あるテスト前のこと、ココとのぞみは約束をした。  
『じゃあ、今回のテストで平均点取ったら、ココがわたしにご褒美あげるってことで、けってーい!』  
『任せるココ、それくらいお安い御用ココ』  
 そう言ってココは気軽に引き受けた。  
 些細なことでのぞみがマシな点数を取って、クラスの平均点が上がるなら、ご褒美くらい。それにのぞみのことだから、お菓子でも渡せば満足するだろう。  
 そんな気楽さだった……  
   
   
 ――しかし  
   
   
 のぞみは約束した通りに平均点を取った。  
「へっへー、すごいでしょー」  
 弾んだ声が二人きりのナッツハウスに響く。  
 ナッツは買い物に行き、他の者たちもおそらく二度とないであろう奇蹟を祝うために、パーティグッズを買いに出払っている。  
 教師としての仕事を終え、現れたココにのぞみは答案用紙をみせびらかした。  
 今回のテストはいつもより難しく、平均点も低かったのだが、それでも取ろうと思って取れない点数しか取れなかったのぞみが平均点を取るというのは、1パーセントの成功確立を勇気とガッツで補って成功させるようなことである。  
「よくやった」  
 ココはのぞみの頭に手をおくと、よしよしと撫でた。  
「へへー」  
「だけど、今回この点数が取れるなら、もっと――」  
 言葉の途中で、ココの口唇に指先が触れ、強引に止められた。  
「はーいはいはい、お説教はそこまで、今日は他にいうことあるでしょ」  
「あ、ああ、そうだったな」  
 ココはのぞみから離れるとソファに腰掛け、にっこり微笑んだ。  
 つい先週、学校の給料日だったため、今なら多少値の張る物でも買ってやれる。  
「何が欲しいんだ?」  
「ココ!」  
「……は?」  
 のぞみは即答したが、ココは一瞬何を言われたか理解できずぽかんと口を開けた。  
 いつもと変わらないニコニコっぷりで、のぞみはココの前に立つと、  
「えへへ〜」  
 なんとも楽しそうに笑って、床に膝をついた。  
「おっじゃましまーす」  
「あ、どうぞ」  
 思わず答えてしまってからココは慌てた。  
「え? へ? ちょっと、のぞみ」  
 
 のぞみの手は特に気にした風もなく、ジーンズの前を開けると、  
「よいしょっと」  
「――っ」  
 チャックの合間から、ココのふにゃっとした状態のを取り出した。  
 人間としては平均的なサイズのそれは、当然だがこんな事態など予測していなかったようで、持ってもくにゅっと先端がもたれる。  
「あれあれ?」  
 それを見て、のぞみは困ったような声をあげた。  
「夢原、落ち着いて聞いてくれ。いいな、落ち着くんだ」  
 教師として、なにより友人として、ココはのぞみに一言言おうとしたが。  
「ねーねー、ココのって小さいんだねぇ」  
「――――――ッ!!?」  
「教科書に大体10cmくらいあるって書いてたのにぃ……あれ? どうしたの?」  
「……」  
 ココは返事がなく、まるで屍のようだ。  
 ココの変化にのぞみは首をかしげた。あれだろうか? 先生の仕事って疲れるから、眠ちゃったのかなぁ?  
 そんなことを考えていると、指先でつまんでいたココのソコに、固さが生じてきて  
「およ?」  
 もたれていた首が持ち上がり、もぞ、もぞ、とじわじわ大きくなっていく。  
 その様子はさながら、小学生の頃に見た朝顔の成長映像のようだ。  
「お……おお――おおーっ!!」  
 見る見る間に指では支えられず、握らなければならないような大きさになっていた。  
 のぞみは目をまんまるにして、それを見た。  
 赤黒い、見ようによってはグロテスクなソレは、天に向かって屹立し、望みの手の中で微細動。  
 それはのぞみにとって未知の生物。  
 亀に似てる、そんな感想しかない。  
「大きくなったぁ」  
 一旦手を離すと、のぞみはパチパチ手を叩いて褒めた。  
 それを聞いて、むっくりとココは身体を起こした。  
「……あ、危なかった――じゃないココ、なにをするんだ」  
「なにって」  
 のぞみはそこで言葉を止めると、ココの目を覗き見る。  
 見つめあう二人、ココはうっと息を止めた。  
「決まってるじゃない、ご褒美」  
「――ゴホウビ?」  
「テストで、いい点数取ったから、わたしはココからご褒美もらう。そう約束したじゃない。それとも、約束、破るの?」  
「う」  
 その言葉は、二人の間には重いものがある。  
 のぞみがプリキュアとなった日に決めたこと、約束、夢。同じものを見ているから、二人は一緒になって頑張ってこれた。  
 それは互いが信頼し、想い合っているからである。  
 故に、些細なことであっても、互いの信頼を破るようなことがあれば……  
「……でも、なんか間違っているような」  
 
「いいの、いいの、細かいことは気にしなーい」  
 言いながら、のぞみは両手で掴むと、上下にごっし、ごっし。ごっし、ごっしと擦り始める。  
 掴んで握っているだけだが、緊張しきっている状態の場所には、充分な衝撃。  
「ねーねー、もっと大きくならないのぉ?」  
 どうやら、もう少し大きくしたいから、擦っているようだ。  
 いまいち、予測外の事態に弱いココは思わずこたえていた。  
「ならないよっ、いいからやめてくれ」  
「ふーん、そうなんだぁ。じゃあ」  
 なにがじゃあなのか、のぞみは片手を離すと  
「な、なにを――」  
「いっただっきまーーす!」  
「――や、やっぱりぃ、やめるココぉ!!」  
 かぷ。  
 のぞみはココのちんちんをくわえると、しばらくくわえたままで沈黙し、こてんと首をかしげた。  
 こうすることまでは憶えていたが、この後どうするんだか忘れてしまったのだ。  
 こまちから借りた本によると、くわえた後、くわえた後……そうだ! 噛むんだ!!  
 小さな口に全部収まるわけはなく、そもそも先端しかくわえていなかった、故に――  
 噛み付いたのぞみの歯で、敏感な亀頭に思い切り噛み付いた。  
「             」  
 言葉もないとは、まさにこのことである。  
 筆舌し難い咆哮がナッツハウスに響いた。  
 ココは自らの陰茎に噛みつかれるというチン事に、今度こそ本当に倒れた。  
 ――しかし  
 恐ろしいことに、この夢原のぞみ。彼女は少しのことではめげない性格をしていた、根性があるといえば聞こえはいい。  
 しかし、しかしである、それが敵として現れた場合どれだけの脅威となるか、この日ココは思い知らされた。  
 ココが名状し難き陰鬱な獣の瀕死に至る咆哮をあげたにも関わらず、  
「あ、違った違った、舐めるんだった。しっぱーい、てへ――あれ?」  
 ココは白目を向いてソファに倒れていた。  
「先生の仕事ってたいへんだぁ」  
 のぞみはそう納得すると、アイスクリームを舐める要領で、ぺろりと裏スジを舐めあげた。  
 苦くてしょっぱい味だが、これが大人の味ねとのぞみは納得し、舌を這わせる。  
 だが、そうして舌を這わせるのは意外と大変で、舌の付け根が痛んでくる。  
 どうしたものかとのぞみは考え、こういったことには考えが働くもので。舌を動かすのではなく、舌を沿わせて、顔を前後に動かしてみた。  
 これが意外にいいもので、舌の付け根は痛くなく、舐められる。  
「えへへ…ちゅぷ……わたしって……くちゅ…てんさいかもっ……」  
 あんまり美味しくはないが、なんでも珍しく読んだ本によると、これから出る物が美味しいらしいので、我慢我慢。  
 顔を前後に動かしていると、涎がつたいジーンズを濡らしていく。  
「ちゅぷ……むぅ…くちゅ……およ? ……よよよ?」  
 
 舐めていると、あることに気づいた。  
「むむむ」  
 味が濃い?  
 いや、味が変わった?  
 それまで舐めていたおちんちんの味ではない、ちょっと違う味、なんだろこれ?  
「く…ちゅぱ……ここかな……にゅ…むー」  
 舌を這わせて味の源を探る。  
 ここかな? ここかな? ここかな?  
 舌で触れている内に解ったのは、どうやら上のほうだということ。  
 丹念に舌で舐めながら這い上がっていく、きのこの傘のような部分を通り越し、  
「ふにゅ」  
 それが出ている場所を見つけた。  
 それは溢れるように、先端の切れ間から出ていた。  
 のぞみは顔を離し、一旦口から出すと、指先で先端に触る。  
「おお?」  
 触れると、ねばつきぬるっとしている。親指と人差し指につけ、くにゅくにゅと持て遊ぶと、糸を引いた。  
「おおー」  
 指に付いたそれをくわえて舐め取ると、少しばかり疑問。  
「……でも、そんなに美味しくないや。それに、白くないし、てことはこれじゃないのかー。よし、がんばるぞ」  
 のぞみはもう一度咥えると、今度は重点的に鈴口を責めた。  
 白くないのもここからでたし、ということは噂の白いのもここから出るはず。  
 のぞみはちろちろ舌を素早く動かしては、おちんちんについた涎や白くないのを  
「じゅじゅじゅっ」  
 と吸い取り、  
「ごくっ」  
 嚥下した。  
 それでも中々でないので、おちんちんの根元の方を片手で素早く動かしたり、もう片方の手でぶら下がっている袋を揉んだり。  
 意識を失っているからか、中々出ない。  
 こぼれる涎は、吸っても吸っても溢れ、溢れた涎は制服に飛び散り。  
 一生懸命やるあまり、顔は上気して火にくべた鉄のよう。  
「う……ちゅ…っ……はっ…ぅぅ……」  
 鼻で息をすると、独特の臭いで鼻腔を充満する。  
 獣男の臭い/少女の臭い/花の様/蒸れた汗/処女の香り――  
 渾然一体、混沌無業、捉えようのなく、意味の一つしかない、濃い臭い。頭がぼーっとするような。  
 顔を動かす辛さに、目が潤み、目尻から涙が汗と共にこぼれる。  
「まだ……つ…なの」  
 問いかけ、願い、呼び込む、訪れるは――  
「…くちゅ……っ――――はうっ」  
 のぞみの口の中で無意識なココの陰茎が絶頂に至り、射たる。  
 勢い良く弾ける精液の奔流、喉を撃つその衝撃に驚き、離してしまう――  
「わぷっ! ――きゃっ!?」  
 口から飛び出た陰茎は、暴走したまま放ち続け、のぞみの顔にかかる。  
 熱い液体はどろりとのぞみの顔を汚していく。  
 
 気づけば、顔といわず、髪と言わず、制服まで白濁した液体が飛び散っていた。  
 のぞみは少しほおっとして、脈打ち、涎のように痙攣するたびに洩らし続けるおちんちんを見て、顔についたそれを指で拭って、口に運んだ。  
「――にがっ」  
 考えていたよりもあまり美味しくなかった。  
 のぞみはわずかに落胆したが  
「ただいまー」  
 友人たちの帰還に顔を輝かせると、ぱたぱたと迎えるためにへ降りていってしまった。  
 
「おかえりー」  
「あらどうしたの? 汚れているわよ」  
「えへへー、これは」  
「どーせ、のぞみのことだから、なんかこぼしたんでしょ」  
「えーちがうよ、だからこれは」  
「はいはい、わーったから」  
「うー」  
「あ、そうだ。ほらほらのぞみさん、クラッカー買って来ましたよ」  
「ええ、それにケーキも買ってきたわよ」  
「やったーっ!」  
「まったく、単純なんだから」  
   
おしまい  
 

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