「マリー、今日の夜私の部屋に来てくれない?」  
「雨宮さんの、部屋ですか?」  
「ええ、お願いね」  
「はい…」  
 
突然のことに、首を傾げるマリー。  
深夜に雨宮の部屋を訪れた彼女の表情は、疑問から驚愕へと変わっていた。  
 
 
「…いらっしゃい、マリー」  
「あ…雨宮さん…」  
「…っ、あ、うぁ…!」  
「あの…。何です…か?これ…!」  
「見て分からない?調教してるの」  
 
「ね、夜科?」  
「…見るな…っ、マリー…!」  
「勝手なこと言ってんじゃないわよ…!」  
「う、あぁっ!!」  
 
雨宮の手の動きに合わせて、いやらしい水音が響く。  
マリーの眼前に、ベットの上に横たわったアゲハが居た。  
何故かアゲハは裸で、屹立した自身を雨宮に扱かれている。  
粘液に塗れたそれは、雨宮の手の中でびくびくと震えていた。  
 
 
「調教…?」  
「そう、調教」  
「何…で?」  
 
想像を超えた光景と言葉に、呆然と呟く。  
雨宮は薄く笑いながら、アゲハ自身を扱き続けていた。  
 
「…あなた、夜科のことが好きなんでしょ?」  
「え、あ、あの、それは」  
「だから、教えてあげようと思って」  
「…え?」  
 
 
「夜科はね、私の犬なの」  
 
 
マリーは、耳を疑った。  
今の言葉は聞き間違いなのだと、そう信じたかった。  
 
「ねえ、夜科?」  
「…は、…うあっ、…ッ!!」  
「夜科は、犬なのよね?マリーに答えてあげて?」  
 
扱く手を止める。  
するとアゲハは大きく息を吐き、呼吸を乱しながらも言葉を漏らした。  
 
「…あァ、そう…だよ。…だから、雨…宮…」  
「『もっと虐めて下さい』って?どうしようもない変態よね、アンタって」  
「…っあ、はぁ…っ!!」  
 
再び手を動かす雨宮。  
生々しい臭いと音が、マリーの五感を奪う。  
 
「こんなので良ければ、好きに使うといいわ」  
「………」  
「私、犬とするような趣味なんてないから」  
 
 
 
「…それとも」  
 
振り返る雨宮の視線に、びくりと肩を震わせるマリー。  
恐怖で、声も出ない。  
 
 
「マリーも、私の犬になる?」  
 
 
手が震える。  
身体が言うことを聞かない。  
この場から逃げ出してしまいたい。  
 
なのに、アゲハさんの気持ち良さそうな声が、頭から離れない。  
私にも、それを教えて欲しい。  
そんな考えが、ふと頭をよぎった。  
私を見据える雨宮さんの瞳が、私を狂わせている。  
 
 
 
 
 
このままじゃ、私は−  
 
 

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