「あら、まだ生えてないのね。可愛らしい」
可憐の口許が、ふ、と勝ち気に笑んだ。
凛の鼻面がかっと紅く染まる。
「か、可憐先輩だって生え揃って無いじゃないですか!」
「あら、全く無いよりはましだわ。」
むしろ、剛毛で無い感じが清楚な感じがして好印象なのだろう、――男性には。
こういうのは取り乱した方が負けと決まっているのに。
凛は僅かに唇を噛んだ。
「初々しくていいんじゃないかしら?」
可憐がしれっと言ってくるのは嫌味だと知っている。
凛が言い返す言葉に迷っているその内に、可憐の白く繊細な指が、つるりと凛の縦筋をなぞる。
「ひぁ……ッ」
ぞわわ、と寒気にも似た感覚が背筋に走り、凛の声が裏がえった。
「ほらほら、どんどん余裕が無くなるわよ」
可憐の声は楽しそうで、サディステックだ。だが、表情は見えない。
凛は忌々し気に、目の前にある薄い体毛に包まれた可憐の性器に目をやった。
いわゆる、シックス・ナインという体勢。
部活中に下着の中で蒸れたアソコの匂いがばれてしまいそうで思っていたよりもずっとずっと、何倍も恥ずかしい体勢。
可憐の陰部からもうっすらとだが、女性特有の匂いがした。
女同士だからこそ判るくらいの。
――…嫌ではないけれど。
どうしてこんな事になっているかと言えば本当に成り行きで。主が不在のナッツの店、彼の親友ものぞみ達も居ない。
夕方の空が映す薔薇色に染め上げられた、ふたりっきりで何を言えばいいのか判らない悶々とした時間。
逢魔ヶ時と言うくらいだ、時間が二人に魔を刺させたに違いない。
可憐の指が凛の肉厚の割れ目を開けると、まだ女になりきれてないことがよく判る、桃色の花弁と小さな蕾が現れる。
「ふぅん、コレがクリトリスってヤツなのね。……思ったよりも可愛いものなのね」
「あ、あぁ!やぁあ……っひ……」
その花芯を試しにつついて見ると、凛の口からはいつものぞみやうららにツッコミをしている割と中性的な声からは想像もつかない様な、甘ったるい発情猫の様な声が溢れる。
――不思議だ。
そんな事本当にあるわけないと思っていたのに、情けない声が漏れて、びく、びくっ、と腰が勝手に動いてしまう。
自分の上でただでさえ大きな目を見開き悶える姿を見て更に面白がるように可憐の指がクリトリスをくにくにとこねくりまわした。
「は……ぎっ、だめっ・せんぱ……っ、ゆるひっ……」
「貴方、本当に初めて?敏感なのね」
どんどん芯を持ち充血してゆくそれが興味ぶかくておもしろくて、ついいじくり回してしまう。
オンナノコというのはみんなこんなものなんだろうか?自分では試したことも無いし、試す勇気もないから判らない。
クリトリスばかりに注目していて気づかなかったが、いつの間にかその後ろの花弁も蜜に塗れてとろとろと緩く光っていた。
「……塗れてる……し、これは……」
「いァ……あ、くはっ……ぁえ?」
勃起、と言うのだろうか、凛のクリトリスがぷっくりと膨らみ、包皮の奥から芯だと思われるものが小さく顔を出していた。
どうすればいいのかわからず、とりあえず包皮をひっぱり芯の部分に軽く触れて見た。
すると。
「ん゛ッ……ぃ・あ―――‥ッッ」
凛の背中が弓なりに反り帰り、花弁の奥から、ぴゅ、と極少量の粘りの強い液体が引き出した。
「かはっ‥‥ァああ……」
数秒間、体をこわばらせてがくがくと痙攣していた凛は、そのままぐったりと崩れ落ちた。
可憐自身も何が起きたのかわからず、きょとんとするばかりである。
凛は可憐の下腹部に顔を埋めてまた暫し、ぐったりとしていたが、その後顔だけ起こして恨めし気な表情を振り向かせた。
(もしかして、イった、というやつかしら。)
ドキドキと心臓が激しく鼓動を打っていて、腹の奥がじんわりと熱を持ったのを感じた。
「も……何するんですか……先輩」
涙が浮いた目や上記した頬は、なんの引け目もなく可愛い、と思う。
のぞみやうららに感じるものとも、小町に感じるものとも、また別の感情だけれど。
「ごめんなさい、勝手が判らなくて。」
「……嘘ばっかり。小町先輩と何時もしてる癖に」
「小町?どうして此処で小町がでてくるのか判らないけれど、慣れてる風に見えたのかしら?」
「慣れてないんですか、」
「生憎、はじめてよ」
凛はふてくされ顔で「嘘ばっかり」と一人ごち、それから意趣返しとばかりに可憐の白い太股にかみついた。
「……ッ」
甘美な何かがそこから全身に巡った様で、可憐は息を飲む。
今度は凛がにやり、と意地悪な笑みを浮かべた。