マーチスがベロチューをして、ウェブナーの機嫌が悪い。  
整備班はすぐマーチスを呼び出し、ボコボコにした。  
 
暴力に疲れ果てたマーチスがごろりと倉庫の床に転がると、ひびの入った眼鏡越しに天井が  
見えた。上着もはだけ、シャツの裾がズボンからはみ出しきっている。  
すこしだけ息を整えたら帰ろう――そう思ったマーチスのそばに、ひたりと人影が忍び寄る。  
「なぁんだい、えらくやられたじゃないか」  
「……中尉」  
見れば、それは整備班が「姐さん」と呼んで憚らない女傑、巨乳のウェブナー中尉だった。  
ウェブナーの手を借りて、マーチスは床にえっこらと起き上がる。  
「すみません」  
「あんたが謝ることじゃないさ。あたしの認識が甘すぎただけだ」  
ウェブナーは美しい顔にひそかに皺を寄せた。  
なにせ、自分がここまで思われていたなんて夢にも思わなかったし、意識もしていなかった。  
そんなウェブナーの罪が、マーチスに降りかかる。  
ウェブナーは責任を感じてマーチスをぐっと引き寄せ、倒れ掛かる体を豊満なバストで受け止めた。  
「ちょ、ウェブ、なー、ちゅう……」  
巨乳に顔を挟まれ眼鏡がゆがみそうな状況で、マーチスは鈍感にも頬を赤くする。  
「巻き込んですまなかったな……」  
言いながらも首を振り、中尉はマーチスの頭部を戒める。  
可愛い弟分。そう思っていたのは自分とマーチスだけだった。  
「中尉……」  
やわらかく大きな乳房に圧倒されながら、マーチスは目を逸らす。  
王女に気に入られた、それだけだったのに。  
「中尉、離して下さい」  
だから、マーチスは立ち上がる。  
「ご迷惑おかけして、申し訳ありません」  
頭を下げられて、ウェブナーは眉を寄せて考えこんだ。  
「お前のせいではない――いや、やはりお前のせいか」  
原因はやはりマーチスだ。そう考え直し、ウェブナーは太く笑んだ。  
「座れ」  
「は?」  
「いいから座れ」  
 
仕方なく片膝をつくマーチスの頬を、ウェブナーは両手で包んだ。  
「ああ、こんなに赤く腫れて。眼鏡まで割れてる」  
「…あの」  
ウェブナーはひとつうなずくと、マーチスを抱きしめた。硬直し微動だにしない黒髪がなぜか  
いとおしい。  
ウェブナーはやさしく体を引き離すと、マーチスの頬の傷に赤い舌を這わせた。マーチスの  
背中ばかりか頬までが硬く岩のように固まった。  
それをものともせず、ウェブナーは傷をやさしく舐め続け、手をシャツの裾から忍び入れる。  
「中尉ッ……!」  
「だいじょうぶ、誰も来やしないよ」  
ましてや、と言いながら、ウェブナーはマーチスをその場に押し倒す。  
「あんたを痛めつけた後なんだから、よほどのお人好しでない限り、救急箱なんぞ持って  
来やしないね」  
「そういう問題じゃ……」  
マーチスの反論は乳首をこりこりとつまむ手管に封じられた。  
自然と熱い息が唇を割り、マーチスは羞恥に頬をわずかに染めた。  
初心な反応に満足するとウェブナーはマーチスのシャツのボタンを外して、首筋を噛み、  
乳首にも軽く歯を立てた。  
「くっ……はぁ、中尉……」  
「あんまり大きな声を上げると保安課が来るよ?」  
し、とマーチスの唇に人差し指を当てて言葉を封じる。  
マーチスが唇を真一文字に結んだのを見てから、ウェブナーは腰に手を這わせた。  
ん、とマーチスの咽喉で音が鳴る。  
ベルトを外し、下着の中に手を入れると、マーチスは軽く顔を仰向ける。  
「……かわいいねぇ」  
ウェブナーは体をずらすとマーチスの腹に舌を這わせ、下着ごとズボンを引き抜く。  
指はマーチスの性器を激しくこすりあげた。  
「こっちもあんまり使い込んでないみたいで、かわいいよ」  
ウェブナーの舌が包皮に包まれた亀頭をちろちろと責める。鈴口を責められ、マーチスは軽く  
眉を寄せた。する、と音を立て服を脱ぎ捨てるかのように、ウェブナーの手がマーチスの  
包皮をずり下ろす。  
ちゅぷ、と唇と舌で亀頭を責めながら指で茎部をさする。マーチスの反応は良く、それが  
ウェブナーを満足させた。  
「痛かったろう? 気持ち良くしてやるよ」  
ウェブナーは自分から靴を脱ぎ、作業服のつなぎを足首から抜く。シンプルだが機能的で  
大人が付けるにふさわしい下着がマーチスの目を奪う。  
マーチスの目に気付いているのかいないのか、ウェブナーは下着を横にずらし、自身の  
膣口をマーチスの亀頭にぴったりと当てた。  
「見えるかい? ほら」  
そのまま腰を落とすと、マーチスの亀頭はやわらかな肉襞に包まれた。  
 
「……あっ」  
ちいさく叫ぶマーチスの唇にもう一度ウェブナーの人差し指がかかる。  
「静かに……」  
小刻みにうなずくマーチスを見て、ウェブナーはさらに腰を落とす。  
ずず、とわずかな抵抗があり、ウェブナーにかすかな痛みを覚えさせたが、彼女は諦め  
なかった。  
「ほら……あんたのかわいいちんちんが、全部あたしの中に入ったよ?」  
言葉に上気した艶が乗る。マーチスはこくこくとうなずいた。  
「怪我人なんだから、動いちゃ駄目だよ?」  
ふうっ、と、ウェブナーの唇から吐息が漏れる。  
ウェブナーは腰を浮かすと、激しく打ち付けた。  
はじまった――マーチスは唇を固く引き結んだまま快楽に耐えた。幾度となく打ち付けられ、  
前後され、声を封じられて、それでも気持ちがいい。見上げるとウェブナーが腰を振りながら  
マーチスを見下ろした。  
「気持ちいいかい?」  
マーチスはうなずく。  
赤いTシャツに包まれた乳房が揺れている。マーチスは両手を上げた。  
「うん? 触りたいんなら、自分でやんな?」  
目線を追ったウェブナーに首を振ると、マーチスは自分の腹に当てたままの彼女の手を取った。  
わずかに目を見開くウェブナーに、笑顔で手を繋ぐ。  
「バッカ、野郎……」  
マーチスは腰を使う。いきなり下から突き上げられ、ウェブナーは熱く息を吐いた。  
「ばか。怪我人に、やらせるあたしじゃないよ……」  
ウェブナーは対抗するかのように腰を振る。それにあわせてマーチスが突き上げた。  
リズムは互いに合い、とてつもない快楽を互いに送る。  
愛液が太腿を伝わり、ウェブナーはわずかに笑んだ。  
「なんだよ、あんたの、ちいさいくせに気持ちいいじゃないか……」  
マーチスが軽く怒って眉を寄せ、ウェブナーの腕を引き寄せ倒れこんだ背中をきつく抱きしめた。  
大きな乳房がぎゅ、とマーチスの胸にやわらかく当たる。  
「んっ……」  
熱い息が互いの肌に当たる。  
耳に届く短い吐息が、いやがおうにも興奮を高める。  
「マーチス、マーチス……!」  
「中尉、抜いて……抜いてください!」  
ウェブナーは首を振り、立てた膝を支点にしてさらに激しく腰を使った。  
「あ――あ、でる!」  
「出しな!」  
言われるまでもなく、マーチスは限界だった。  
「駄目で――ああ、ごめんなさい!!!」  
マーチスの精液があふれ、ウェブナーの中を濡らす。液体が勢いそのままに膣内に当たり  
ウェブナーを震わせた。  
射精の快楽に震えるマーチスを、ウェブナーは強く抱きしめた。  
 
何度めかの深い息を繰り返し、ウェブナーはようやく体を上げる。  
腰に目をやり、ゆっくりとマーチスの性器を抜く。精液と愛液にまみれたそれは、驚くほどに  
ちいさくなっていた。  
「出し切ったのかい? 若いねえ」  
わずかに顔を赤くするマーチスをよそに、ウェブナーは舌で性器を舐め、綺麗にしてやる。  
「中尉、すみません……」  
うん? と答えたはずの声は口中に含んだ性器に阻まれくぐもった。  
「出すつもりは……」  
ウェブナーは黙って性器を口中でいじり倒した。舌でつつき、口をすぼませ、マーチスをいじめる。  
精液を出したばかりの性器は敏感で、マーチスは口を押さえ痛みに等しい快楽に耐えた。  
ウェブナーが満足するまでそれは続き、急に終わった。  
濡れた下着を付け直し、つなぎを着ると、ウェブナーは立ち上がる。  
わずかなため息が漏れた。  
「――どこが『粗野にして美味』なんだか……」  
嫌悪にウェブナは眉目を寄せた。  
聞き逃したマーチスが目を丸くして自分を見上げるのも、ウェブナーには気に入らなかった。  
興味を失った冷たい瞳で見下ろすと、ウェブナーはマーチスの足を軽く蹴った。  
「すまないね」  
「え?」  
聞き返すマーチスに、ウェブナーは怒鳴るかのように告げた。  
「まずは怪我治しな。続きはその後だ」  
「続きって……」  
「次は、キスのひとつくらいして欲しいもんだね!」  
怒りに足音も荒く、ウェブナーは振り返りもせず、倉庫を後にする。  
暗い倉庫で、マーチスはようやく、自分が一度もキスをしなかったことに、気付いた。  
 
 

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