インターバル。思いついたのでつけたしエピソード
副題:伍長さんは心配性
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つかの間流されかけた伍長だったが、すぐにとんでもないと猛反対された。
「だめです、危険です、もってのほかです!」
なにしろあそこにはいろんな意味で危険と思われる人材がそろっているのだ。
少尉がこんな姿になったとわかれば自分も含めて一日中遊び倒されるに決まっている。
(それにもしカウプランに目でもつけられたら・・・)
想像するだけで目の前が真っ暗になるほど恐ろしい。
(少尉をそんな目に合わせる事だけは絶対に阻止しなければ!)
心を鬼にして徹底抗戦の気持ちを新たにする伍長だったのだが・・・少尉はやはり少尉だった。
「軍の施設内で何の危険があるというのだ伍長。それともお前の仕事が終わるまで、私をどこかに置いていくつもりなのか?」
「そ、それもできません・・・・っ!!」
街は街で絶対に治安が良いとはいえない。しかもこんな見るからにいいとこのお嬢様といった格好の少尉が歩き回ったりしたら・・・
伍長の脳裏にドナドナの歌と供に荷馬車に詰めこまれて遠ざかっていく少尉の姿がありありと浮かぶ。
(あああ、だめだ〜〜〜)
冷や汗を流したり青くなったり頭を抱えたりと思い切り挙動不審に陥る伍長に少尉が痺れを切らす。
「じゃあどうしろというのだっ!」
「す、すみませんっ」
一喝。
条件反射のごとく伍長ははじかれたバネのように気をつけの姿勢になった。
はたから見ると子供に叱られてぺこぺこする大男という異様な光景なのだが、幸いそれを周囲する人物はにあらわれなかった。
むしろ怖くて誰も手が出せない。
「なあ、伍長・・・私とてお前が心配してくれているのは充分承知しているつもりだ。教えてくれ・・・どうすればお前は一番安心してくれる?」
「うっ・・・」
少尉は眉根を下げて伍長を見上げて訴えた。いつもより急角度のため少々首が辛い。
それでも必死に見上げる姿がなんだか無性に可愛く見えてしまい伍長は言葉をつまらせた。
しばしの逡巡の末、脂汗を流しながら伍長は搾り出すように言葉を発した。
「ううう・・・で、では少尉は今日一日絶っ対に俺から離れないで下さい。」
「わかった、ということは3課にいってもよいのだな?」
「しかた、ないですから・・・そのかわり!これだけは守ってもらいますからね」
「わかった。私にできることならできる限り努力するぞ!」
キラキラと表情を輝かせる少尉に伍長は行く先の不安を感じずにはいられないのだった。