朝から少し熱っぽかった。4時間目が終わったところで、
軽い眩暈がした。
(風邪、ひいちゃったかな……)
こまちは額に手を当ててみた。新作の冒険小説に入れ込ん
で、連日深夜まで原稿用紙に向かっていたのが良くなかった
のだろう。お昼はちょっと食べられそうにない。こまちは先
生に早退を申し出た。
「送っていこうか」
かれんが心配そうに顔をのぞき込む。
「大丈夫。まだ平気そう」
「本当? なんだか顔色良くないわ」
「うん。じゃ、帰って少し休むから」
「ノートとか、必要だったら言ってね」
「そだね、治ったらお願いする」
こまちは教科書やノートを鞄にしまい、教室を後にした。
校門を出ると、また少しフラッときた。
(やっぱり送ってもらえば良かったかな……)
鞄を持つのが片手ではつらい。おぼつかない足取りで家に
向かっていると、プップッと車のクラクションが鳴った。
「こまちさぁん♪」。タクシーの後部座席からひょこっと顔
を覗かせたのはうららだった。
「こんな時間に、どうしたんですか?」
こまちは事情を説明した。
「なるほど、それは大変ですね」
うららはかわいらしく眉を寄せた。
「分かりました♪ この車に乗ってください。今日はお仕事
が予定より早く終わったので、これから学校に戻ろうと思っ
てたんですが………こまちさんのこと、お送りしますっ!」
「……でも」
「いいですいいです。さ、早く乗ってください」
「本当に?」
「ささ、どうぞどうぞ♪」
断ろうと思ったが、今はとてもありがたい申し出だった。
こまちは倒れ込むようにタクシーに乗り込む。
「横になってていいですよ」
うららが制服のスカートから覗く自分の太腿をぽんぽんと
叩いた。枕がわりにしていいということなのだろう。
「ごめんね。ありがとう」
こまちはうららの膝枕にそっと頭を乗せた。頬に当たるう
ららの太腿はすべすべとして心地よかった。うららは、こま
ちの頭をそっと撫でる。
「……お家まで少し休んでてください」
こまちはそのままうとうとと眠ってしまった。
・
・
・
・
・
・
目を覚ますと、家の布団に横になっていた。濡れたタオル
も額の上にのっていた。うららのタクシーに乗って、眠って
しまって、それから、どうなったんだろう?
「うららさん?」
ゆっくりと上体を起こしてみる。少し休んだためか授業中
よりだいぶ楽になっていた。
「あ、こまちさん、気分はどうですか?」
うららはピンク色のエプロン姿で現れた。
「…うん……だいぶ、いいみたい」
「良かった♪ 今おかゆ作ってますから、少し待っててくだ
さい。あ、エプロン、勝手に借りちゃいました。そうそう、
なんか、こまちさんの家、今日は誰もいないんですね」
そうだった。今日は夜まで家族は揃って留守だった。
「ごめんね。みんなでかけちゃってるんだ………いろいろと
ありがとう」
「いいえ♪ 困った時はお互い様ですっ」
「……そう言えば、タクシーからここまで私、どうやって?」
こまちが尋ねると、うららは白く細い二の腕に懸命に力こ
ぶを作ってみせた。
「運転手さんにちょっと手伝ってもらって、あとはわたしが
おんぶしてきました♪」
「えぇっ! ごめんね。重かったでしょう?」
「大丈夫です。むしろ柔らかかったですっ♪」
うららはペロっと舌を出して台所へと戻った。
(……ん?……柔らかいって……いったい……)
思案に暮れるこまちが畳の上に視線を落とすと、こまちの
制服が綺麗にたたんであった。今まで気が付かなかったが、
こまちはパジャマ代わりに使っている紺飛白の着物に着替え
させられていた。
(……これも……うららさんが?)
ふと、胸元を覗くと胸の膨らみが無防備に露わになってい
る。ブラを着けていなかった。
(……もしかして)
こまちはハッと息を呑み、恐る恐る下半身に手伸ばす。や
はりショーツもない。
(ま、まさか、うららさん、私を裸にして)
こまちは独り顔を赤らめた。いくらうららが信頼できる仲
間で、こちらが病気で動けなかったとはいえ、一糸まとわぬ
姿を見られてしまったというのはちょっと恥ずかしすぎた。
こうなると、うららの<柔らかかった>という言葉も意味深
になってくる。
「お待たせしました〜♪」
丸盆に小さな土鍋やお茶などを載せ、うららが戻ってきた。
「あ、あのね。うららさん。その、えっと……」
どうしてだろう顔が火照る。風邪のせいだけではない。裸
を見られたということに動揺しているのかもしれない。
「分かってますよ。こまちさん。食べさせてあげます♪」
「いや、そ、そうじゃなくて……着物……」
「あー。お布団と一緒に押し入れにあったので、これかなと
思ったんですが、間違ってましたか?」
「ううん。これでいいんだけど。ただ……その……」
こまちは布団のへりをつかみ、もじもじした。
「き、着替えさせてくれたんだよね?」
「はい♪ 制服はそこにたたんであります」
「し、下着もとってくれたんだよね?」
「はい♪ 和服って下着つけないって聞いたので」
(やっぱり……)
こまちの顔が一気に赤らんだ。
(は、恥ずかしい……)
「大丈夫ですよ。こまちさんの体、あんまり綺麗なんで思わ
ず見とれてしまいました。本当、うらやましいです♪」
うららはにっこり笑うと、土鍋のフタを空け、かゆをすく
って、ふぅふぅと冷まし始めた。
「……そ、そかな……ははは……」
なにをどう答えていいのかも分からず、羞恥に頬を赤く染
めたまま、こまちも笑ってごまかした。
「はい。あ〜ん」
うららが自分も口を開けて、かゆを口に運んでくる。こま
ちは為すがまま、かゆを受け入れた。
「熱っ!」
できたてのかゆは想像以上に熱かった。
「ご、ごめんなさいッ!」
こまちは、うららが差し出した水を慌てて口に含む。
「大丈夫よ。ちょっとびっくりしただけ」
「あっ。こぼれちゃいましたね」
見れば、かゆがこまちの胸元を汚していた。うららは自分の
ハンカチを取り出すと、そっとこまちに寄り添って、こまち
の肌に着いたかゆを優しい手付きで拭う。着物の胸が左右に開
かれ、見事な胸の膨らみもきわどく露わになる。
「じ、自分でやるから」
漂い始めた妖しい空気を振り払うように、こまちはハンカ
チを自分で手にした。拭き終えるまで、うららはジッとこま
ちの胸を見つめていた。
「どうしたの? まだ残ってるかな?」
視線に耐えかね、こまちが尋ねた。
「いいえ。なんだか、すてきなおっぱいだなーと思って」
「……いやだ……みちゃだめ……」
「うららはぺったんこなんで、本当あこがれちゃいます」
「そ、そのうち、うららちゃんだって大きくなると思うけど」
「だといいんですけど……。あと2年でこまちさんのような
立派な胸になるのは、ちょっと想像しづらいです」
「……私だって、大きくなったのは最近、かな」
「わぁ……そうなんですか」
「……ちょっと前までブラはAカップだったもの」
ちょっと前というのが小○生だったのは内緒にしておこう。
「で、今は?」
興味津々という風にうららは身を乗り出してきた。
「………Cで、ちょっときつい」
「やっぱり!! さっき見た時から、コレはおっきいって思
ってました」
「見たちゃった?」
「ばっちり。乳首もぷくっとして、かわいいかったです♪」
「………ははは……コ、コメントしづらいな……」
その場を取り繕うように、こまちはかゆを口にした。ほど
よい塩加減で、食欲がなくてもなんとか食べることができた。
「ごちそうさま。おいしかったわ」
「そうですか。良かった♪」
うららは心の底から喜んでいるようだった。こまちがお茶
を飲み終えると、うららがじっとこちらを見ている。
「なぁに? どうしたの?」
「あ、あの、ちょっとだけ、おっぱい触ってみてもいいです
か?」
「え!?」
「ちょっとだけ、ちょっとだけですから」
「………う、うん……少しだけよ……」
ここまでしてくれたうららに断ることもできない。
「じゃ、失礼しますっ♪」
うららは、こまちの着物に手を差し入れると胸の膨らみに
沿って、掌をそっとあてがった。
「うわぁ……あったかい……」
うららの小さな掌ではささえきれないほどのボリュームが
あった。うららは、ちょっとだけ指に力を入れてみる。ふに
ふにと気持ちいい。よくおっぱいの弾力がマシュマロにたと
えられることもあるが、マシュマロよりはるかに柔らかい。
(………あ………なんか………)
こまちは熱がぐんぐん上がっていくような気がした。顔が
かっかと火照り、心臓がどきどきしていく。うららの指が先
端部に触れるたび、こまちはぴくんと反応した。
「……もう……いいんじゃないかしら……」
「あ、ごめんなさいッ」
こまちが声を掛けなかったら、うららはいつまでも触って
いたかもしれない。
「わわわ、こまちさん顔が真っ赤です」
「……うん……熱かな……」
まさか、おっぱいを触られてドキドキしたせいとも言えな
い。こまちは着物を直すと、横になろうとした。すると、う
ららは「ちょっと待ってください」と、体温計を手にした。
「お熱を測っておいた方がいいと思います!」
こまちは体温計を口にくわえ少し待った。やがてピピピと
検温終了のアラームが鳴る。
「あれ? 37度3分……おかしいですね。もっと熱いよう
な気がします」
再び検温すると今度は「38度5分」まで上がっていた。
「う〜ん。体温計が悪いのかな。これじゃ熱が何度か分から
ないです」
うららは体温計を手に小首を傾げた。
「……べ、別にそんなにきっちり測らなくても……」
「そんなのダメです。あ、そうだッ!!」
なにやら閃いたようだ。こまちはちょっと嫌な予感がした。
「ちょくちょーけんおん、しましょう♪」
変換すれば「直腸検温」。つまりお尻で体温を測ろうとい
うことだ。
「……そ、そこまでする?」
「はい♪ だって風邪は万病の元。熱はどんなタイプの風邪か
を判断する重要な指針です。さ、寝てください」
どうにも正攻法で押されると弱い。こまちは複雑な表情を浮
かべながらも、布団に側臥位で横になった。
うららは嬉々として、こまちの足もとに回り込み、白いふく
らはぎにかかっていた着物のすそをめくった。爪先からお尻に
至るこまちの脚線は透き通るように白く優美で、着物の乱れた
感じが妙になまめかしかい。
(……あ……)
下着をつけていないので、ひんやりとした風に剥き出しのお
尻を撫でられた。
「んしょ……ここかな……」
うららはあくまで真剣に体温計の先でこまちのお尻の穴を探
す。お尻を広げられないのは幸いだったが、おかげで、穴が見
つかるまで、何度も体温計の先端で周辺をつつかれ、こまちは
なんとも言いようのない妙な気分にさせられた。
「……ぁン……」
「見つけました♪」
ようやく体温計がお尻の穴に差し込まれた。あんなに細いの
に異物感が強く、まるで釘でも刺されているかのようなピリッ
とした軽い痛みが走った。
「ちゃんと入ったかな?」
「……み、みちゃだめ!」
うららがお尻に顔を近づけると、こまちは思わず叫んでいた。
最近、便秘気味だったのが、今日の2時間目が終わった後、一
気に来た。しかも風邪のウイルスがおなかでも悪さをしたのか、
完全にくだしてしまっていた。
(……あぁ……早く、早く……………)
3分がこれほど長く感じられたことはない。なぜ自宅で後輩の
前でお尻を丸出しにして、検温されなくちゃならいのか。こまち
を激しい羞恥が襲っていた。
ピピピピ……。
拷問のような3分間がようやく終わった。こまちは、うららよ
り素早い動きで体温計を抜いた。もしかすると、体温計の先端に
よからぬモノが付いているかもしれない。そう思ったのだ。
「何度ですか?」
「39度6分……」
一般に腋下や口内より直腸の方が体温は高い。だが、それをさ
っ引いても、十分な高熱だ。しかし、くらくらするのは多分、熱
のせいだけじゃない。
「やっぱり……こまちさん……コレいきましょう」
いつの間にか、うららが、ながひょろい物体を手にしていた。
「そ、それは?」
「とっても新鮮なおネギです♪ 解熱効果ばっちりです」
「おネギなら、さっきのおかゆにも入っていたわ」
「ノンノン♪ そんなじゃダメです」
「どうするの?」
こまちの問いに、うららが天使のように微笑んだ。
「入れるんです♪」
「……い、入れる!? ど、どこに?!」
「あれ、知りませんか? お尻です♪」
「えぇッ!?……そ、そ、そ、それはちょっと」
こまちは流石に躊躇した。言われてみれば民間療法で聞い
たような記憶はあるが、実際にやるのはかなりの抵抗がある。
「ダメです。風邪はひき始めが肝心です。さ、こまちさん、
もう一度お尻を出してください!」
きっぱりとした口調に、こまちはたじろいだ。たぶん、う
ららは本当に、こまちのことを心配してネギを構えているの
だろう。うららが真面目なのに、こまちが恥ずかしがって、
拒んだのでは、うららのせっかくな気持ちを踏みにじること
にもなってしまう。こまちは布団の上で四つん這いになると
ゆっくり着物のすそをめくり上げた。踵のくびれからふくら
はぎへ、裾はツツツっと静かに上がっていった。やがて、真
っ白な太腿が露わになり、少し逡巡があった後、丸いお尻が
いよいよ剥き出しになった。
「では……」
うららの顔がこまちの小振りな白い尻に近づく。うららは
50センチはあるネギを真一文字に口にくわえると、両手で
こまちのお尻を押し広げた。
(……そ、そんなに広げちゃだめだよ……)
お尻の穴だけじゃない。その前にある、花びらに包まれた
恥ずかしい部位も丸見えだ。二つの穴を無防備にさらされ、
こまちの羞恥心はいよいよ高まっていた。
「ん〜っと♪」
うららは、こまちのお尻の穴をじっと凝視した。こまちの
尻穴は周囲の肌色からやや濃いめの色をたたえ、まるで視線
に反応するかのように、ひくひくと数秒おきに収縮していた。
(……なんか…もう…………)
排泄に使う汚らわしい穴を年下の女の子に覗き込まれてい
ると思うと、恥ずかしくて恥ずかしくてたまらなかった。
「よしっ♪ いきますッ!」
ネギを右手に持ったうららは、左手を尻穴に添え、一気
に奥へ突き立てようとした。
「そ、そんない、いきなり!? い、いたたッ!!」
こまちは背中を仰け反らせ悲鳴を上げた。裂けてしまうの
ではないかという恐怖に、無意識のうちに腰を振って、ネギ
から逃れた。
「こまちさん、逃げてはダメです!!」
「……だ、だって、ものすごく痛いから………」
「痛くても我慢です!」
逃げるこまちの腰に手を回し、うららは膝でこまちを抑え
付けて、再び挿入に挑んだ。だが、痛みの恐怖に取り憑かれ
てしまったこまちは頑なに尻穴を窄め、ネギの侵入を拒む。
「あーもー。ぜんぜん入りません」
「………む、無理よ……ね……もうやめましょ?……」
涙目になって哀願したが、うららは納得しなかった。
「そうだ。こうしましょう♪」
うららは、有無も言わさずにこまちの腰帯を解く。そして、
こまちを文机にうつぶせにさせると、そのまま机を抱きかか
えさせるようにして、手足をそれぞれ机の脚に縛り付けた。
拒む間も与えない、あっという間の拘束だった。
「……ちょ、ちょっと、こんな恰好は…」
「これならもう逃げられません♪ さ、お尻の力抜いてくださ
い。今度はゆっくりやってみます」
机に縛り付けられたため、こまちはお尻の様子がまるで分か
らなくなってしまった。顔の正面にある姿見に、かろうじてう
ららの顔が映っているだけだ。
「……んん………」
どうやらネギがまたお尻にあてがわれた。やはり、ごりっと
した異物感は変わらない。なにせ本当に立派ななネギだ。直径
は2センチに近い。
「うぅん。なにかもっと、滑らかに……」
こまちの背中でうららが独り言を言った。そして……。
「えっ!? えぇっ!? ちょ、ちょっと、うららさん?!」
お尻になにか生温かいモノが触れた。しかも穴の縁をなぞる
ように何度も何度も往復している。指? いやもっと柔らかい。
こまちはドキドキしながら姿見を見る。やはり、うららの顔は
そこに映っていない。間違いない。うららの舌だ。うららは自
分の唾液を潤滑油代わりにするため、こまちのお尻の穴に舌を
這わせているのだ。
(……あぁ……変よ……なんか変な感じがする……)
体の中で最も汚い穴を舐められ、こまちはくすぐったいよう
な、心地良いような、それでいて汚らわしいような不思議な感
覚に陥った。
……ちゅぱ……じゅるる……ちゅぷ……。
(……そんな、音なんか立てちゃいや……)
こまちの鼓動はどんどん早くなっていった。息も荒くなって
くる。羞恥の極みで体の深奥が熱を帯び、ゆっくりとろけてい
く。うららの眼前にさらけ出している花びらに包まれた蕾も針
でも突き刺されたかのように、じぃんと痺れるように熱くなり
始めていた。
「……ん……あン………」
思わず声が漏れた。ふっと、気が弛むと、うららの舌先は中
まで入ってきてしまう。体を内側から舐められるようだ。
(……ど、どうしよ……おかしい……)
だが、うららはそんなこまちの変化に気付く素振りもなく、
ほぐれたと見るや、快感とは無縁の機械的な動作で、尻穴にぶ
すりとネギを突っ込んだ。
「……い゛ぁっ!?」
油断していただけに、ネギは想像以上に深くこまちの腸内に
入り込んだ。
「……あ゛……が……」
こまちは喉元まで押し寄せる凄まじい圧迫感に目を白黒とさ
せて、口を金魚のようにぱくぱくとさせた。尻穴をかぎ爪で引
き裂かれたように熱く、体はがくがくと勝手に震える。全身の
筋肉が硬直し、額には珠のような汗が浮かんでいた。
「あれ、そういえば、どのぐらい入れるんだろう?」
うららはあくまで冷静な声で小首を傾げた。
「5センチ? 10センチ?」
両手を添え、うららはネギをぎりぎり押し込む。
「いッぅう゛ぅっぅ!!」
こまちの絶叫はうららの耳に届いていない。
「15センチ? 20センチ?」
「ひぃッ! ひぎぃぃッッッ!」
だが、一定部分まで入り込むと、皺を限界まで押し広げて突
き進んでいたネギがうんともすんとも動かなくなった。とんと
んと突くと、そのリズムに合わせ、こまちが短い悲鳴を上げた。
「………も、もう……入らないよ………」
こまちは涙声で訴えた。
「うーん。まだ半分以上残ってますけど……」
恐ろしいことにうららは1本まるごと、こまちの直腸にのみ
込ませるつもりだったらしい。
「………限界よ……とても……」
うららがネギから手を放したが、抜け落ちることはない。着
物姿で文机に緊縛され、年下の女の子に尻穴を舐められ挙げ句
ネギを突き刺された美少女。滑稽なほどシュールな光景のに、
どこか、淫らで倒錯の匂いがした。
「じゃ、このまま、いきますね♪」
うららは何を思ったか、再びネギを手にすると、くるくると
回転させながら、ゆっくりと抜き差しし始めた。当然、こまち
の腸内をネギは無遠慮に蹂躙した。
「いう゛ッぅぅぅ!?」
こまちが鋭い絶叫を上げる。こまちにとって、今、体内をえ
ぐっているのは、普段いただく食べ物として、しゃくしゃくと
した歯触りとツンとした辛みが心地よいネギではなかった。ネ
ギはいよいよ本来の成分を発揮し、まるで唐辛子を塗り込めた
ヘアブラシのように、異形の拷問棒となっての腹で暴れた。
「ひぎッ! お腹がっ! 熱いッ!! えぐられるッ!」
「頑張ってください♪ お熱さがりますように♪」
熱なんかどうでもいい。
「あぁぁぁッ!!! 抜いてぇッ!! おネギ抜いてッ!!」
涙やら涎やら、こまちの顔は哀れなほど、ぐしゃぐしゃにな
っていた。
「あらら、こまちさん。弱音を吐いちゃダメですよ♪」
うららは一層手の動きを早めた。
「ひぃッ! ひぃッ! だめぇ! お腹痛いッ!」
ネギの動きに触発されて、下していたお腹が再びぶるぶると
活発化する。まるで誰かに鷲づかみにされたかのように、激痛
が下腹部に集束していく。こまちの顔がみるみる青ざめていっ
た。
「だ、だめッ! お腹だめなのッ! お願いッ! おネギ、抜
いてぇッ! 抜いてくださいッ!!」
こまちの様子が尋常じゃなくなってきたことに、流石のうら
らもぴくんと眉をひそめた。
「わ、わかりました。今、抜きますッ」
ネギは入ってきた時と同様、一気にこまちの尻穴から引き抜
かれた。一瞬だけぽっかりと口を開いた穴は、すぐにぎゅっと
窄まった。
「……くぁ……うぅ………ん………]
ネギ責めから解放されたこまちだったが、今度は恐ろしい腹
痛が彼女を襲ってきた。気を張っていないと、腸内の奔流を一
気に外に噴出してしまいそうだ。
「……お、おトイレに………」
とはいえ、こまちは手足を縛られたままだ。帯はきつく締め
られており、解くにも切るにも時間が必要だ。トイレを求めて
も、それは何万光年も彼方の存在。到着するまでに、どこかで
………。こまちはあまりに絶望的で屈辱的な状況に啜り泣いた。
「ど、どうしたんですか?」
「……も、もう……出ちゃいそうなの………」
こまちは羞じらいに顔を赤らめ、唇をきつく噛みしめた。
「えぇ!?」
「………ど、どうしよ……出ちゃう……出ちゃうよ……」
うららの前で噴射する。飛び散る。汚れる畳、家具、布団。
部屋いっぱいに充満する匂い……。想像するだけで、死んで
しまいたくなる。
「わわわ、ど、どーしましょう」
うららも慌てだした。受け止める、といってもかゆを食べ
た土鍋ぐらいしかない。こんなものではなんとも心許ない。
だいたい、他人の前で乙女に土鍋に排泄させるなんて、可哀
想すぎる。匂いだって否が応でも広がってしまう。
「んーっと、んーっと、わ、わかりましたッ!」
うららは決意した。
「こまちさんの乙女の羞じらいは、うららが守ります!!」
そう高らかに宣言すると、うららはスッとしゃがみ、こま
ちのお尻に顔を近づけた。
「……う、うららさん、な、なにを!?」
怪訝な声をあげるこまちを余所に、うららは尻を広げると、
なんと、そのまま、こまちの尻穴に唇を重ねた。
「こまちさん! OKですッ!」
「……な、なんてことしてるのッ! だ、だめよッ……」
「わたしのことは構いませんからッ! さぁ!!」
「……だ、だめッ……そんなッ……あぁッ!……どけてっ…
……うららさんッ……もう……あぁ……だめぇっ!」
こまちの尻穴がひくんひくんと激しく収縮するのがうらら
の口にも伝わってきた。
「だめぇぇッ! 出るッ! あぁッ! うんち出るのぉッ!」
こまちの絶叫に合わせ、うららは大きく息を吸い込むように
口を開けると、ぎゅっと目を閉じた。
ぎゅぷるるるうるるるッッ――!!!
その瞬間、こまちの顔ががくんと折れ曲がった。彼女は羞恥
の極限で白目を剥いて失神していた。うららは、こまちの尻穴
から噴き出される激流を無我夢中で受け止め、そして自分の喉
奥へと送り込んだ。苦しさは想像を絶していた。息はできず、
圧倒的な勢いが細い喉を責め立てる。だが、こまちの尊厳を守
ってあげるためには、ひるむわけにはいかなかった。
(春日野うらら! いきますッ!!)
・
・
・
・
・
・
「ん………」
こまちは悪夢の中をさまよって、壁にたたき付けられるよう
に目覚めた。記憶の糸をたどり、あまりに非現実的な体験をも
う一度振り返る。お尻の穴が自然ときゅぅっと窄まった。少し
ひりひりするような感覚は残っているが、お腹の中の嵐はうそ
のように去っていた。それも、これも、うららが……。
「こまちさん♪ おかゆできましたよ♪」
「えっ!?」
エプロン姿のうららが、かゆを持って立っていた。ハッと我
に返り手足が自由になっていることに気付く。体も文机の上で
はなく布団の上にある。帯もきちんと腰に巻かれ、着物に乱れ
はなかった。
「どうしたんですか、そんなにびっくりした顔して」
「だ、だって……わたし………」
「あー。運転手さんにちょっと手伝ってもらって、あとはわた
しがおんぶしてきました♪」
「……そうじゃなくて……」
「あ、着物はお布団と一緒に押し入れにあったので、これかな
と思ったんですが、間違ってましたか?」
さきほどと同じ会話が繰り返されている。デジャブ? 夢?
こまちは混乱した。
(……検温や、おネギ、それから……あれは全部夢?)
思えば、ありえないことばかりだった。風邪の熱にうなされ
て朦朧と迷い込んだ夢の世界。やけにリアルな感覚が残ってい
るが、あれが夢だったと言われるなら、どんなにか救われるだ
ろう……。こまちはかゆを口に運びながら思った。だが……。
「う゛ッ………」
突然、うららが両手で口を抑えた。膝が崩れ、ぺたりと畳に座
り込む。額にはびっしりと汗が浮かんできた。
「うららさんッ!?」
こまちは慌てて、うららを抱きかかえた。
「……へ、平気です♪……」
うららはそれでも一生懸命に笑った。その痛々しい笑顔に、胸
がぎゅっうっ痛くなった。こまちは悟った。
(……やっぱり夢じゃなかったのね………)
こまちはうららの手を抑えると、そのまま唇を求めた。
「こ、こまちさん?!」
「大丈夫……遠慮しないで……うららさんがしてくれたように、
今度はわたしがあなたの羞じらいを守るから………」
指と指を絡め合いながら、二人は長い長いキスを始めた。