私、アリス・L・マルヴィンは困っている  
まあ、いろいろあって、伍長とそういう関係になってしまった  
なってしまったことは仕方ない  
危惧していた公私混同や任務への支障は、杞憂であった  
お互いのあるべき姿を再確認出来た私達は、任務にあたって、士官と兵隊の役割を完璧なまでにこなしている  
問題は私生活においてである  
任務時は私情は完全に切り捨てているが、逆はちょっと難しい  
伍長は伍長であって欲しいし、私も少尉でありたい  
お互いそう思っているから、二人きりの時間も公務時に近い態度になってしまう  
そっち関係以外は…  
 
「ごっ、伍長、その…」  
「はい、少尉」  
たまらず漏らした呼び掛けに、伍長は平然と返事をした  
ぬけぬけと指示を待つ…  
ふりをしている  
「伍長っ」  
口に出せるわけのない要求を込めて、再度伍長を呼ぶ  
「何でしょうか、少尉」  
絶対わかっている癖に、伍長は応じてくれない  
『おのれ〜』  
正直、殺意を感じた  
枕元の継承器にものを言わせてやろうか  
それとも、メーネで…  
「ハウッ」  
不穏な気配を察したか、背後で伍長が動いた  
首筋に舌を這わせてきたのだ  
「ヒッ、ヒャウウッ」  
新たな刺激に支配され、まともな思考が出来ない  
 
今の私は、寝台に腰掛けた伍長の膝の上に身体を預け、後ろから好き放題されている状態だ  
上官としては、誠に忸怩たるものを感じるが、伍長の与えてくる快楽に浸りきっている  
伍長は先程から胸しか触ってくれない  
しかし、その手法は驚くほど巧み、かつ多彩である  
乳房を揉み上げ、あるいは摩り、強く優しく愛撫していく  
鎖骨や脇の下、鳩尾に近い所まで、伍長に触れられると甘美な快楽が湧きだす  
伍長の大きな掌は、胸の周りを責めていたかと思うと、乳房の山を駆け上がり、敏感な乳首にたどり着く  
 
伍長は、火傷に火傷を重ね、ガチガチにささくれ立っているその指先で、くすぐるようにこね回す  
「ヒィッ!」  
神経に直接響くような快感が走る  
刺激が強すぎて息も出来ない  
遂には、胸だけでいきそうになる  
それを察知して指を止める、意地悪な伍長  
「ヤァッ!伍長  
止めないでくれ  
モット、モットォ〜」  
私は恥知らずにも淫らに懇願する  
「欲しいですか?」  
「欲しいの!  
お願いだ、もっとしてくれ!!」  
快楽に狂う私に  
「少尉なら自分で出来るでしょう」  
伍長は大きな掌で、私の乳房を持ち上げように支える  
口元に乳首が届いた  
 
疼く身体の欲求に堪えられず、自ら乳首をくわえる  
伍長の愛撫を思い出しながら、舌で、歯で刺激を与えてみるが、うまくいかない  
「少尉、こうするんです」  
もどかしさに身を揉む私の肩越しに、伍長は首を延ばしてきた  
開いているもう片方の乳房を持ち上げ、乳首を吸い上げる  
「ヒャアンッ…」  
私の身体は、あっという間に再加熱された  
淫声を漏らしてしまった口から、くわえていた乳首が零れる  
「おっと、駄目ですよ  
少尉」  
伍長も口を離した  
零れる乳房を伍長の大きな掌が支える  
「離したら、もうしてあげません」  
ヒドイ事を言う伍長  
 
乳房を持ち上げて、口元に乳首を押し付けられた  
仕方なくくわえる  
「そうです  
離さないで下さいね」  
口調は優しいけど、これは命令だ  
従属の屈辱と、服従の快感に揺れる  
逆らうと叱ってくれる  
従うと褒めてくれる  
そんな当たり前のことに、一喜一憂してしまう  
子供の頃に戻ったようだ  
まあ、子供がこんなことしていたら、それはそれで大問題だが…  
伍長の手は、ゆっくり脇腹を撫で下ろした後、私の内股に向かった  
「!」  
薄い腿の隙間に大きな掌を滑り込ませると、グイッと力を入れる  
閉じていた私の脚は、伍長にこじ開けられた  
 
余りにあからさまな姿勢に慌てて脚を閉じようとするが、伍長は軽々と押さえ付ける  
「このままでいいのです  
少尉」  
馬鹿者っ  
良いか悪いかは私が決めることだ  
このような破廉恥な姿勢をとっていられるか  
伍長がこれほど異常な性癖を持ち合わせているとは  
見損なったぞ  
恥を知れ!恥を…  
嵐のような罵詈雑言を叩きつけ…  
られない  
私の口は塞がっている  
自分の乳首をくわえる、ブザマな状態で…  
だから伍長に文句も言えないし、制止することも出来ない  
そうだ  
出来ないのだ  
悪いのは伍長なのだから仕方ない…  
本当に酷い奴だ  
 
その酷い奴であるところの伍長は、酷い奴であるが故に酷いことをする  
ゆるりと内股に掌を滑らせ撫でさする  
たまに、お尻の方まで手を伸ばすが、肝心な処は避けている  
「フッ、フゥン〜」  
切なさに鼻を鳴らす私に  
「どうしました、少尉」  
伍長は意地悪く尋ねる  
だが、私の口は塞がっているのだ  
応えることなど出来ない  
「では、口を開放しますか?」  
「!」  
駄目だっ  
そんなことされたら、何を口走るか…  
私は必死で眼で訴えた  
でも伍長は  
「口を離していいですよ、少尉」  
遂に、伍長の支配下から開放され、自己の責任が戻ってしまった  
 
絶望の中、自らの意志で淫らな注文を口に出す寸前、その口が塞がれた  
伍長の大きな口で覆われて…  
首を後ろに捻る苦しい姿勢だが、伍長の与えてくれた唇に酔いしれる  
唇をはみ、舌を与え、混じりあう唾液を貧るように啜りあった  
…至福の時が終わり、離れていくいくばくの寂寥感を味わう  
「ごめんなさい、少尉  
少し虐め過ぎました」  
なんのことだ?  
こういう時、イジメられるのは何時ものことだが、伍長が詫びるほど…  
ぺロッ  
伍長が頬を舐めた  
ああ、そういうことか  
何時も散々イジメる癖に、私の涙を見ると伍長は萎えてしまうのだ  
 
私だって、何と言うか、その、わりと浸って楽しんでいるのだが、伍長は我に返ってしまうらしい  
「男性とは難しいものだな」  
ため息を一つ付き、伍長自身に手を伸ばした  
「しょ、少尉!そこはっ」  
そういえば、ちゃんと目ににしたことはない  
焦った声を出す伍長を無視して、それを手に観察を始める  
「相変わらず奇妙な形だな」  
自分には無いものだけに、不思議でならない  
「このように嵩張る物をズボンに収用しておけるのか?」  
私の腕程もあるそれは、さぞかし邪魔なのではないか  
まじまじと視認していると、それは見るまに膨張していった  
 
「伍長?」  
「すっ、すみません、少尉」  
別に謝られる必要は無いのだが、優位を得る為に威張ってみる  
「なんだ、伍長  
こんなに大きくして」  
両手でわし掴みにしたが指が回らない  
本当にこんなものが入ったのだろうか?  
何度も伍長と、まあその、いたしているはずだが、入っている所は見たことが無い  
そういう段階に至ったときには、私は既に息も絶え絶えで、正気も定かではない状態にされている  
ムカッ  
「大体なんでそこまでするのだ」  
思いだすと、いきなり腹が立ってきた  
伍長は背後にいるので、目の前の伍長自身に問い詰める  
 
襟首がわりに掴みあげた  
後ろから伍長が呻き声を上げるが無視する  
「婦女子にあんなことをするとはどういうつもりだ  
お前には良心というものがないのか」  
滔々と人の道というものを説いているうちに興奮してきた  
そうとも、伍長はヒド過ぎる  
人の身体を弄び、お母様にだって見られたことのないようなところまで余さず凝視して、お腹の中にまで押し入って、私を狂わせるのだ  
「どういうつもりだ!  
わっ、私を愛してるといったのは、偽りだったのか」  
掴んだ伍長を振り回す  
「しょ、少尉、落ち着いて下さい  
でっ、出ちゃいます」  
 
「何が出ると…」  
ドピュッ  
握り締めていた伍長の先端からから、爆発するように白濁した粘塊が飛び出してきた  
向かい合っていた私の顔目掛けて…  
突然のことに呆然とする私  
「すっ、すみません、少尉  
俺なんてことを」  
オロオロとうろたえる伍長だが私にはそれ所ではなかった  
顔中を覆う白い粘液  
饐えたような臭い  
まさか、こんな…  
「伍長!なんだこれは」  
「申し訳ありません  
俺、我慢出来なくて」  
何だと、やはり伍長は  
「どうしてこんな」  
私は衝撃に震えながら問い詰めた  
「すみません、本当にすみません」  
伍長は詫び続ける  
 
「馬鹿者、すみませんではない  
いつからだ、何故黙っていた」  
「いつからとは?」  
伍長は、怪訝な顔をしている  
ごまかされるものか  
「いつから化膿していたのだ  
こんなに腫れ上がるまで」「…………ハァ?」  
なんだその顔は  
人がこんなに心配しているのに  
「とにかく膿は出しておかねばならん」  
まだまだ腫れたままの伍長のものの先端から、残った膿を吸い出す  
「うわぁっ、少尉っ」  
伍長が呻く  
やはり痛かったのか  
「我慢するのだ、伍長」  
吸い上げてる途中なのに、腫れはみるみる酷くなってきた  
「駄目です、少尉」  
「黙れ、伍長」  
 
膿が残らぬよう下からしごきながら、先を強く吸い上げた  
「ううっ」  
ビュ、ビュッ  
私の口の中に、勢いよく飛び出してくる  
生臭く、苦みのある多量の粘液が喉にまで絡み付いてきた  
とにかく、膿を搾り出すと、伍長の腫れも少し治まったようだ  
「伍長、痛みはないか?」  
呆けたような表情の伍長に問診する  
「…よかったです」  
呆けたまま答えたのち  
「いえ、その、あの、すみません少尉」  
慌てながら詫びる  
「うむ、体調管理も軍人の仕事の内だからな  
後は病院に行って診て貰おう」  
上官として軽い説諭をおこなったが…  
伍長が抗命した  
 
「あの、大変失礼ですが、少尉」  
おずおずと申し出る伍長  
「上官に反抗は許さんぞ」  
階級をたてに切り捨てる  
こんなことはしたくないが、伍長の体の方が大事だ  
例え嫌われても…  
「少尉、子供のつくり方を知ってますか?」  
悲壮なまでの決意を固める私に、伍長が急に妙な質問をしてきた  
「ばっ、馬鹿にするな  
それくらい知っている」  
物知らずの貴族のお嬢ちゃんと侮ったか  
「いんけいをちつにそうにゅうし、せいしをしきゅうのらんしにじゅせいさせるのだ」  
………  
……  
…  
「意味分かってませんね」  
伍長が冷静に指摘してきた  
 
ウッ  
痛い所をつかれた  
確かに『ちつ』と『しきゅう』が私にある『せいしょくき』らしいのは知っているが、具体的にどういう物なのかはよく知らない  
『いんけい』は男性にしかないとのことだから、恐らく伍長のあの部分の事だろう…  
?!  
ああっ!  
突如思いついた  
「わかりましたか?」  
私の変化に気づいたか、伍長が諭すように話しかけてきた  
「これは、ひょっとして『せいし』か?」  
顔に広がる粘液に触れながら、確認する  
「はい、そうです」  
どこからか取り出したタオルで、私の顔をせっせと拭いつつ伍長は答える  
と、なると…  
 
「私は妊娠してしまった訳だな」  
グイッ  
「痛い、痛い」  
いきなり、伍長の手に力が入った  
「何をするのだ」  
「すっ、すみません  
でも急に少尉がとんでもないこと言うから」  
伍長が、何時にもましてうろたえてる  
顔どころか、耳まで真っ赤だ  
う〜む  
私は首を、傾げつつ考え込む  
「そういえば、我々が行っている行為は、生殖活動であるのだよな?」  
伍長に確認をとる  
確かに、あまり意識していなかった  
お互いに愛し合っている感情が高まったとき、抱き合ってキスをした  
後は任せっぱなし  
伍長の与えてくれる快感に、流されていただけだ  
 
そのような、愛し合う行為が生殖活動であるということは知っていた  
しかし、感覚として理解できてはいない  
正直、自分が子を妊むなど、全く想像の埒外だった  
「伍長の子供か…」  
さぞかし大きいのであろうな  
ちゃんと産めるか心配だ  
空想の世界に跳んでいた私は、慌てふためいた伍長の声に呼び戻された  
「少尉、しっかりして下さい  
妊娠なんてしていません」  
なに?  
愛し合うと子供が出来るのではないのか  
「ちゃんと避妊していますから」  
「ひにん?」  
知らない単語がでたが、ニュアンス的に妊娠を避ける方法ということだと判断した  
 
…つまり、  
「私は伍長に愛されていなかったのか」  
ショックだった  
足元が崩れたような  
体が消えて失くなるような  
世界の存在ごと消滅したような…  
   
ギュウッ  
世界が戻ってきた  
霧散しそうだった私は、外から繋ぎとめられる  
熱く大きな存在に抱きしめられ、私の体を形造った  
そして魂が吹き込まれる  
「愛しています、アリス」  
………  
なんというか、実に腹立たしい  
私の存在は、こいつに委ねられているのか  
奴を失っただけで、私は崩壊し、抱きしめられ、一言囁かれられただけで元通りだと!  
これでは自己を失ったも同然ではないか  
 
憤然と元凶を睨み付ける  
…が、実に情けない奴の顔がそこにあった  
奴も私と同様に、失いかけた自己を必死に繋とめている最中のようだ  
そして、それは私には簡単な行為だ  
チュッ  
「愛してる、ランデル」  
一つのキス  
一つの言葉  
途端に緩む表情  
なんと単純な奴め  
おそらく、同じ表情の自分のことは棚に上げておくことにした  
 
 
 
END  
   
   
   
   

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