「続きって……」  
陣は急かすシエラの顔を見つめる。  
その頬は上気して赤く染まり、瞳は物欲しそうに潤んでいた。  
目線を下にやると、射精を終えたペニスが萎えて、クタッとしている。  
(流れとはいえ、やってもらったんだから、お返しはしないと駄目だろうな)  
陣はどうしたらいいかわからずにジッと陣を見つめているシエラに手を伸ばした。  
「庶民……んむっ」  
頬に手を当ててから、優しく唇を重ねる。今度はゆっくりと、お互いの唇を味わった。  
「ん……、ぴちゅ、んんんっ!?」  
シエラの口の中に陣が舌を割り込ませると、シエラは驚いてビクッと肩を竦める。  
だが、すぐにその舌に陣の舌を絡ませてきた。少し残る精液の匂いが鼻につく。  
(でも、それ以上にいい香りだな……)  
陣はそんな風に感じていた。自分の精液の匂いを嗅ぐのは微妙な気持ちだが、シエラの香りの方がずっと印象強い。  
女の子の香りだと思った。サラサラした長い髪から、シャンプーのものらしい心地よい香りもする。  
「ぷはっ」  
やはり息を止めていたシエラは、陣が唇を離すと、1回大きく息を吸い込んだ。  
「どうしたの、庶民?」  
蕩けるような目をして、シエラが陣を見つめてくる。  
その愛らしい顔を見て、陣の胸に強い感情が押し寄せてきた。  
学園中の注目の的であるシエラが、自分を求めている。それは言いようの無い喜びを生んだ。  
シエラは自分には素の姿を見せてくれる。そんないつものことすら、誇らしく思えてくる。  
もう我慢が出来ないような顔をしているシエラの身体に、陣は手を伸ばした  
 
メイド服のエプロンの上から、シエラの慎ましやかな胸に触れる。  
「んっ!」  
シエラは緊張したようにギュッと目を閉じた。  
(柔らかい、な……)  
確かにシエラの胸は大きくはないが、服の上からでもそれとわかる柔らかさを備えていた。  
(さて、どうしたもんか……)  
女の子の身体にこんな風に触ることなどなかったので、陣はどのように扱っていいのかわからずに戸惑う。  
とにかく少しでも手を動かそうと、両手を胸にあてて円を描くように揉んだ。  
「は……うんんっ」  
シエラが色っぽい吐息を漏らすので、陣は一瞬焦る。  
(これで、いいんだよな……?)  
自信はないが、気持ちよさそうにしているのだから間違いではないだろうと思う。  
陣はほんの少し力を強めて胸を揉んだ。下から上に揉み上げるようにすると、尖ったものの感触に気がつく。  
(こ、これ……っ!)  
それが乳首だと思い至ると、陣は変に緊張してしまう。  
(あれ?)  
それと同時に疑問を持った。あまりにも明確にその形がわかる。  
「なぁ、座堂。もしかして、下着つけてないのか……!?」  
小さな声で疑問をぶつけてみた。シエラのサイズなら必要ないと言われても納得してしまう。  
「し、失礼ねっ!!ちゃんと下は履いてるわよっ!!!」  
「声がでかいっ。ていうか、やっぱり上はつけてないんじゃないか」  
陣が叫んだシエラを小声で諫めながら言うと、シエラは顔を真っ赤に染めて陣から逸らした。  
「い、家でリラックスしてたから、つけてなかったの。いつもはちゃんと着けてるわよ」  
陣は小声で恥ずかしそうに反論するシエラがどうしようもなく愛おしくなってしまう。  
そして、少しだけ苛めてやりたくなった。  
「ひゃんっ!!!」  
陣が二つの乳首を軽く摘むと、シエラの身体が軽く跳ねた。  
「んぁ……ちょっと、庶民っ……!!!」  
胸は小さくても感度は高いのか、シエラは敏感に反応する。  
抗議する声は弱々しく震えていた。  
「悪い、なんか可愛いから意地悪したくなって」  
陣は思わず本音を喋ってしまう。  
「か、かわいい……っ!!?」  
シエラは上擦った声を上げる。  
「い、いや……その、なんだ……」  
つい口を突いて出た本音をどう誤魔化そうかと、陣は口篭ってしまう。  
頭が上手く働かず、言い訳が思いつかないので、陣は手を動かした。  
「ぁう、ふぅ……あっ!」  
シエラは小さく喘ぐだけで何も言わなかったが、心の中は喜びで一杯だった。  
(庶民が、私のことをかわいいって……?かわいいって言ってくれた!?)  
他の男子とは違い、自分にまるで興味がないような素振りだった陣が可愛いと言ってくれたことが、たまらなく嬉しい。  
「ぁあんっ!!ふぁっ!!」  
陣に対する愛しさが溢れてくると同時に、快感も高まった気がする。  
少し声のトーンを上げて、シエラは悦びに震えた。  
 
「座堂、脱がすぞっ……」  
「え……?あ、ちょっと!」  
陣はシエラの身体に直接触れたいという欲求を抑えられなくなっていた。  
戸惑うシエラにも構わず、首元に手をやり、エプロンドレスのボタンをはずす。  
子供にするようにバンザイの格好をさせ、ワンピースタイプのメイド服を上に引っ張って一気に脱がせた。  
「あ、あんまり見ないでよっ……!」  
ブラジャーを着けていないシエラはそれだけで上半身裸の状態をさらすことになる。  
露わにされた胸を隠すように右腕で覆い、左腕は薄いピンク色のショーツに包まれた股間を隠していた。  
「……っ!」  
陣はその美しさに目を奪われてしまう。シエラの白く艶やかな肌に吸い込まれそうだ。  
前後にも左右にも起伏が少なく、幼児体型にも近いその身体だが、さすがお嬢様だけあって、一点の曇りもないほどに美しく保たれている。  
さっき服を脱がせる時、その中で一点、赤みの差した蕾がちらりと見えた。  
細い腕に隠されたそれを見たい、それに触れたいという欲望が陣の中で膨れ上がる。  
陣はシエラの放つ引力に任せたまま、シエラの胸に手を伸ばした。  
「あっ……!」  
右腕の弱い抵抗を押しのけ、胸のなだらかな膨らみに触れると、シエラは小さな声を漏らす。  
直接触れたシエラの胸は想像以上に柔らかく、それでいて程よい弾力を持ち、陣の指を迎え入れた。  
左胸の少し外側の辺りに触れた陣の人差し指と中指は、シエラの慎ましやかな胸に軽く沈む。  
親指で胸の中心近くに触れ、淡い桃色をした胸の先端部を優しく摘むように挟んだ。  
「ひうぅんっ!」  
シエラは肩を竦め、縮こまるようにして身を震わせた。胸に触れる陣の指から、確かな快感を覚える。  
それを証明するように、シエラの胸の頂にひっそりと佇む乳首は硬度を増していった。  
小さなサイズのそれは勃起してもやはり小さく、可愛らしさすら感じさせる。  
陣はその乳首に狙いを定め、指を近づけていく。  
「ん、……はぁっ!ちょっと、庶民っ……!」  
色の薄い乳輪の辺りを小さく摘み、乳首を捻るようにすると、シエラは強く反応した。  
口では陣に対して非難めいたことをいいながら、シエラは押し寄せる心地よさに力が抜けて倒れこんでしまいそうな身体を必死で支えている。  
陣が乳首を右に左に軽く捻る度、身体を支えるように床に突っ張った右腕がガクガクと震えていた。  
「ひゃんっ!!」  
陣はシエラの右の乳首に食らいつく。低い山を描くシエラの胸は、口をつけるのにちょうどいい形だった。  
「んん……、だめっ、だめぇっ!」  
シエラは陣の口から伝わる体温と吐息を乳首で感じて、言いようのない快感に包まれている。  
「んあああっっ!!」  
陣が乳首に舌を這わせると、シエラはビクッと身体を震わせて倒れこんだ。  
全身の力が抜け、身体を支えていた右腕がガクンと折れたのだ。  
倒れるシエラの身体に追いすがるように、陣はシエラに覆いかぶさる。  
「はうぅっ、だ、だめ、きもち、いいっ!」  
右の胸には舌が絡み付き、左の胸は乳首を手のひらで刺激する形で全体を大きく揉まれている。  
シエラは初めての悦楽に戸惑いながらも心地よく流され、疼く身体に堪え切れない様子で両足の内腿を擦り合わせた。  
「ひゃぅっ!?」  
股間を隠すように置かれた左手がショーツに触れ、シエラは驚きに震える。  
一瞬、痺れるような感覚を覚えたと思ったら、ショーツの一部が湿っていた。  
(うそ!?わたし、漏らしちゃってる!?)  
戸惑うシエラの様子に気がついた陣は、シエラの股間を覗き込む。  
「座堂、濡れてるのか……?」  
「ぬ、濡れて、って!?も、漏らしてなんかないわよっ!!」  
まるでお漏らしを知られた子供のように怯えて、シエラは答えた。  
「違うって。女の子は、その……、き、気持ち良くなると、えっと……そこが、濡れるんだってさ」  
陣は少し笑って、少し顔を赤らめて、言う。  
「そ、そうなのね!知ってるわよ、それぐらい!!」  
シエラは照れ隠しに声のトーンを上げて、そんな嘘をついた。  
「座堂、こっちも、触っていいか……?」  
「え、ええっ!?」  
シエラはひどく動揺した。股間を触る?何のために?  
だが、陣がそう言うということは、何か意味のある行為なのだろうと思い、シエラは静かに頷いた。  
 
シエラは赤ん坊のように、陣にされるがままショーツを脱がされていた。  
まだ力の抜けている身体を支え、少しだけ下半身を浮かす。  
上半身を動かすと、陣の唾液で濡れた右の胸が、まだ春の冷たさを帯びる部屋の空気で少しヒヤリとした。  
「あっ……」  
ショーツが股間の肌から離れる時、少し粘ついた液体が糸を引き、同時にシエラは小さな快感を覚えた。  
上質な素材で作られたショーツが太股を撫でるようにして脱がされていくだけで、シエラは僅かながら身体を震わせてしまう。  
それだけシエラの身体は陣との行為によって昂ぶり、感覚が鋭敏になっているのだろう。  
陣はシエラの足からショーツを脱がせ切ると、扱いづらそうに少し離れた所に置いた。  
これで、シエラの敏感な部分は完全に曝け出されてしまった。  
シエラは隠すべきところは一切隠さず、代わりに黒いニーソックスと手袋、ヘッドドレスだけを身につけた不思議な格好をしている。  
「これ……全部、脱いだ方がいいのかしら?」  
シエラがそう言うと、陣は赤面して答えた。  
「い、いや、このままでいい。むしろ、そのままでいてくれ!」  
「そ、そうなの……」  
いやに熱のこもった陣の言いように気圧されて、シエラは何となく納得してしまう。  
陣はつい口走ってしまったセリフを誤魔化すように、シエラの股間に手を伸ばした。  
「ひぅ!!」  
シエラの身体が怯えたように竦む。陣はまだ直接性器に触れたわけではないのに、反射的に構えてしまった。  
シエラのそこは、少しだけ割れ目を見せるように閉ざされている。  
前人未踏の潔癖なシエラの性器は、淡い桜色をして、こぼれ落ちそうなほどに愛液を滴らせていた。  
まるで、瑞々しく熟した桃の果実に一筋の切れ目を入れたようだ。  
陣は蜜に惹かれる昆虫のように、手で触れるよりも先に、口を近づけて愛液を啜っていた。  
「いやっ!ちょっと庶民、なにして、んぁっ!!」  
想像を超えた陣の行動にシエラは当惑してしまう。それでもなお、性器に触れられる刺激に性感を覚えていた。  
陣はジュルジュルと音を立てて、無心に愛液を啜った。愛液の据えた匂いも、まるで果汁のような甘い香りに錯覚する。  
(俺も座堂にしてもらったんだから、これぐらいしてやらないとな)  
陣はいつになくシエラに対して従順な態度をとってやりたい気分になっていた。  
それは、いつも(ご主人と魔神という立場を無視して)高圧的なシエラが、自分に奉仕してくれたからかもしれない。  
陣は性器から溢れる愛液だけでなく、その割れ目の中のものまで舐めてやろうと、舌を入り込ませた。  
「ぃうっ、あふっ、そんな、き、きたないわよっ!!」  
シエラは恥ずかしさで顔を真っ赤に染めて叫ぶように言う。  
シエラにとって、そこは排泄のための器官であって、不浄の象徴のようなものなのに、執拗に舐めまわす陣が理解できなかった。  
陣の舌は割れ目から少しはみ出るように顔を出したクリトリスに触れる。  
「ひゃあっ!!なに、これっ!?んはっ、はあぁ、あぅんっ」  
クリトリスの先端を舌先で転がすようにされて、シエラはその度に強い刺激で甘い声を零す。  
陣は両手を使ってシエラの陰唇を両脇から引っ張り、開いた性器の表面を舐め回した。  
尿道の入り口から膣口まで舐め上げる。愛液に湿ったそこは鮮やかな色を放ち、官能的な魅力を示していた。  
一通り舐め終わると、今度は指を膣口の中にそっと入れ、優しくほぐすようにかき回した。  
「ああんっ、な、なに……してるの!?ひううぅっ!!」  
シエラは自分の中に侵入してくる異物感を味わいながらも、やはり快感に震える。  
「座堂って、……初めてだよな?」  
陣は躊躇いがちに聞いた。  
「初めてって……、こんな恥ずかしいこと、したことあるわけないでしょ!?」  
怒鳴るようなシエラの声に、陣は肩を竦ませる。  
「それじゃ、よくほぐしておいた方がいいんだろうな。俺も初めてだし、よくわからんが」  
「んあっ、ひんっ、はあぁっ!!」  
陣が指でかき混ぜる度、シエラは感度良く反応を示し、愛液が溢れてきた。  
「これぐらいなら、大丈夫そうかな……」  
「……はぁ。だ、大丈夫って、何が?」  
シエラは息切れ混じりに訊ねる。  
「俺のを、ここに入れても大丈夫、ってことだろ」  
「え……。えええええええっ!!?」  
シエラは飛び上るほど驚く。  
「え!?どういうこと!?そ、それが、ここにっ!!?」  
シエラは気が動転したように慌てふためく。再び勃起している陣のペニスを見ると、真っ赤になって顔をそらした。  
シエラの心はまだ準備を要するようだが、シエラの身体は準備が出来ている様子で、膣からは愛液が溢れている。  
 
「そ、そそ、それが、私の、ここに入るの!?本当に!?」  
シエラは動転しながら陣のペニスと自分の股間を交互に見やる。  
角度的に膣口までは確認できていないだろうが、陣のペニスを受け入れることができるのかは大いに疑問だった。  
陣のものは特別大きくも小さくもないサイズだったが、シエラの年齢よりも幼い身体では荷が重いようにも思える  
「無理することないぞ、座堂。怖いっていうなら、ここでおしまいにしても……」  
そう言う陣自身にも戸惑いがあった。シエラの身体に挿入なんかして、大丈夫なのかという思いだ。  
そしてそれ以上に、全校生徒の憧れの的である(らしい)シエラの初めてを、  
自分が、しかもこんな勢いに任せて奪ってしまっていいのかという思いが強かった。  
当然ながら、ここまでシエラの身体を味わってしまって、後に引けないという気持ちもある。  
だが、陣はシエラがそれを望まないのならば、理性を総動員してでも行為を中断する覚悟だった。  
「な、何言ってるの!!平気よっ、これぐらい!」  
そんな陣に、シエラは怒鳴って言う。  
子供だと馬鹿にされたような気持ちもあり、同時に、怖さよりも陣の身体を求める衝動の方が勝ったということもあった。  
「大丈夫、そういうものなんでしょ?だったら、やりましょう」  
上気してピンク色に染まった頬を緩ませ、震える声を押さえながらシエラは陣に語りかけた。  
「いいのか?こういうのは、本当に好きなやつとするべきなんじゃ……」  
「いいのよっ!!」  
まだ決心のつかない陣の言葉を遮り、シエラは裸の上半身を起こして陣の口を塞いだ。  
「んっ……ちゅ、あむ……んくっ」  
シエラは下の方から陣の顔を見上げるような形で口づける。自分から舌を潜り込ませ、流れてきた陣の唾液を飲み干す。  
(好きな人とするべきっていうなら、問題ないんだから……)  
シエラは口づけをしながら浮かぶ心の声を素直に口にすることはしない。  
陣は目を閉じて必死で自分の唇を求めるシエラの様子が愛おしく、ペニスがより硬くなるのを感じた。  
持ち合わせの理性では抑えきれないほどに、シエラの身体を欲している。  
シエラも同様だった。性に関する知識などに詳しくなくても、身体が本能的に陣と繋がることを求めている。  
「んむ……、ふ、ぷはぁっ!」  
1分近くも濃厚なキスをして、シエラはようやく唇を離した。  
その瞳は蕩けたように細められていて、夢でも見ているように視界がぼやけて見える。  
「じゃあ、挿れるぞ。いいんだな……?」  
「……ええ、いいわよ」  
シエラはコクリと頷いた。再び全身を床に横たえて、緊張したように身体をこわばらせている。  
「そんなに硬くなるなよ。たぶん、リラックスした方がいいぞ」  
「か、硬くなんてっ!」  
なってない、と言おうとしたところで、自分が緊張でガチガチに固まっているのを自覚して、シエラは黙り込んでしまう。  
「最初は痛いっていうし、できるだけ肩の力を抜いておいた方がいいんじゃないか?」  
「い、痛いのっ!?」  
シエラは声を跳ね上げる。  
「そ、そうだって聞くな」  
「……いいわ。リラックスね、リラックス……」  
また持ち上がってきた恐怖を抑えるように、シエラは自分に言い聞かせた。  
「なぁ、ほんとに……」  
「しつこいわよっ!!」  
シエラは自棄になって怒鳴った。自分の決心が揺るがないうちに、始めてほしいと思う。  
「よし、それじゃあ、いくぞ」  
そう言って、陣は硬く勃起したペニスを、シエラの濡れた割れ目に添えるようにあてがった。  
 
「んんっ……」  
膣口を軽く押し広げて亀頭の先端部が入った段階で、シエラは声を漏らした。  
陣はもう、大丈夫か?とは聞かない。きっと痛いものはどうしようもないだろうし、強がって正直には答えないだろう。  
その分ゆっくりと時間をかけ、優しく挿入するつもりだった。  
「あ、ううぅっ、ん……しょ、みん……」  
シエラは陣のペニスが入ってくる異物感と痛み、同時に感じる心地よさを噛みしめていた。  
陣はシエラの胸の両横に手をついて、覆いかぶさるような姿勢で、徐々にペニスを埋没させていく。  
「ぁつっ!?な、なに、これ……!?んぁっ……」  
シエラも陣も、同時に違和感を覚えた。  
シエラのは身体の内部を引っ張られるような痛み。陣のはペニスの侵入を拒む障害物の感触だ。  
もう後には戻れない。心を決めて、陣はシエラに囁いた。  
「座堂。ちょっと痛いけど、我慢してろよ?」  
「え……、ちょ、……んんっ!!!」  
陣が勢いをつけて腰を打ちつけると、シエラは引き裂かれるような痛みを感じて、くぐもった声を上げた。  
「い……たっ……!!んく、ひぅ……っ!!」  
シエラはギュッと強く目を閉じ、目尻に涙の粒を浮かべながら痛みをこらえている。  
身体の内側からズキズキと疼く痛みは、だんだんと存在感を増していた。  
このまま、どんどんと肥大化して、引き裂かれてしまうんじゃないかとすら錯覚してしまう。  
陣は何も言わず、動きを静止していた。どうにかシエラの痛みを紛らわせてやりたい。  
そう思い、陣は肘を曲げてシエラに身体を密着させた。右の肘を床につけて、シエラの背中に腕を回す。  
後ろから肩を抱くようにシエラの身体を抱きしめた。同時に、シエラの首筋や肩口にキスをする。  
「ふっ……、く……。しょ、みん……」  
シエラはなかなか冷めやらぬ痛みを堪えながら、陣の温かさを感じていた。  
陣の優しさに包まれるように、腕の感触と何度も付けられる唇の温度に酔いしれる。  
陣の胸の辺りに勃起した乳首が当たり、ほんのりと快感を覚えた。  
シエラも両腕を陣の背中に回して、しっかりと抱きつく。しばらくそのまま、陣の温もりをよりどころにして、ジッと痛みを堪えていた。  
「いいわよ、もう、動いても……」  
「本当か?」  
「そりゃ、たぶんまだ痛いけど、ずっとこのまましてるのも、庶民が辛いでしょ?」  
シエラの言うとおり、陣は高まる興奮を抑えきれなくなっていた。  
ずっとシエラの膣内の心地良さを感じていながら、動くことのできないもどかしさがはち切れそうだ。  
「それじゃ、ゆっくり動かすぞ……」  
「んぁ……っ、うっ……ふぅっ、あふ……」  
陣はゆっくりと腰を離し、ペニスを後退させる。  
シエラはまだ裂傷の擦れる痛みや染みるような痛みを感じていたが、  
挿入自体の痛みは、潤沢に分泌された愛液のおかげで随分と緩和されているようだった。  
「はぅっ!んはぅ……ぁあっ、んあああんっ!」  
陣はペニスを膣口の辺りまでゆっくりと後退させ、同じようにゆっくりと奥の方へと突き入れた。  
それを何度も繰り返すうち、シエラの悶えるような声は、次第に痛みの色が減り、甘美な吐息へと変わりつつある。  
「はぁんっ、あふっ、んぅっ、ああっ!!!  
シエラの声のキーが上がるのにつれて、陣のピストンのスピードも徐々に上がっていく。  
身体を密着させて抱き合ったまま、二人はモゾモゾと身体を揺するようにして重なり合った。  
「あぁんっ、庶民っ、いいわよっ、もっとっ、もっとちょうだいっ!!」  
痛みも気にならないほどに快感を覚えるようになったシエラは、身体を突き抜けるような刺激に身を任せ、もっと陣の身体を求めた。  
 
「はぁっ、んくっ、はっ、んっ、あっ、あっ!!ああああっ!!」  
陣は昂ぶる心に任せてシエラの背中に手をまわし、シエラの身体を持ち上げながら身体を起こした。  
シエラは背中を反らせる格好になったかと思うと、胡坐をかく姿勢になった陣の胸に倒れ込むように抱きつく。  
「ひゃううううっっ!!」  
体位が変わって、自分の体重で陣のペニスを深く咥え込むことになり、シエラは激しい快感に悶えた。  
「んぁっ!くぅっ、あふっ、ひゃんっ、ちょっと、はげし……っ、やあああんっ!!!!」  
陣はシエラの身体を抱えて、一心不乱に身体を上下に動かしてピストンする。  
振動するごとに、シエラの長い髪が舞い踊るように揺れた。  
全身から流れる汗がシエラの裸体と陣の服を濡らし、愛液と混ざりあって床にポタポタと落ちる。  
「やぅっ、ぃくっ!!い、いぃっ、んぁっ、あああっっ!!」  
シエラは思考も朦朧とぼやけるほどの快感に流されていた。  
陣のペニスと擦れ合う膣の感触が堪らなく気持ちいい。  
陣に抱きしめられている自分の身体が燃え盛るように熱く、溶けてしまいそうなほどだ。  
「ふくぅうっ!!な、なにかっ!!なにか、くるっ!!」  
シエラは身体の奥からこみ上げる感覚の存在に気づいた。  
それは紛れもなく、生まれて初めて経験する絶頂の気配だった。  
「俺も、イきそうだっ!!一緒に、いくぞっ、座堂!!」  
陣もこれ以上こらえられそうにない射精の気配を感じ、より力をこめてシエラを抱きしめ、身体を動かした。  
「ひゃああんっ!!んぁっ、あぅっ、おかしいっ!!わたし、おかしくなっちゃううっっ!!!!」  
二人の結合部から立ち上がる小さな水音だけをBGMに、シエラは高らかに歌うように叫ぶ。  
「イくぞっ!!!」  
陣は突然ピストンを止め、ペニスをシエラの膣内の奥深くに沈めて、力の限りシエラの身体を抱きしめた。  
「んあっ、だめっ、だめっ!!!いくっ!!ふあああああああああああああああんんっっっ!!!!」  
シエラは身体の奥深くから指の先まで、電撃が走りぬけるような衝撃に包まれた。  
同時に、陣はシエラの中で精を放つ。その微かな感触を、シエラは快感の波の中で確かに感じた。  
 
シエラはしばらくの間、絶頂の余韻に身体を強張らせ、強く陣に抱きついていた。  
荒く息をつき、小さな胸を大きく上下させて呼吸を整える。  
陣も、萎えたペニスをシエラの中に収めたまま、動かずに射精後の倦怠感を味わっていた。  
十分に余韻を味わった後、陣はシエラの身体を優しく抱き上げ、ベッドに横たえてやる。  
「ん……」  
シエラはまだ脱力しているようで、夢見心地に瞳を蕩けさせていた。  
陣はその姿に胸を打たれる。改めて、シエラの愛らしさに心を奪われ切っている自分に気がついた。  
「座堂、ありがとうな……」  
陣はもう一度シエラに口づけて、そう囁く。  
大変なことをしてしまったという不安も心の隅にはあったが、それよりも喜びの方がずっと大きい。  
「私も、嬉しかったわ」  
シエラは目を閉じて、喜びを噛みしめるように呟いた。  
 
二人は余りにも幸せで、いつまでもこうしていたかったが、そうもいかない。  
もうじき夕也が帰ってくるだろう。それまでに、部屋を片付けなければ。  
以前よりも片付けの量が増えているのが、頭の痛いことだった。  
「庶民……」  
陣は名残惜しそうな顔をしているシエラの頭に手をのせる。  
「そんな顔するなよ。また呼ぶからさ。その時、また続きをしようぜ」  
「……そうね。絶対よ」  
シエラはコクンと頷いた。陣はその笑顔に、どうしようもないほどの幸せを感じた。  
そして、呟く。  
「ちちんぷいぷい」  
 
 
/終わり  
 

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