「は……ああっ、うんん……」  
いつの間にか、声を出していた。お姉さまの舌は股間を凌辱し続け、同時にサツキの華奢でほっそり  
とした太腿に爪先を立てた指が、微妙な強弱をつけながら軽やかに滑らせていった。  
尻の穴から脳天にかけて冷たい風が走り抜ける。  
(これって、いったい?……)  
恥ずかしさと気色の悪さ。それだけしかないはずだった。ほんのちょっとでも良識のある人間なら、絶  
対にこんなことは出来ない。だけど――だけどいま、何かが変わろうとしていた。それは言葉では表  
現しきれないけれど、サツキの青く熟していない肉体の奥底で何かが芽吹き始めていた。  
「はうっ!」  
身体がビクンッと跳ね上がる。不意打ちでお姉さまの舌が肛門を舐め上げてきたのだった。  
「どうしたの? 感じて来ちゃった?」  
「――そんな、違います! ただ、擽ったかっただけで……」  
顔を赤らめ、目を伏せた。心の中を見透かされそうで、うっかり余計なことを口走ってしまいそうになる。  
「ウフフ、まあいいわ――それにしても、やっぱり若いって素晴らしいわ。手入れも無しでお肌スベスベ  
で張りなんかも段違い。おまけにとってもいい匂いがする。今までお稚児さんは専門外だったけど、好  
き嫌いはしちゃいけないわね」  
うっとりとした表情を浮かべ胸の上で頬擦りをした。  
「もう、やめてください。こんなの、間違ってます」  
「つれないわねえ。これから楽しくなるっていうのに。なにが正しいとか間違ってるとか、そんなものは結  
果論に過ぎないわ。これはね、試練なのよ。望み通り自由を手に入れるためには、それ相応のリスクを  
背負わなければ――そんなことより、サツキちゃん。あなた、自分で自分のここを慰めたことはあるのか  
しら?」  
そう言うと、性器を指先でツンツンと突付く。  
「そ、そんなこと……したことなんてありません!」  
あまりの破廉恥な言動に、プイと顔を背ける。一体、どういう神経をしていたら、そんな非常識極まりない  
ことを真顔で口に出すことが出来るのか?  
「まぁ、本当? それはいけないわ。何事も経験なのよ。この機会にチャレンジしてみましょう――案外、病  
み付きになっちゃうかも」  
サツキの思いなど、どこ吹く風とばかりにお姉さまはサツキの手を取り股間へと導いていく。  
「ああっ、嫌っ!」  
必死に抗うが、所詮大人の力には敵わず、唾液でベトつく性器へ無理矢理に手を添わせられた。  
「とってもいい格好ね。それじゃぁ、ゆっくりでいいから指を動かしてみましょう。指先で擦ってみたり、おっぱ  
いと同じように揉み上げてみたり――そう、上手ね。やっぱり、頭の良い子は何でも物覚えが早くて助かるわぁ」  
(こんなの……こんなことで……)  
どうにかなるなんてこと、あるはずが無い。そう思っていた。しかし――  
(はふうっ!……)  
脳内で閃光が瞬いた。皮膚の裏側をとてつもなく心地よい風が吹いていく。ジュクジュクと肉体の奥底が熱  
と湿りを帯びていく。指を動かすほどに湧き上がってくる疼きと痺れ。血が沸々とざわめき、胸の鼓動が高  
鳴る。幼いサツキにとってそれは、まったく未知の領域の衝撃だった。  
「どう、サツキちゃん。初めて自分のアソコを弄繰り回してみた感想は?」  
耳もとで囁くお姉さまの問いかけに、ハッと我に返る。途端に羞恥心で一杯になり身が強張った。この淫戯を  
最後まで続けることで一体どうなるのか突き止めてみたい気持ちと、そんな浅ましい自分の姿を他人に知ら  
れたくない気持ちがぶつかり合う。サツキはジレンマに苦しんでいた。  
「ねえってば、どうなの?」  
「べ、別に……何ともありません」  
我ながら説得力に欠けた言葉だと思ったが、そう言うしかなかった。案の定、お姉さまはフフンと鼻で笑い、  
「あらそうなの? 残念ねえ。本当ならすっごく楽しい夢の一時を過ごせる筈なのに。サツキちゃんには、まだ  
早すぎたのかしら。じゃ、もう止めにしましょう」  
と言って、サツキの手を股間から引き剥がそうとする。  
「あっ……だ、だ、駄目です!」  
いま手を離してしまえば、このこそばゆいような、むず痒いような、けれど決して不快ではない不可思議な感覚  
から永久に遠ざかってしまいそうな気がする。それだけは何としても阻止したかった。  
「変な子ね。何も感じられないような行為を続けてたってつまらないでしょ?」  
「ああん、それは……」  
「それとも本当は違うのかしら? どうなの、サツキちゃん?」  
「――意地悪しないで、お姉さま」  
「意地悪なんかじゃないわ。これは、サツキちゃんのためなのよ。さあ、本当のことを言わないと手を縛り上げて、  
このままほったらかしにしちゃうわよ」  
 
「――ああ……き……き……き……気持ちよかったです! だ……だから……」  
「ウフフ、そうなの? 気持ちよかったのね。生まれて初めての自慰で感じたのね。だから、このま  
ま続行させてほしいのね」  
「――はい」  
途方も無い屈辱と恥ずかしさとで眩暈がした。瞳から涙が零れ落ちた。  
「泣くことなんかないわ。それってとっても正常なことなのよ。ごく普通の女の子ならだれでも経験し  
ていくことなの。それではお望み通り自慰を続けましょう。もう一方の手はおっぱいを弄らせなさい。  
サツキちゃんが自慰で初めてイクところを、きっちりと見届けてあげるわ」  
途中で中断させられたため、熱は大分遠のいていたが、幸い悦楽の残り香はまだあった。おかげで  
指を少し這わせただけで、あのえもいわれぬ感覚が戻ってきた。  
ただただ一心不乱に指を蠢かしていく。目は閉じたままだったが、お姉さまが自分を凝視しているの  
が分かった。その全身を舐めるような視線が突き刺さるほどにいたい。しかし、段々とそれも気にな  
らなくなってきた。ひたすら内に篭り本能の赴くままに快楽に身を委ねて――そして次の試練がサツ  
キを待ち受けていた。  
「――あ……あの……お姉さま、わたし……」  
「ん、今度はなあに?」  
「わたし……その……」  
「焦れったいわね。はっきりとおっしゃい。いま、せっかく良いところなのに」  
「……コが……」  
「えっ?」  
「――オ……オシッコがしたくなったんです……だから、おトイレに行かせてください!」  
果てることの無い羞恥に、胸が張り裂けてしまいそうだ。しかし生理現象には意地も通用しない。感情  
を押し殺し訴えかけた。  
「あらあらあら、それは大変ね。こんな肝心なときに。きっと性感が高まったために尿意が刺激されたのね」  
「……せーかんが、たかまる?」  
「そうよ。気持ちいいって感覚が最高潮に達したときってオシッコが漏れそうな状態にすごく似てるのよ  
――いいわ、サツキちゃん。この場で出しちゃいなさい。サツキちゃんのオシッコするところ見てみたいわ」  
「えっ、ええええ?」  
思いもかけない非情な宣告に、血が凍てついた。  
「そんなの――そんなの、絶対に嫌です! そんなことしたら、わたし死んじゃう!」  
抑え込んでいた感情が暴発した。声は震え、涙が止め処なく溢れ出す。  
「大げさねえ。たかが小便くらいで。仕方ないわ、こうしましょう。取りあえず私の目の前で気をヤッてしまい  
なさい。そうしたらトイレでもどこでも行けばいいわ」  
お姉さまの指が性器を嬲っていく。  
「あんッ……」  
「ほらほら、ここはこんなに熱くなって、そんな可愛らしい声を出して。イキたいんでしょう? だったら、自分  
の指で最後まできっちりとイキなさい」  
「うう……」  
(自分は一体、何をしているんだろう?)  
今更ながらにそう思う。  
他人の見ている前で裸になり、迫り来る生理現象に耐えながら自分の性器を愛撫している。瞳を動かすと、  
塾の用具の入ったバッグからノートと参考書が零れ落ちて散乱しているのが見えた。いつもなら塾で勉強し  
ている真っ最中のはずだった。昨日まではそうだった。しかし、いまとなってはそれさえ別次元の出来事のよ  
うだ。  
「あ……あ……」  
いまの自分が惨めなのか、  
「はああああっ!」  
それとも幸福なのか、  
「イキそうなのね? イク時は『イキます』って言ってからイキなさい」  
判然とせず、全てがドロドロに溶けて合わさっていく。  
「あ……ああっ、イ……イキます。イキます!」  
その瞬間、身体に巻きつけられたロープを思い切り引っ張り上げられたかのように意識が浮揚し世界は真っ  
白に。が、すぐに真っ黒な奈落の底へ堕ちていく。奇妙な解放感と達成感に包まれながら、サツキはお姉さま  
の嘲り笑う声を聞いた。  
 
 
「はぁあああ〜っ、甘露、甘露♪」  
蜜壷から溢れる淫液を舌で掬い取りながら、水下はご満悦だった。サツキという熟れ頃の女の肉体を  
器に、羞恥と屈辱と快楽をブレンドして、水下が手ずから仕込んだ一級品だ。美味くないわけがなかった。  
「ん……んっ……」  
サツキが眉をしかめ、声を漏らし始めた。  
(おやおや、眠り姫がようやくお目覚めの時間かい――ようし、それならお姉さまが優しく起こしてやらな  
いとね)  
サツキを、まんぐり返しの状態にしたままで身を乗り出し、耳をそっと胸に押し当ててみる。規則正しい鼓  
動が響く。血液が循環し命の流れを刻む神秘のリズム。 その眠気を誘うような心地よい心音に、水下は  
聞き惚れた。いつまでも、こうしていたいと思う。が、そういうわけにもいくまい。たっぷりと時間をかけて捏  
ね繰り廻された乳房は充血し、乳首は硬く勃起していた。それを軽く湿らし、含みこみ、舌先で転がし、ま  
た含んだ。耳の奥に残る心音をリフレインさせながら含んでいると、まるでサツキの生命そのものを吸い取  
っているように感じる。  
この若く美しい容貌肢体に非の打ち所もなくプライドの高い女教師が、いまこうして自分の腕の中で 淫靡の  
魔酒に酔い、これからも更に堕ち続けて行く様を思うと、興奮が抑えきれない。得がたい宝物を掘り当てたの  
だと実感する。  
「ん……はっ……はぁ……」  
サツキが陸に打ち上げられた魚のように口をパクパクさせ、喘ぎ声を漏らす。  
(うふふ、淫辱の波に揉まれたままで起こしてあげる。こんな素敵な目覚ましの仕方、どんな色魔だって経験  
したことないはずよ。良かったわね、サツキ)  
「はああああっ!」  
身体を大きくビクリッと仰け反らせ、ようやくサツキが目を開けた。しかし意識はまだ朦朧として、瞳の焦点が合  
っておらず濁っていた。  
水下が軽く頬を叩いた。  
「おやおや、ようやくお目覚めかい? 人をこんなに心配させておいていい気なもんだねえ」  
「――ここは?」  
サツキは困惑していた。  
(確か外で凌辱されていたはずだ。でもあれは子供の頃の私で……夢だったの? じゃぁ、ここは? これは現  
実なの? それともこっちが夢? ああ、分からない)  
今度はキツ目に頬を抓ってみる。  
「ちょっと、しっかりおし! ――ん、どうしたの? お尻とアソコを一度に弄ってもらえたのが、そんなに良かった  
の? 気持ちよすぎて頭のネジが飛んじゃったの?」  
「――お、お姉さ……ま?」  
ここへきて、徐々に瞳に力が戻ってきていた。  
「そうよぉ。まるっきり馬鹿になっちゃったってわけじゃなさそうね。さっ、もう充分休んだでしょう? 次のステップに  
行くわよ」  
 
「へえぇ――子供の頃のサツキが、わたしに性の手ほどき受けてたって――そんな妙な夢を見てたの  
かい?」  
「……」  
あいにく口が塞がっているので、頷いて肯定の意思を伝える。  
「まったく、あんたって娘は……中々目を覚ましてくれないから、こっちは心配し通しだったっていうのに、  
当の本人がのんきに淫夢に耽ってたっていうのは割に合わないねえ。ペットの分際で、どうしてくれようか」  
「!……」  
水下の言葉に青ざめ、無言で必死に訴えかける。  
「モゴモゴと何を言ってるのか分かりゃしないよ」  
笑みを浮かべ、サツキの口に突っ込んでいた指を引き抜く。ポンッと音がしそうなほど勢いよく飛び出し、唾  
液で塗されて唇との間に細い銀色の橋が架かった。  
「……ハァ、ハァ……ああ、お姉さま。申し訳ありません。どうか今回だけは許して……」  
「さあて、どうしたもんかねえ」  
「どうか……どうか」  
「フフッ――みっともなくて良い表情よ、サツキ。許すも許さないも、今後のあなたの誠意次第よ。さあ、奉仕を  
続けて。うんと奴隷根性を発揮して、わたしに誠意を見せ付けなさい」  
「――はい」  
力なく頷き、再び指を口に含む。  
何度か気をヤッた際、噴出させた淫液で水下の身体を汚してしまった。それをサツキの舌で舐め取って処理す  
る奉仕の真っ最中だった。まずは指から。サツキの肉体を愛撫し、女陰を嬲り、肛門を抉った指を一本ずつ丁寧  
に舐めて綺麗にしていく。指を終えたら今度は下腹へと――乳房、鎖骨、首筋と順繰りに這い上がっていく。ペット  
として、奴隷として、道具として、忠誠を疑われるような失礼があってはならない。奉仕が顔へと差し掛かった。ここ  
は繊細な箇所であるから、慎重な上にも更に慎重に。唇と舌先に神経を集中させ、意識を研ぎ澄ます。  
下顎のラインをなぞり、柔らかく張りのある頬へと。唇を滑らせ舌先をチロチロと蠢かせゆっくりと清めていく。やが  
て惹かれあった互いの唇が触れ合い――当然の如くキスをした。舌を絡みつかせ、歯がカチカチと鳴る。熱い唾液  
を流し込まれ、それを一滴残さず飲み下していく。下腹の奥底が燃えるように熱く火照る。  
ベッドに押し倒された。唾液と淫液と汗に塗れた肉体を重ね合わせ、乾いたスポンジが水を吸収するように貪りあう。  
それでもまだ物足りない。寧ろもっともっと欲しくなる。求めずに入られない。サツキも水下も、インキュバスに魅入ら  
れ、生きたまま淫欲地獄に堕ちた罪人さながらに足掻き続けた。  
――そして、ようやくひと段落ついた頃には、流石の水下も半ば息を切らせかけていた。  
「……サツキ……あなたって本当に舌使いが上手になったわ。正直、驚いた。たった一晩でねえ。えらいわサツキ」  
そう言って髪を指でくしあげ、撫でていく。たったそれだけで、サツキは感極まり涙が浮かんできた。  
 
(ああ……)  
思えば子供の頃、両親はサツキがどれだけテストで良い点を取ってきても褒めてくれたことなんて無  
かった。『私達の子供だから、これくらい当たり前』ずっとそう言われ続けてきたし、サツキもそれに関  
しては疑いもしなかった。  
だけど――今こうして手離しの賞賛を受けてみて――嬉しかった。胸が奮えた。どうしようもなく心が  
弾む。  
(何でもやります。何でも出来ます――だから、もっと私を見て、もっと私を弄んで、もっと私を泣かせ  
て、もっともっともっともっと、私を褒めて――お姉さま)  
「私の全部は、お姉さまのモノですから――お姉さまに悦んでいただけて――サツキ、嬉しいです」  
「随分、可愛らしいことが言えるようになったじゃないか。それじゃ、ぼちぼち最終試験といこうかね?」  
「最終試験?」  
「『サツキが本当に私のモノとして、やっていけるかどうか』を見極めるための試験さ」  
「やります! ぜひ試験してください!」  
意気込むサツキの額を、水下が指で突いて制する。  
「軽々しく言っちゃあいけないよ。試験はね――これまでやってきた責め苦が児戯に思えるほどにつら  
く苦しいものになるかもしれないのよ。途中で投げ出したくなるかもしれない。私を憎んでしまうかもしれ  
ない――それでも、やるって言うのかい?」  
最早、水下のいない未来など思いもよらない。そんな身体になってしまった。そう仕立て上げられてしま  
った。今更、放り出されでもしたら、それこそ悪夢であった。  
コクンと頷き、  
「やります。やらせてください――それで、試験の内容って……」  
水下は内心大いにほくそ笑んだ。強制的に言わせたのではなく、サツキ自身の言葉として言わせたのだ。  
悪魔の誓約書に自らの血でサインをさせた。優しいご主人様の身上として、愛しいペットの可愛らしいおね  
だりに逆らうわけにはいかない。だけど、  
「それは後で、ゆっくりと考えましょう。その前に――私の方もムラムラしてきたわ。我慢できそうも無い。散  
々気持ちよくしてあげたでしょ? 今度は私を気持ちよくさせなさい」  
そう告げると、サツキの顔の上に跨ってきた。顔面騎上位の体勢である。太腿で挟み込み性器を鼻先に押し  
付けていく。芳しいフェロモンが鼻孔一杯に匂い立った。拘束したままだった手枷を外し、解放する。すっかり  
痺れて、感覚が戻るまで時間がかかりそうだ。  
「さぁ、サツキの得意の舌業で存分に奉仕するのよ。なんなら指を使ってもいいわ――そう……そうよ、サツキ  
……ああ、あなたって本当に舌が上手!!」  
秘裂をなぞり、クリトリスを啄ばみながらサツキは夢想する。  
(お姉さまは最終試験について『後で考える』と言っていた――だけど、あの表情はもうすでに何か決めている  
かのようだった――一体、私は何をさせられるんだろう?)  
胸中を微かに不安が掠めていく。しかしそれも溢れ出る蜜液に酔い、高まるリビドーの歓喜の渦に巻き込まれる  
内にぼやけていき、やがて雲散してしまった。  
 
 

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