ここは帝国陸軍情報部3課執務室。  
今日は視察もなく、書類整理に追われています。  
午後三時にいつものお茶の時間。。ステッキン曹長がコーヒーを入れてくれました。  
「はーい。みなさーん、コーヒー入りましt」  
ツルッ  
おっと危ない。この床、滑るなぁ…あちちっ  
山積みの書類とステッキン曹長をかばったら自分でコーヒーかぶっちゃった。  
あーあ。コートにしみちゃったよ。どうしよ。  
「ああっすみません伍長さん。すぐ洗ってきますから、コート脱いでくださいね。」  
「あ、いえ。大丈夫です。自分で洗ってきますから。」  
どの道シャツにもしみちゃったし、ロッカー室で着替えてこよう。  
部屋を出ようとしたとき、マーチス准尉が声をかけた。  
「あ。伍長、新しい制服まだ届いてないんだ。特殊サイズだから時間がかかるって。  
悪いけど、私服着ていてくれる?」  
「ハハッ。タダでさえも、すぐ破くからなー。庶務のコがこぼしてたぜ?”お気楽3課で  
こんなに制服の消耗が激しい人初めてです”、ってな。」  
オレルド准尉がまぜっかえすのを背中で聞きながら部屋を出た。  
こんなとき、ほんのちょっと自分の図体が疎ましい。  
ま、いまさら言っても仕方がないけど。  
 
ロッカー室で自前のセーターに着替え、洗濯場へ。  
オケと石鹸を借りてシャツを洗っていると、手元が暗くなった。  
「伍長、こんなところで何をしてるんだ?」  
顔をあげると、そこには少尉が立っていた。  
「あ、少尉。コーヒーをこぼしてしまったので洗ってます。…着替えがないので。  
少尉はなぜここに?」  
「国営農場に入れなかった難民を、少しでもここで使ってもらえないかと思ってな。  
人事に掛け合いに行っていた。  
洗濯というのも、なかなか大変なものなのだな。見ていていいか?」  
断る理由もないのでうなずくと、少尉は傍らにちょこんとしゃがみこんだ。  
石鹸をつけてゴシゴシこする。コーヒーの汚れが浮いて、茶色の泡が立つ。  
そんななんでもないことを、子供のような目で興味深げにじっと見つめている。  
…だけならよかったんだけど。  
 
「…おもしろいな。」  
「洗濯が、ですか?」  
「いや。伍長の胸筋、動くんだな。」  
そりゃ男ですから。この図体ですし。  
「…えぇまあ、俺じゃなくても、鍛えてるヤツなら動くと思いますが。」  
じぃっと凝視されてる。なんだか無性に恥ずかしい。  
「私は動かんぞ。鍛錬は欠かしたことがないのに。」  
ふにふにと自らの胸を触っている。うわー、やわらかそう。  
って俺は何を考えてるんだ。  
「ちょっと触ってもいいか?」  
はい?  
思考が停止した一瞬、少尉の手が伸びてきて俺の胸をペタペタとなでた。  
びっくりして力が入る。  
「硬いなー。何でこんなに違うんだろう。何か特殊な訓練でもしてるのか?」  
指先でつつかれたり手のひらで撫で回されたりして、こそばゆい。  
「…と、特には何もしてません。あの、手、離してください。くすぐったいです。」  
くすぐったいだけならいいんだけどね。ちょっと、マズいことになる。  
しかも俺の両手は泡まみれで、少尉の手を徐けることができない。  
「ほほぅ。伍長はくすぐったがりだな。―――ならば。」  
少尉の声が笑いを含むと同時に、両手で俺の胸をこねくりはじめた。  
「ちょ、ちょっと、少尉。何してるんですか、ホントにやめてくださいっ」  
必死に身をよじるが、体勢的にこちらが不利だ。  
ていうか、ホントにマズいです。下半身に違和感を感じてきた。誰か助けてぇぇ。  
周囲の洗濯夫たちは、遠巻きにニヤニヤ笑ってるだけで助けてはくれない。  
お気楽3課が、ジャレあってるくらいに思われてるのかも。  
少尉ぃ!これセクハラですって、やーめーてー。  
必要以上に内股になりつつ体をひねったとき、少尉の指先が乳首に触れた。  
電気が走るような快感。たまらず、びくりと痙攣した。  
「ん?何だこれ。」  
乳首です。男には不要のものです。ああなんでこんなモノついてるんだホントに。  
「や、やめてくだ、さい。何でもいうこと聞きますから。」  
息も絶え絶えに懇願する。なんだか性別が逆転してるようで情けないがそんなこと言ってられない。  
「ふうん?伍長はココが弱いのか。ほうほう。」  
興に乗ってしまったのか、少尉の悪ふざけは止まらない。  
指先でつつきまわされて、もう限界だ。  
「やっ、ダメです…っ!」  
激しく身じろぎをしたせいで、洗濯オケがひっくり返った。  
少尉も俺も、頭から水をかぶり、びしょぬれになってしまった。  
ボーゼンとたたずむ二人。  
偶然、会議から戻る途中の課長が通りかかる。  
「おまえら、何遊んでるんだ。さっさとシャワー浴びて仕事に戻れ。」  
「はい。すみません。…すまん、伍長。」  
ああ、正気に戻ってくれたんですね少尉。  
でもすぐ立ち上がるのは無理そうです、課長。  
「―――ここを片付けて戻ります。すみません。少尉は先に行ってください。」  
少尉と課長を見送って、シャツをすすぎ、洗濯オケと石鹸を戻す。  
びしょぬれのまま購買部でランニングを買い―――着られそうなものはコレしかない。―――  
シャワーを浴びた。  
…パンツも、買ってくればよかったな…。  
 
そんな伍長の一日。  
 

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル