「…ねぇ、カイル」  
「…ん?」  
「今日、いい?」  
「…ああ」  
「分かったわ、じゃあ後でね」  
「…りょーかい」  
 
 
廊下で、フレデリカに呼び止められたカイル。  
それだけの言葉を交わすと、フレデリカは何事も無かったかのように立ち去っていった。  
遠のく足音を背に、カイルの表情はみるみる曇ってゆく。  
 
苛立ちを紛らせるかのように、軽く壁を殴ると。  
壁に握り拳を当てたまま、盛大に溜息を吐いていた。  
 
「ったく…」  
 
頭を抱えながら部屋へと向かう。  
深夜の来客のことを思うと、気が重くて仕方がなかった。  
 
 
 
『アタシは、アンタなんかに負けたくないの!』  
 
『今度こそ絶対、アンタを先にイカせてみせるわよ!』  
 
『アンタは只の練習相手なの。調子に乗らないでよ』  
 
『ヤッたくらいで自分のモノ扱いしないでよ。男ってどうしてそうなの?』  
 
 
 
「……………」  
 
これまでに散々吐き捨てられてきた暴言の数々。  
それを頭の中で反芻すると、カイルは更に表情を暗くする。  
 
 
(本ッ当に、鈍感なヤツだよな…!)  
 
 
口より先に足を出す。  
ベットの中では大暴れして抵抗する。  
キスでもしようものなら、全力で頭突きを喰らわせてくる…。  
 
(デリカシーも皆無だし。本当にどうすりゃいいんだ??)  
 
というより、そもそもデリカシーがあるのなら「こんな関係」にはなっていない。  
今の自分とフレデリカの関係。  
一言でいえば「身体だけの関係」だった。  
 
(…大体、フーから誘ってくるって時点で変だろ…)  
 
こんなことを本人に言えば、消し炭にされかねないのだが。  
フレデリカには、壊滅的なまでに「女としての自覚」が欠如していた。  
 
まず、「この関係」が始まった理由。  
その原因は、シャオとマリーが付き合い始めたことだった。  
付き合ってそれなりの時間が経てば、いくら奥手な二人でも身体の関係くらいは持つ。  
それを知ったフレデリカが大荒れすることまでは、カイルにも容易に想像がついたのだが。  
 
 
『カイル!今すぐアタシとしなさいよ!!』  
 
 
…まさか、自分の胸倉を掴み上げた揚句にこんな事を言い出すとは、予想だにしなかった。  
しかも処女の分際で、である。  
挑発に乗せられて抱いてしまった自分も、とやかく言える立場ではないのだが。  
 
十分慣らしたつもりが、挿れたら痛がって泣き喚かれた。  
可哀相だからとその場は中断してやったら。  
「負けたまま引き下がるなんて嫌よ!」と言って、後日再び部屋に押しかけてきた。  
 
「女なんだから自分の身体をそんな風に扱うな」とか「最初の相手がオレでいいのか」とか。  
正当過ぎるくらいに正当なカイルの説得にも、全く耳を貸さない有様だった。  
自分の貞操よりも、カイルに負けることの方がフレデリカにとっては問題らしい。  
「男と女なんだから、勝ち負けの問題じゃない」という、これまた正当な説得にも耳を貸さなかった。  
この点については、実は未だに聞く耳を持っていない。  
 
 
良く分からないまま、フレデリカの強引さに負けて続いているこの関係。  
何の感情もなく、快楽に負けて抱いたのはほんの数回。  
何度か抱く内に、カイルはフレデリカに仲間以上の感情を抱くようになっていた。  
そしてその事実が、更にカイルを悩ませていたのだった。  
 
 
(…フーの奴、全然気付いてねぇしなぁ…)  
 
 
身体の関係があるくらいだから、多少なりとも相手を意識しそうなものだが。  
フレデリカは、カイルに対してそういった意味では全くの無関心であった。  
 
(何つーか…。オレの身体目当てだよな、ある意味)  
 
「練習」もしくは「勝負」の相手でしかない。  
 
(…どう考えても、おかしいよな?)  
 
一般的な関係では、男女が逆である。  
 
(オレ、一体何なんだ…?)  
 
「都合のいい男」という表現が最も的確だろう。  
 
 
「…………」  
 
カイルは頭を軽く押さえると、はあぁぁ。と盛大な溜息を吐いていた。  
客観視すればするほど、どうしようもなく尋常でない関係であることを思い知らされる。  
 
 
 
 
「カイル」  
「…何だ、シャオか」  
 
ふと呼び止められて振り返ると、シャオが立っていた。  
その場を取り繕うかのように、カイルはシャオに向き直る。  
 
「一体どうした?」  
「ん?別にどうもしねぇぜ」  
 
「フレデリカか」  
「………まぁな」  
 
苦笑いを浮かべながら、肩をすくめてみせるカイル。  
フレデリカとの「関係」を、シャオに話したことはない。  
しかし察しの良いシャオは、いつの間にかその事を知っていた。  
 
「大変そうだな」  
「まぁ、な。何だかんだでハッキリ言わねぇオレも悪いんだよ」  
「…それ以前の問題が大きいんじゃないのか」  
「かもな。否定は出来ねぇぜ」  
「…だろうな」  
 
シャオとの会話では、具体的なことは互いに口にしない。  
しかしそれでも、相談出来る相手が居ることはカイルにとって救いとなっていた。  
 
「…なぁ、シャオ」  
「何だ?」  
「どうやったら、気付かせられるモンなんだ?マリーも大概鈍感だっただろ」  
「ああ…」  
 
シャオはマリーのことが好き。  
しかしマリーはそのことに全く気付いていない。  
 
奥手で要領の悪いシャオのアプローチと、全く気付かないマリー。  
そんな二人の様子を、仲間達はただ見守ることしか出来なかった。  
だからこそ、この二人が付き合うことになった時。  
カイルとヴァンは祝福よりも先に「ナニをした!?」と詰め寄ったのだった。  
 
 
「そんな方法があるなら、10年も掛かってないさ」  
「…だな」  
「単に運が良かっただけかもな」  
「うわ、マジかよ。自信ねぇなぁオレ」  
 
「…結局は、気付いてくれるかどうかだと思う」  
「……もっと自信ねぇよ」  
「………」  
 
 
フレデリカは、言ってしまえばマリーにしか興味がない。  
だからカイルには関心がないし、シャオには過剰に対抗意識を燃やしている。  
それを嫌というほど知っているからこそ、二人揃って溜息を吐いた。  
 
「ま、何とかやってみるよ」  
「頑張れよ」  
「ああ、ありがとな」  
 
そんな会話を交わして、部屋へと戻る。  
そして扉に背を預け、小声で呟く。  
 
 
「何でオレ、あんなヤツがいいんだろうなァ…」  
 
 
そして改めて、盛大な溜息を吐いた。  
 
ベットに座り、時計を見上げる。  
 
 
(…そろそろ、来るかな)  
 
 
日付が変わった頃に訪ねてくることが多いフレデリカ。  
「こんな関係」を望んではいない筈なのに。  
それでもフレデリカが来ることを望んでいる自分。  
理由はどうあれ、抱きたいと思っている自分−  
 
 
「…なっさけねぇなあ、オレ」  
 
自嘲するかのような苦笑を浮かべつつ、本日何度目かの溜息を吐いていた。  
 
 
−ガチッ。  
 
「あ」  
 
−ガチ、ガチガチッ。  
 
「やべっ」  
 
先程、無意識の内に後ろ手で鍵を掛けていたらしい。  
苛立ったような金属音が響く。  
慌てて立ち上がると同時に、別の音が響き渡った。  
 
 
−ガン、ガン!ゴン!!  
 
 
「うるせぇぞ!ちょっとくらい待てよ!!」  
 
ノックが2回と、蹴りが1回。  
慌てて駆け寄り扉を開くと、そこには憮然とした表情をしたフレデリカが立っていた。  
 
「…なんで鍵かけてんのよ」  
「あー悪い悪い。つーかお前な、だからってドア殴るなよ」  
「ノックよ、ノック」  
「どこがだよ。しかも蹴りまで入れてただろ」  
「フン!」  
「はいはい、オレが悪かったよ」  
 
ふて腐れているフレデリカを部屋に入れ、改めて鍵を掛ける。  
フレデリカは『アタシが来るって分かってんのに鍵かけるなんてどういうコトよ!』  
と、言わんばかりの表情をしていた。  
どうやら、完全に機嫌を損ねてしまったらしい。  
むくれ顔のまま、カイルを見上げていた。  
 
「そう怒るなよ、な?」  
「…別に怒ってないわよ」  
「顔に全部出てんだよ、バレバレだっての」  
 
向き合って他愛のない会話をしながらも、カイルは平静を装っていた。  
「練習相手」の関係は嫌だと思いながらも、いざ「練習前」となるとそれでもいいから抱きたいと思ってしまう。  
 
 
(仕方ねぇよなぁ…。やっぱりヤりたいモンはヤりたいしな…)  
 
 
「…カイル?」  
「…ん?」  
「急にぼーっとして、どうしたのよ?」  
「ん、ああ、何でもねぇよ」  
 
真っすぐな瞳が、カイルを見据えている。  
カイルの内に渦巻く感情にも、これから「する」ことにも何の疑問も抱いてなさそうな表情。  
 
(…本当、何でなんだろうな)  
 
この瞳を見ていると、心も身体も滅茶苦茶にして乱れさせたいと思うのは。  
 
 
 
 
 
「…きゃ…ッ!?」  
 
フレデリカの肩を掴み、そのまま壁へと押さえ付ける。  
突然のことに驚いたように、目を丸くしてカイルを見上げるフレデリカ。  
その瞳は、変わらず真っすぐな視線をカイルへと向けていた。  
 
「ちょっと!痛いじゃない!!」  
「…そっか」  
「…ねぇ。今日、本当にヘンよ?」  
「気のせいだろ」  
「そうかしら、…んッ…!?」  
 
顎に手を掛けられ、ぐいと顔を上げさせられる。  
フレデリカが言葉を口にするより早く、カイルはフレデリカの唇を奪っていた。  
 
「…っふ、…んぅ…!」  
 
躊躇なく滑り込んでくるカイルの舌。  
それに自分の舌を絡め取られ、お返しと言わんばかりに舌を絡め返すフレデリカ。  
くぐもった水音と、漏れ出る吐息だけがその場に響く。  
 
舌を絡め合い、激しい口付けを繰り返しながら、カイルはフレデリカの胸元へと手を伸ばす。  
服越しに、フレデリカの胸に掌を重ねる。  
撫でるような、揉むとまではいかないカイルの指の動き。  
その焦れったい感触に、フレデリカは物足りなさそうな吐息を零した。  
 
「…っ、はぁ…」  
 
ようやく離された唇。  
少しだけ呼吸を乱しながら、互いを見つめ合う二人。  
先に口火を切ったのは、フレデリカの方だった。  
 
「…珍しいわね。アンタからこんなこと、してくるなんて」  
「フーこそ珍しいじゃねぇか。いつもはキス、嫌がるだろ?」  
「だって、今日はそういう『勝負』なんでしょ?それなら受けて立つに決まってんじゃない」  
「…そうかよ」  
 
フレデリカは、いつもと違う「勝負」に瞳を輝かせていた。  
尋ねるまでもなく、今日こそはカイルを負かせてやろうという気迫に満ちている。  
わざわざ指摘する気にもなれず、カイルは小さく肩を落としていた。  
 
「今日は、このままここで?」  
「…ああ」  
「へぇ、本当にアンタにしちゃ珍しいわね」  
 
そんな会話と共に、カイルはフレデリカの首元に手を伸ばす。  
慣れた手つきで、ジッパーを引き下げていく。  
最後まで下げきり、前をはだけさせるとフレデリカの肌が露わになる。  
その姿を見て、カイルはとうとう溜息を吐いていた。  
 
 
「フー…。お前なぁ…」  
「何よ?」  
「今日も、下着つけてねぇのかよ…」  
「その方が楽でいいでしょ?」  
 
何故かフレデリカは、カイルの部屋を訪ねる際は必ずブラジャーをつけていなかった。  
本人いわく「この服だと脱がせにくいから」ということらしい。  
カイルにとっては、有難迷惑以外の何物でもなかった。  
 
良く分からない気遣いと、デリカシーの無さにも呆れてしまう。  
 
「…お前、本当に分かってねぇよな」  
「何がよ?」  
「いくら面倒臭くても、男は自分の手で下着を脱がせたいモンなんだよ」  
「へぇ、そうなの」  
「そうだよ。恥ずかしがってるところを敢えて脱がせたいモンなの」  
 
「…ヘンなの。それくらいなら自分で脱ぐわよ、アタシ」  
「頼むからそれだけは止めてくれ。あと、出来ればもうちょっと恥じらいってモンを持て」  
「あーあ、もう!注文が多いわよ!」  
「勝負に勝ちたいんなら、そういう『男の浪漫』くらいは汲み取れよ」  
「浪漫、ねぇ…。何か面倒臭いわね」  
「…結構大事なコトだと思うぞ」  
 
そう呟いて、フレデリカの身体を抱き寄せるカイル。  
カイルの腕の中に収まったフレデリカは、顔を上げてカイルを見据えていた。  
 
「口と手、どっちがいい?」  
「…ん。今日はいいや」  
「そう?」  
「ああ。このままココでしようぜ」  
「分かったわ」  
 
その一言を皮切りに、フレデリカの首筋へと口付けるカイル。  
それと同時に、薄い乳房に手を伸ばして頂点でさりげなく自己主張を始めていた乳首を指で弄ぶ。  
カイルの腕の中で、フレデリカの身体が小さく跳ねた。  
 
「…やぁっ、はぁ…ん」  
 
カイルの舌が、首筋から鎖骨、そして乳房を這っていた。  
身体を屈めて、フレデリカの胸元に顔を埋めるカイル。  
指で弄ばれ続けた乳首は、既に固く尖っている。  
カイルはもう一方の乳首に舌を伸ばすと、音を立てて吸い上げていた。  
 
「あ…ッ、あ!やだぁ…!!」  
 
みるみる内に、羞恥と快楽から頬を染めるフレデリカ。  
壁に背を預け、顔を背けてきつく目を閉じている。  
その身体は、カイルの舌と指の動きに合わせて小さく震えていた。  
 
「…ほんっと、お前って胸が弱いよなぁ?」  
「ん、んんッ!…やだッ、強く…しないで!」  
「ん?でもこういうのが好きなんだろ?」  
「やッ、あぁ…ッ!!」  
 
再び乳首を口に含み、軽く歯を立てる。  
それだけでフレデリカは、一際高い嬌声を上げていた。  
 
「…何すんのよ、この…馬鹿…!」  
 
はぁはぁと、呼吸を乱しながら自分の胸を責め立てるカイルを見下ろすフレデリカ。  
その瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。  
 
「気持ち良かったろ?」  
「良くないわよッ!!」  
「へぇ、じゃあ気持ち良くなるまでしてやろうか?」  
「いやッ、駄目!もういいッ!!」  
「ふーん、じゃあ今度はこっちかな」  
「え…?あ、やだ、ちょっと…!?」  
 
胸から顔を上げ、身体を起こすカイル。  
フレデリカの耳元に唇を寄せると、カリッ、という小さな音を立てて耳を甘噛みする。  
 
「…んうぅ…ッ!!」  
 
身体を跳ねさせ、カイルの身体に腕を回すフレデリカ。  
手が背中に回ったところで、カイルの服をぎゅっと握り締めていた。  
 
そしてカイルの手が、フレデリカのスカートの中へと潜り込む。  
太ももを撫でる手に、フレデリカは息を呑んでいた。  
そんな様子を無視して、下着越しに秘部を撫でるカイルの指。  
指の動きに合わせて、くちゅくちゅという小さな音を立てていた。  
 
「…っあ、ん、…ふぁ…ッ!!」  
「…もう濡れてんだな」  
「…ッ!」  
「ま、いいや。オレも正直、もう我慢出来ねぇからさ」  
「…?…あ、いやぁ…!」  
 
カチャカチャという、小さな音が響く。  
音が止むのと同時に、熱くてぬるりとしたものがフレデリカの太ももに触れた。  
それがカイル自身だと気付いたフレデリカは、まだ涙の残る瞳を見開いていた。  
 
 
 
 
「…ッ、んん…ッ…」  
 
下着越しに、カイルのものが擦り付けられる。  
既に下着の中で愛液を溢れさせた秘部は、布越しのはずなのにいやらしい音を立てていた。  
 
 
「………」  
 
 
フレデリカの首筋に顔を埋め、自身を擦り付ける為に腰を振るカイル。  
触れ合う身体から伝わる高い体温や、首筋を撫でる獣じみた熱い吐息。  
下着は、フレデリカの愛液とカイルの先走りが混じり合って既に用を為さなくなっていた。  
 
何もかもが、フレデリカの心を酷く掻き乱していた。  
 
 
「…はぁあ…ッ!」  
 
突然、カイルがフレデリカの首筋に舌を這わせて舐め上げる。  
思わず声を上げるフレデリカ。  
口から出た物欲しげな嬌声に、フレデリカ自身驚きを隠せなかった。  
腰を掴んでいたカイルの右手が、フレデリカの太ももをねっとりとした動きで這い回る。  
新たな責め手に、フレデリカは無意識の内に身体をくねらせていた。  
 
「……なぁ、フー…」  
「ッん、…ぁ、な、何…?」  
「…このまま、挿れて…いーか?」  
 
「…えっ。こ、こんな状態で…?無理でしょ!?」  
「出来るぜ。…知らないんなら教えてやるよ」  
「あっ、ちょっと!?…や、っあ、………んんぅ……ッ!!!」  
 
そう言って、中腰になっていた身体を更に低く屈めるカイル。  
左手が、フレデリカの内股に伸びた。  
膝裏へと手を通し、そのまま持ち上げると壁へと押さえ付ける。  
右手が、下着を横に引っ張ると秘部のみを曝け出される。  
その不快な感覚にフレデリカが声を上げるよりも早く、カイル自身が宛てがわれる。  
ぬるり、という感触と共に、怒張がフレデリカを一気に貫いていた。  
 
 
「!!!」  
「…よっ、と」  
 
フレデリカの背中へと手を回し、小さな身体を抱き寄せる。  
不安定な体勢をどうにかしようと、無意識の内にカイルの首に腕を回すフレデリカ。  
フレデリカがしっかりとしがみついて来たことを確認すると、カイルはフレデリカの身体を抱え上げた。  
 
 
「ん、うッ、やあぁあ…!!」  
「…すげぇ。一気に全部入っちまった…」  
 
背中を壁に預けさせられ、腰を掴まれて身体を固定させられる。  
持ち上げられていない方の脚も、宙吊りにされたことで爪先が空を掻く。  
その不安定な体勢のせいか、フレデリカはカイルの首に回した腕に力を込めていた。  
密着した身体は、荒い呼吸と共に肩を上下させていた。  
 
 
「…ぜっ、全部…?」  
「ああ。一番奥までずっぽり。分かんだろ?」  
「…あっ、やだ、動かないでよッ…!」  
「今日はパンツの上からしか弄ってねぇんだけどなァ?」  
「…で、でも…ッ」  
 
(したじゃない、したじゃないの!その前にキスとか胸触ったりとか!いろいろ!!)  
 
 
「でも?」  
「…何でもないわよっ!」  
 
しかしそれを言えば「直接触った訳でないカイルの愛撫に感じた」と宣言しているようなもので。  
どうしても口に出せず、フレデリカはカイルの胸に深く顔を埋めた。  
顔や、曝け出された自分の胸に直接伝わるカイルの体温。  
秘部も繋がっている為か、全身に伝わるカイルの体温と鼓動がやけに心地良かった。  
 
 
「いつもより濡れてるな」  
「…うるさいわよ…!」  
「ん、でも、すげぇ気持ちいいぜ。フーの中」  
「〜〜〜〜!!!」  
 
顔を埋めたフレデリカの耳元で囁くカイル。  
あまりに直裁なカイルの言葉に、フレデリカは顔を真っ赤に染めていた。  
 
壁に押さえ付けられ、脚を持ち上げられてのやや乱暴な挿入。  
下着は履いているのに、挿入されているという奇妙な感覚。  
自分の中で脈打っているカイル自身。  
ぞくりと震えるような、少し掠れた耳元で囁く声。  
全てに堪えられなくて、上半身だけを離して背中を壁に預けると、フレデリカはカイルを見上げた。  
 
「ねぇ…。こんな格好、嫌よ…」  
「うん?」  
「…抜いて…、おねがい…!」  
 
「………」  
 
涙に濡れた、まるで哀願するような瞳と震える声。  
そんな決死の願いをよそに、カイルはフレデリカを見て噴き出していた。  
 
「な…ッ!?何なのよ!!」  
「…お前さ、わざとやってんの?」  
「え…?」  
「だってさ、この状態でそんなやらしいカオして『抜いて』なんて言われてもなァ」  
「そ、それは…ッ!」  
「誘ってるようにしか見えねぇよ」  
 
「ち、違うわよっ」  
「本当かぁ?オレには『もっと激しくして』って言ってるようにしか聞こえないんだけどな?」  
「言ってないわよ!」  
「そうか?」  
 
余裕の笑みを浮かべるカイル。  
対するフレデリカはふくれっ面になっていた。  
 
「…じゃあ、もし『激しくして』って言ったらどうなるのよ」  
「それなら、期待には応えないといけないよなぁ。男としては」  
「何よそれ!?結局一緒なんじゃない!」  
「今頃気付いたのか?」  
「…!?…ぁ、あっ!やだ…動かないで…ッ!」  
 
フレデリカの腰を掴み直すと、おもむろに腰を前後に動かし始めるカイル。  
動きに合わせ、結合部からはずぷずぷという音が響く。  
急な抽送に驚いたらしいフレデリカは、甲高い声を上げながらカイルの身体に腕を回していた。  
 
 
「悪りぃ。普通に無理だから」  
「…えっ、あぁ…ん!…どういう…こと…?」  
「動くなっつっても無理って話」  
「…やだ、やだぁ…!」  
「…だからさ。本当に嫌なんだったらそういうコト、すんなよな?」  
「…何よ、意味…分かんない…わよ…!」  
 
「お前が何言っても、やらしいだけなんだよ」  
 
「…えっ?…あ、やだッ、いやぁッ…!!」  
 
カイルは、フレデリカの腰を掴み直すと。  
まるで壁に自身を打ち付けるかのように、激しく腰を動かしていた。  
 

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