「こんなのキライよーッ!!!」  
「やった! ざまーみろ、鼻水ターレ!」  
ふう……怖かった。  
咲が来てくれるって信じていたけど……どうなるかと思っちゃった。  
「舞! 大丈夫だった? ゴメンね、遅くなって!」  
「ううん、咲のことずっと信じてたから」  
それにしても、ここ……どこだろう。  
ううん、そんなことどうでもいい。  
これでやっと、咲との思い出作りができるんだから。  
まさか、咲のほうから「夏休み最後の思い出を作りたい」なんて言ってくれるとは思わなかったけど……。  
「じゃ、じゃあ、咲。私、ここでもいいよ」  
「なにを? お弁当食べるの?」  
「ち、違うよ!」  
咲の鈍感……。  
にぶちん……。  
バカ……。  
バカバカ……。  
でも大好き♪  
「あのね、一人ですごく怖かった」  
「うん、あたしもすっごく心配だった!」  
「なにかされちゃうんじゃないかって、思ったの」  
「そうだよ! なにもされなかった?」  
「ううん、大丈夫。なにかされそうになったら、舌噛んで死のうと思ってたから」  
「だ、ダメだよ、そんなのー!」  
ギュッ  
咲が私を抱きしめてくれた。  
あう……。  
このまま死んでもいい……。  
「舞が死んだりしたら、あたし一人になっちゃうよ!」  
「うん、ゴメンね。もうそんなことしない」  
「うんうん! もうそんなこと考えないでね!」  
「だ、だから……ね」  
「ん?」  
その……おかしなことになっちゃったりする前に……。  
「ここで思い出作ろう?」  
「おやつ?」  
「そうじゃなくてー!」  
「咲ー! 舞ー!」  
「出口を見つけたチョピ〜!」  
「ムプー」  
「フプー」  
「あっ! 出口あったの?」  
 
「そうラピ! あそこから出られるラピ!」  
「とうっ!」  
ズビシッ! ズビシッ! バシッ! ビシッ!  
「きゅう〜」  
「ま、舞ー! なにやっちゃってんのー!? ああ、四人とも気を失っちゃって……」  
「あのね、一人で電車から下ろされて、どうなるかと思ったの」  
「え? う、うん」  
「なにをされてもおかしくなかったし……私、咲のことだけ考えて……咲が、咲が、って……」  
「う、うん。あたしも舞のこと考えてたよ」  
「だから、今しかないのーっ!」  
ドーン  
「わーっ!」  
あ。咲が頭ぶつけちゃった。  
咲が鈍いのが悪いんだもん……。  
「あたたた……舞、いたいよ〜」  
「咲が助けに来てくれたときね、すごくカッコよかった」  
グッ……  
「う、うん」  
「大好きって思った」  
グググッ……  
「うん、あたしも好きだよ」  
「だから思い出作ろーっ!」  
「コラーッ! じょじょに服の中に手を入れないーっ!」  
「だって、思い出作ろうなんて言うからーっ!」  
「そ、そうじゃなくて! そ、その、今回は旅行したいなって思って……」  
「でも、怖かったんだもん」  
「う、うん、それは怖かっただろうけど……」  
「だから、咲と大事な思い出作りたいの」  
「う……ちょ、ちょっと待って。あたしはそのつもりじゃなかったから、心の準備が……」  
「咲はぜんぜん考えてなかったの!?」  
「あーっ! ゴメン、ゴメン! 舞、許して!」  
「あう……」  
そんな顔して謝られたら、許しちゃうよ……。  
「もう……ひどいよ、咲」  
「あはは……」  
ちょっと苦笑いしながら、咲は目をつぶった。  
「咲?」  
「んっ。いいよ」  
咲の肩が緊張してる。  
そ、そんなにまでして、私のこと……。  
「咲ーっ! 大好きーっ!」  
「だから、服の中に手を入れる前に、することあるでしょーっ!」  
 
「あう……いじわる」  
「舞のほうがいじわるだよ!」  
咲はそういうと、もう一度目をつぶった。  
「はい。もう一回」  
「ん……」  
私は咲の肩に手を置くと、静かにその唇に、顔を重ねた。  
「んっ……」  
「ん……」  
咲の鼓動が聞こえる。  
すごくドキドキしてる。  
でも、それは私もいっしょ。  
「咲……私、今日はかわいい下着を着けてきたの」  
「あ、ホントだ……いいやつだよね、それ」  
「えへへ、咲に見てもらおうと思って」  
「や、やだなあ、あたしなんか、なにも考えてないから、超ダサイやつだよ」  
「ふふっ、そのほうがかわいくていいよ」  
「なによ、もーっ! 自分はかわいいの着けてきてるくせに!」  
咲が私の上に乗っかってきた。  
めずらしく咲も積極的。  
私は嬉しくて、咲に体を任せようと目を閉じた。  
「ん……」  
咲の手が、私の体に触れる。  
もうそれだけで、全身の肌が感じるくらい、敏感になってる。  
「舞……ゴメンね、一人にして……」  
「ううん、ホントにいいの……」  
だって、ホントに咲が来るって信じてたから。  
「んっ……」  
咲の手が、私の体を撫でていく。  
「んっ、んっ……!」  
わき腹のあたりに手が触れると、少しくすぐったい。  
おへそや背中をくすぐりつつ……咲の手は、私の膨らみに触れた。  
「舞……すごくドキドキしてる」  
「もう……今ごろ気づいたの?」  
二人きりになってから、ずっとしてたのに。  
「あたしも、ドキドキしてるよ」  
咲の手が私の手をつかんで、自分の胸にあてる。  
咲も同じくらいドキドキしてた。  
「んっ……」  
咲の胸を軽く揉むと、口からかすかに吐息を漏らした。  
私の胸に触れている、咲の手にも力がこもる。  
「んんっ、んっ、あっ、あぁっ……」  
お互い、我慢せずに息を漏らした。  
 
お互いがお互いの胸に触れ、その膨らみを押さえようとする。  
まだ体が未熟な私たちは、その小さな膨らみを、お互いの手の中に隠した。  
「ああっ、あっ、はぁっ、ま、舞ぃ……」  
咲の顔が切なくなっていく。  
そんな表情を見せられて、私の気持ちもどんどん切なくなっていく。  
「ああっ、咲、咲ぃ……むね……胸、いじられると……なんだか、気持ちが寂しくなる……」  
「あ、あたしも……だよ」  
お互いの気持ちを求め合うようにキスを交わす。  
咲の心を舌に求めるように、私は咲の舌を強く吸う。  
咲も負けないように、私の口の中に舌を入れてくれた。  
「うちゅ……ふあっ、舞、な、なんだかいやらしいね……」  
「うん……ちょっと恥ずかしいけど……」  
でも……。  
でも、求めたい気持ちのほうが大きい。  
「咲……咲の初めてが欲しいの」  
「舞……」  
咲のおへその下にうずくまり、下着の上から口をつける。  
「ふっ、ひあっ、はっ、ああっ、あぁぁっ……」  
咲が体を震わせながら、私の頭を抱える。  
咲の下着にはもう、かすかとは言えないほどの染みができて、私の鼻の頭にそのしめりを伝える。  
「ふああっ、あん……!」  
咲の弱いところを鼻の頭でぐりぐりすると、咲は私の頭のうえにかぶさってきた。  
「咲、これ……脱がしていい?」  
「い、いいけど……一人じゃイヤだよ」  
「うん……」  
今度は私が咲の上に乗る。  
お互いの大事な部分を見せ合う形で、私は咲の下着をするすると下ろしていく。  
「ああっ、舞、ゴメン、あたしずっと走ってきたから……」  
「いいよ。私だって、汗びっしょりだもの」  
それでも咲は恥ずかしそうに、おそるおそる私の顔を覗き込んでいた。  
その仕草があんまりかわいくて、つい、いじわるしたくなる。  
「咲……汗より、もっといっぱいなにかが出てるところがあるんだけど」  
「えっ? ど、どこ?」  
「ここ」  
カリッ  
「ひやぁぁぁぁんっ!」  
咲の一番弱いところを、軽く噛むように、歯でつまむ。  
「そ、そんなひどいよ……そんなに、変なの出てないもん……」  
「ウソ。だって、私の舌がぬるぬるになるくらい、びっしょりだもん」  
「ああっ、や、やめてよぉ……恥ずかしいよ……」  
私のふくらはぎをつかむ、咲の手に力がこもる。  
ちょっといじわるしすぎたかな。  
 
「いいよ、咲。だって、私も……さっきから咲にいっぱいしてもらってるから……こんなだもん」  
自分で下着を下ろして、咲の前に私の秘部をさらす。  
恥ずかしいけど……咲といっしょだから大丈夫。  
「ううっ……ほ、ホントだ……ぬるぬるしてる……」  
「や、やだ……そんなこと、はっきり言わないでよ……」  
「ご、ゴメン……」  
咲の秘部を指で開く。  
汗と愛液で濡れそぼったそこは、私の舌をゆうゆうと受け入れた。  
「ああっ! あっ! 舞っ、舞ぃ……!」  
「咲っ、咲ぃっ! 好き……大好き。もう、ずうっと離れないで……」  
ぴちゅっ、ぴちゃっ、ちゅっ、ちゅぱちゅぱ……  
咲も私の真似をするように、舌を私の中に侵入させてくる。  
お互いのそこを、赤ん坊が乳を飲む時のように求め合った。  
「はあっ、はっ、ふはあああっ! あぁっ、咲、いっぱい出てる、咲っ! 咲ぃぃ!」  
「ああっ、あ、あたし、気持ちいいよ、舞……。舞がしてくれて、すごく気持ちいい……舞……舞は、どう?」  
「気持ちいいよ……すごく気持ちいい……ふあっ、こ、このまま……ずっとしてあげてたいくらい……」  
「あたしも……ずっとこうしてたい……」  
そこがふやけるんじゃないかと思うくらい舐め合ったあと、私たちは、自然に指をお互いの秘所にあてていた。  
「舞……舞も……初めてなんだよね……」  
「当たり前だよ……咲が私の生まれて初めて好きになった人だもん……」  
「うん……じゃ、じゃあ、いくよっ!」  
「私も……咲の初めてが欲しい」  
ずっ……  
さんざん舐め合ってとけそうになっている秘所に、分け入るように指をうずめていく。  
もうあんなに舐めたのに、と思うくらい、咲の肉壁は、私の指を締め付けながら、その侵入を拒んだ。  
だけど、咲の痛みよりも、お互いの気持ちを大事にしたい。  
だから、指を奥へと突き進めた。  
「あっ、ああっ、あああっ!」  
「ううっ、い、いた……痛ぁい!」  
私の指が、一番奥……その付け根まで、咲の奥へと入っていった。  
私の中にも、咲の指が入っている感覚をわかる。  
「ああ……」  
「ま、舞ぃ……」  
それからしばらくして、咲の中から何かが伝ってくる。  
赤い線が、私の指を、すうっと垂れていった。  
「舞……舞の足に……血が伝ってる……」  
「咲も……血が出ちゃったね……」  
「へへっ……痛いけど……なんだか、幸せ……」  
「私も……」  
指の動きを続けようかとも思ったけど、我慢できなくなって、咲の顔が見えるように、体の向きを変えた。  
咲の顔に飛びつくように、両腕を回す。  
「んっ、んっ、んむっ……」  
 
「ふはっ……んっ、んんんっ……舞……もっと、舞が欲しい……」  
今日が私たちの、大事なものを失った日……。  
怖かったけど、咲となら大丈夫だって思ってた。  
咲がずっといっしょにいてくれるって信じてた。  
そして、この夏で、一番大事な思い出の日になった。  
 
「舞のために卵焼き作ってきたんだー!」  
「ええっ! 私も卵焼き作ってきちゃった……」  
その後、私たちは終点の駅でお弁当を食べた。  
海を眺めて、ゆっくり動く船を見ながら、ずうっと二人で幸せな時間を過ごした。  
これからは、毎日いっしょ。どこでもいっしょ。  
そうだよね、咲……。  
大好きよ、咲……。  
「今年の夏で一番の思い出ができたよ」  
うん。私も、この夏の日のことは、きっと一生忘れない。  
「卵焼きの味はずうっと忘れないと思う!」  
…………。  
…………。  
咲……咲の……。  
「ん? どうしたの?」  
「咲のバカーッ!」  
「ええーっ! なんでー!?」  
 
World goes around♪  
 

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