何処の家でも、私的な空間というものは存在するものだ。  
そしてそれはナッツハウスとて例外ではなかった。  
 
 
「んっ…」  
こまちの熱を帯びた声が部屋に響き、その声は男の欲望を駆り立てていく。  
「だ、大丈夫か…こまち」  
「えぇ平気よ、ナッツ」  
ナッツはこまちの身体を気遣い、頭を優しく撫でてやれば、彼女は気持ちよさそうに目を閉じる。  
しかしその反面こまちの秘所は卑猥な蜜で濡れており、  
その感覚にこまち自身が、激しい羞恥に苛まれていた。  
でも互いに、ここで止める訳にはいかない理由が在るのだ。  
 
 
「ぅっ、んっ…ふ…」  
下着姿のこまちは床に膝を突き、ベッドに腰掛けているナッツの股間に顔を伏せていた。  
先程からずっと口と手で奉仕を送っていたナッツの男根は、固く張り詰めていて、  
こまちはその幹の根元に右手を添えると、強弱をつけて揉んで行く。  
握り締め、咥えたまま頭を上下に振って、男根に絶えず刺激を送り、  
やがて先端の亀頭の窪みを、尖らせた舌先で舐めた。  
そして滲み出てくる苦い液を、唾液と一緒に飲み込む。  
「……う…ぁ…」  
そんなこまちの巧みな口技にナッツは思わず短く呻き、優しく撫でていた手を止めてしまう。  
「随分と…馴れたんだな」  
「…ん…勉強したもの」  
男根を口内から出して、頬をすり寄せたこまちは、ナッツを見上げてにっこりと笑って見せた。  
「それに話を持ちかけたのは私だから。ナッツには気持ち良くなって欲しいし、とても感謝してるのよ」  
「…気にするな」  
照れ臭そうに顔を逸らしたナッツをくすくすと笑い、こまちは赤黒くぬらぬらと濡れ光る男根を、  
下から上へと真っ直ぐに舌を馳せ、再び己の口内に招き入れた。  
抜き差しされる度、嗚咽と共に唇の隙間から唾液が流れ出る。  
それからこまちは何度も何度も奉仕を繰り返し、  
やがてその唇からは細い糸が一瞬繋がり、溶けるようにして消えていった。  
「…こ…こまち」  
「なぁに?もうダメかしら?」  
「……」  
「冗談よ。ナッツも我慢したものね、私も本当は限界だったの」  
その言葉に頷いて、ナッツはこまちの身体をそっとベッドの上に持ち上げる。  
こまちの身体はとても軽くて、柔らかい。  
ベッドのシーツに沈んだこまちの身体に覆い被さり、じっと見つめた。  
開いた唇は唾液に濡れていて、熱のこもった視線が自分を見つめ返してくれる。  
それは言葉よりも鮮明に、快楽を強請っているのことをナッツ自身理解していた。  
 
軽く胸の膨らみを握ると、肉が少し余る。  
初めて行為をした時に思った事だが、こまちは着痩せするタイプで、  
出ている部分は出て、締まっている所は締まっている。  
ナッツはその余った乳肉を、己の手を最大限開く事で包み込み、そして優しく愛撫を送った。  
時折人差し指と中指で、起ちかけた突起を摘むと、こまちの身体が動く。  
もう片方の手はこまちの足を撫でつつ、股の間に侵入させた。  
「ぁ…そこ…気持ちいいの」  
言葉通り気持ちよさそうに声を上げるこまちの為に、ナッツは人差し指と薬指で陰唇を左右に開き、  
中指で中心を優しくなぞって行く。  
勿論乳房への愛撫も忘れず、空いた口で乳首を弄り、  
乳房全体に唾液を絡ませて行けば、こまちの口からは絶えず甘い声が上がる。  
 
興奮が身体を熱くしていき、肌に汗が浮き上がって欲情に煽られていく。  
丁寧で優しいナッツの愛撫を受け続けるこまちの脚先が、刺激に反応して蠢めき始め、  
唇から時折覗ける舌の動きがとてもいやらしい。  
無意識に腰を浮かせ逃げようとするのを押さえ、秘所に中指を薬指を埋め込んでいった。  
「ん、…ふ…ぁ、ッ」  
「…凄く…濡れてるな」  
そう小さく笑い、ゆっくりと中を掻き回していく。  
蜜壷は異物を受け入れた分、変わりに卑猥な蜜を吐き出して、  
やがてぽたぽたとナッツの指を伝わり、愛液がシーツを濡らして行く。  
本当に十分過ぎる程、こまちの膣内は潤っていたのだ。  
 
秘所を弄られる度に、淫らな音を聞こえてくるので、こまちは真っ赤になりながら口元を手で押さえていた。  
そんな姿にナッツは一旦全ての動きを止めて身体を起こし、こまちの両足を自らの肩に抱え、  
自身の先端を入口の恥肉に数度擦り付ける。  
奥へと続く入口は、卑猥に揺れていた。  
「いいか?」  
「えぇ…来て、ナッツ」  
了解を得たナッツは、硬く勃起した男根をこまちの薄桃色の蜜壷の中に、めり込むように挿入させて行く。  
「あぁっ!…は、ぁ……はぅっ…」  
「……ッぅ」  
熱く硬い肉棒が己の中に入り込んでくる度に、こまちは身体を捩って喘いだ。  
内部はナッツをもっと欲しいと言わんばかりに、締め付けながら奥へ奥へと誘い込み、  
そんなこまちの熱い肉襞の感触に、ナッツは思わず息を詰めた。  
「……あ、あぁ…っ、んっ、ぁ」  
漸く全体が入りきった後、ナッツは小さく抽送を開始する。  
快楽に身悶えるこまちの足を持ち、自分の方に引き寄せてから固定し、ナッツは激しく腰を叩き付けていった。  
打ち合う度に軽快な音が響き、その度にこまちは身体の奥に強く叩き込まれる熱と衝撃に堪えられず、  
押し寄せてくる淫猥な快楽の波に素直に身を委ね、身体を抱き締めた。  
 
そんなこまちを見ていてナッツは身体を前に傾け、頬に口付けを送るとこまちの腕を己の背中に回させる。  
そしてゆっくりと身体を抱え上げ、座位の体勢に持ち込んだ。  
自らの体重で更に深く繋がってしまう事にこまちは悶え、内部の粘膜のひくつきが増すのを感じながら、  
ナッツは目の胸元に口付けを送る。舌で舐め、強く吸い付けば赤い痕が残った。  
「やっ、は……あっ、っ」  
快楽で力の入らない身体がずり落ちてしまわない様、必死に足を伸ばしてナッツの身体に全身を使って絡み付く。  
身体は与えられる快感に震え上がり、膣へと注がれる細かい抽送に押し出されるように、  
短い喘ぎが零れ、切なげに眉が歪む。  
繋がった部分からは、ぐちゅぐちゅと湿った音が立ち、互いの性器が擦れ合う摩擦熱でとても熱かった。  
ナッツは円を描くように腰を回しつつ、こまちの内壁により多く自身を擦り付ける為に幾度も角度を変えて突き、  
やがて跳ねらせるように彼女の体を持ち上げ揺さぶった。  
柔らかく丸みを帯びた尻に、ナッツの指が食い込んでいく。  
「んんッ……は…ぁ…ぁっ」  
羞恥に頬を染めながら、こまちはそんなナッツの動きに合わせて腰を振り続けた。  
 
少し身体を後ろに逸らし、こまちの腰を支えていた右手で互いの結合部分をなぞる。  
肉棒で散々押し広げられた花弁は溢れる蜜を纏い、肉襞の先端に隠れている小さな肉芽を、  
ナッツは腰の動きに合わせて刺激を加えた。  
軽く押さえ、円を描くように回してこねて、爪先で引っかく。  
「や、あっ……、ぅっあっ、あっ、ぅんッッ!!!」  
叩き付けるような激しい腰の動きと、それを追い上げるような肉芽への愛撫に、先にこまちが陥落した。  
苦しそうに眉が歪み、固くつむった目尻からは一筋の涙が流れる。  
それでもナッツの思うがままに身体を揺らされ、達して敏感になっているこまちの身体は既に限界を超えていたが、  
止まらない快感には成す術なく、ナッツに全てを任せる為に抱き付いた。  
絶頂は内部を細かく震わせながら、上に向かって激しく収縮する。  
間を置かず攻め立てながらナッツも自分の限界を悟り、強く眉根を寄せた。  
そして野性味帯びた低い声を上げながら、ナッツは一際強くこまちを突き上げた時、  
今まで堪えていた欲が弾け飛ぶのを感じる。  
繋がり合った部分が脈打つように打ち震え、胎内で繰り広げられる射精の激しさを物語る。  
「ひぁ、…あ、熱…ぃ、ぁああぁぁぁっ!」  
意識が一気に高く登りつめ、それから静かに落ちていくような…そんな感覚に視界がぐらぐらと揺れる。  
熱い液体が流れ込んで、その最後の一滴まで搾り尽くそうと蜜壷は締まり続け、ナッツを咥えて離さない。  
「……う、ぁ…も、っ…っぁあ…ん…」  
肉裂からは愛液が流出し、結合部からは互いの液の交じり合った淫靡な粘着音が発生する。  
その後ナッツは腰の動き止める事無く、こまちの膣口を貫いていく。  
少しでも奥に、少しでも多くこまちの中に欲液を吐き出してしまいたい衝動に駆られたからだ。  
放出を終えた時には二人共互いに汗塗れで、絡まり合ったまま暫く動けないで居た。  
 
やがて身体を震わせ、ナッツが己の肉棒を引き抜くと、口を大きく開けたこまちの膣穴からは、  
ごぽっ…と空気の漏れる音がして、許容量を超えた粘質の白濁液が溢れ返していた。  
 
 
「はい、ナッツ。お礼の豆大福よ」  
「いただきますナツ〜」  
こまちの実家で作られている老舗和菓子の豆大福。それは言わずとも知れているナッツの大好物である。  
豆大福が入った紙袋をこまちから受け取ったナッツは、茶色の獣姿に戻って居た。  
「ナッツには本当に感謝してるわ」  
制服に着替え直したこまちは、鏡に映った自身を見ながら髪を櫛で梳かす。  
そしてお気に入りのカチューシャを着けて、後ろを振り返り、豆大福を幸せそうに頬張ってるナッツに微笑み掛けた。  
「今日も素敵な刺激になったし、また良いのが書けそうよ」  
 
官 能 小 説  
 
若いこまちの中では、日々様々な世界が広がっていく。  
ある日興味本位で官能小説を書き始めたまではいいが、製作途中どうしてもムラムラしてしまう。  
その事をナッツに相談すると、報酬は豆大福という形でこの関係を持ったのだ。  
 
そう何処の家でも、私的な空間というものは存在するものだ。  
こんな二人の関係はナッツハウスにて密かに行われ、こまちがその小説を書き続ける限り、  
これから先もずっと続いていくだろう。  
 
因みに近々新しい刺激を求め、ココを取り込む計画が立っているとかいないとか…。  
 
 
オワリ。  
 

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