ベッドの周囲を水下が忙しなく動き回る。三脚を据え付け、真新しいビデオカメラをセットしていく。  
その照準は、もちろんサツキに向けられている――それも、一台だけではない。  
「私ね、篠原先生。いま、こういうのに凝ってますの。最近のカメラって操作も簡単で、私みたいな  
初心者でもプロ並みの映像を撮れるから本当に素晴らしいですわ」  
四方から自分を凝視する無機質で冷たいレンズ。嬉々として作業を続ける水下の口から漏れる鼻  
唄が、これから起こることの不吉さをひしひしと感じさせ、サツキの胸中は穏やかではない。  
(これから、どんな目に遭わされるのか……)  
問い詰めたい思いを何とか堪える。相手に弱気な部分を見せたくは無かった。それに――その内、  
嫌でも分かってしまうことだ。  
「よーし、これで準備OKっと♪」  
各々のカメラの向き、アングルを調整し終え、ようやく満足したのか水下がニンマリと笑う。  
「――いったい、何をするつもり?」  
弱気を振り払い、精一杯強がって見せる。  
歯を食い縛り、キッと睨みつけるが、相手はそれすら何処吹く風とばかりにしゃがみ込み、ベッドの  
下を漁りだした。カチャカチャと固い金属やガラスが触れ合う音がする。  
「フフッ、先生。これ、何だかお分かり?」  
サツキの前にある物体を突きつけた。  
(――あああ……まさか、そんなっ!)  
分かった。全て、分かった。水下の意図も、これから自分が迎える運命も、それを見ただけで一瞬  
で察してしまった。  
血が凍てつく。顔面が蒼白になっていく。胃から苦いものが込み上げてくる。  
「あらあら、流石は篠原先生。どうやら、お分かりになられたようで。やっぱり、博識な方は違います  
わねえ」  
水下は、そう言って嬉しげにその物体――ガラス製の浣腸器を振りかざした。  
 
「――どうしようっていうの?」  
虚勢を張る気力も失せて声も掠れて、それでも確認せずにいられない。信じたくない。認めたくなか  
った。  
サツキの、そんな必死の思いを水下はプッと吹き出して打ち砕いた。  
「いやぁだ、先生ったら。これで先生のお腹の中を綺麗さっぱり掃除して差し上げるんですの――って  
言うより、これって他に使い道ございませんでしょう?」  
(やっぱり……)  
予想していたことであったが、あらためて宣告されて暗澹たる気持ちになった。  
「その怯えた表情も、すごく素敵。篠原先生って、どんな表情をされても映えますわね。『いけないおイ  
タをしたら、キツイお仕置きが待っている』こういうことは、口でいうより身体に早目に教え込んでおいた  
方が、効果的ですのよ」  
浣腸などされてしまったら、どんなに頑張っても迎える結末は一つだけだ。  
「でも、もし先生が諦めて『水下の所有物になります』と言っていただけたら、お浣腸は無しにします。私  
も実際、そっちの方が手っ取り早くて助かるんですけど」  
水下からの思いがけない提案にサツキの心は揺れた。人間として教師としてのプライドを取るか、それと  
も捨てるのか?  
半ばまで唇が開く。そのあまりに卑屈な宣言を自分の唇が発する様を想像し、躊躇した。長い逡巡の末  
――唇を閉じてしまった。  
「結構。一度心に決めた信念を容易く覆そうとなさらないその精神は、まさに教育者としての鑑ですわ  
――もっとも、その強がりがいつまで保てるか見物ですが」  
水下がサツキの腰の下に枕を敷いて尻を浮かせる。浣腸器を挿入しやすくするための処置だ。脚はベッ  
ドの両端に拘束されているため、恥ずかしい箇所が全て曝け出された格好になる。細く冷たい指が尻肉  
の谷間を押し広げたとき、心の中で自分を支えていた糸が切れ、出し抜けに恐怖が襲い掛かってきた。  
「ああ、嫌っ! 絶対に嫌です。浣腸なんて、ひどいっ! もう、やめて!」  
「それじゃ、仰ってください。たった一言だけ。『篠原サツキは、水下様の奴隷です』って」  
「――し……篠……駄目……言えません」  
太腿を平手打ちされた。パシーンッと乾いた音が響く。  
「焦れったいわね! 『あれも嫌、これも駄目』。そんな子供じみた言い訳が通用すると思ってるの!」  
「ううっ、すいません。でも……どうしても言えないんです」  
「時間切れ。タイムオーバー。付き合いきれませんわ。これ以上甘やかすと、今後ロクなことになりません  
もの。浣腸は決定事項です」  
 
再度、指が尻肉を割って潤滑剤を塗った挿入管が肛門にあてがわれた。もっとも繊細で恥ずかしい秘  
部に受ける異物の触感に、心がおののく。  
「い、痛い……」  
「ジタバタしない。それとお尻の力を抜きなさい。大事なところが傷だらけになっても知らないわよ」  
脅しともとれる忠告に、深呼吸を一つして何とか気持ちを落ち着ける。  
(もう、どんなに足掻いても引き返せない。だったら、早く済ませてしまおう)  
尻肉が緩み、肛門から緊張が抜けたのを見計らって、水下がすぼまりの中心部へ先端をそっと挿入さ  
せた。  
「入れますわよ」  
サツキは黙って頷いた。  
チュルチュルと生温かいものが体内に侵入してくるのが、はっきりと感じられる。その間、努めて何も考  
えないようにしていた。これから始まるであろう、悪夢を耐え忍ぶための覚悟だけを心に刻み付けた。  
「はい、おしまい。今回は警告の意味も込めて、100ml.ということで。今後も聞き分けの無いことを仰った  
り、こちらの手を焼かせるような行動をなさったときは量を増やすこともありますので、気をつけてください  
ましね――もし、心変わりしたくなったら、いつでも仰ってください。枷を外してこちらに用意したバケツで  
用を足させて差し上げます。流石に便所までは間に合わないでしょうから。  
その際は、こちらに書いた誓約文を一言一句間違えずに読み上げてください。見やすいように、壁に貼っ  
ておきますからね――もちろん、意地を張り続けたいのなら、そのままベッドの上でぶちまけていただい  
て構いません。ただし、ベッドの汚れは責任を持って先生のお口で処理していただきます――ちっとも汚  
くなんかないでしょう? 自分のお腹から出てきた物ですもの」  
 
 
ギュルルルルル〜ッ!!  
異変は、すぐさま現れた。  
最後の審判を告げるラッパのようなおぞましい音とともに、腹部に強烈な痛みがはしった。ガスが充満し  
パンパンに膨張するお腹を、小さな針が絶え間なく突き刺すような痛みがサツキを責め苛んだ。そして襲  
い来る猛烈な便意。予想はしていたものの、ここまで強烈で凄まじいとは。  
「は……あ……ああ」  
乱れる呼吸を必死で整え、意識を集中させる。ほんの一瞬でも気を抜いてしまったら……。たちまち全身  
から、ねっとりとした脂汗が吹き出し鳥肌が立つ。  
(堪えなくちゃ……でも、一体いつまで? 何のために?)  
どれだけ頑張ろうと、いずれ限界が来る。問題なのは、その時自分がどんな選択をしているか、だ。  
脅迫され、暴力まがいの辱めを受けた挙句、排便したさに屈服するなど死んでも嫌だ。しかし……例えこ  
のまま我慢し続け最悪の顛末を迎えたとして、それで水下が引き下がるとは、とても思えない。それに、水  
下は言った。  
『出した便は、口で処理させる』と。本気だろうか? 本気で、そんなことを?  
ぶちまけた大量の便の上に顔を押し付けられ、無理矢理口に押し込まれている自分の様を想像し、吐き気  
が込み上げる。  
(嫌だ……出来っこない。そんな目に遭うくらいなら死んだ方がまし。でも、それで死ぬんだったら、それこそ  
死んでも死にきれない)  
それなら……一体、どうすれば?  
その決断の時は、唐突に訪れた。  
「流石は篠原先生。意外に頑張りますわねえ」  
水下が人差し指で、サツキの腹部をグイと突いた。たったそれだけのことで、爆弾の直撃を受けたようなショッ  
クが全身を駆け抜ける。  
「――ああっ、やめてえ!!」  
手足が痙攣する。ただでさえ長時間の拘束で感覚がマヒしている。眼球が飛び出しそうな勢いで見開く。歯が  
カチカチと音を立てる。  
どうにか――堪えた。今は。だが、もう駄目だ。  
(神様……みんな……先生は、もう……)  
縋るような眼差しで水下を見る。三脚に据えたカメラだけでは不足なのか、自らカメラを構えてレンズ越しに哀  
れな獲物を凝視していた。  
(どうすれば良いか。おわかりでしょう?)  
 
彼女の瞳が、そう語っていた。壁に目を向ける。ノートの切れ端に流暢な文字で書かれた屈辱的な誓  
約文。  
だが、もう迷っているヒマは無かった。  
「わ、わたくし……」  
 
 
脚がもつれて、その場にへたり込みそうになるのを鞭打って這うように進み、ようやく保健室の扉を力な  
く開く。  
「遅い! 何を愚図愚図していたんだいっ!」  
途端に、水下の厳しい叱責が責め立てる。  
「す……すいません」  
目の前に雑巾が投げ付けられる。  
「床を汚した分、きちんと拭いておきなさい。拭き残しのないよう、きちんとね。もし、あったら承知しないよ」  
その声音は、自分が絶対的優位にたっていると信じて疑わない支配者のものだ。そして事実、サツキは水  
下の奴隷も同然であった。  
「はい」  
うなだれたまま雑巾を拾い、膝を突いて丁寧に床の汚れを拭き取っていく。なんとかバケツに用を足せたと  
はいえ勢いのあまり、周囲にかなり飛び散ってしまっていた。サツキはいま、廊下の突き当たりにあるトイレ  
に、バケツの便を処理してきたところであった。  
洗面所で汚れたバケツを洗いながら鏡を見た。ひどい有様だった。ほんの数時間でやつれ、生気を失くした  
顔の女が全裸に首輪と両手足に枷を嵌められ立っている。惨め過ぎて涙も出ない。  
いま彼女は一人であった。  
(いまなら……逃げられる)  
何度もそう思った。しかし、どこへ? 全裸の異様な格好をした女が何処へ行けば良い? 誰が信じてくれる?   
すぐに捕まってしまうのがオチだ。そして、もっと凄まじいお仕置きが……。身震いした。とても、そんな大それ  
たことを実行する勇気がない。足が竦む。水下も充分それが分かっていて、サツキを一人で行かせたのだろう。  
その期待を裏切ることなく、手乗り文鳥のように再び保健室へ戻ってきてしまった。  
『ううう……あああああっ!』  
不意に呻き声が――自分の声が耳に入ってギョッとする。目を向けると、TVに先程録画したばかりの地獄絵図  
が映し出されていた。早速再生したらしい。顔を伏せた。  
(もう、思い出したくも無い。観たくない。聞きたくも無い)  
作業に気持ちを集中する。だが、声の雰囲気から場面が佳境に入ってきつつあることが分かった。  
「ほら、もうすぐクライマックス。一番の見どころだよ。サツキも目に焼き付けておきな」  
命令とはいえ、とても見ることが出来なかった。すると、髪と首を?まれ無理やりTVに顔を固定される。そこに映っ  
ていたのは、苦悶に表情を歪め、恥辱に満ちた誓約の言葉を紡ぎ出そうとする自身であった。  
『わ、わたくし……』  
『声が小さい! もっと大きな声で言いなさい!』  
『――わたくし……篠原サツキは、本日より……水下おねえ……さまの愛玩物として……のコレクションの一つとし  
て付け加えて……いただけることと……なりまし、た。これからはお姉さま……の、玩具として、ペットとして……奴  
隷としての誇りを持って……生涯お尽くしし、ごほ……ご奉仕していく所存ですので、どうか……末永く可愛がって、  
くださ……い。ああっ、もう駄目ェ!』  
水下が素早く手足の枷を外し、首輪の鎖を引っ張ってベッドから引き摺り下ろした。床に置いてあるバケツに跨がせ  
られた次の瞬間、サツキの絶叫とともに何かが破裂するような物凄い音が……  
「ああっ、もう嫌です! 聞きたくありません!」  
水下の手を振り払い、耳を塞いで床に突っ伏し号泣した。もう涙も出ないと思っていたが、後から後から溢れ出して  
来る。  
(もうオシマイだ……何もかも)  
完敗だった。はっきりと映像に記録され、生徒を人質にとられ、脅迫まがいの方法とはいえ屈服の誓いまでさせられ  
た。サツキに抗う術は、もう何も無い。  
これから先に待ち受けるいつ果てるとも知れぬ悪夢を想い、真っ黒い絶望に押し潰された。  
延々と泣き崩れる哀れな女の髪を、水下の長い指がそっと撫でていく。  
「いい加減、観念なさい。そんな泣きはらした目をして――可愛い顔が台無しじゃないか」  
「もう……嫌です。これだけ苛めて、追い詰めて、傷つけて――もう、充分でしょう。許して、助けてください」  
 
サツキの懇願に、水下が嘲笑で応える。  
「サツキったら、冗談がお上手! もう、充分? 全然! 全然、物足りませんわ! これから、も  
っともっとサツキで楽しませてもらいますから―ーまだ、お分かりいただけませんの?」  
分かりきっていたことだった。それでも、悔しさが、哀しさが募る。唇を噛み締め、それに耐えた。  
「いっそ……殺して。死なせてください。これ以上、生きていられない」  
「それこそ、笑えない冗談ですわ。死にたきゃ勝手に自殺なさい。でも、そんなことをしたら、おたく  
のクラスの生徒さんたちは何て思うでしょうねえ? 『ネバー・ギブアップ』。あなたが生徒に吹聴し  
ている言葉を、あなた自身が否定するような真似をしたら、さぞかしショックなんじゃないかいら?」  
ハンマーでぶん殴られたような衝撃を受けた。まさに正論だった。身も心も堕ちてしまったとはいえ、  
教師の肩書きを持つ以上、生徒を裏切るようなことは出来ない。退路も完全に断たれ、打ちひしが  
れるサツキに、自分の鼻を摘んで水下が大仰に言い放つ。  
「それにしても臭いねえ。まるでブタ小屋みたいじゃないか。ボサッとしてないで、早く掃除を済ませ  
な。そのあとシャワールームで綺麗綺麗してあげる♪」  
 
 
例え隷囚の身に堕ちても、熱い湯を浴びているとホッと安堵の息をついてしまう。無論、気持ちだけ  
の問題だ。状況は依然最悪のまま……。肌の表面を伝い流れる湯とともに、この悪夢を洗い流せた  
ら――儚い望みであるけれど。  
「あんっ!」  
水下の指が乳首を摘み揉み解し、石鹸を擦り込んでいく。全身に隈なく執拗なまでに石鹸を塗され、  
サツキは立ったままで何もさせてもらえない。  
「あの……自分で洗えますから……」  
「なに言ってるの。飼い主がペットの世話を焼くのは当然のことじゃない。いいから、いい子でジッと  
してなさい」  
「――はい」  
二人はいま、更衣室に設置されているシャワールームに入っていた。狭い空間なので裸体同士が  
密着し、身動きもままならない状態だ。  
サツキは酔っていた。淫猥な毒気に陶酔していた。密閉された空間、降り注ぐ熱湯、石鹸の香り、充  
満する湯気、天井でチカチカと点滅する蛍光灯、そして――水下の芸術的なまでの肉体美。  
それらが、寄って集ってサツキを追い詰めていく。そしてサツキ自身も、最早抗おうとはしない。自分  
を支えていた気持ちの綱がプツリと切れて、タガが外れてしまったような心もとなさ。誰の助けも借り  
られない。一人きりで戦うことに疲れ果ててしまった。  
(もう好きなようにして)  
そんな、自棄的なことすら考えていた。  
水下とサツキが並ぶと、水下の方が頭一つ分背が高い。そのためサツキの眼前にはいま、水下の豊  
満な乳房が圧倒的なボリュームで迫る格好になっていた。  
そこから漂う匂い立つほどのフェロモンが鼻孔をくすぐる。脳を蕩かしていく。  
(――すごい……)  
そう感嘆せずにいられない。同性の自分でさえそうなのだから、男性などイチコロになってしまうだろう。  
肩から首にかけての流麗な曲線、形よく大きく張り出した乳房と突き出た乳頭、高く盛り上がった臀部と  
引き締まった腰部、すらりと伸びた脚線、ブランデーを想起させる浅黒い肌は滑らかで染み一つ無い。  
まさしく均整のとれた完璧な肉体の持ち主だった。  
『外見で人を判断しない』というのが、サツキの信条だったが、こうまで物凄い物を見せ付けられると、ど  
うしても自分の肉体と比較してしまう。そして少年のような女性らしさを感じさせない細身の平板な身体を  
思い浮かべ、その落差に哀しくさえなってきた。  
吸い込まれるように手が伸びて、直に乳房に触れる。  
(あっ……)  
見ているだけでも実感出来たが、触れてみて更にその大きさ、柔らかさ、弾力、熱さに息を呑んだ。これま  
で得たことの無いような、その感触。自然に指が動き、揉む仕種をする。ペットとして許しを得ないまま勝手  
な行動をとれば、水下の怒りを誘う結果になることは分かっていたが、彼女の放つ妖しい魔香によって、サ  
ツキの性への衝動が抑え切れなくなっていた。  
乳房への愛撫に没頭していると、水下の手が優しく髪を撫でていることに気付いた。上目遣いに見上げると、  
湯気でよく分からないが笑っているように見えた。  
(――ああ、これで良かったんだ)  
心の中に安心感が広がる。それによって、より行為が大胆になっていく。掌の中で指を動かすたびに形を変  
え、そして力強く弾いてを繰り返す作業に飽くことはなかった。  
ペタリと壁に押し付けられる。冷たいタイルが火照った肌に心地よい。水下の太腿がサツキの脚を割り裂き、  
膝頭が女陰をグイッを突いた。  
「あはあっ!」  
不意にもたらされた痛み。しかし、それとともに別の何か――甘く痺れるような快感が矢のように背筋を走り  
抜けた。股間を釘付けにしたまま、水下の太腿がゆっくりと持ち上がっていく。サツキはやがて爪先立ちの  
状態になり、バランスを崩して水下にもたれ掛かる格好になった。  
 
 
(意外に簡単に堕ちたもんだねぇ)  
水下は、内心拍子抜けした想いだった。自分の腕の中にいる獲物――生真面目で定められたレールの  
上を歩くことしか知らなかった女教師。理不尽な暴力と恥辱に憤り、徹底抗戦も辞さない覚悟をしていた  
鋼の女。ほんの数時間前までは、そうだった。だが、その面影はいま微塵も無い。彼女が見つめる水下  
への眼差しには明らかな畏怖と媚びが見て取れる――よほど、浣腸のお仕置きが身に染みたのだろう  
か。  
新たに自身の中に芽生えたドス黒い歪んだ性の欲望に戸惑い、おののき、虜になりつつある。そして、そ  
れを植え付け与えた水下への憧憬、思慕。サツキは着実に変わりつつあった。  
(これは、きっちりと調教してやらないとねえ)  
――しかし油断は禁物だ。そっと下唇を舐めた。そこには、まだサツキに噛み付かれた傷跡と痛みが残っ  
ている。あれには、不意を突かれた。いつまた、こちらの思いもかけない瞬間に牙を向けてくるか知れない。  
要は飴と鞭のバランスが大事なのだ。そしてなにより、そのバランスの妙味のプランを練っている時が一番  
楽しい。  
「ううん……お姉さまぁ……」  
おっと、これは失敬。考え事に没頭しているうちに、サツキの相手をしてやることを忘れてしまっていた。不満  
気に口を尖らせ、早速お慈悲の催促をしてくる。  
「あらあら、ごめんなさいね。ほったらかしにしちゃって――そうよ、そうやって全てを私に委ねなさい。そうすれ  
ば、あなたは生まれ変われるわ。退屈な現実にしがみ付くより、楽しい夢の中で毎日を過ごせるのよ。どう、サ  
ツキ。素晴らしいでしょう?」  
「――はい、お姉さま」  
飴と鞭のバランスが肝心。しかし、潤んだ瞳で自分を見上げ、全裸で身を投げ出しているサツキの肢体にはゾ  
クゾクするほどの欲情を掻き立てられた。血が滾る。それに免じて、いましばらくは、飴玉をしゃぶらせてやろう。  
太腿に手をかけ、グイと持ち上げ股間を剥き出しにする。膝頭でグリグリと刺激を与えながら唇を奪う。今回はさ  
きほどの保健室でのような強引なものではない。  
 
 
 
 

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