「暑い」  
「だね」  
「なんでこの世界は一定の時期になるとこんなに暑いんだ」  
「暑いからだよ」  
「…」  
 
そんなこんなでうちわのパタパタ音しかしないナッツハウス。  
今は夏、そして真夏日。  
 
「こまち達は?」  
「今みんなで水着を買いに」  
「水着?」  
「うん、今度全学年で臨海学校なんだ」  
「臨海学校?」  
「海の方に泊まりにいくのさ」  
「…ココも行くのか?」  
「そうだけど?」  
暑さとは別のモヤっと感をココに抱きつつ、  
ナッツはパタパタと自分の顔(獣)のうちわ(水無月家製作)を仰ぎ続けていた。  
 
パタパタ音を二千回くらい鳴らした十分後。  
「たっだいまー!」  
バァン!という扉の開く音と共にのぞみの元気すぎる声が響いた。  
「おかえりー。ていうかここはのぞみん家じゃないでしょ」  
「いいじゃん別にぃ」  
「水着は買えたのか?」  
「バッチシです!」  
「のぞみってば『ここの水着ぜーんぶほしい!』  
とか言い出しちゃうから疲れちゃったよ」  
「かわいいのが沢山あったから選ぶのが大変だったわ」  
「ちょっと大胆な水着選んじゃったけど平気かしら…」  
 
(大 胆 な 水 着 ! ?)  
パタパタ音を止め、こまちの言葉に反応するナッツ。  
 
徐々に固まっていくナッツをよそに、のぞみはビシッと指を空に向けて  
「それじゃーみんなで水着お披露目大会!けってーい!」  
「え、何いきなり決めちゃってんの!」  
「いいですね、せっかく買ってきたんだし!」  
「ココにはどうせ後で見せる事になるだろうけど」  
「ナッツさんにも見せてあげないと不公平よね」  
それじゃー着替えてくるねー、とのぞみ達五人(りんはあまり乗り気じゃない)はお風呂場を借りて着替えに向かった。  
「大胆な…水着…」  
「ナッツ? 暑さにやられた?」  
そうじゃないとうちわでココの頭を軽く殴り、ナッツはこまちの帰還を少しだけ心待ちにしていた。  
 
―――十五分後  
 
「終わったよー!」  
上から掛け声がして、のぞみ達が階段を駆け下りてきた。  
「じゃーん!」  
 
自慢げに見せるのぞみの水着は蝶がモチーフのピンクのタンキニ。  
りんはのぞみと同じデザインの色違い。流石親友といったところか。  
うららはレモン模様のワンピース。その水着から、まだ微妙に子供っぽさが残っている。  
かれんは青のビキニ。腰には大きな布がオシャレに巻かれていて、大人っぽい。  
「みんなよく似合ってるよ」  
「よかったー!」  
そして、こまちだが。  
 
「こまちはどうした?」  
「初めて着るタイプの水着みたいで時間かかってるの。」  
「結構セクシーな方の水着なんですよ」  
 
(セ ク シ ー ! ?)  
ナッツの頭は色々な事が渦巻いていて倒れそうだが、  
それは暑さで倒れたということにしておけばいいと  
ナッツは遠のきそうな意識の中考えていた。  
(嘘は嫌いだがこれはしかたない)  
 
ナッツがもやもやしているうちに、こまちが上から降りてきた。  
「おまたせ…」  
「わー、こまちさんキレー!」  
 
こまちが着てきた水着。  
それは胸の部分にハイビスカスが咲く白いビキニ。  
こまちの胸は大きく、ビキニがそれを目立たせていた。  
普段は制服や私服で隠される色白で綺麗で長い足が、こまちを更に引き立てている。  
 
「こまちってスタイルいいわねぇ」  
「芸能界で通用しそうです!」  
「そ、そう? ありがとう」  
「…」  
心待ちにしていた当の本人は顔を真っ赤にして、まさに倒れそうな状況。  
「ナッツさん、どうかしら?」  
「え、あ、ああ…。似合うんじゃ…ないか…?」  
「よかったわ」  
 
こまちの姿に悶えつつ、キャッキャと賑わう自分以外の人間を半分遠目で眺めるナッツ。  
 
暫く経って  
「じゃあもう着替えましょうか。このままいたら風邪を引いちゃうわ」  
と、かれんが提案したので、女子全員は着替えようとお風呂場に向かう。  
 
「臨海学校が楽しみ…ってうわ!」  
「え?」  
のぞみが転びそう(というか確実に転ぶ)になった途端、のぞみの手が前にいたこまちのビキニに向かう。  
のぞみの指がビキニに引っかかる。そして、  
 
『プチン』  
 
その音と共にこまちの胸を包んでいた布は一気にはじけた。  
その光景をこまちの目の前にいたナッツが見逃すはずもない。  
 
「き、きゃああああ!」  
「ぐえ」←転んだのぞみの声  
「こ、こまち!」  
「お、落ち着いてこまちさん!」  
「み、見ちゃ駄目です〜!」  
「そ、そうココ!ナッツ、見ちゃ駄目…ココ?」←反動で戻った  
ナッツは布がはじけた時から一切動かない。  
五秒も経たないうちに顔を一気に赤くして、  
 
フラッ  
 
バターン!  
 
ナッツは座っていた椅子ごと横に倒れ、その反動で元の姿に戻ってしまった。  
「ナ、ナッツ〜」  
「ナ、ナッツさん! だいじょう…」  
「こまちさん先に水着着て!」  
「と、とにかくこまちは私とりんがなんとかするからみんなはナッツを!」  
「イ、Yes!」  
お決まりの掛け声と共に、弾けるように動き出した五人であった―――。  
 
三十分後。  
 
「はぁ…」  
「ナッツー。大丈夫かー?」  
「これがどう大丈夫に見えるんだ」  
その後、「気分でこうなった」と人間になった二人。  
のぞみ達はもう帰ったらしく、二人以外の気配は感じられない。  
ナッツはまだ普段使える程度に回転しきれてない脳を徐々に回しつつ、  
ココに自分が気絶してた間の出来事を聞いてみた。  
 
当の本人のこまちは布が弾けたときはあわてていたものの、  
ナッツが倒れた後は極めて冷静で、慌てず騒がず  
「起こったことはもうしょうがないでしょ。敵が来たわけでもないんだし」  
と、逆にかれん達を言い伏せていたらしい。  
事故ではあるが大胆な水着を選んだ自分にも責任があると言う事で、  
こまちは明日また水着を選びなおしに行くそうだ。  
 
「そうか…」  
「臨海学校の時はあまり大胆じゃない水着着てくるって」  
ホッ、と息をつくナッツ。だが正直なナッツは、  
「…俺の前でだけならその水着でもいいのに」  
とココに聞こえないくらいの小さい声でつぶやいた。  
 

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