さっきまで伍長だった消し墨が目の前にあった  
少尉は自分の身体は焼き尽くさなかった業火に、不甲斐なさを感じながら、消し墨をあさった  
真っ赤に焼けたランタンがあった  
掴みあげ、肉の焼ける臭いのなか、自らの顔に押し当てた  
   
二度と部下を失わない  
彼女はその爛れた半面に誓った  
   
それは後世、戦争気違いと恐れられた、バラライカの誕生であった  
 
 

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