−コン、コン  
非常識な時間に響くノックの音。  
それが来訪者のものだと分かっていたシャオは、読んでいた本を閉じた。  
「開いてるよ」  
そう声を掛けると、少し遅れてドアの開く音。  
開いたドアの向こうから、カイルが姿を現した。  
「ごめんな、遅くなった」  
「いや、いいよ」  
「ヴァンのやつがしつこくてな」  
そう言いながらシャオの元へと歩み寄るカイル。  
短パンにTシャツ姿のカイルの髪は、まだ生乾きのようだった。  
近寄るにつれて、湯上がり特有のシャンプーの香りが周囲に漂う。  
「長く空けてると、色々溜まるよな」  
「俺達でも色々やってはいたけど、やっぱりカイルが居ないとなかなか大変だったよ」  
「今まで、こんなに長くここを空けることなんてなかったもんな」  
「そうだな」  
 
 
 
 
 
「……ぅ、…うぅ…」  
「うふふふ、苦しんでる苦しんでる…かーわいいv」  
 
―プシュ  
軽い音がしてシャオの頭から線が抜かれた  
「…く、…ぅぁ…」  
「寂しかった? これからはお姉さんがたっぷり相手してあげるわね?」  
 
シャオの部屋の扉が、音を立てて閉まった。  
 
 

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