舞の股を大きく開かせ、パンツの染みの部分をしつこく撫でて来る。  
男2「いいよ、良いアップで舞ちゃんのあそこの形が写る」  
そんなことを言われると、舞はますます恥ずかしくなってしまう。  
男1「ここ触れられるのも初めてなんだ。じゃあこういうのも?」  
指を2本合わせられて股の一部を撫でまわされる。  
舞「いや、やめて」  
男1「そんなこと言って、本当は感じてるんでしょう:  
舞「ううん、本当に嫌なんです」  
男1「どうしてかなあ?恥ずかしいの、大丈夫だよ」  
背中に手を廻される。これだけでも敏感に反応してしまう自分に恐怖すら浮かべた舞の顔つき。  
舞「あっ…私…どうなっちゅうの」  
男1「大丈夫、僕に任せて」  
舞を四つん這いにして、男1はランジェリーを取り去ってしまった  
 
そしてもう一度舞の股を大きく広げ、指で舞の性器を刺激する。  
男は舌と指で舞の性器を刺激してから、  
男1「さあ舞ちゃんのあそこを見せて」  
舞「い、いやです、やめてください」  
男1「そんなこと言ったって、ほら」  
舞「ああっ止めて」  
男1は何度でも舞の股を責め、ついに舞の抵抗する気力が衰えた時に、  
ベッドに寝そべった無理やりパンツを引き抜いてしまった。  
舞「あ、ああっ」  
舞はもう何時泣き出してもおかしくないような顔になる。  
男1「大丈夫さ、足の力を抜いて。可愛いお顔の割には、毛はごわごわしてるんだね」  
男1がまじまじと股の性器を見られている。そしてそれを男2がカメラに撮っている。  
男1「ここが舞ちゃんの○○唇…」  
男が指を舞の性器に入れていく。  
舞「お願い、もう止めて」  
男1「何言ってるの、舞ちゃんもいやらしいくせに」  
舞「そんなこと…」  
男1「ほら、足広げて見せて」  
男の顔が自分の股に近づいてくる恥ずかしさに、思わず顔をそむけようとする舞。  
男1「ほら、舞ちゃんの毛。こんなに一杯あちこちに生やしちゃって。  
  いやらしいこと考えてたんでしょ」  
舞「いや、ああっ…」  
男1「大人の女性と変わらないんだよ、舞ちゃん。さ、中も見せて」  
男1の指が舞の敏感な部分に触れ、やがて今まで一度も感じたことのない、自分の体の一部が開けられる感覚に、舞は押し切った叫びを上げた。  
男1「ほら今度は舞ちゃんの○○唇。きれいなピンク色。奥までピンク色だ、本当に一度も何も入れて無さそうだね。  
   でも、舞ちゃん。ピンク色の○○唇と○○唇の周りにはこんなに黒々とした毛があるんだよ。  
   そしてその毛を濡らしてるこれ…この糸が見えるでしょう、何かな」  
もはや抵抗するだけの気力も失われかけているかのように、力無く嗚咽する舞。  
舞「た、助けて咲…」  
男1がいきなり股を舐めまわしてきた  
舞「ああっ」  
男2「NGになりそうなこと…余計なことは言うんじゃないよ。どうせ助けなんて来ないんだ」  
男1「さ、今度は男のいやらしいところに触れてごらん」  
黒パンツ越しに男1の性器に右手を触れさせられる舞。そのグロテスクな感触に改めて絶望的な顔。  
男1「うん、気持ち良い。もっと気持ちよくなりたいな」  
男1がパンツを脱ぎ、○毛が繁り大きく拡張した性器を舞の顔に向ける。  
男1「さあ、舐めてごらん」  
舞「い、いや…」  
男1「何を言ってるの舞ちゃん、舞ちゃんにも僕と同じように黒々とした○毛も生えてるし、  
  ○ラ○ラもいやらしく開いて男を迎えることが出来るんだよ。さあ大人になるの」  
そう言いながら股の○○唇や○毛を刺激されると、思わず声を漏らし股が濡れてしまう。  
舞の口の前に男1の股が再度迫る。もはや茫然とそれを観るしかない舞の顔。  
男1の性器と舞の顔のアップがファインダー(「23:32」)越しに捉えられたその瞬間。  
 
「ピンポーン」  
男1・男2「?」  
男達は顔尾を見合わせた。照明助手が玄関口に向かっていく。  
男1が下着を履き、男2が銃を手に取ろうとしたその時。  
なぎさ「全員その場から動くなああ」  
なぎさの叫び声を皮切りに少女達がドタドタと玄関を駆け上がり、飛び込んできた。  
寝室にも一気に7・8人が踊り込んできたので、驚いた男2は銃を手に取る前に倒れながら逃げていく羽目になった。  
あとはもう、室内なのに砂塵が舞い上がって顔しか分からないような、そんなアニメ的な状態の訳の分からない乱戦。  
例えば気付いたら取っ組みあっていた響とりんがお互いをうっかり殴り合ってしまい、泣き笑いの表情になっている。  
男1はあかねのタックルと祈里のパンチにノックアウトされ、男2はくるみの膝蹴りとせつなの一本背負いにもはや立ちあがる気配も無い。  
3人の男が手錠を掛けて確保される。こまちと祈里と奏が嬉し泣きの表情で舞に抱きついて、それから慌てて舞に下着やら毛布やらを差し出す。  
かれん「23時33分、犯人確保」と無線に叫ぶ。  
舞、自分が連れ去られてからたった5時間なのに少し意外な顔。  
満がはっとしたように叫ぶ  
満「咲はどうしたの」舞の泣き顔が少し微笑み、やがて恐怖を帯びた顔になる。  
男2の首にえりかが馬乗りになって、  
えりか「咲を一体どうしたのよ、答えなさいこのアンポンタン」  
男2「奥の部屋に捕まえてある」  
返答を聞いた満・響・美希・くるみが弾かれたように他の部屋に向かう。  
 
2,3分して、響と満に抱えられた咲が部屋に入ってくる。  
舞は自分の状況も忘れて飛び掛かり、抱きしめ合う。  
お互い涙を浮かべて名前を呼び合いながら、舞が咲にキスをする。咲もそれを受け止める。  
苦笑気味のりん・かれん・美希・なお、おおっという表情をするのぞみとえりか・れいか、顔を赤らめて言葉の出ないせつなと奏。  
美希「相変わらず、お熱いのね」  
のぞみ「ねえねえ、これってファーストキスって奴?」  
れいか「のぞみさん、それは普通奥方と殿方が最初に接吻をする時のことを言うんです。  
    咲さんと舞さんは共に女性で、それにこれが最初の接吻かは…」  
りん「れいか、ここでそういう風に答えてもね…」  
 
警視庁の一室。整理していたカードを紙吹雪のようにまた投げ散らして、抱き合うみゆきとやよい、エレン・アコ・ゆり・いつきが安堵してそれぞれらしい穏やかな表情を浮かべる。  
、  
マンションの外。犯人逃走時の追撃要員として車に残っていたほのか・ひかり・ラブ・つぼみ・うららが車を降りてくる。  
何となく1箇所に集まって手をつなぎ、空を見上げている。  
 
別の日の午後、横浜市の神奈川県警本部。その一室。  
制服姿と背広姿の警察官僚が2人、それになぎさとゆりがソファーに掛けている。  
神奈川県警刑事部長「何て事をしてくれたんだ、美墨君」  
警視庁刑事部長「月影君も、今回の出動自体は許可したが君がこんな非常識な捜査指揮をするとは思わなかったぞ」  
黙って二人の話をきくなぎさとゆり。  
神奈川県警刑事部長「君らが独力で二人を救出したのは事実だ、その点の功績は認めるにやぶさかではないが」  
警視庁刑事部長「服務規程違反はては警職法違反の数々。はっきり言って現行捜査体制の否定以外の何物でもない。特殊捜査課の存廃自体に関わるぞ」  
なぎさ「廃止になったってかまいません。もともと、私達に秘密の協力を薦めてきたのは、あなた方警察上層部でしょう」  
ゆり「その通りです、われわれはもとより警察活動と共通した使命も有しています。  
   協力は当然ですが、それが警察組織の一員であるべき理由でもないでしょう」  
封書の束を出すなぎさ。  
ゆり「両特捜課全員の辞表です、どうぞご検討下さい。それでは」  
神奈川県警刑事部長「ま、待ちたまえ。君らはどこへ行くんだ」  
 
 
県警本部を出る2人。  
なぎさ(モノ)「これでも良いんだ、多分」  
海沿いの公園を歩いて行くと、やがて全ての仲間が順に歩きながら合流してくる。  
 
夕暮れ、港の見える丘に立ち、シルエットだけが浮かびあがっている一同。  
そこから数人ごとのアップ。  
なぎさ・ほのか・ひかり。  
のぞみ・りん・うらら・こまち・かれん・くるみ。  
ラブ・美希・祈里・せつな。  
つぼみ・えりか・いつき・ゆり。  
響・奏・エレン・アコ。  
みゆき・あかね・あゆみ・やよい・なお・れいか。  
咲・舞・満・薫。  
 
一同の一列になった黒いシルエットが歩きだす。その画面のまま、暗転、幕。  
 

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