一部が崩れて屋根から床が見えるような家々を飛び越え、荒れた大地を踏んだ少女が  
ひとり。  
 あちこちから黒煙が上がって空の色が変わり、それとは対照的に白い飾りや紫を基調  
とした衣装は輝いても見えた。  
 同時にそれは非常に目立ち、またしても攻撃にさらされる。  
「っ!」  
 唸り声をあげて襲い掛かってきた巨大な侵略者の拳を跳び上がってかわし、壁に移っ  
た反動で蹴り飛ばす。そして、追いすがる隙も与えずにひたすら駆けた。  
 どこへ行っても破壊の痕跡が見えて、しかし少女は己の使命を投げ出さない。  
 プリキュア――キュアソードとしてトランプ王国を襲撃した侵略者、『ジコチュー』  
を倒す……そのために。  
「な……っ」  
 建物の陰から現れた気配は突如として触手を伸ばしてきて、あっという間にキュアソ  
ードを拘束した。  
 両手、両脚に巻きついた白い鞭はプリキュアの力を以ってしても引きちぎる事ができ  
ず、地面に線を引きながらゆっくり引き寄せられる。  
 そこへ空中から甲高い声を上げて飛来した大きな鳥が、自らの羽を飛ばしては爆発さ  
せる。可動域が少なくなったソードは防御もままならず集中攻撃を受けた。  
「く、ん――!」  
 だが、紫の少女はこれしきの事では倒れない。  
 押して駄目なら引いてみろ――全くその通りで伸縮性に富んだ白い蔓を掴むと、歯を  
食いしばって思い切り手繰り寄せる。  
 額に黒いハートを乗せたイカの姿を認めるころには勢いも十分で、次の攻撃をしよう  
と羽ばたいていた鳥に向かってその巨体が一直線。  
 はずみで巻きついていた触手が外れ、軌跡のように本体へと続いて消えていった。  
 
「ぐっ!」  
 だが、それで終わりではなかった。  
 ソードは虚を突かれてものすごい力で地面に叩き付けられた。ここまでの接近に気付  
かなかったのはあちこちで聞こえる破壊の轟音でもあり、自身の消耗によるものでもあ  
った。  
 振り向いたところでもう遅く、仰向けになった状態で起き上がることを許さないのは  
五本の指。イカより前に戦った類人猿の姿をしたジコチューで、ソードの何倍もある巨  
体がいっそう恐ろしく映る。  
 もう片方の手が迫ってきて掌打のラッシュを警戒した少女だったが、瞼を閉じた間に  
両腕をまとめて持ち上げられ、浮遊感に驚く。  
「え……?」  
 ただ黒い毛が生え揃っているジコチューの体から、何やら赤黒いものが膨らむように  
現れて驚愕が続くキュアソード。剣にたとえると切っ先の部分が、まっすぐこちらを向  
いている。  
「な、なに?」  
 尤もな疑問を漏らすが、低い唸りをあげるだけの侵略者にはまるで通じない。つまみ  
上げた手が動いて先端の付近まで近づけられると、鼻を突く臭いに思わず顔を背けた。  
 肉塊がそっくり表に出ているようなグロテスクな外見に、それが持つ熱のせいか紫の  
少女は額から汗を垂らしていた。  
「きゃっ!?」  
 ずい、と顔に押し付けられて悲鳴が上がる。熱と臭いが一層きつくなり、それでいて  
鼻を塞げないので否応なしに吸い込んでしまう。首のあたりを掠め、ドクンと脈打った  
振動が全身を伝い嫌悪を煽る。  
 何度も頭の横を擦るように動かされるうち、キュアソードは熱を持った塊が棒状に長  
い事を理解した。剥き出しの耳に入るのは摩擦の音から粘着質なものに変わり、じっと  
りと汗が滲む。  
 
「く……なん、なの……!」  
 ジコチューの、それまでとは明らかに異なった動作は紫の少女を困惑させるばかり。  
右の耳から嫌な音をむりやり聞かされ、疑問はすぐ立ち消えになる。  
 両足こそ自由に動かす事ができるが、彼女は反抗することが何に繋がるのかうっすら  
と解っていた。体躯の違いもさることながら、その気になればこの巨大な類人猿はプリ  
キュアの腕など簡単にへし折る事ができるはず。にも拘らず止めを刺さないうえ、この  
行動に出るにはなにかしらの理由があると踏んでいた。  
「……なに、これ……!?」  
 と、頭上で唸り声を聞いていただけのキュアソードは、ふと背後で地鳴りのような音  
を耳にする。  
 それだけではない。脚に白い蔓が絡みついて、ついにその自由を奪ってしまった。  
「うぁっ!」  
 続けざま、二本、三本とあらゆる角度から衣装の内側に潜り込もうとして同じような  
触手が這いずってきた。――視界には確認できないが、投げ飛ばしたイカのジコチュー  
が戻ってきたのだろう。  
「い、嫌……っ」  
 着衣の腋から、背中から、太腿より上から……うっすら湿った感触がまさぐり、やが  
て内側からプリキュアの衣装を引き裂いた。羽のように見える左右非対称の袖が破れ、  
胸にあしらったハートマークから伸びる紫のラインも半ばから途切れて、重力に従った  
布の下から幼いふくらみが現れる。  
 側頭部から首にかけては真横で棒状の肉を扱かれ熱いのに、イカが伸ばした腕に背を  
なぞられると寒気が走った。全く違う感覚に思考が追い付けず、ソードは露わになった  
胸を隠せずに複雑な思いが生まれた。  
「あ、あぁ……!」  
 だが、ジコチュー達はプリキュアに長い思考時間を与えてはくれない。  
 先ほど白や紫の衣装を破損させた触手が、今度は胸に集まってきた。肌に吸盤で吸い  
付き、身をよじっても振りほどく事ができない。  
「んあぁっ!」  
 吸着されたところに小さな突起が含まれていて、紫の少女を電撃めいた衝撃が襲う。  
白い蔓の下で引き伸ばされていると分かるも、理解したところでどうにもならなかった。  
吸い付いて、刺激して、離れた直後に別の触手がやってくる。同じことを両側でこなさ  
れ、少女の体は勝手に反り上がった。  
「ん、ぐぅぅっ――!?」  
 その突然の動きにソードの両腕を封じている二足歩行のジコチューが驚いたらしく、  
首筋に擦りつけていた肉棒が外れる。  
 しかし、それは二つの乳首を弄ばれて体が反り、硬直していた少女の口元に運ばれる  
形になってしまう。  
「ぐ、ふ、ぅ……!」  
 結果、キュアソードは口に悪臭の原因を押し付けられて呻いた。否応なしに表面から  
滲み出た汁を塗られ、酸素を鼻だけでは補えずに口を開ければ流れ込む。  
 こんなとき、両脚を封じている頭足類の腕は器用に隙間を縫って刺激を加えてくるか  
ら堪らなかった。陸な言葉も出せず、目の端から涙がこぼれていく。  
「う、ぶっ! ……ぐぅ……っ!?」  
 ニップルを絶え間なく吸われ、さらに口の辺りをべったりと汚したプリキュアは下半  
身にも生温い肉の質感を捉える。もがいているうちに膝上まであるブーツの片方が抜け  
落ちてしまい、肌を晒した足首の辺りに巻きついているものとは違う場所。  
「んっ! んぅ、ぐっ!」  
 左右の腿から伸びかかる触手は、抵抗する少女をよそにスカートの内側にあった布さ  
え容易くちぎる。輪ゴムが一本の直線になってしまった時のような軽い音を最後に、紫  
の少女は股下の空気を冷たく感じた。  
「んん、っ!? ぐ、んっ!」  
 状況は把握する前に変わってしまう。  
 自在に伸びる長い肉は、スカートの中に潜む乙女の秘密に対しても無遠慮だった。今  
も胸で執拗に続けられている乳首責めと同様にして、少女の恥丘に触れてみせた。  
「……ぅ、んっ!」  
 次々と出来上がる悲鳴は、しかし口の中だけで反響して消える。キュアソードは口を  
汚している赤黒い棒から新しい汁を流し込まれ、味と臭いに頬を濡らした。  
   
 大きさが釣り合わないのを分かっているのか、類人猿のジコチューは肉棒を口腔にね  
じ込もうとはしてこない。だからこそ窒息することなく鼻とあわせて呼吸ができている  
のだが、抵抗も空しくいいようにされている少女にとってはいっそ殺してくれた方が気  
が楽なはずで、まだ体が動くために少しでも顔から臭いの元を外そうともがく。  
「んぐ、ん……んうっ」  
 口から汁を啜るような音が立ち、舌をどこに運んでも苦味しかない。口に入らない分  
は端から滴り落ちて胸を、そこを弄る白い蔓を汚す。  
 紫の少女は下半身に吸い付く触手が寄越す刺激をどうにもできず、両足の指がまるく  
なったまま動かなくなってしまった。  
「――ぐふぅっ!?」  
 ドクンと脈を打った肉棒から勢いよく何かが放たれ、ソードは驚きにまみれた声を上  
げた。  
 イカの触手と似た色で、液体と呼ぶには喉に引っかかりすぎる。二度、三度と大きく  
震え、そのつど先端部分から同じものを吐き出す。口と棒の間に隙間が生まれ、ようや  
く呼吸が自由になった少女は肩で息をするが、体にまとわりついている肉蔓に責められ  
て上ずった声になった。  
「ん、あっ、あっ……!」  
 自由になったはずの両手は、すぐさま触手に絡め取られた。  
 口を塞ぐものが無くなったと同時、気絶したのか立ちはだかっていた黒い巨体が仰向  
けに倒れ込む。  
 だが、それを訝しむ暇もなくプリキュアは喘いだ。今度は声が飛んでいくため、自分  
で発しておいて羞恥を煽ってしまう。  
 やがて、吸い付いては離れてを三カ所で行っていた白い蔓たちは、そのうちの一つが  
行動を起こした。  
「そこ、は……っ」  
 まるで体を押し広げられるような感覚になり、ふっと我に返るキュアソード。  
 ついさっきまで窒息の可能性と戦っていた彼女は、吸着攻撃を受けていた下腹部が疼  
くような熱を持っていたことを今になって知る。触手がその入り口をかき分け体の中心  
を目指そうとしていると解ると、宙吊りのまま体を左右させた。  
「や、あ――!」  
 突かれた衝撃で言葉が続かなくなる。  
 蔓はうねって少女の体へと侵入を果たし、内外から甚振っていく。  
「あ……ぅ、っ! な、あ……!」  
 ソードの制止も聞かずに奥まで進んでは引っ込み、意図しない形で滑らかな抽送が出  
来上がる。ここで初めて、少女は自分の体から白い管が伸びて水音をさせていることが  
分かった。  
 ぐちゅ、ぐちゅ、という音が耳の奥まで響く。胸を触られるのとは段違いの、突き上  
げられる振動と内側を犯すことの強い刺激が全身を伝い、いよいよ言うことを聞かなく  
なってきていた。  
「――い……っ!?」  
 焼けた色の空が眩しく光った。  
 胸に吸い付かれ蜜壺をかき混ぜられていた少女は、訳がわからないまま全身が震えて  
いるのを眺める。湿った吸盤につままれて充血したニップルが再び覆われても、麻酔が  
効いている様に何も感じない。――触手が膣肉を吸引したことで絶頂を味わった事さえ  
知る由は無かった。  
「……あっ」  
 しかし、それも束の間。紫の少女が変化に気付いたのは背中からべちょりと粘ついた  
音がした時だった。  
 むき出しの足や手が、急所を晒してだらしなく伸びている類人猿のジコチューが放っ  
た精を掴む。縮んだ後も吐き出していたのか、周辺の地面が白く染まっていた。首を動  
かすごとに頭や髪に生臭いゼリーが絡むが、口から腹にかけてと背面にはほぼ付着して  
いるので遅い。  
「嫌、だ…………!」  
 プリキュアのかすれた声。  
 いつの間にか頭足類のジコチューが操っていた腕の方が高い位置にあり、まるで広が  
る白濁を塗りたくろうとしてざわついていた。  
 

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