――思えば雨宮が泣いたところを俺は見たことがあっただろうか。  
サイレンという名の異世界。そこで雨宮桜子の涙を初めて見ることになる。  
 
『アンタが 何でここにいるの…!!!』  
『アンタ…大バカよ…ッ!!!!』  
――再び会った時に雨宮は泣いた。あれは安堵した涙だったのか、わからない。  
 
俺たち以外、誰もいなくなってしまった廃墟。  
『…教えてあ―――…げ…ないッ…!!』  
「私のせいじゃ…ないよ…ぅ…!!」  
――けれどいま一人膝を抱え再び零した涙は…  
 
考えても成す術もなくかける言葉も見つからない。拳を握りしめ、膝を抱えてうずくまる  
雨宮をただ見つめる。アゲハは耐えられず、おずおずと雨宮の頭に手を置く。  
戸惑いがみえる不器用なその手に雨宮は涙を止めた。  
(夜科アゲハ…優しいのね。けど、こんなんじゃ私の……)  
「夜科…」  
顔をあげた雨宮は熱のせいか艶やかにも見える。  
吸い込まれるように潤んだ目に釘付けになり、アゲハは雨宮の動きに気付かなかった。  
次の瞬間、心臓が強く脈打った。不意に雨宮の手がズボンに置かれていた。  
さらに欲情をうながすように上からなぞりつける。  
「…ッ!!?」  
言葉がつげず、動かない体を腕の力だけで精一杯後退りする。  
「なんで逃げるの?」  
心底不思議そうにしているのがまた怖い。  
「なんでって…」  
(それはこっちが聞きたい!!!)  
「……私を助けに…来てくれたんでしょ?」  
「…ッああ!」  
「じゃあこっちに、来て。…犯して…この身体を無茶苦茶に…フフフ」  
突拍子もなくその言葉を口にした雨宮は歪んだ表情を浮かべていた。  
(もろく壊れそうだ)  
考えるより先に崩れ落ちそうな雨宮を抱きしめた。  
細い身体は力を入れると折れてしまいそうだった。  
あざ笑うように肩越しにくっと雨宮の喉が鳴る。  
「ダメよ、夜科。くっついてたらできないでしょ…?」  
するりと腕から擦り抜けると、スカーフを解き、シャツのボタンを外し始める。  
「何を……やめろッって!!!」  
制止しようとした手はとパシッと強く弾かれた。  
睨み据えるような眼差しと痛む手に呆然としていると、シャツは開かれ、直視できずに  
足元を見れば既に白いショーツが脱ぎ捨てられていた。  
「…早くっ!!」  
アゲハは状況が飲み込めず硬直していた。弾かれたまま固まっていた手を雨宮は掴み、  
自ら胸元に導く。緩めたブラのすき間からじかに柔らかい素肌に触れた。  
大きくはないが柔らかく手の平に吸い付くようでアゲハは手を微動だにすることもできない。  
(熱い)  
跳ねるような鼓動は自分の手のものか雨宮のものなのか…  
トクン  
ドクン  
ドクッ…  
 
「チクショウ…!!」  
本能が思考を凌駕する。  
(雨宮がいま俺に望んでいるんなら…)  
「どうなっても知らねえぞっ!」  
そう言ったのは自分に対してだったかもしれない。  
上着を脱ぎ捨て近くにあったソファに押し倒す。投げ出された雨宮は開かれたシャツもすらりと  
伸びた足の乱れを隠そうともせず、ただアゲハの目をじっと見つめていた。  
 
「嫌だったらちゃんと言えよ…」  
とはいったものの夜科アゲハは経験がない。知識はそれなりに持ってるが全てが手探りだ。  
雨宮は返事も頷きもしなかった。  
勢いに任せてキスをして腫れ物にでも触るようにか細い身体に接する。  
「――…いいから、もう早くいれて…」  
アゲハの動きを拒むように雨宮が切なそうな声を漏らす。  
スカートの奥に指をなぞらせた時、違和感があった。  
(ほとんど濡れてない?)  
入れてと懇願され、自身も限界だがこの状態でしたら苦痛しか与えないだろう。  
(クソッ!!わからないことだらけだ)  
「我慢してくれ」  
アゲハは荒々しく両足を押さえつけると剥き出された陰部に舌を這わす。  
「いやぁっ!?」  
雨宮は突然のアゲハの行動に頭を押さえ足に力を入れ抵抗する。  
アゲハはかまわず陰核をたどり吸い付くと舌で転がす。雨宮の強い抵抗はそのままだが  
微かな反応で快感をもたらしていることを確認する。  
「もう、いいからッ!!!」  
悲鳴に近い声に顔をあげると雨宮は顔を赤くし、ひどく困惑した表情をしていた。  
一方でアゲハには違う感情が芽生えてきていた。できるだけ傷つけたくない、  
また雨宮を乱したい本能もあった。  
 
返事の代わりにアゲハは首筋から下へとキスを繰り返す。  
胸を柔らかく揉み、突起に舌を這わせ弄ぶ。  
雨宮の抵抗もいつの間にかなくなっていた。入口をなぞるとようやく雫が溢れそうになっていた。  
(慣らさないとダメだよな?)  
恐る恐る指を差し込むと予想以上の狭さに驚いた。胸を刺激しつつ、陰核をこすりあげ  
指を内部でうごめかす。しだいに周囲に卑猥な音が響きはじめた。  
だだっ広い廃墟に響く淫らな音はむさぼる欲情をかきたてる。  
至る所を責め、しばらく経ったころアゲハは"雨宮の息遣いが聞こえない"とふと顔を上げる。  
雨宮は袖でを押し当て口を塞ぎ、ただ静かにとめどなく泣いていた。  
アゲハがぎょっとした刹那、雨宮の全身がはねるかのようにうねった。まさぐっていた指が  
きつく締め上げられ中がうごめく。  
(もしかしてイッた?)  
雨宮は横を向き顔を覆っていた。  
「……雨宮?」  
心配になり声をかけるが返事はない。  
(泣かせちまった…――俺そんなにダメか?やっぱり嫌だったのか…)  
急にアゲハのテンションが落ちる。とりあえずこれ以上はやめようと指を引き抜くと  
なまめかしい糸が引く。誘惑に負けじと白い足を閉じ、スカートを整え、シャツを合わせると  
脱ぎ捨ててあった上着をそっとかける。  
側に腰掛けるが雨宮の顔を見る勇気がない。思わず大きく溜息が出た。  
「な…にしてるの…」  
少しかすれた雨宮の声に振り向く。  
「いや、泣くほど嫌だったみたいだから…それに」  
もごもご口ごもると、きゅっと裾が引かれた。  
(…違うのか?)  
そっと頬を撫で、涙を拭うと雨宮が照れたように視線をそらす。  
口づけそっと舌を差し入れると応えるように強く絡ませてきた。  
愛おしさが込み上げてくる。  
「――雨宮…」  
アゲハは先端をあてがいゆっくりと沈めていく。  
(きつっ…)  
「んっ」  
雨宮が苦しげに眉を寄せる。  
「大丈夫か?」  
びくっと動きを止める。雨宮はアゲハの顔に手を添えるとコクリとうなずく。  
アゲハは再び口づけすると舌を絡ませながら張りつめた自身を侵入させていく。  
 
熱い吐息が入り交じりどちらのものかわからなくなっていった。  
「はぁっ、あぁっ!!」  
奥まで突き入れ、ゆるりと動きを加えると甘い声がこぼれる。しがみつくように雨宮の腕が  
背に回された。中は狭く、動かすたびにアゲハに絡み付いた。  
どのくらい初めての快楽に溺れていたのか、気付いた時にはすでに限界を越えていた。  
(ヤバっ!)  
引き抜く余裕もなくアゲハは奥深くに射精した。  
「っ…ごめん」  
「いいの……大丈夫だから」  
雨宮が優しげに微笑む。  
大丈夫、そう微笑んだ安堵に余韻を残す火照る身体を抱きしめた。  
応じるように背に回していた腕に力がこめられたのはアゲハの錯覚だったかもしれない。  
 
平常心を取り戻したアゲハはとんでもない心地がしてくる。  
体を引き離すと後から残滓がとろりと溢れ出す。慌ててティッシュをあてがうと白濁した液に  
赤い鮮血が混じっていた。  
(血!!?)  
「…雨宮さん。もしかして…初めてでした?」  
「うん」  
事もなげに肯定されアゲハの頭が真っ白になる。  
(オレはなんてことを!!!)  
「痛かったんじゃないか?」  
「……すこし」  
「ホントに平気か?」  
「平気」  
「…本当か?」  
アゲハはいたって本気で心配してるだが雨宮には恥ずかしい白状をうながすようでしかない。  
ガシッと首を掴むと雨宮は詰め寄る。  
「もういいから。わかった…!?」  
「は、はい」  
 
 
ゲートに辿り着き、受話器を手にした雨宮は光に包まれアゲハを見つめていた。  
――夜科アゲハ…… あの時、何もかも嫌になって、ただ傷つけて酷い事をしてほしかった。  
 助けに来てくれたあなたを利用しようとしたのに… 優しかった…  
信じてもいいのかもしれない、ひっそりと雨宮桜子の中で何かが変わりつつあった。  
 

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