サンクルミエール通信の一面、というか一面しかないのだが、その見出しには一度  
も姿を現さない学園長の存在について、様々な噂がまことしやかに書かれていた。  
もっとも女性と見せかけて実は男、いや宇宙人であるなどと出鱈目ばかりが並べた  
てられ、記事の内容は憶測の域を出ていないので、何をかいわんやの有り様。一応、  
会長職にあるかれんお嬢が生徒を代表し、増子美香のインタビューを受けているの  
だが、こちらも何だか要領を得ない回答しか出来ていなかった。  
 
「私も、会った事無いのよね」  
新聞の貼ってある掲示板の前で、かれんお嬢は呟いた。するとのぞみが息巻いて、  
「それっておかしくない?」  
「私の芸能活動についても、教頭先生が相談に乗ってくれましたし・・・」  
うららも顎に手を当て思案顔。結局、誰一人として学園長を見た事が無いのである。  
じゃあ、入学式や卒業式の時はどうしてるんだという野暮なツッコミはさておき、皆の  
好奇心は募るばかりであった。  
 
その後、りんを除いてプリキュア一家はラウンジへ移動。昼食を摂りはじめた時、  
かれんお嬢の可愛い子猫ちゃんが二匹、靴を片方だけ持ってきたのである。  
「会長、ちょっとよろしいですか」  
「なあに、この靴は?」  
履き古した感のある学校指定の靴だった。その道のマニアには高値で売れるが、  
学内に置いては二束三文にすらならぬ、ゴミ同然の代物である。  
 
「旧校舎の裏庭で見つけたんです。最近、頻発している盗難事件に何か関係あ  
るのではと思って・・・」  
「ふむ、旧校舎か」  
かれんは靴をまじまじと見つめ、頷いた。実は最近、学内では生徒の物がなくなる  
という事がしばしばあり、生徒会から注意するよう呼びかけられていた。盗まれるも  
のは決まって下着、靴下、靴、ジャージなど、マニア心をくすぐる品が中心で、その  
為、外部からの侵入者による犯行だと思われていたが、セキュリティのしっかりし  
た当学園内にそう易々と侵入出来るとは思えず、かれんも困り果てていた。  
 
「私が預かっておくわ。ありがとう、二人とも下がっていいわよ」  
「はい」  
これだけの出演にもかかわらず、子猫ちゃんたちにはしっかりと役名がある(教頭  
すらない)のをさておき、かれんは会長としてこれ以上、盗難事件を看過する事が  
出来なくなった。それと同時に学園長に対し、一度でも良いから接見させて欲しい  
と思う。生徒会の頂きに立つ者として、一連の事件を報告する義務があるからだ。  
 
「教頭先生を通じて面会のアポイントメントをとりましょう」  
「アポですね」  
うららが業界人らしく略語を使うと、にわかにのぞみが立ち上がり、手を額の前で  
敬礼をするようにかざし、  
「ア、ポウ」  
と、身長が二メートルを超える今は亡き巨人プロレスラーの物まねをした。当然、  
皆、懐かしくなって目頭が熱くなった事は言うまでも無いだろう。本当に懐かしかっ  
た。  
 
その様子を見ていたのが売店のおタカさんだった。彼女も目に涙を浮かべている。  
「懐かしいね・・・じゃなくって、会長。学園長に会うって本気かい?」  
「ええ。それがどうかしましたか?」  
「いや、別に」  
おタカは伏し目がちにやや憂い顔を見せる。ただの一売店員が学園の運営に何の  
感心があるのだろうか。かれんは首を傾げてみせた。  
 
「じゃあ、皆で行こう。けってーい!」  
そう言ってびしっと人差し指を立てたのはのぞみである。このリーダー、空気を読ま  
ぬ事に関しては人後に落ちぬ程の天性を持っていた。第一、生徒会に何の関係も  
ないのに、何故、かれんに随行するのか。かれんもその辺の事を説明するのが面  
倒くさいので諌める事も無いが、おタカだけは何やら思いつめたような表情で、プリ  
キュア一家の面々を見つめていた。  
 
翌日、かれんを先頭に五人が学園長室へと向かった。初冬の事で柔らかな日差し  
の中、皆、好奇心で一杯の顔で歩いていく。  
「かれんさん、学園長ってどんな人なんでしょうね」  
「のぞみ、学園長の前であまりはしゃいじゃ駄目よ。うるさかったら、窓から放り投げ  
るわよ」  
「かれんさん、本当にやりかねないから、怖い・・・」  
のぞみに釘を刺してからかれんは学園長室前まで来ると、失礼しますと言ってから  
ノックを二回、そして、一拍おいてから扉を開けて入室した。  
 
だがその瞬間、かれんの表情は凍りつく。  
「こッ、これは!」  
窓も無い部屋の中に、見渡す限りの拷問道具が目に入った。三角木馬、手枷、足枷、  
鞭に縄、蝋燭や浣腸器、更には目を覆いたくなるような程おぞましい、男根まがいの  
玩具。それら、女をいたぶる為だけに存在する禍々しい道具が、部屋中のあちらこち  
らに置いてあるのだ。  
 
「わあ、これ、何ですか?」  
「いけない、のぞみ!」  
「どうし・・・てッ!きゃあッ!」  
無防備に部屋へ足を踏み入れたのぞみが、突然、逆さづりになった。戦争映画などで  
お馴染みの縄を使った罠だった。のぞみは逆さまになり、捲れあがったスカートを懸命  
に押さえようとしている。  
 
「助けてー!」  
「今、助けます」  
「あッ、うらら、待ちなさい」  
囚われの身となったのぞみを案じ、前へ出たうららを戒める余裕すら、かれんには無か  
った。のぞみに手を貸そうとした瞬間、うららは何処かから飛んで来た鞭で背中を打た  
れ、横っ飛びに吹き飛ばされていく。  
 
「うらら!」  
りんが血相を変えて叫ぶが、こう暗くてはどこから鞭が飛んできたのかも分から  
ない。事ここに至っては是非も無い、変身すべきと手をかざした瞬間、誰かが背  
後からりんとこまち、そしてかれんまでも部屋に押し込み、扉を閉めたのである。  
 
「あッ!」  
油断したと思っても時すでに遅し。プリキュア一家の面々は、あっという間に部屋  
の中へ閉じ込められてしまった。四隅に灯される蝋燭の明かりを頼りに敵の姿を  
探すも気配すら感じられない。肝心の仲間ものぞみとうららはすでに戦力外、こ  
まちは突然の攻撃で怯えきり、残るは自分とりんばかりかと、かれんは歯噛みす  
るのであった。  
 
「かれんさん、変身しましょう」  
「ええ」  
「お待ち!」  
ほの暗い部屋の中に、ひゅんと空を切る音がしたと思った瞬間、りんの体が弾け  
飛んだ。それが鞭による打撃である事は、その威力から見てすぐに理解できた。  
「あうッ!」  
「りん!」  
痙攣するりんを見てかれんは震えた。仲間を打ちのめされた怒りからではなく、恐  
怖を感じたのである。  
 
「雉も鳴かずば撃たれまいって諺、知ってるかい・・・?」  
三角木馬の向こうから、四十代と思われる女が鞭を持って現れると、かれんは目を  
瞬かせて慄いた。  
「おタカさん!」  
「ふふふ。好奇心が仇になったね、会長」  
おタカは髪をまとめ上げ、全身には黒のボディスーツを着用し、普段の売店員姿  
からは想像できぬほど艶かしい格好である。股間には同性愛者必須のペニスバン  
ドがそそり立ち、貪欲さを示していた。  
 
「あなたが・・・学園長」  
「察しがいいね、会長。まったくその通りさ」  
おタカは鞭をしならせて猛獣使い気取り。しかし、それは同時にかれんへの恫喝  
も含んでいる。おかしな動きをすれば、うららやりんのようになるのは目に見えて  
おり、かれんはその場にへたり込み、微動だにしなかった。  
 
「分からない。何故、学園長という座にあって、売店員なんてしているのか」  
唇を震わせながらかれんが問うと、おタカは口元を歪めて言った。  
「説明してやろう。私はもともと、教師だったのさ。だが、生粋のレズビアンで生徒  
を食い物にしてきて、そりゃあ充実した教師生活だったよ。でも、役職につくと生徒  
に悪戯する暇なんてありゃしない。それで売店に居座り、暇を見つけては生徒に  
ちょっかいかけてんのさ。この部屋は子猫ちゃんたちを可愛がる、ゲストルームっ  
て訳だ」  
 
それを聞き、かれんは憤慨した。学園長ともあろう人間が、そんな理由で本来の役  
職を放棄し、気まぐれに売店員をしているという事実が空恐ろしくすらある。しかし、  
今の状況は極めて厳しいとしか言い様がない。  
(どうしたらいい?)  
戦うか、逃げて体勢を立て直すべきか、かれんは迷った。すぐ近くにこまちがいて、  
彼女だけでも連れて逃げ出そうか。それからココとナッツと合流し、対策を練る・・・  
だが、それだと残りの三人を見捨てる事となる。とても出来ない相談だった。  
 
「さあ、会長。私の正体を探ろうとした無礼を詫びてもらいたいね」  
「どうすれば・・・」  
居丈高に迫るおタカに、かれんは慈悲を求めた。こうなったら従う以外、選択肢は  
無さそうである。自分はともかくとして仲間の身を案じたのだ。  
「服を脱ぎな。それから・・・そうだな、オナニーでもしてもらおうか」  
「オッ、オナ・・・」  
かれんの肩が震えた。仲間の前で自慰を強要され、怒らぬ訳がない。しかし、今  
はその要求に抗う術もなく、かれんはがっくりとうなだれた。  
 
かれんはゆっくり立ち上がり、衣擦れの音をさせながら制服を脱いでいく。  
「かれん!」  
「・・・大丈夫よ、こまち」  
我が身を案じる親友に微笑みかけながら、かれんは気丈にも身に着けている物を  
全部、脱ぎ捨てた。  
 
ほの暗い部屋の中に浮かび上がる少女の白い体は幻想的で、とても美しい物だっ  
た。長い手足と膨らみかけの乳房、そして薄桃色の頂きが、その名の通り可憐で  
儚げだった。おタカもこれには息を飲み、目を凝らして舐め回すように見つめている。  
「さあ、オナニーだ。イクまでやめるんじゃないよ。おっと、折角だから四つん這いに  
なりな。穴が良く見えるようにやるんだ」  
「・・・はい」  
 
かれんは目を伏せ、そっと床に這うとおタカに尻を向け、手を下半身へ伸ばす。自慰  
は初めてではないが、人前で行うなどという事はこれまでに経験がない。しかし、やら  
ねばならなかった。  
「あッ・・・」  
性毛の無い女の園を指でなぞり、純潔の証を破らぬようにする穏やかな密戯である。  
やっと開きかけた花弁を悪戯に刺激せぬよう、慎重に慎重に肉の芽を包む皮を指の  
腹で撫でると、普段の自慰の時と同じく、切ない思いになる。  
 
「かれん・・・」  
すぐ隣にいるこまちが顔を覆って、涙を流していた。皆を案じてただ一人、犠牲になる  
親友の姿を直視するのはあまりにも辛い。顔を覆う指の隙間からは涙が溢れ、その  
気持ちはかれんにも痛いほど伝わった。  
「ありがとう、こまち。私のこんな無様な姿を見ても、友達でいてね」  
「うん、うん」  
しゃくりあげるこまちを、おタカが忌々しそうに見遣った。この女、生粋の同性愛者の  
上に強烈な嗜虐心を有し、女同士の友情を否定する性格だった。  
 
「そんなに大事な友達だったら、ケツの穴でも舐めてやりな」  
おタカはそう言って鞭で床を叩く。それはもう、反対を許さぬ命令だった。  
「かれん、私、舐めてあげる」  
「汚いよ。こまち、やめて」  
「平気よ」  
こまちはかれんの尻の前に跪くと、割れ目の真ん中にある控え目なすぼまりに  
唇をつけた。  
 
「あうッ!」  
「かれん、ごめんね、ごめんね・・・」  
「吸わないで、こまち・・・ああ、舌が入ってくるゥ・・・」  
尻の割れ目を親友の手で開かれ、すぼまりを舌で責められるという未知なる体験  
にかれんは声を上ずらせ、いやいやと腰を振った。一方、おタカは少女たちの紡ぐ  
痴態に脳を侵され、持ち前のサディズムを高ぶらせていく。  
 
「この淫売どもめ!」  
いつしか肉の芽の皮を剥き、直接、指で弄っているかれんの姿におタカは興奮し、  
ペニスバンドの収まる場所を求めていた。ふと見ればそこには鞭で打たれ、いま  
だに体の痺れた状態のりんがいる。  
「お前、尻をだしな」  
「な、何をする!やめろォ」  
抗うもりんはすぐに下着を剥ぎとられ、おタカに両足を取られてしまった。  
 
「泣き叫ぶといい。私はあんたみたいな、気の強い娘を屈服させたいんだ」  
「ち、ちくしょう!あ───ッ・・・」  
ペニスバンドがりんの処女宮を犯し、破瓜の血を吸う。哀れにも無垢の少女は  
気違い同然の暴漢、それも同性の暴力によってその操を散らす事となった。  
「このペニスバンドには豚と馬の精液が温めて入れてある。気の強い所もどこ  
まで持つかしらね」  
「や、やめて・・・」  
りんは怯えた。処女を失った上にそんな物を胎内で放出されてはかなわない。  
 
部屋の中はそれこそ魔窟の如く変貌し、人の心の闇に明かりを照らし始めた。  
かれんはこまちの舌技で失神寸前だし、りんは涙を流して喘いでいる。この  
有り様にうららとのぞみはどうしようもなくなり、  
「うらら、歌おっか」  
「そうですね」  
と、踊りの準備に入った。  
 
「1、2、3、4、5・・・」  
 
♪    ビラビラマンチョ広げて   (尿!尿!尿!尿!)       ♪   
     フリフリお尻揺すれば    (プリキュア5!)  
     ザーメンシャワーを浴びて  (尿!尿!尿!尿!)  
     今日も一日カピカピ・・・      all right!  
 
    ナニがぶらついて 目が点になる 「わお、でけぇ!?」って  
   マラカスだと包茎! 保険がきく イッキ!Ho!Nyo!(一気放尿)  
 
   ちくびと ピアスで レズになる (Let’s NYO!)  
   エッチの源 こましても 根スケベも パワフルスワッピング!(1・2・3・4・5!)  
 
   そしてガンバランスdeアヌス   (尿!尿!尿!尿!)  
   そんでもってセックスレスも→フリーセックス  (プリキュア5!)  
   みんなはいやよ包茎 (尿!尿!尿!尿!) 輝くチンポホモホモ〜 all right  
 
     うんMai I Good Fuck! パンティ ちゃんと脱ぐ〜  
     プリキュアのアソコ Fucki’n Coming Hey!  
 
 
後日、ラウンジに集まったプリキュア一家の面々は憔悴し、やつれていた。あれか  
ら連日、学園長ことおタカの激しい淫行に付き合っている為、心身ともに疲れ果て  
ているのだ。そこに増子美香がひょいと顔を出し、  
「会長、何か分かりましたか?」  
などと、のん気な事を言うのである。  
 
かれんは少し間を置き、こう言った。  
「好事魔多し」  
「へ?」  
その言葉の意味の分からない美香は首を傾げ、かれんを見遣った。  
「世の中には知らずにいた方がいい事もあるわよ」  
それは、かれん自身が痛感した事だった。  
 
もとより女学校ゆえ、多少の歪みはある。おタカの性癖もそういった環境で培われた  
物なのだろう。かれんは今日も売店に座る学園長のかりそめの姿を見た。おタカは  
視線に気づいたのか、手を振っている。その様子に威圧されるかのように、プリキュア  
一家の面々は肩を竦め、ラウンジを後にした。  
 
 
おしまい  
 

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