「オレルド。オレルドはどこだ?」
アリスは大股で廊下を歩いていた。少尉としての威厳を示そうと、その歩みは軍人らしく堂々としていてた。
「オレルド!」
各部屋のドアを開け、中を確かめまた進んだ。室内にいた軍人たちは「なんだ、また陸情3課のヤツか」と迷惑そうだ。
「よし、頼んだぞ。デカブツ」
そう言ってオレルドはオーランド伍長に軽く肘打ちをした。
「准尉。そんなことを頼まれても」
オーランドは困ったように訴える。
「なーに簡単なことさ。少尉に何か聞かれても「知りません」「わかりません」って言ってくれりゃーいいのさ」
オレルドは前髪をかきあげ、キザっぽく振る舞い、そして傍にいる女の肩を抱いた。
女は嬉しそうにオレルドの襟章を弄った。そして首筋に吸い付くようなキスをする。にやけるオレルド。オーランドはその様子を直視できずに、チラリチラリと盗み見するように窺った。
「しっ、しかし……」
「おっと。伍長。これは命令だよ。オレルド准尉からの、め・い・れ・い」
オレルドはそういうと女を伴って一室へ消えた。ドアが閉められ、ガチャリという音が聞こえた。オーランドはへなへなと頭を抱えて、その場に立ち尽くしてしまった。
だが、数秒悩んでから気づいたように頭を上げた。
――そうか、少尉に会わなければ良いのだ!
明るい表情を取り戻したオーランドは、その場を後にしようと、周囲を警戒しながらも、踵を返した。
すると、
「伍長。伍長!」
と声が廊下に響いた。アリスだった。ブロンドの髪を揺らしながら、廊下の角より現れたのだ。
「ちょうど良かった。オレルドを見なかったか?」
気の強そうな目がオーランドをじろりと見る。
「えーっと、その、あの……」
しどろもどろになるオーランド。
「どうなんだ、伍長。はっきりしろ!」
「そ、そのこの部屋に」
と言ってオレルドたちが入った部屋、の向かいにある部屋を指差した。そこは使われていない旧式の銃火器を保管していた倉庫だった。
「ここ……なのか?」
「はっ、はい。そ、そそ、そうです」
オーランドは額から落ちる汗をそのままに少尉を見ている。
(あぁ、嘘をついてしまった。どうしよう)
アリスは拳をわなわなと震わせる。
「そ、その、オレルド准尉が何かしたのでしょうか?」
その様子を見たオーランドは心配になって尋ねた。
「民間人を許可なく軍施設に入れるだけでなく、まさか銃火器の保管場所にまで招き入れるとは!!」
思わず額に手を当てて、自身の失敗を痛感するオーランド。
「こんなことだから、「お気楽3課」などと馬鹿にされるのだ!」
アリスは腰に下げた短剣を抜き、鬼気としてそのドアを蹴破った。
「しょ、少尉!」
だが、室内に突入したアリスは、振り上げていた短剣を気の抜けたようにだらりと下ろした。
勢いよく開いたドアの先には誰もおらず、しかも保管されているはずの銃火器はなかったのである。
「まっ、まさかオレルドが……ここの銃器を」
言葉を失うアリス。そのアリスを見て絶句するオーランド。
実は、この保管庫から銃火器を持ち出したのはオーランドであった。3課の課長であるハンクス大尉から頼まれて、オレルド准尉とともに廃棄処理場まで運んでいたのだ。
「い、いえ、違うんです、少尉。その」
「言い訳無用! まさか伍長。オマエまで」
「い、いえ、だから、違うんです。銃器は課長から頼まれて俺とオレルド准尉とで民間の処理場まで運んだんです」
「……ほ、本当か? 伍長」
「はっ、はい」
信じてくれそうな雰囲気を察した伍長は嬉々とした。アリスはそのオーランドを見て短刀を鞘に戻し、小さくため息を漏らした。
「じゃぁ、オレルドはどこなんだ、伍長」
「あっ、えーっと、ですね……」
まさか、その処理場からの帰りに美人の女の子を見つけて、ついつい乗せて帰ってきてしまい、現在は向かいの部屋で言えないような行為をしています、などとはオーランドは口が裂けても、もちろん言えなかった。
言いよどむオーランドに対して、アリスの苛立ちは徐々に高まっていった。
そのときだった。
「あぁん、――っぅん」
と艶かしい女性の声が向かいの部屋から聞こえてきたのである。その声は、オーランドはもちろん、アリスの耳にもかすかにだが届いた。
「な、なんだ、今の声は」
アリスは部屋に向かわんと、大股で歩き出した。
バタン!
「……どういうつもりだ、伍長」
オーランドは開かれていたドアを急いで閉めた。言い訳を考える時間が欲しかったのだ。通さないようにオーランドはドア前に立ち塞がった。
「しょ、少尉。そ、その少し冷静になりましょう」
アリスの手は再びあの短剣に伸びていた。気弱に叫ぶオーランドのその姿に、アリスの怒声が飛ぶ。
「伍長!!」
その声にオーランド伍長は彫像のように固まった。オーランドはアリスを直視できずにオドオドと目が泳いでいる。まるで叱られている子どもと母親だ。いや、失敗をとがめられている新兵と教官だ。
「いったい、どういうつもりだ。何を隠しているんだ伍長。言うんだ!」
アリスは両手を腰に当て、伍長の顔を睨みつける。
「お、オレルド准尉は、今……、今、女性を治療中なんです」
その語りは淀みばかりだが、必死にそれらしい話を作り上げようとオーランドは苦心していた。
「処理場からの帰りに怪我をした女性を見つけて、えーっと、それで准尉は「これも戦災復興だ」と言って、その女性をですね……」
「助けたのか?」
「そ、そうです。それで、今、向かいの部屋で治療しているんです」
その説明にアリスは驚いたように目を丸くしている。
「で、ですので、その……」
オーランドはアリスの様子に気づかず、もっと何かを付け足そうと言葉を探しているが、見つからずに、どんどんと声が小さくなっていく。アリスはそのオーランドの態度を見て、肩を震わせている。
「伍長」
静かにアリスが言う。拳を硬くし、そのオーランドの情けない態度を戒めようと、腹部へ一撃を放った。
「伍長! それだけ立派なことをなぜ隠そうとする。もっと胸を張るんだ。戦災復興は、そうやって人助けを積み重ねて成し遂げるものなのだぞ!」
「しょ……少尉」
オーランドは膝をドスンと地面につけ、死にそうな声を漏らした。額には脂汗がプックリと浮かんだ。
「ご、伍長?」
実は、アリスが放った一撃は腹部ではなく、オーランドのアソコに命中したのだ。アリスとオーランドの身長差がそうさせたのだった。
泡を噴かんばかりに口を動かすオーランド。その巨体を横たえ、その痛みに耐えていた。アリスはどこに当たったかなどは気にせず、自身の腕力ゆえにと思い込み、その情けない伍長を優しげな瞳で見下ろした。
「な、なんだ。そんなに痛かったのか?」
伍長はうなずき、痛みのする部分を押さえてグッと堪えていた。眉をひそめその姿を見ているアリス。
「まっ、まぁ、オレルドのしたことは戦災復興の一助になる行為だし、今回は不問にしてやる。伍長が黙っていたこともだ。今度からちゃんと報告はするのだぞ」
アリスはオーランドを殴ってしまったことをやや後悔しながらも、士官ゆえに見逃せなかったのだと言わんばかりに口上を垂れた。
相変わらずオーランドは立ち上がれず、地べたに転がっている。アリスは気の毒に思ったのか、
「す、少し強く殴りすぎたみたいだ。すまん」
と倒れているオーランドの膝の上に座った。
「しょ、少尉? なにを……」
「オレルドにだって治療ができるのだ。士官である私にできないわけがないだろ。よし、患部を見せろ」
オーランドは恥ずかしそうに両手でアソコを隠すように押さえた。
「だ、大丈夫ですよ、す、すぐに治まりますから」
「そういうな。悪いようにはせん」
しばし患部の上でアリスとオーランドの手が押し問答を続けた。オーランドはますますオサマリがつかなくなったアソコをどうかに沈めようとオレルドのことを考えてみたが、今彼がしていることが浮かび逆効果だった。
立ち上がることも逃げることもできないオーランド。アリスは揚々としてオーランドの両の手を跳ね除け、ジッパーをズリズリと下ろした。
「しょ、少尉。止めっ……」
最後までジッパーが下りきる前に、オーランドの逞しい肉棒が爆発する勢いで反り上がった。
罰の悪そうな伍長を他所に、アリスは、
「す、すごい腫れてるじゃないか」
と太陽を見るように目を細めてみせた。どこか猫科の猛獣を思わせるその視線がオーランドの下半身により力を与えた。
(わざとやっている……?)
「力を抜け、伍長。そんなに力んでも腫れはひかんぞ」
そう言うと冷えていた小さな手で伍長のそのいきり立つモノを握った。
小さくうめくオーランド。
「ずいぶん熱があるな。これは早く治療せんと、な」
「少尉、いったい何を……」
その愛らしい顔をオーランドのそれに近づけ、小さな口をめいっぱい広げていた。
「なんだ、知らんのか? お爺様が「怪我には唾液が治療に役立つ」とおっしゃっていた……の、ひゃ」
最後まで言うことなく、アリスは伍長のそれを咥えた。
ジュルジュルっ。
淫靡な音色が口腔から漏れる。オーランドの男根を咥えながらアリスはローデアリ王国から送られてきた農作物を思い出していた。粗野のようで繊細、無骨のようで気高い。舌を這わせれば生命の味さえ感じた。
アリスが舌を巻きつけると、一瞬一瞬にピクっピクっと奮えるオーランド。
アリスは自身の下半身が熱くなるのが分かった。だが、染み出ていく愛液を忘れるように、オーランドの肉棒を舐め続けた。
「怪我には唾液が――」
半分は真で半分は嘘。アリスはそのそびえ立つ大樹を見たときから心奪われ、想いをぶつけることしか頭になかった。
「うぐゅ、むちゅっ……ちゅ」
口を上下に激しく動かしたかと思うと、その大樹の先端からを優しく包んだ。命を吸い取るように、アリスは肺に力を込めた。
「あぁ、しょ、少尉ぃ。ダメです。そんなこと」
オーランドはアソコを押さえていたはずの両手で顔を覆い、切ないような声で応える。実はオーランド、興奮しすぎて鼻血がちょっと出ていた。恥ずかしさのあまり耳の端までが朱に染まり、およそその巨体からは想像できないほど初々しい反応をしていた。
「なんだ。可愛いな、伍長は」
小悪魔のような笑みを浮かべるアリス。内心はドキドキしていた。士官ともあろうものが、貴族ともあろうものが、こんな破廉恥な行為をして許されるのか。アリスは一片の理性を求めたが、その四肢は嘘をつくことはなかった。
アリスは自由な両腕を使って、伍長の上着のボタンを1つ1つ、また1つと外し始め、途中までで止めると一気にたくし上げた。
すると、伍長の筋肉質な肉体が顕になり、同時に戦場で負った無数の傷痕がアリスの目に飛び込んだ。
「うぅ、むにゅ。ジュる……っュ」
上目遣いでそれを見ると切なそうな表情を見せる。
アリスはねっとりとした銀の糸を引きながら、そっと顔を上げ、伍長の顔を見た。首の後ろがむずむずしていた。
「しょ、少尉。何をっ?!」
オーランドはうろたえた。
アリスはカーキ色の軍装を自ら解き放ち、その細身の肉体を顕にした。息をのむほどの美しさ。
鍛えられたその肢体はわずかな贅肉も見当たらず、腹部にはうっすらと線が浮かび上がり日頃の鍛錬がうかがわれた。両肩から鎖骨にかけては女性のそれで艶かしく、形の良い膨らみの先は小ぶりの桜だった。
汚れ1つ見当たらない。
オーランドは触れることを躊躇った。それどころか見ることさえも。
「伍長。よく見てくれ、私の身体を」
「しっ、しかし」
アリスはその右手でしっかりと伍長のアソコを握り、絶えることなく弄り続けた。クチュグチュと音色はいっそう高くなり、泡立つように淫らだった
「私は戦争を知らん。士官学校の卒業式の日、首の後ろがむずむずしたなと思ったら、唐突に停戦が告げられた。
気がつけば3課を率いて「戦災復興!」と叫ぶ、お気楽3課の小隊長だ。貴族の私が叫べば“たわ言”にしか聞こえないだろう」
「そ、そんなことは……」
伍長の大きな古傷をアリスは空いている手の指先でなぞった。
「私はな、伍長。この傷痕1つない身体を惜しむことなどしない。
戦災で傷ついた平民、戦場で腕を、足を、命を失った兵士、戦後の混乱で悲しみ、苦しみ、生きる希望を失わんとする全ての国民と同じだけ傷つき汚れる覚悟があるのだ。
皆が安心して暮らせるその日まで、私は戦災復興を止めることはできない」
透き通るような白い肩が震えていた。いつも気丈で気高く、強気なアリスが肩を震わせ、先程までの小悪魔のような笑顔とは一転して、少女となったのだ。
伍長は上半身をのそりとお越し、アリスの顔をよく見た。瞳の奥にあるのは怯えだろうか。
オーランドは自分の肉棒がいくらか萎えてしまったのを感じつつ、アリス少尉の言葉を待った。
「伍長。……私とともに傷ついてくれないか? もう少しだけで良い。戦災復興のためにオマエの力を貸してくれ」
か弱げな少女が言ったのは、軍人としての命令ではなく、お願いだった。
照れくさそうにそっぽを向いているアリス。頬に熟れはじめた桃のような色が乗る。
「俺なんかで良かったら、力になります。このでっかい身体を少尉のために使わせてください」
オーランドの口から出たのはそんな言葉だった。聞きたかったその言葉はアリスをひどく安堵させた。「ありがとう、伍長」と言いかけて口腔で押しとどめた。
野暮ったい大きな鼻をポリポリと掻いている伍長をこれ以上見ていられなくて、アリスはぎゅっと抱きしめてしまった。
両手が回りきらないほどの太い胴。戦場で作り上げられた兵器としての身体は獣のように荒々しく、戦車のように堅固だった。密着すると、早鐘のように打ち鳴らされるオーランドの拍動が伝わり、どうしようもなくアリスを昂揚させた。
「少尉、俺……」
アリスは気づいた。伍長のあの大樹がメキメキと音を立てて成長するのを気づいたのだ。先端からは透明な樹液がほとばしり、後から後から溢れ出る。
「しょうがないヤツだな」
ジュりゅ。ぐチュぐチゅ。
アリスはまず両手で包み込んで上下させた。そして、唇を近づけるとピンクの舌をちょろりと出して、その樹液を舐め出した。先っぽを必要にペロペロと舐め、舐め、舐め、しかし溢れ出る。
「もうパンパンじゃないか。オマエのは……その大き過ぎてちゃんと全部は口に……」
……ぅうぐっ――――っ!!
アリスは無理だと分かっていながら、オーランドのペニスを喉の奥まで導きいれて、むせ返った。薄っすらと涙が浮かび、スカイブルーの瞳がオーランドに訴えかけるように歪む。
「しょ……」
「大丈夫だ」
気丈に答えると、アリスは舌を精一杯に伸ばし、伍長のペニスを下から丁寧に舐め上げた。唾液を混ぜながら、グチュグチョと時には天辺から包み込み、頬をすぼませ、口腔の熱さを伍長に伝えた。
「むチゅっうぅぐ。むチュ。ジュゆちゅちゅ――っ、ぷっは!」
繰り返すたびに伍長の四肢はバタつき、喉から漏れる重低音がアリスを楽しませた。
はち切れんばかりに成長した肉棒は、アリスの口が離れると上下に激しく揺れた。今にも暴発しそうで危うささえ感じる。
「俺、もウ、出そうです」
オーランド伍長は我慢ができず、腰を浮かせた。
――出ルっ!
というまさにその瞬間。
計ったようにアリスはその動きを止め、満足そうにネットリとした唾液を垂らしながら顔を上げた。
「しょ、少尉ぃ」
不満そうな声が混じる。
「どうした? 伍長」
「……そ、そのぉウ」
「出シタイのか?」
無言で肯定するオーランド。だが、待っていましたと言わんばかりにアリスは、
「では、伍長。私のも……その」
その先の言葉はなかった。
犬がご主人の命令を待つように、オーランドも上官の命令を待った。
「……み、みなまで言わせるなッ!」
アリスはムズムズと腰を浮かせ、ジッとりと湿ったカーキ色を下ろした。大腿から膝、そして脹脛までアリスの白肌が顕になる。乙女のようなそれではなく、張りがあり艶があり、そして逞しい。
だが、ナメクジが這ったようなテラテラとした輝きが一筋。
軍から支給された薄暗いアンダーウェアにはしっとりと黒々としたシミ。
止まらない愛液。
伍長は一秒を惜しむように少尉の茂みを求め、その薄暗いベールに手を伸ばした。
ズリズリと下ろされた貴族らしからぬ軍の支給品から、アリスの気品に満ちたブロンドの茂みが現れた。
ジロジロと視姦されるようでアリスは少しの困惑を覚えていた。
――止めろ!
と言いたい気もするが、
――もっと見て欲しい……
という切ない気持ちも、確かにアリスの心のうちにあった。
空になった保管庫のいくらか汚れたタイルを見ながら、
(私のココに舌を這わせるのだ、などとは……)
ひどく卑猥な願望がアリスの陰部を熱くさせていた。
(ああぁっ! 私の口からは言えん!!)
アリスの股間から流れ出る膣液は願いとは裏腹に曇り1つない。
腰元からゴクリっと息をのむ音が聞こえた。
盛り上がった喉仏が沈み、言いたげな唇がわずかに震える。
(か、髪の毛とおんなじ色……なんだぁ)
妙な感動を抱くオーランドはアリスの気持ちなどお構いなしだ。
ヨダレが垂れそうになる自分を不思議に思いながら、アリスのブロンドの奥に隠された割れ目からオーランドは目を離せずにいた。
薄桃色の襞がヒクヒクとうごめき、汁を吐き出している。
(……な、なんだろ、コレは)
オーランドは節くれだった指先を花びらに沿わせた。
そして、プックリと膨らんだつぼみのような部位を刺激する。
「あぁっ……んんっ。はぁぃっ! ……ああっ!!」
悲鳴に似た声がアリスから聞こえてくる。
「少尉、大丈夫ですか?」
少々驚いたオーランドはアリスに尋ねる。
「も、、もッとしてく、れ――」
膝をガクガクさせながら、アリスが上ずった口調で願う。
上気した頬を隠すようにオーランドの方を見ることはない。
なんだかその仕草が愛らしく思えたオーランドは、
(もっと弄っても大丈夫かな)
と無骨な指1本を、好奇心に導かれるまま、ゆっくりと、泉へと進めた。
――ちゅぷっ。
抵抗なくオーランドの指先が飲み込まれる。膣の襞を感じながらその温かさが指に染み渡る。
オーランドは無邪気にその指の動きを早め、そしてより奥へと侵入を試みた。
すると肉壷の壁が指先に絡むように狭まり、粘着液をトロトロと流し出した。
アリスの息は荒くなり、指先に操られるように肢体をくねらせる。
「ごっ、伍長ぉ…っ……ぉ」
オーランドはアリスの消え入りそうな言葉を耳朶に受け止めず、子どものようにアリスの恥部を弄っていた。
(指を出し入れするだけで、こんなにヒクヒク動くのかぁ、じゃぁ……)
楽しくなってきたオーランド伍長は、今度は指2本で割れ目を擦り出した。
さっきまでより激しく。熱情的に。淫乱な音がグチュグチュと発せられる。
(す、すごい。2本も入ったぞ)
オーランドは不躾なほど太い指2本をアリスの肉鞘に押し込んだ。
「んっ――ぁっつ、はぉうん……っ! はぁっはぁぅ」
その大きさを知りつつも濡れた膣は拒否することはなく伍長の指を歓迎していた。
オーランドは差し込んだ2本の指をわずかに折り曲げ、うごめく膣の上壁を擦る。
淫乱に歪むアリスの顔。媚声を漏らすアリスの唇。崩れそうなアリスの足腰。
喜悦の波がアリスを襲っていた。
(これは舐められるものなのかな)
不埒な伍長は誘惑に駆られた。
(味は……するのかな?)
――だっ、ダメだ。伍長、それ以上は……
アリスは耐えていた。必死に耐えていた。
膝が笑い出し、立っているのがやっとだった。
(ご、伍長のバカっ)
ゴツゴツとした伍長の指先が入るたびに、背筋に電気が走るかのような刺激が駆け巡る。
出るたびに、むず痒い感覚が胸の中で広がる。
(あぁんっ、もう立っていられない)
伍長のその動きは稚拙で乱暴で、アリスは、
――こら、もっと優しくやるのだぞ!
と、むくれたくなるが、腰の奥が疼いてままならなかった。
「んんっ。……っ、はぁ。ううぅん。っく。むぅぁん」
(もウ・・・・・・ダめっ……)
ガクガクと膝が崩れ、前のめりにアリスが倒れる、その瞬間。
ニュルっと糸を引かせながら2本の指を引き抜いた。
(な、何を……するのだ?)
オーランドはアリスの引き締まった白いお尻を両手でむんずと掴むと、力強く引き寄せたのだ。
「ふひゃっ」
アリスの秘部にオーランドの顔が迫る。
(も、もしかして)
2人の思考が溶け合うように交叉する。
――あいつら、どうやって飲んでたかな?
舌先を伸ばし、下手糞な動きで膣汁を舐めあげた。
グチュグチュと弄り続けたためか、愛液は白濁のミルクとなってオーランドの口の中に流れ込む。
(ちょっとだけ酸っぱい……、よく似てるなァ)
オーランドは思い出していた。
寒風吹き荒れるある日、軍から支給されてからずいぶん日の経った牛乳を温めて、橋の下で野良猫たちと分け合ったことを思い出していたのだ。
伍長がこんなことを考えているとアリスが知ったら怒るだろうか。いや、伍長らしいと言って笑うだろうか。それとも。
――アリスの陰部から滴るミルクが、伍長の思考に導かれるように過熱される。
(す、すごい。どんどん出てくる)
オーランドは自分が野良猫になった気分で、その短めの舌を精一杯ペロペロと動かした。
舌を強く押し付け、擦りあげるようにアリスを攻め立てた。
ヘソの下あたりに伍長の髪がちくりと刺さり、くすったいような気持ちがある。
だが、それ以上に陰部の熱っぽさがアリスを支配していた。
その粗雑な髪を、アリスは思わずグシャっと握りしめた。
(こ、声が出てしまっ……)
荒げてしまいたくなる声を必死に押さえ込む。
ドアを一枚隔てたところは、軍人たちが行きかう廊下。ついさっきアリスが大股でノシノシと歩いていたところだ。すれ違った人数は何人だったろう。10人、20人だろうか。
ぺチャぺチャと荒淫な音が部屋に響く中、アリスは廊下からする足音が気になった。
――わ、わたしはなんて場所で
恥じらいがさらに腰の奥を刺激し、脈打つ速度が速まる。
虚ろになる思考。
流れる血潮は一気に下へと流れ落ち、アリスの理性は欲望に支配されていく。
「――あぁんっ、ご、伍長ぉ〜ん、もっと、もっとだぁっぁああぁ!」
自然に腰が前後に動き出していることにアリスは気づかない。
引き締まったお尻が揺れ、ザワザワと騒ぎ立てる下半身を抑えることができない。
――もうっ、だ、ダメっ
びゅ、びゅ、とアリスの女陰から熱い液体が飛び散り、伍長の顔を濡らす。
意識が抜けるようにアリスの火照りきった肉体が伍長に被さるように倒れた。
2つのふくらみは伍長の顔に密着していた。
崩れるように倒れたアリス。力は抜け、意識はどこかにいってしまったようで目は虚ろだ。
谷間にうずまった伍長の口から、
「やふぁがらい」
と、悦に入った声が漏れる。
伍長のその声にアリスは反応することはない。朦朧とした意識。
動き出したのは伍長だった。するりとアリスの胸に両手が伸びる。
張り出たおっぱいを伍長は愉悦のうちにもみしだく。
手つきはいくらか乱暴で、その無骨な指先がアリスの薄ピンクの乳首をいじめる。
アリスの肉体が
――あぁっ、はぁァァ、アぁン、はぁぃ……
と喘ぐ。思考は停止し肉体だけがざわついている。
じゃれ付く子猫のようにオーランドは乳首を舌で押し、舐めあげる。
オーランドの大きな手からすれば、小さく見えるアリスの美しい半球型の乳房。
その全体像などお構いなしに、オーランドは乳肌を激しく愛撫している。
(どんどん硬くなってきた)
アリスの小ぶりの乳頭はオーランドの舌に刺激され、徐々にその硬度を高めていった。アリスの意思とは無関係に。
そして、同時に、オーランドの肉棒は天に届くばかりに高く、硬く、力強く股から生えていた。先端からは汁がたくたくと漏れ出ている。
我慢できずに、その体液はトロリと糸を引きながら垂れていった。
――あぁ、ダメだ。我慢が、
と伍長の脳内は淫靡な欲望が駆け出していた。
肉竿に走る血管に大量の血液が流れ込み、暴れ出しそうなほど脈打つ。
ビクッビクツとその膨張が止むことはない。
――――――――あぁぁあ、も、もう……しょ、少尉の……い、いや……
忘れるように、伍長の舌はアリスの乳暈を擦り上げ、乳首をその口に含んだ。
チュウチュうと吸い上げるように口を蠢かすと、伍長は甘噛みをした。
アリスは眠りから覚めるように目を開けた。
タイルの床と伍長のぼさぼさの髪。そして火照った肉体。胸元には奏でる伍長の口。
腰の奥が疼き、まだその熱さが覚めない。むしろ、
――もっと、もっとだ!
と求め続けている。乳首にいやらしく吸い付く伍長を見て、その思いは一層強まる。
アリスはニヤッ、と悪戯を思いついた少女のように笑うと、一心不乱にむしゃぶりつく伍長の耳元に唇を近づけた。
――、ふぅ〜
と吐息をかけ、耳たぶをカプっと甘噛みする。
「!! うえぁぁぉおお! しょ、少尉、何を――」
伍長はこそばゆさに狼狽した。
マーキュリー号に甘噛みされても動じない伍長だったが、アリスの甘噛みには激しく動揺し、驚きのあまりアリスを跳ね飛ばしてしまった。
「うわぁっ!」
後転しそうになるアリス。伍長にしがみ付こうと手を伸ばした。
それが悪かった。ガシャンと奇妙な音が部屋に響いた。
弾みとはいえ、伍長はアリスを跳ね飛ばしてしまった。
伍長に悪気の欠片もない。そう、アクシデントだ。
それどころか、悪いのはアリスの甘噛みだ。
だが、アリスの気持ちはどこか萎えてしまった。
――いくらなんでも、こんな破廉恥なことは帝国軍人として許されん。うん、そうだ。
立ち上がったアリスは、ブーツを着用しただけで裸だ。胸には伍長のキスマークと指の跡。陰部から流れた体液の跡はそのままだ。
――そうだ、ここは保管庫だ。誰か来たら困るだろう。うん、そうだ。
その思考に説得力は微塵もない。
「な、なぁ、伍長。ここは……」
閉ざされたドアを前に、あれこれと思案していたアリスは振り返り、伍長に言葉をかけたが、その言葉は最後まで続かなかった。