「准尉っ前、前!」  
俺は少尉がいる舞踏会にマーチス少尉が運転する車で突っ込んだ。  
俺が気絶する前に聞いた舞踏会での平民の暴動を止めるためだ。  
車はドアを破り雪のせいで滑りながら屋敷の中で止まる。  
「轢いて・・・ないよな?」  
辺りを見渡しながらオレルド少尉が確認をする。  
俺も周りの人たちを確認して返事をする。  
「・・・はい大丈―」  
そこで少尉と目が合って言葉が止まった  
 
少尉はいつものような軍服じゃなくて華やかなドレスを着ていた。  
周りにいる貴族とはなんだか・・・こう・・・オーラみたいのが違った。  
それがとても新鮮で、鈍感な俺でも『綺麗』という言葉がすぐに頭に浮かぶ  
「あ・・・その・・・」  
向き合いながら呆然としていると少尉が何かを喋ろうとしている  
 
俺も何か喋らないといけない気がした。  
「凄い」  
少尉の言葉を遮るように本音の先端が声にでた。  
自分で言って顔が赤くなる。  
その後俺は何を言いたいんだ?  
今は任務中なんだ 俺はこの暴動を止めるために  
少尉を助けるためにここに来たんだ。  
 
「す、凄いって何がだッ 凄くなんかないぞ別に」  
自分の体を手で隠し、顔を赤くして負けじと反論する。  
こんな事はいつものようにあるのに、今日はまったく違う風に感じられた。  
その姿を見て、自分の体温が一気に上がる。  
 
ここで本音を言ったら駄目だ。  
この人への気持ちに俺は気づいちゃいけない。  
言葉が後に続かない、沈黙が苦しい。  
なにかで誤魔化さないと、違う言葉で隠さないと、素直な気持ちが喉元まで迫ってきている。  
俺は苦し紛れに嘘を吐いた  
 
「凄い、少尉にそっくりだ」  
舞踏会に響く四発の気持ちいい音  
 
俺は小さな手が放った張り手を喰らった頬を押さえてうずくまる。  
俺は涙目になりながらこれでよかったんだ  
そんな気持ちに気づいちゃいけないと自分に言い聞かせた。  
 
少尉の張り手が強力すぎたんだろう  
―涙がまたこぼれてきた。  
                          終  
 

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