『助けてよ・・・ッ』  
 夜科アゲハには、雨宮がそう言ったように聞こえた。  
 だから、テレカを使ったのも、すべては、雨宮を助けるため。  
 そして、一瞬のうちにアゲハが飛ばされた場所は、何もない荒野だった。「ジャンプ的にはナメ○ク星ですよ」と言われればウッカリ納得してしまいそうなほどに。  
 そして、そのどこだかわからない荒野で雨宮は、日本刀を振り回して、強大ムカデみたいな化け物を倒して見せる。刀剣を振るうその姿、まるで未来から来たトラ○クスのよう・・・というのは調子に乗りすぎだとしても、砂埃にまみれキズだらけだった。  
 アゲハは何がどうなっているのか考えてはみたが、とりあえず雨宮が生きていた事にほっとすることにした。  
「アンタがなんでここにいるの!? 」  
 いつもと違う雰囲気の雨宮に動転したアゲハはまともに返事ができない。  
「えーと、なんでだろうね・・・」  
 不意に、アゲハの足元に日本刀をつき立てる雨宮。  
「アナタ、サイレンに電話したのね? どうして、そんな事・・・!? 」  
 問い詰める雨宮に、アゲハは、しどろもどろに答える。  
「あん時、助けてって言ったの、聞こえたから・・・」  
 突然、揚羽の首を絞めていた手から力を抜く雨宮。  
 おそるおそる、アゲハが見上げると、いつもの氷の女王の表情だった。  
「ふ〜ん。つまり、私のカラダ目当てで来たの? 私を助けたくれたらSEXさせてくれるとでも思った? 」  
 思いがけないセリフに、アゲハはさらに動転する。  
「オレは別にそんなつもりでここに来たんじゃなくて、(助けた)報酬1万円が・・・」  
「へえ。私とSEXできるなら、1万円払ってもいいって? 」  
 なにやら、なにを言っても誤解の傷口を広げそうな展開に困り、アゲハは口ごもってしまう。  
 次の瞬間、雨宮が覆いかぶさるようにアゲハに抱きついてきたかと思った瞬間、唇にやわらかいものが触れた。それがキスだと理解した瞬間、アゲハは心臓が張り裂けそうなほどに驚いて、思わず後ずさりしてしまう。そしてそのまま、雨宮に押し倒されたようになってしまう。  
「でも、いいよ。やらしてあげる。どうせ、サイレンが来たらみんな無力・・・」  
 雨宮はそう言うと、不器用な手つきでズボンをまさぐり、すでに大きくなっているアゲハのものを取り出していく。  
 そして、アゲハ曰く、ボサボサもっさりゴワゴワのチン毛と共に、外に取り出されたそれは、初めて異性の手に触れられてさらに大きくなったようである。  
「あれ? 包茎・・・。もしかして、未使用だった? 」  
 からかうような雨宮の言葉にアゲハは傷ついた、はずなのに、雨宮の手の中のものは逆にかたさと大きさが増すという、チン現象が起こる。  
「喧嘩っ早いくせに、こっちはいじめられるのが大好きなんだ? でも、良かったね。これで未使用のまま死なないですみそうで。このままゲームをクリア出来ずに死んでも、思い残す事なんて無いんじゃない? 」  
 否定したいのに、否定できずにアゲハは死にたい気分になってきた。  
「ねぇ、今どんな気分? 」  
「恥ずかしくて、穴があったら入りたい気分だ・・・」  
 居たたまれないアゲハは、しかし、正直に答えた。  
「せっかちなんだね。じゃあ、今から挿入するよ」  
 そういうと、雨宮は腰の位置を少しずらして、腰の位置を調整する。そして、スカートの中に手を入れ、下着をずらして、アゲハのものを受け入れられるようにする。  
「いや、あのその。穴ってその穴の事じゃ・・・」  
 雨宮はそのまま口元を妖しく歪ませると、自らの性器にアゲハの性器の先端をもぐりこませる。そして、そのまま一気に根本まで受け入れる。  
 
 雨宮のそこは、いつの間にか、濡れていて、アゲハのものを包み込んでいく。  
 受け入れた時の衝撃に耐えるように、雨宮が全身を震わせる。アゲハも初めての性交渉に、すぐ射精してしまいそうになるのを耐えるのが精一杯だった。  
「あ、まみや・・・。お前は平気なのかよ・・・」  
 アゲハは、初めての女の子は痛いらしい、という以前何処かから仕入れた知識を思い出し、雨宮にきいてみる。正直、雨宮も初めてなのか気になり始めていたのだ。  
「へええぇ〜。たいした一物でもないくせに、セリフだけは一人前に大きいつもりなんだ。よかったね〜」  
 自分で組み敷いているアゲハの額と頬をぺたぺた・・・となでながら囁きかけてくる雨宮に、アゲハは軽い恐怖を感じる。  
「別に、オレはそういうつもりじゃ・・・、うおうぇ! 」  
 不意に雨宮は上下運動を始め、これでもか、という感じでアゲハに快感を与えていく。  
 と、同時に自分も快楽を味わっているらしい。短く浅い呼吸に艶っぽい声が混じっている。その表情からも、性の快感に恍惚としている事がよみとれた。  
それら、雨宮の反応までもが、アゲハに絶頂をもたらす。  
 搾り取られるような感覚と共に、アゲハは精液を雨宮の体内に放つ。  
コンドームも無しの膣内射精であることに気がついたのは、あまりの快感に我慢する事も忘れて全てを射精しきったあとだった。  
 射精の快感の余韻と、膣内射精したことの後悔の狭間で彷徨っていたアゲハが、恐る恐る目を開けると、予想通り、雨宮は冷たい表情で見下ろしていた。  
それとは裏腹に雨宮の膣内は熱を持ったままで、まだ足りないといわんばかりに、力を失い小さくなっているアゲハのものに絡み付いてきている。  
「も、もしかして、雨宮はイケなかった、とか? 」  
 雨宮の手が、アゲハの顔に添えられ、ぺたぺたとなでる。  
「へええぇ〜。早漏の上に、膣内射精? もし、子どもができたりしたら、どう責任とってくれるのかな? 」  
 このときアゲハは、目の前の雨宮も恐いが、もしこのことが姉・フブキに知られたらと思うと、恐怖が二重奏を奏でているように感じられた。  
「ご・・・ごごご、ごめん。い、慰謝料でも、結婚でも何でもするから・・・」  
 いいながら、アゲハは下半身が裸のまま逃亡を図ろうとする。  
「結婚・・・? 慰謝料だけで十分よ」  
 雨宮はそういうと、刀の鞘をアゲハ(の肛門)に突き刺す。アゲハの悲鳴が周囲にこだまする。  
「アナタにはもう少し教育が・・・ひつy…」  
 雨宮が突然倒れこんできて、差し込まれた鞘の角度が変わり、アゲハはもう一度悲鳴をあげる。だが、ほどなく雨宮が高熱を出している事に気がついた。  
 雨宮に指示されたとおり公衆電話を探すべく、雨宮を背負って歩き出したアゲハは、歩き出したとたんに、雨宮の足に何かねっとりとした物がついているのに気がつく。  
 手にとって臭いをかいで見るとそれは、自分の精液と、雨宮の分泌液の混じったものだった。  
アゲハは、改めて膣内射精してしまったことに気がついて、また、股間がむずむずしてくるのを感じる。  
そして後ろの方から聞こえた「ちゃんと、責任はとってね」という囁きも、空耳ではない。  
 その時、半ば崩れた建物の中から、自分たちを呼ぶ声が聞こえた。  
アゲハは雨宮を背負ったまま、どうやらそれが雨宮の言っていた、他にいる人だろうと思い近づいていった。  
 
 
 それから、いろいろあったが、アゲハも雨宮も何とかもとの世界に戻る事ができた。  
 家出少女が戻ってきたというニュースが流れている。全てが元通りになっていく。  
アゲハは、少しだけサイレンでの出来事が夢だったような、そんな気がしはじめていた。雨宮から呼びかけがあったのは、そんな時だ。  
 
 ――夜科アゲハ、聞こえる?  
 
 ――私の声が、聞こえる?  
 
 テレパシーで聞こえた雨宮の声に、アゲハが指定された場所に行くと、微笑みながら雨宮が立っている。  
「さ、行こ」  
「行くってどこへ」  
 問いかけたアゲハに返ってきた答えは予想の斜め上を行くものだった。  
「デ・ェ・ト。赤ちゃんの名前も決めなきゃいけないし、ね? 」  
 そして、硬直したアゲハの耳には、「赤ちゃんは女と男どっちが良い? 」という声は、もう聞こえていなかった。  
 
 

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