「アゲハ、アタシの胸が全っ然成長してないって言ったこと、忘れてないわよね?」  
「……言ったか? つうか夜這いに来てるくせに態度デケェな、おい」  
「何忘れとんねん! 言うたやろが! ウチの胸に思いっ切り視線落としてハッキリと!」  
 
 フレデリカが言っていることを何とか思い出そうとしているアゲハだが、今の状況が状況なだけにそれもままならない。  
 外面では平静を装っているアゲハだが、ネグリジェ姿のフレデリカを前に、理性と本能が格闘中なのである。  
 このままでは本能が勝ってしまい、結果として桜子に嫌われる事態を引き起こしかねない。  
 何とかフレデリカを宥めて帰ってもらおうとしたアゲハだが、ここで人生最大の選択ミスを起こしてしまった。  
 
「あー悪かったよ。俺も配慮が足りなかった。フレデリカは充分大人の女性だよ。いやホントに綺麗になった」  
「……ホンマ? ホンマにウチのこと可愛い思ててくれるん?」  
「あ、ああ。フレデリカはすっげー可愛い、俺が保障してやる。だからもういいだろ? 今日のところは“ムニュッ”……へ?」  
 
 アゲハはフレデリカに早く帰ってもらいたい一心で、適当な褒め言葉を並べ立ててしまったのだ。  
 ところがそれは逆効果でフレデリカの恋の炎はパイロクイーン・サラマンドラのごとく燃え上がってしまった。  
 そしてフレデリカはアゲハの上に跨ると、彼の右手を取って自分の慎ましくも柔らかな胸へと添えてきた。  
 
「んっ……。ど、どうや? ウチの胸、マリーと比べたら物足りひんやろうけど、アンッ! 柔らかいやろ?」  
「待て待て待て待て! いきなり何してんだ! つーかちゃっかり揉んでる俺の右手もどうなんだ!」  
「アッ、アゲハの手の動き、段々、積極的に、ひゃんっ! ち、乳首つまむやなんてえっ!」  
「違う! 今のは不可抗力だ! お前が大人なのは充分分かったからこれ以上はんむうっ!」  
 
 頭では必死に抵抗しているアゲハだが、体は正直なものでフレデリカの胸をしっかりと弄んでいた。  
 しかしこれ以上は不味いと判断したアゲハが体を起こそうとしたが、それは覆いかぶさり唇を塞いできたフレデリカに阻まれてしまう。  
 十秒ほど、二人の唇から漏れる水音が流れた後、フレデリカは頬を上気させながらも満足そうな表情で唇を離した。  
 
「……んっ。ウチのファーストキス、アゲハにあげたったわ。せやけどあんたの唇と舌、ごっつ気持ちよかったで。クセになりそうやわ」  
「俺の、俺のファーストキスが、こんな、無理矢理……(でもフレデリカのキス、気持ちよかったな……って喜ぶな、俺!)」  
「なあアゲハ。なんや後悔しとるみたいやけど、あんたのココ、ズボン越しでも分かるくらい固くなっとるで?」  
 
 フレデリカの指摘通り、アゲハの股間はこの上もなく固くなっており、今にも暴発しそうな状態である。  
 一方のフレデリカもまた、股間から愛液を溢れさせ、ショーツだけでなくアゲハのズボンにまで沁みを作っていた。  
 
「はぁ、はぁ、あ、アゲハぁ……。このままやとお互いか、体に悪いやろ? せ、せやからさ、最期までやらへんか?」  
(や、やべぇ……。このままだと俺、マジでフレデリカとヤリかねんぞ……。雨宮かマリー、この際バァさんでもいい! 誰か助けてくれー!)  
 
 理性のタガが外れ、本能のままに自分の気持ちをぶつけてくるフレデリカにアゲハの理性は崩壊寸前だった。  
 アゲハの望むとおりに乱入者が現れるのか、それともこのままフレデリカを抱いてしまうのか、それは神のみぞ知ることである。  
 
 

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